隣人トラブル系Vtuber 作:凛ちゃん
ピンポーン
「おう、テメェ! さっきのはどう言う……」
チャイムが鳴って、私は特に何かを考えることなくドアを開けた。
そんな余裕なんてなかったし、ただの反射だった。
強面の男の人いた、多分隣人だと思う。
今の私は凛ちゃんじゃない。
怖い。
何で私はあんなバカなことをしたんだろうか?
「ごめんなさい!!」
私は、勢いよく頭を下げた。
とにかく謝るぐらいしか選択肢が思い浮かばなかった。
だって、どう考えても私が悪いし、今の私に凛ちゃんのような勇気なんてないから。
隣人はしばらく固まっていた。
虚をつかれたような顔をしていた。
もしかしたら、さっきとキャラが違いすぎて驚いているのかもしれない。
さっきの私はVtuberの凛ちゃんで、今の私はただの私だから、
昔からよく言われる。
私の欠点なんだ。
キャラにのめり込みすぎる。
もともと私は声優を目指していたんだ。
そのせいで、ダメだったけど。
「あー、神ライブの凛ちゃんネルさんでいいんだよな?」
「……はい」
「何でこんなとこ住んでんだ?」
え?
彼は怒ってはいないみたいだった。
そういえば、さっきも大きい声で驚いたが声に怒気なんてなかったし怖い顔もしてなかったような気がする。
いい人ってことはないんだろうかど、悪い人でもなさそうで少し安心した。
だって、男の人に怒鳴られるのなんて怖いし、それに私のことバレちゃったから。
でも、質問の意図がわからない。
何でって、
「何不思議そうな顔してるんだ?」
「金は稼いでんだろ、こんなボロくて防音死んでるとこ住んでたら今日は大丈夫だったとしてもどの道問題になってただろ」
ああ、そう言うことか。
それは不思議かもしれない、私だって神ライブに受かった時はもうこういうせいかつから抜け出せると思ってたから。
でも、
「私、お金持ってないので」
「ほう?」
「凛ちゃんは稼いでるけど、凛ちゃんは私だけのものじゃないから」
当然といえば当然だ。
私は初配信の前から数万人の登録者がいたし、デビューしてすぐ何十万と登録者のいる先輩とコラボできた。
そうやって創られたのが凛ちゃんっていうVtuberだ。
だから、大したお金をもらえなくても仕方ないんだ。
「そりゃ……いや、そう言うもんか」
不思議な感じがする。
さっきまで怖くて体が震えてたのに、いつの間にか彼と話してる間に止まった。
さっき隣の部屋から怒鳴ってきた人とどうも重ならない。
改めて見るとどこか見覚えのある顔のような気がして、
え?
「これヒトさん?」
「俺のこと知ってるのか、今をときめく神ライブのライバーさんにまで知れ渡ってるとは光栄だな」
「もっとも、酷い悪評ばかりだろうけどな」