ラ・ベート 〜アレは本当に動物だったのか〜 作:川内かまぼこ
おなかがすいたかまきりくん。きれいなたんぽぽみつけたよ。きれいだなとみているよ。そこにちょうちょうがやってきて、はなのみつをちゅうちゅうちゅう。こら!たんぽぽをいじめるな!かまきりくんはちょうちょうをたべちゃった。
おかながすいたかまきりくん。きれいなあさがおをみつけたよ。きれいだなとみているよ。そこにみつばちがやってきて、はなのみつをはこびだす。ころ!あさがおをいじめるな!かまきりくんはみつばちをたべちゃった。
おなかがすいたかまきりくん。きれいなこちょうらんをみつけたよ。きれいだなとみているよ。そこにかがんぼやってきて、はなのみつをちゅうちゅうちゅう。こら!こちょうらんをいじめるな!かまきりくんはかがんぼをたべちゃった。
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日曜日の朝、休日は大学の講義もない。なのでいつもより長く眠れるが、自分は日曜日の朝だけはいつもより早く起きる。まずは、寝起きの一本。寝起きの頭にタバコの煙が最高にきまる。前まではベランダで吸っていたが、上の階の人にこの間怒られたので換気扇をつけながらキッチンで吸っている。吸っている間にケトルで沸かしたお湯にコーンポタージュの元を入れて溶かす。リビングのソファーに座って、コーンポタージュを啜りながらテレビの電源を入れる。女児向け日朝アニメを視聴するためだ。誤解のないように言っておくが、自分は決してロリコンではない。ただ、かわいい少女たちの日常をみて「がんばれ」って応援したくなるだけの一般的な感性の持ち主だ。1週間のうちにこれほど充実した朝はないだらう。
「ふー今日のニチアサも面白かった。心が癒される」
今日は何も予定がないから、久しぶりに家でゆっくりしようと思ったのも束の間。なにやら外がうるさいのに気がつく。
「なんであんたもついてくるのよ!」
「なんだよー。仲間はずれは良くないぞーイチゴちゃん」
「美鈴に気安く話しかけないで!」
「東風、近所迷惑になるだまれ。美鈴、今日もかわいいな」
「なんで俺だけ⁉︎」
なんか聞き覚えのある声がするが、おかしいな。自分は住んでいる場所をあの人たちに言った覚えはないんだけどな。なんて考えてる間にガチャリと玄関が空き、見知った3人がズカズカと勝手に入ってきた。
「おっす!スイカちゃん、ラーメン食べに行こうぜ!」
「スイカじゃないです。西瓜です。朝からラーメン屋なんて行きませんよ」
「ベートさま!おはようございます!新しい喫茶店が出来たので一緒に行きましょう!大丈夫です、ちゃんとヴィーガンに配慮したお店なので!」
「ベート様じゃない。西瓜です。だから、自分はヴィーガンじゃないって言ってるでしょ」
「那月ちゃんお邪魔するよ。これ、お土産持ってきたから」
「那月じゃないです。西瓜です。いや、那月でもあった。呼び方統一してくれませんか?」
東風先輩、庵さん、美鈴。なぜこの3人が今ここにいるんだ。というか、自分鍵閉めたよな。どうやって入ってきたんだこの人たち。
「ああ、住所はイチゴちゃんに聞いて、鍵もイチゴちゃんがあけてくれたよ。いやーこういう時役に立つな尾行とピッキング」
「愛の力!イチゴって呼ばないで、ベート様にも話しかけないで!」
いや、普通に犯罪なんだが。警察呼んでいいかな。
「那月ちゃん?紅茶とコーヒーどっちがいい?」
「庵さん、勝手にキッチン使わないでください。あと、紅茶がいいです」
「じゃあ、美鈴も紅茶で!」
「じゃあ、俺コーヒー!」
この人達、人の家で好き放題しすぎだろ。
「なにしにきたんですか」
「行列が出来るラーメン屋さんがあるから並びに行こうかと」
「なら、勝手に行けばいいじゃないですか。というか、並ぶのが目的なんですか?」
なら、某県の夢の国にでも行けよ。
「ベート様!そんなことより、私とデートしましょう!」
「だから、自分はラ・ベートじゃないって言ってるじゃないですか。ていうか、よく来れたね君」
「美鈴と呼んでください。たとえ、ベート様が本物のラ・ベート様じゃなくても、美鈴にとってはベート様がラ・ベート様です」
なんか、厄介なのに目をつけられたな。これが、いつもの通り男だったら対処できるのに。
「はい、那月ちゃん美鈴には紅茶。東風はお湯ね」
「あれ?俺コーヒーって言わなかったっけ」
「僕と同じなのが嫌だったから」
そう言って、庵さんは自分だけコーヒーを飲む。
「えーじゃあ、スイカちゃんミルクか砂糖ある?」
「西瓜です。お湯に溶かして飲むんですか?どっちもあいにくないです」
「嘘だね!スイカちゃん超甘党じゃん!ミルクはなくても砂糖は絶対にあるはずだ!」
「西瓜です。仕方ないからジャムでもだしますか」
とりあえず、せっかくの紅茶が冷めないうちにジャムと一緒に美味しくいただいた。先輩はジャムをお湯に溶かして飲んだ。いろいろわちゃわちゃあったが、とりあえずラーメンはまた今度並びに行くことになってしまい。それから美鈴は庵さんに強制的に家に送ってもらい、東風先輩はしばらくだべっていたが、飽きたのかいつの間にか消えていた。
「騒がしい人たちだった」
騒がしさのせいで気づかなかったが、だいぶお腹が空いていた。そういれば、朝ご飯もまともに食べていなかったのだ。今日は何を食べようか考えている時にちょうどチャイムがなる。また東風先輩が帰ってきたのかとモニターを確認すると東風先輩ではなく、そこには中年男性が立っていた。この中年、自分の部屋の真上に住んでいるのだが若い女性をターゲットにしていろいろ難癖をつけてくる事で有名である。自分はご近所付き合いをしていないので、女性だと思われているらしく何度か絡まれた経験がある。しかし、直接部屋に突撃してきたのは初めてだ。モニター越しでも、うるさいだの近所迷惑だの男を部屋に連れ込むあばづれだの叫んでいる。さすがに近所迷惑になるので部屋に入れることにした。ちょうど腹が減っていたところだ。扉を開けると男は何の躊躇もなく、ヅカヅカと部屋に上がり込んだ。余談だが、ハナカマキリは花に擬態するだけでなく、獲物が寄ってくるフェロモンを出すそうだ。脂っこいのは嫌いだが、まあ夕食を抜けばいいか。自分は扉を閉めて鍵をかける。
「カブリムシャムシャボリボリゴクン」
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おなかがすいたかまきりくん。きょうはきれいなおはなはみつからない。おかしいなあ、おはなをいじめるやつはたべたのに。かまきりくんはきづかない。おはながきれいさくのにはむしのちからがいることを。かまきりくんのゆめはいつかきれいなおはなになること。きょうもかまきりくんはおなかをすかせてどこへにいく。
『アレは本当に動物だったのか』
参考資料 とある絵本 一部抜粋
著者 不明
誤字脱字があればお教えください。