フキに想いを伝えたい!   作:猫又侍

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リコリコを視聴し終え、フキ推しの民と化してノリで書いた物です……悔いはない


file0.出会い

 彼女──春川フキとの出会いは太陽の暑さが以前にも増し、汗がとめどなく流れてくる様な夏のある日。

 

 その日は上からの依頼をサボり、両親の墓参りをしに炎天下の中歩いて墓地へと向かっていた帰りのことだった。

 

 俺がまだ物心が着く前に両親が亡くなり、莫大な借金を作っていたことが判明した。当然借金を作る様な人間の子供を助けるなんてお人好しな人は居らず、俺は両親の唯一の親族としてある男が組織する……所謂裏の仕事の世界に放り投げられた。

 

 勿論、裏の世界なんてものを知らなかった当時の俺は何度も死にかけていた。まだ幼い子供にも容赦なく浴びせられる罵声や暴力。しかし、決して使い物にならないようその一歩手前で止める。

 

「お前達に人権はない、人を殺す事を躊躇うな。ただ殺せ、慈悲を持たず、ただ殺せ」

 

 それが俺を拾った男が口にしていた言葉だった。

 

 それから十数年の月日が経ち、男の組織が潰れた。

 

 俺は混乱に紛れ組織から脱出した。しかし、外の世界に俺という存在は居なかった。俺が拾われた後に死んだことにされ、俺は俺ではなくなっていた。

 

 俺は偽の戸籍を作り、平和の象徴とされる旧電波塔の近くに小さな駄菓子屋兼何でも屋を構えることに決めた。

 

 その日の依頼は何やら怪しげな取引現場の護衛。

 

 怪しさ満点だが、仕事をこなさなければコチラも食ってはいけない。ただ、その日はなんとなくサボってやろうと思った。

 

「ふぅ……今頃どうなってんだろう」

 

 空に浮かぶ入道雲を眺めながら、今頃取引をしている依頼人の事を考える。

 

 依頼料は後払い。依頼人はかなり用心深い様で、いくら実績があっても信用しないと聞く。少し前に共に仕事をしたいつも無口な男がそう言っていた。

 

 しばらくタバコを片手に黄昏たのちに、携帯が着信音を鳴らしながらぶるぶると震える。

 

 携帯を手に取ると、予想通り依頼人からの着信だった。

 

「もしもし」

『貴様! 今どこにいるんだ!』

「どこって……今そっちに向ってる感じですね」

『取引きの時間は教えたはずだぞ! 何をしているんだ!』

「そんなに慌てる事でもないでしょう? 俺以外にもボディーガード雇ってるらしいですし」

『そんなもの、全員やられた!』

「はぁ……そこから動かないで下さい」

 

 切ろうとする直前も電話越しで何かを叫んでいたが、気にせず通話を切る。

 

 依頼人は俺以外にも、六人ほど屈強なボディーガードを雇っていた。その六人が既に殺されている。

 

 つまり、ここで依頼人を守れば報酬額アップ待ったなし。

 

 早速近くに止めていたバイクに乗り、依頼人の指定していた取引現場へ向かった。

 

 ****

 

「うへぇ……これは凄い」

 

 取引現場へと辿り着いたときには、既に依頼人やその取引相手、更にはボディーガードば殺されていた。

 

 全員射殺、しかも多方向から撃たれている事を見るに複数人にやられたのだろう。

 

 依頼人が殺されたとなれば当然依頼は失敗。報酬も払われずただの働き損になってしまう……そもそも働いてないが。

 

「それにしてもだれがこんな……」

「動くな」

「っ……!」

 

 依頼人の遺体を確認していると、気配もなく後ろに人が現れた。声からして女性……しかも、声はまだ幼い。すぐさま反撃をすることもできるがおそらく振り向いた瞬間、俺の頭に風穴が開くだろう。

 

 この場に居ると言うことはつまり、ボディーガードと依頼人を殺したのは今後ろに立っている人物。いや、一人ではない。

 

 複数人の気配を感じながらも、両手を挙げ降参の意を示す。これで辞めてくれると嬉しいがその望みは薄い。後ろにいる人物達からすればここにきたと言うことは、この取引に関わっていると断定されている。

 

 むしろ、ここで撃たれていないと言うのが奇跡だと言えよう。

 

「お前は何者だ?」

「ただの何でも屋だ……と言って信じてもらえるのか?」

「信じられねぇな。もしそうだとしても、ここに来たってことは取引をさせるつもりだったってことだろ?」

「否定はできない」

「取引きされた銃はどこへやった?」

「俺は今来たばかりだ、知ってると思うか?」

「さぁ、どうだかな」

 

 信じてもらえないとは思うし、おそらくここで俺もころされるだろう。どうせ両親が亡くなった時点で死んでいたはずの命だ、逆によす十年以上持ったといえよう。

 

