ダンまち ベル・クラネル超英雄化計画   作:膝に矢うけたった

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とりあえず、プロローグ部分だけ終わらせるために投稿しまっす。
そこかしこに何とのクロスオーバーがメインなのかを示すものがまぎれるので是非予想してみてください。


プロローグ 後篇

 ここに一人の少年がいる。彼の名前はコトシロ・峰一(みねいち)、極東人らしい顔立ちで雑に切り揃えた赤みがかった黒髪を持つ少年だ。ロキ・ファミリアに所属する、LV5冒険者である。彼は絶賛困惑中であった。

 

(おいおい、マジでどうすんだよ。アイズイベ通らないと憧憬一途発現しねーじゃん。何、この世界詰みなん? ベルが英雄になれずに詰み決定なん?)

 

 そう、彼は転生者なのである。それ故に、正史におけるアイズがベルを助けるイベントの発生を期待していたのだが、気付けば謎の狐人がその役目をかっさらっていってしまった。

 

(てか、アレ、絶対転生者だろ。俺に気付いてて無視してたぞ)

 

 彼はベルがミノタウロスに襲われている場面で、アイズイベントを見届けるために気配を消して見守っていた。最悪、アイズが間に合わなければ助けに入るつもりではあったが、アイズが間に合いそうで一安心と思った矢先の出来事であった。

 しかも、相手はこちらに完全に気付いていたようで、あえて無視している節があった。この場面に本来いないはずの人物を無視するとなれば、彼と同じ『原作知識持ち』の『転生者』しかいないだろう。

 

(的確にロキに相談できない件で問題起こすのやめろよ、マジで。これなら調子にのった転生者が暴れてますとかの方が何倍もマシだっての!)

 

 彼は自分が転生者であることと、転生特典という能力を所有していることを、主神であるロキにだけは話している。神には嘘が通じないし、とある事件の経験から協力者が必要だと思ったからだ。原作知識に関しては一切話していないので、今回の件はまさに相談できないことに当てはまる。

 

(あの野郎、どこのファミリアだ! でも、あれだけ強い冒険者なのに見た記憶もないんだよなぁ……)

 

「峰一、聞いてるかい?」

 

 考えに耽っていた少年の少し下くらいから、幼さの残る声が響く。その声は僅かに怒気を孕んでいるようで、少年も一気に意識がそちらに向いた。視線を僅かに下に向けると。そこには呆れた表情をした少年が立っていた。

 金色の髪に軽装の鎧、自身の身長よりも長い槍を持った少年、彼はフィン・ディムナ、峰一の所属する派閥の団長である。

 

「あ、すんません。聞いてませんでした。団長、何かありました?」

 

 フィンは取り繕うことすらしない彼の反応に、大きなため息を吐くことしかできなかった。

 

「五十階層で君の能力を使ったからね。身体の調子は大丈夫かと思ってね。君の能力は身体に異常ともいえる負担をかける。今後のためにも君の体調管理は必須だろ?」

 

 何らかの理由で身体に大きな負担をかけたことを心配して、その確認をしていたようだ。実際に彼は、五十階層において四肢の骨が砕け、鼻や目、口から大量の血液を流す状態になっていた。

 

「いや、もう大丈夫です。エリクサーだけで意外となんとかなるもんですね」

 

 などと言いながら本人は軽く笑うが、それを見せられる周りは堪ったものではない。身体が付いていけないほどに強大な力を発揮するスキル、派閥の方針としてはできるだけそれは使わせないことにしている。

 それこそ、この能力を発動すれば、LV6のフィンですら彼には手も足も出なくなる。同様に高い戦闘力を発揮するスキルを持つ団員は他にもいるが、そちらは条件が存在している。だが、峰一のスキルには条件がなく、いつでも発動可能なのだ。

 

(んな、渋い顔されてもなぁ。鬼滅の縁壱(よりいち)の能力とか、身体が付いてくわけないじゃん……。だからしゃーないやん)

 

 彼はこの世界に転生する時、転生特典とも言える一つの能力を得た。『鬼滅の刃の継国(つぎくに)縁壱の能力』である。ただし、得たのは能力だけ、肉体はこの世界の一般人として生まれた。縁壱のような力も速度も出せるが、そんなことをすれば一般人の肉体など簡単に砕けてしまう。それでもLV5まで上がったことで、それなりに使える能力の上限は上がったのだが、全力にはまだほど遠い。

 

(それに、明らかに『日の呼吸』が適正呼吸じゃないんだよなぁ……)

 

 使えないこともないが、使っていると少し息苦しさがある。使えるが、使いこなすことはできそうにない。得たのは本当に能力だけだったのだ。

 

 ――黒竜とか無理だな。原作主人公に任せよう。まぁ、できるだけフォローはするけどな。

 

 これが彼の出した結論であった。だが、その原作主人公であるベル・クラネルはアイズイベントを回避してしまった。

 

「まぁ、あれですよ。本当にやばい時以外は命までは捨てないんで安心してください。だから、俺の命の使いどころ、ちゃんと考えてくださいね、団長」

 

「厄介な役目を押し付けてくれるね。まったく、アイズの問題行動がマシになったかと思えば、今度は君とは、ほんと、うちは問題児には恵まれているようだ」

 

