皇太子はツラいよ!   作:ミスター仙人

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第三章 第6話

 シレノス星系の外縁に予定通り到達し、あらゆる隠蔽機能を駆使して探査用プローブを隠した上で、僕の『メタトロン』の権能『ラファエル』によって、シフト(位相差ジャンプ)させてシレノス星系の隅々まで配置して、バグスの艦隊と『宇宙大怪獣』の探査を行った。

 

 どうやらバグスの艦隊は、シレノス星系に大きく広がっていないらしく、星間国家シレノス星系の人類が住んでいる2連星シレノスとシリウスに、まとわり付く様に密集している。

 駐屯しているのか、或いは其処に存在する生命体の狩りでも楽しんでいるのか、外敵への備えを行っている様にはとても思えない密集の様子で、警戒活動に類する行動が一切見られない。

 

 此の時点で、此の遠征の勝率はかなり高まっているのだが、油断せずに粛々と行動する為に、2連星シレノスとシリウスでの地上の情報も得る為に、ドローンを二つの星に其れ其れ100機ずつシフト(位相差ジャンプ)させた。

 

 どうやらシレノス星の方が首都の様で、たった一つの大陸に政庁等の公共機関が集中していた様だ、しかし、其れも今はバグス達の降下兵により無惨な残骸と化していた。

 

 そして異様に巨大な建造物が、周りのシレノス星の建造物の残骸とは趣の違う設計思想で、郊外に存在していた。

 

 其処にドローンによる詳細な精査を行わせてみると、とんでもない実体が判って来た。

 

 其の異様に巨大な建造物は工場であった。

 

 それも膨大な量の食肉を扱う製造工場の様で、次々とバグスの車両が出入りしているのだが、大量の畜産された牛馬の様な生き物が搬入されて行くからだ。

 

 我々は暫くの間その様子を伺っていたのだが、ある車列が入って行く様子を見て全員が凍りついた!

 明らかに人と思われる集団を載せた車両が、その製造工場の中に入って行くのが見えてしまったのだ!

 

 《・・・やはりか・・・、判ってはいた・・・、判ってはいたんだ・・・、だが・・・眼前で人が牛馬と同じ扱いで食肉となって行く現実は、耐え難いものがある!!》

 

 周りの軍人達を伺うと、僕と同様かそれ以上に、バグスへの怒りが募っているのが、傍目にも判る。

 

 確かに牛馬も同じ生物なので差別すべきでは無いのかも知れないが、同族たる同じ『人類に連なる者』が容赦無く食肉に処理されて行くのには、どうしても耐え難い!

 

 そして僕達は、主将たる『楊大眼』上級大将に向き直り、無言での上申を行う。

 その無言での上申を受け取った『楊大眼』上級大将は、勢いよく頷かれて僕達『神機』部隊に命令を下した!

 

 「作戦案Bを、繰り上げて実行する!

 直ちに『神機』部隊は、シレノス星とシリウス星へシフト(位相差ジャンプ)し、バグスの降下兵達を駆逐する為にパワードスーツ部隊を連れて行くのだ。

 宇宙空間での戦闘は予定通りに我等の艦隊が行う、地上の戦闘が終わり次第、後の始末はパワードスーツ部隊と医療艦と輸送艦に任せ、宇宙空間での戦闘に参加する様に!」

 

 と幾つかの作戦案の内、作戦案Bを基軸とした命令が、僕達『神機』部隊に下った。

 

 「「「「ハッ、了解しました!」」」」

 

 僕達『神機』部隊の全員が声を揃えて命令を受諾して、己の『神機』に乗り込んだ!

 

 いよいよ、僕達『神機』部隊の初戦闘が開始されるのだ!

 本来なら高鳴る筈の胸の鼓動が、あの悲惨な映像を見た事で明らかに冷えてしまって、氷の様に凍てついてしまったのが、何処か他人の様に自分で感じながら、粛々と一緒に連れて行くパワードスーツ部隊を載せた揚陸艦を次々と二つの惑星にシフト(位相差ジャンプ)させて行く。

 

 パワードスーツ部隊を載せた揚陸艦は、光学迷彩を主とした隠蔽魔法を駆使して、製造工場から離れた地域にシフト(位相差ジャンプ)させて陣形を整えさせる。

 

 次に褒姒の『九尾』と、サクラの『天照』を首都星シレノスにシフト(位相差ジャンプ)させて、パワードスーツ部隊の上空支援と、全軍への魔力支援を行って貰う準備をして貰う。

 

 そして僕は、『メタトロン』に命令し2隻の宇宙要塞艦をシフト(位相差ジャンプ)させて、2連星シレノスとシリウスの間に隠蔽魔法と光学迷彩をさせた上で出現させた。

 

 最後に僕の『メタトロン』と、ケントの『応龍』が惑星シリウスにシフト(位相差ジャンプ)し、パワードスーツ部隊の上空支援と、全軍への魔力支援を行う準備に入る。

 

 帝国全軍がかなりの時間、隠蔽魔法と光学迷彩が功を奏して、バグスの艦隊や降下兵は僕達の動きが全く気取られずに行動する事が出来て、襲撃する為の陣形と準備を整える事が出来た。

 

 帝国全軍が全ての準備を整えたと報告を受けた『楊大眼』上級大将は、

 

 「良し全軍、突撃せよ!」

 

 との大音声での号令をマイク越しに帝国全軍に発し、『楊大眼』上級大将が自ら乗る宇宙要塞艦と配備された突撃艦以外の艦隊に、カイザー砲による一斉斉射をバグス艦隊に発射命令を下した。

 

 同時に、地上に派遣された僕達の揚陸艦も、最強魔法を封入した主砲を一斉斉射した。

 

 此の一斉斉射の号砲こそが、此の後、数世紀に渡る『新・人類銀河帝国』とバグス共との死闘に於ける最初の一撃であった!

 

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