「最後に言い残すことはないだろうな」

「ないって決めつけられるのは悲しいけどないね」

「じゃあここで死……いや、待て」

 

 目を瞑り、全てを悟った瞬間背後の殺気が緩む。

 

 今なら、背後の人物を人質にとれるが俺はそんな事をしてまで生きたいと願っている訳ではない。

 

 しばらく背後の人物が何かを話していたがうまく会話は聞こえない。途中、リリベルだとかリコリスだとか言う聞きなれない単語が聞こえて来たがおそらく一般人には分からない隠語の類。考えるだけ無駄だ。

 

 それから五分もしないうちに、背後からインカムが飛んでくる。

 

「コレは?」

「あたし達の司令がお前と話したいんだとさ」

「……もしもし」

『聴こえているな? 私は楠木、そこにいるもの達の指揮官だ』

「あ、綾木悠(あやぎゆう)です」

 

 インカム越しに聴こえて来たのは、女性の声。しかし、後ろの人物達とは違い大人。しかも、指揮官だという。

 

『お前は何でも屋らしいな』

「まぁ、一応は」

『ほかに何かをやっているのか?』

「表では小さく駄菓子屋をやってます、まぁ客足はボチボチですけど」

 

 最近では大型のショッピングモールが近くに建設され、ここ数年は客足は遠のく一方。それでも経営できているのは、何でも屋として活動資金を貯めているからだ。

 

 しかし、今回はその依頼は失敗。

 

 店へのダメージも小さくはない。

 

 そろそろ、店を畳むのも一つの手だと考えている。

 

 どうせあの男のせいで裏の世界には完全に浸かりきっている。偽の戸籍である以上、普通に就職できてもバレればただではおかない。

 

「俺になんの用です? まさか、ここで見逃したりしてくれるんですかね?」

『いや、残念だがそれは出来ない。ただし、生かす事は出来る』

「その口振りだと、俺に拒否権は無さそうですけど?」

『拒否権はある。しかし、拒否すればその頭に風穴が開くだけだ』

「それを拒否権がないと言うのでは?」

『そうとも言えるな』

 

 もしかしたら、楠木さんはアホなのかもしれない。

 

 いや、アホなら指揮官なんて任せられていないか。

 

「それで、拒否権のない俺に何をさせたいんです?」

『お前には私達DAの……いや、リコリスの情報屋として活動してもらう』

「情報屋? なんでまたそんな」

『少しばかり人手不足でな。それに、お前のような裏の世界に面識がある人材はありがたい』

「つまり、犯罪者の情報をかき集めたり犯罪を犯そうとする依頼人を報告するって認識でいいんですか?」

『そう認識して貰っても構わない。もし、我々の提案を受け入れるのならお前の営む駄菓子屋のバックアップを約束しよう』

 

 なんて美味しい話なのだろう。

 

 だが、それと同時に大きな危険を孕んでいるのも確かだ。

 

 もし、俺が依頼人の情報をこのDAとか言う組織に流しているとバレれば俺は確実に殺される。運が良くても死ぬ一歩手前まではやられる。

 

 それでも、この人達の下につけば駄菓子屋を続けていくことができる。

 

「……分かりました、情報屋として働かせて貰います」

『懸命な判断、感謝する。これからよろしく頼むぞ綾木。詳しい話はその場にいる赤い制服のファーストに聞くと良い』

「赤い制服──」

 

 立ち上がり、後ろに振り向く。

 

 ーーJKだった。いや、正確にはJKではないのかもしれない。しかし、その身なりはどう見てもまだ成人もしていないような女子高生達が居た。しかも全員。制服の色の違いはあれど、女子高生位には変わりない。

 

「楠木さん、リコリスってまさかこの子達の事じゃないですよね?」

『いや、お前が見ているものは事実だ』

「まさか女子高生とは……」

 

 余りの出来事に頭が混乱していると、楠木さんの言う赤い制服を来た一人の少女がすぐ側になっていた。

 

「春川フキだ、よろしく」

「ああ、俺は綾木悠で……」

「? どうした?」

 

 フキと名乗る少女を数秒眺める。

 

 思考が止まる、自分でも何が起きているのか理解していない。

 

 彼女を見た瞬間、胸に感じたことのない衝撃が走った。

 

 病気の類ではない、撃たれたわけでもない。

 

 つまりコレは──

 

「フキさん、好きです。付き合ってください!」

「……は?」

 

 ここから、俺と彼女の恋が始まる──訳ではなかった。

 

「普通に嫌だよ」

「え?」




モチベがあれば次回もあります

どうしましょ

  • フキ視点も欲しい
  • オリ主視点だけで十分
  • それよりもっとイチャコラさせろ
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