其れは巨大過ぎた!
復元したデータの中に有った観測データから云うと、小型の部類に入るのだろうが、此方の艦隊での最大艦艇の宇宙要塞艦が、全長10キロメートルなのに、敵『宇宙大怪獣』の全長は1万キロメートルを越えているのだ!
最早、比較対象として捉えるのがバカバカしくなる程の規模であり、そもそも今も眼下に存在する惑星シレノスとシリウスを例えば攻撃対象と考える事があり得ないのと同様に、惑星規模の敵を見てると全然現実が無い。
刻々と様々なデータが詳細に『メタトロン』に送られて来て、星猫のアルが整理して僕に見せてくれる。
それなりに距離が有るのに、2連星のシレノスとシリウスには重力のバランスが崩れ始め、影響が出始めているらしい。
敵『宇宙大怪獣』は近くで見ていると星の様にしか見えないが、遠方の探査プローブからの観測データで、姿形が判明した。
何だか、ゴツゴツした体表を持つ魚が一番似ていて、例えるなら惑星アレスに存在する甲冑魚に近い姿をしている。
姿形からも見て取れるが、恐らくは防御に優れた個体なのだろう。
そして復元データから判明しているが、本来の『人類銀河帝国』の誇る『ノヴァ重力子ミサイル』10万発が、アッサリと弾き返された上に、喰われている映像も残っていた。
つまり、たった一発で惑星を吹き飛ばす禁忌の兵器『ノヴァミサイル』を、遥かに凌ぐ『ノヴァ重力子ミサイル』10万発が、此の『宇宙大怪獣』達には何の脅威にもならなかったのだ。
確かに、僕達の乗る『神機』達は簡単に惑星を滅ぼせる兵装が幾つもあるが、あくまでもそれは防御力を度外視した、攻撃力だけを換算したものでしか無い。
という事は、僕達の乗る『神機』達の攻撃も、本来の『人類銀河帝国』の誇る『ノヴァ重力子ミサイル』と同様に、簡単に弾かれる可能性が多分に有ると云う事だ。
なので、僕達『神機』部隊は現状での最高の突破力を持つ、4機全員での複合攻撃を放つ事にして、『楊大眼』上級大将と『ヴァルター』大将に許可を得るべく申請した。
「『楊大眼』上級大将に『ヴァルター』大将へ申請致します!
此れより、我等『神機』部隊は、4機での複合攻撃の一つである『フォーリング・ダウン(失墜する天)』」を放ちます!
余剰エネルギーによる宙震(ワープ等で宇宙空間が宙域毎震動する現象)への備えをお願いします!」
「了解した! 元々『宇宙大怪獣』が現れた段階で準備は出来ているし、最悪短距離ワープで戦場から退避するので、我等には構わずに戦え!」
と『楊大眼』上級大将は、細かい事に頓着せずに僕に攻撃許可を与えてくれた。
その信頼に応えるべく僕達『神機』部隊4機は、直ちに『フォーリング・ダウン(失墜する天)』のフォーメーションに移るべく太陽から1列に体勢を整えた。
最後方にサクラの『天照』が位置取り、先程と同じく太陽からのエネルギーを魔力に変換し、2番目に位置する褒姒の『九尾』にそのまま魔力を届けて、褒姒の『九尾』はその9つの尻尾から極大の魔力を、3番目に位置するケントの『応龍』が配下のドラゴン100頭と共に、極大の破壊エネルギーに変換して、最前線に陣取る僕の『メタトロン』に届けさせる。
其処まで準備を整えると、それまでまるで動かずに悠然としていた甲冑魚型『宇宙大怪獣』が、突然向きを変え始めて、僕達を見据える様な体勢に移行した。
かなりの速度で極大の破壊エネルギーが僕の『メタトロン』に収束されて、僕は『メタトロン』の内部にあるパイロット空間で、発射体勢を取るべくミネルヴァと共に姿勢を整える。
つまり、ミネルヴァが擬似的に掲げた両手の間に出来たエネルギーボールに向けて、僕が発剄を放つ姿勢を取っている体勢だ。
漸く『フォーリング・ダウン(失墜する天)』を放つ準備が終了した瞬間、星猫のアルが叫ぶ!
「アポロ! 『宇宙大怪獣』の内部で一気にエネルギー圧が上昇中! 奴も何かするつもりだよ!」
「判った、奴の恐らくは攻撃に合わせて『フォーリング・ダウン(失墜する天)』を叩きつけてやる!」
一種の賭けではあるが、下手にその攻撃と思われる物を回避したりしたら、2連星のシレノスとシリウスや、周囲の惑星がどの様な目に合うか想像も出来ない。
ならば、その攻撃そのものを抑え込んだ上で、奴の攻撃力も包んだ形で奴自身に叩き込んでやろう。
という事で、僕は発射体勢のままでジリジリと奴の攻撃を待つ。
やがて、甲冑魚型『宇宙大怪獣』はエネルギーを溜め終わったのか、いきなり其の魚の様な大口を開けると、凄まじいエネルギー圧を持つ光線をその大口から、奔流の様に吐き出した!
その光線が放たれた瞬間に、此方の攻撃を叩き込む!
「喰らえ! 複合攻撃『フォーリング・ダウン(失墜する天)』!」
僕の叫びと共に『メタトロン』の内部にあるパイロット空間で、僕は両手を揃えて発剄を放つ要領で擬似的なエネルギーを放つ!
其の瞬間、宇宙空間では『メタトロン』の72枚もの羽根から、奔流の様な破壊エネルギーが放たれて、一気に敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』が吐いた光線を包み込む!
僕達『神機』部隊と敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』の間で、双方のエネルギーがぶつかりあったが、エネルギーは拡散せずに寧ろ収束して、信じ難い程のエネルギー玉に変化し始めた。
其処に向かって、其のエネルギー玉を僕達にぶつけるつもりなのだろう、敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』は再度内部にエネルギー圧が上昇し始めた!
だが、其れは此方の想定通りだ!
「今だ! シフト(位相差ジャンプ)!」
次の瞬間、ひたすら中心点で留まっていたエネルギー玉は、敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』の溜めているエネルギーの部分に目掛け、転送してやった!
何が起こったか判らなかったらしい、敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』は暫く沈黙していたが、突然その巨大過ぎる腹部の内部で大爆発を起こしたのか、一気に腹部が膨張すると内部から崩壊して行く。
恐らくは、始めての事態なのだろう、敵甲冑魚型『宇宙大怪獣』はもんどり打つ様に悶始め、七転八倒し始めた。