原作勢もアニメ勢もこぞってどーぞ、お楽しみくださいませ。
夢を見ていた。
大抵の人間というのは、夢の中での記憶と、幼少期の記憶は、覚えていないらしい。ふわふわとしていて、何でもできるような気さえもしてくるといったところでは共通点のあるこの2つの記憶は、やはり僕も漏れ無く覚えていない。現実はいつも、どうでもいいことや、覚えたくもないことを覚えることを強要してくる。
遠足の記憶と、僕の机に転がる英単語の数々の記憶は、一体どちらが「たいせつ」なのだろうか。ともかく、僕は夢を見ていた。将来がどうこうとかそういう夢では無い。睡眠中に、無意識下の中で見ることができる。できてしまう。そんな夢。
先程の言葉をすぐに撤回するようで申し訳ないが、この夢の中で見た光景だけははっきりと覚えている。
なんてったって忘れもしない。僕と忍が、否、不良の高校生と、キスショット・アセロラリオン・ハートアンダーブレードが出逢った、かの地であったのだから。
001
周囲の風景も、僕が立つこの位置も、心の底から湧き上がってくる本能的な危機感と恐怖も、全てそのままに、完全再現と言っても差し支えないほどに、完成された夢だった。唯一の相違点をあげるとするのならば、僕の前横たわる女性の姿は、何よりも美しい金髪の女性ではなかった。
それだけだ、違ったというところしか思い出すことができない。それ以外は自分でも衝撃的なほどに鮮明に思い出すことができるというのに、それだけはどうも思い起こすことができない。かろうじて、髪色は白色であったがゆえに、辺りの街頭の光を反射し、暗がりの中で、正体不明の彼女が、際立って見えたことだけである。
「人間さん。私を助けてみませんか。」
002
いつかの吸血鬼とは、物腰変わって柔らかに、彼女は僕に口を開いた。
容姿は明らかに人のそれではない。ねじれた角に、堕天使を思わせる黒い翼。
しっぽなんかは生えちゃいなかったが、天使と悪魔のハーフなんかをちょっぴりでも思った僕は厨二病なのかもしれない。
僕はこの先を知っている。
彼女が吸血鬼なのかどうかは、知らないが。それでも僕は、この先の未来が、しっかりと見えていた。想像できていた。
これはターニング・ポイントだ。引き返すことができる場所。これ以降は戻ることのかなわない場所。誰かを救うことで、命を擲とうとした場所。
すべてを知った上で僕は、いますべきことを決めた。
「命とは等価交換です。何かを失わなければ、得ることはできません。
「そしてあなたが失う側であって、私が生命を得るのです。
「それでもあなたは、その命を明け渡すつもりですか?」
ああ、それでいい。
「結局僕は、どこまでも僕なんだよ。
「人はそうやって成長した気になって、同じことを繰り返すんだ。」
誰がどうなっていようと、目の前の女の子を守るためなら僕の命なんぞくれてやる。もちろん男だったとしてもだ。多分。
「やはり愚かしくって、素晴らしいですね。あなた達は。」
003
それから僕は起床した。これも僕の断片的な記憶をなんとかつなぎ合わせて再生したビジョンに過ぎないわけであって、これが正しいやり取りや、状態であったかは、わからない。わけも分からず僕は人を助けていたわけだ。
いやしかし、あれを人と呼んでいいものなのか?
こういうことは、羽川にでも聞いてみるのが得策だろう。羽川との会話のきっかけを一つ用意できた僕は、いつもよりも早くとっとと支度を済ませれば、足早に学校へと向かう。
いつもと違う行動は、異常を起こしやすい。遅刻ギリギリなんかもありうるような僕が、始業15分前には学校につくかもしれない。だなんて言うことは到底怒るものではない。今度に僕が出逢うのは、怪異なんかではなく、人間の誰もが引き起こせる恐怖。
特に僕の年代とそれが愛用する道具にありがちなそれ。
そう、未遂ではあれども僕は事故を招いてしまった。正確には招きかけてしまっただろうか。長い白い髪を揺らす同年代とおもわれる少女とぶつかりかけたのだ。
「ッぶねえ!、大丈夫か!?」
彼女も機器察知していたようで、驚いて尻もちをついた程度で怪我も無いようだ。ほっと安心しながらも、心配もあるので声をかけようと近づいたとき。
「危ないじゃないですか、阿良々木先輩。」
どこかで聞いたような声で、扇ちゃんとはまるで正反対のような見た目の彼女は僕の名前を口にした。
タイトルの字は誤字ではないのよん、あえてね。
ほんへの訂正推奨点などありましたらお寄せいただけるとありがたいです。
私なりの解釈と、曖昧記憶で制作されるためご注意を。
つづきますよ!続編は気長に待ってくださいね