 彼の言葉にフィンは皮肉で返す。この二人、実はかなり仲がいい。頻繁に模擬戦をしたり、一緒に食事をしたりする。某アマゾネスが嫉妬するくらいには仲がいい。

 元々は原作知識を活用して、フィンの考えを少しマイルドにしようという思惑だったのだが、そこは早々に諦めて、普通に模擬戦を楽しむようになった。ちょっとした悪友のような関係になっている。家に代々伝わっていたという設定で、『ナイツオブフィアナ』で明かされた設定をアレンジした話を聞かせる程には心を許している。命の使いどころを任せるというのは彼なりの信頼の証なのである。

 フィンにとっても、自分の目的を肯定も否定もせず、ただ考えるだけという彼のスタンスは気に入っていた。フィンは『小人族(パルゥム)』という、背が小さく他から侮られている種族だ。かつて冒険者になったばかりの頃は、自分の願いなど嘲笑う者が大半だった。LV6にまでなった今ではその真逆で二つ名である『勇者』と呼び称えられている。

 そんな中、彼の言葉にどうすべきか、何が必要かをただ考える峰一のスタンスは好ましいものだった。時に眩しく思うこともあるが、それでも立場を超えた友情を抱く程だ。

 

(信頼の証のつもりなんだろうね。隠し事は多そうだけど)

 

 内心でそんなことを考えながら、彼らはダンジョンの外に向けて歩みを進める。今回発生したいくつかの『異常』をギルドに報告する義務もあるので、出てすぐに帰宅といかないのは辛いところだが、久々の日の光である。嬉しくないはずもない。

 

 

 

 

 

 彼女が最後に感じたのは自身の身体を焼き尽くす巨大な熱だった。その瞬間、自分が死ぬのだと理解できた。死の瞬間に考えたのは、特に何もなく、ただ、終わる瞬間をそのまま受け入れただけである。

 だが、気付けば彼女は真っ白な空間にいた。周囲には人魂のようなものが七つ浮いている。先ほど死んだはずの自分が何故ここにいるのか、疑問の答えはすぐにわかった。

 

 ――君達にはこれから『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』の世界に転生してもらう。君たちの前には所謂転生特典ってやつが並んでいると思う。それを持って、転生して好きに生きるといい。

 

 それがこの場所の答えである。前方に視線を向ければそこにあったのは輝く球体、周囲の人魂のようなものは、人魂そのもの、おそらく自身も人魂の姿なのだろうと彼女は理解できた。

 その人魂の一つが、一つの球体目がけて進んでいく。球体は見ただけで、それがどんな転生特典なのかわかってしまう。最初の人魂が向かう先にあるのは『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)(中身入り)』である。一昔前の異世界転生二次創作の定番とも言える能力だ。

 

『ニエちゃんは異世界転生したら何したい?』

 

 かつて聞いたオタク友達のそんな言葉がふと頭をよぎった。彼女はその時、自分は何と答えたか、思い出そうとしている。その間にも次々と人魂は特典を得て消えていった。

 

『え、転生とか読むのはいいけど、自分がするのはちょっと……、ないなぁ』

 

 彼女は死後は死後ですっぱり人生を終えたいと考えていた。そうして、最後に残された彼女と一つの球体、だが彼女は動かない。このままここにいれば終われるのではないかと思ったからだ。

 

 ――君は行かないのかい? 人生なんてどこにチャンスが転がっているかわからないんだ。折角のチャンス、もう一回の人生を生きてみようとは思わないかい?

 

 先ほどの声が彼女に語り掛けてくるが、彼女はその周囲を動き回るばかりで、球体には近づこうとしない。最後に残された球体は『幸運』の能力、かの原作では主人公が取得したレア発展アビリティと同じ名称だ。原作を知っていれば転生特典としてはハズレと思うだろうが、彼女は純粋に転生したくないだけである。

 

 ――いやいや、転生しろよ。僕がわざわざここまでお膳立てしたんだぜ? いや、正確には僕ではないかもしれないけど、とにかく早く行けよ。

 

 神の声(仮)も彼女の態度には少し焦れているようだ。

 

 ――終わりたいと思っているなら、逆に行ってみるのもありかもしれないよ。何か面白いことが見つかるかもしれないぜ。人生ってのは■■■■みたいに、ままならないもんだからね

 

 言葉が一部聞こえなかったが、彼女にも言いたいことは何となく伝わった。逆に考えるというのは、何故か惹かれる言葉だ。自分と同姓同名の漫画キャラもその言葉とは無関係ではなかったし、と思って彼女は球体に向けて動き出す。

 だが、いざ球体の目の前まできて止まってしまう。やっぱり転生したくないなぁというのが本音だ。

 

 ――逆に考えるんじゃなかったのかよ……。

 

 神の声(仮)にそこまで言われたら、逆に行かない方がいいのではと思えてしまい、後ろに下がろうとして……。

 

 ――さっさと行けっ!

 

 無理やり謎の力で押し出された。

 

 かくして、彼女はダンまちの世界に転生することになった。彼女が次に目を開けた時に見たのは豪華な日本家屋室内と、嬉しそうに笑う狐耳の生えた両親の姿であった。

 




たぶん、わかる人にはわかる、メインクロス相手。
転生者はこんな感じで転生しましたってことで、前回がベルサイド、今回が転生者サイドでプロローグとなります。
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