ラ・ベート 〜アレは本当に動物だったのか〜   作:川内かまぼこ

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めちゃくちゃ久しぶりです。


鬣犬の話

ボクは獣が好きだ。

ボクは肉食獣が好きだ。

ボクは圧倒的力を持った野獣に人間が食い殺される姿が好きだ。

ボクはひとの倍ほどの巨体の大型動物に人間をまるで虫ケラのようにあっけなく、踏み躙られる姿を観るのが大好きだ。

ボクは少数の人間が獣の群れから我先にと仲間を蹴落としながら一人ひとり数の暴力に蹂躙される姿が好きだ。

強さに驕った人間が不意を突かれて間抜けに食い殺される姿を観るのはたまらなく好きだ。

ひ弱な人間が迫り来る野生の脅威に晒されて絶望のまま喰われる姿がたまらなく好きだ。

超大型の肉食獣に一瞬のうちに首を引きちぎられた唖然とした顔つきで固まっている生首はどんな彫刻よりも美しい。

超小型の肉食獣の群れに生きながら体内を貪られる姿を見せられながら発せられる絶叫はどんな音楽よりも安らぎを与えてくれる。

海で、空で、森林で、山で、己の領域に引き摺り込んだ獲物を嬲る姿などどんな絵画よりも幻想的だ。

ボクは獣が好きだ。

ボクは獣に食い殺される人間を観るのが大好きだ。

 

******

 

「はぁ、はぁ、」

 

路地裏を走り抜け、人通りの多い場所へと向かっていた筈なのにいつのまにかあたりには人気がまったくなくなっている。巷を騒がせる連続猟奇殺人鬼“ラ・ベート”。まったく尻尾を出さなかったヤツが、数日前に突如としてその残り香を露わにした。突如現れたラ・ベートに繋がる最重要人物。その最重要人物を尾行している際に、まんまと路地裏に誘い込まれていたのだ。

 

「まるで狩られかけの獲物だな……」

 

肩で息をしながら一息つく。この体たらく、若い頃ならこんなミスはしなかったのだが。オレも歳をとったということか。

 

「ハイエナは死肉に集まるらしいけど、警察ってぇのはハイエナに似てんな。死体のあるところを嗅ぎつけて集まって来やがる」

 

ハッとする。いつの間にかアレが近づいている事に気がつかないとは、不覚をとった。また、あの不気味な嗤い声が聞こえてくるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ螻蛄ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ螻蛄ケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラケラ

 

「う、うああぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

******

 

いつものカフェテラスに設置されているテレビにて猟奇殺人事件のニュースが流れてきていた。

 

『・・・・・発見された死体は損傷が激しく身元の判明が遅れていましたが、事件現場周辺から発見された所持品から数日前から行方不明になっていた〇〇県警の柚子腹藤治警部であることが判明しました・・・』

 

そんなニュースを耳にしながら自分はいつものように東風先輩と無駄話に興じていた。

 

「ハイエナって可哀想だよな」

 

「なんでっすか」

 

珍しくテンションが低い状態で話をする。

 

「骨まで噛み砕ける顎と歯があるってだけで死肉を喰らう動物って悪いイメージになってんだから」

 

「まあ、理不尽ではありますよね。海外では骨までしゃぶり尽くすっていうのは意地汚いらしいですからね。軟骨の唐揚げも驚かれるそうですよ」

 

「軟骨唐揚げうまいんだけどね。でも、俺ならどうせ食べられるなら骨までしゃぶって欲しいけどね」

 

そう言って東風先輩はいつものように「ケタケタ」と笑った。




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