……待て待て、落ち着こう。
時間も無さそうだし一応助けるとする。ただ、様々な戦場での経験上、囮作戦である可能性も捨てきれない。
シャケにあまり仲間意識は無いが、弱った
故に、鉄球を投げる。救済対象の奴も潰れたら不運だったと受け入れてもらおう。
「ロックオン…………」
目を細め、鉄球を握る手を大きく後ろに引く。
そして一瞬に爆発的な力を込め、自らの腕のみで大砲以上の破壊力を生み出し発射する…ッ……!
例の商会のヘリをも数回撃ち落としているこの腕前により、見事に襲おうとしていたシャケ数体を貫き破裂させることができた。ざっとこんなもんよ。
………突如消し飛んだシャケの残骸を一目見て、その原因である俺の方向を見るイカ。
余程俺の姿が恐ろしかったのか、奴は蛇に睨まれた蛙の様にブルブルと震えて動かない。腰が抜けたらしい。
……そんな体たらくでは、このアルバイターはこの先どうせ生き延びることはできないだろう。
俺が見た事があるバイターは大きく分けて三種類。
ひとつ、社会に適合できなかったせいでシャケ殺し以外の仕事ができないポンコツが仕方なくやっている無駄に強い奴ら。大体カスなので殺しても心は痛まない。
ふたつ、殺しの感覚を手軽に味わいたい奴や、金のためなら殺しをしてもなんとも思わない奴などの、シャケ殺しを自らやるイカれた奴ら。ただし驕っている事が多いので殺すのは社不より簡単。
みっつ、身近な"誰か"に誘われこちら側へ身を落としてしまった善人やルーキー。クマサンが怖かったりして、やめられないままズルズル続けると真っ当に強くなる奴ら。殺すと罪悪感が多少生まれるので進んで殺したくはない。搦め手や仲間内の足の引っ張り合い、攪乱にバカみたいに弱い。
おそらく目の前に居るイカは三番。
さぞ怖かっただろう。
現在進行形で恐怖の対象になっているのは俺だが、俺以外なら死んでいただろう。特にガールは、同じイカだと安堵したら強姦され、そのまま置き去りにされ証拠隠滅…なんてのも聞いた事がある。
…ここはイカタコにとっての治外法権だ。そんなこともあるのだろう。だが、それはこの世界の住民たちの常識でもある。部外者がとやかく言うべきでは無いのだろう。
…さて。現状確認はこれくらいにして……
この近くでイカ共の居る陸地はどこだろうか。
「…ミッ…!?ミィ"ィ"イ"イ"イ"イ"イ"ッ"!!!」
…あっ。
………あのイカがモグラに食われた。
だから集中力を欠いたら駄目なんだよな。
…まぁなってしまったものは仕方ない。
通常、イカは"デス"するとタマシイという物理的な干渉が不可能な思念体となり、リスポーンすることができる器械へ戻り体を取り戻す。
だが、それは電源が入った状態のリスポーンの圏内に居る場合の話。
試してみたのだが、俺の指揮の下シャケナダムのコンテナ付近のリスポーンマークを掘り起こしてみたところ謎の強力な電波を発する立方体が埋まっていた。
そして鉄球でぶん殴って壊してからWAVEが終了した……と思ったが、不思議と100秒を超えても帰りたくならない。
つまり判明したのはあの機械がシャケの発生数をコントロールできるという事。尚その時に俺が破壊したせいでリス地付近に強力な電磁網が追加された。(俺ならそこらへんにあるコンクリ片で殴れば壊せるので問題はない)
因みにこの事件による成果のお陰で俺は昇進し今の立場になったのだが、それも関係無い。
それはともかく。
折角俺が労力を使い助けてやったというのに食らいやがったモグラは許さん。
……ただ、モグラの口からぽろりとこぼれ落ちた、通常死ねば本体と共に溶ける筈の肘から先の腕が残っている事から、まだ腹の中で生きてはいるのだろう。
……………はぁ……無駄な手間を……
「ん"ん"〜?おォや!良〜い感じに昇進してるクズシ君じゃアないかァ!!」
あぁもう、見るからにウザい奴だ。大して強くもないくせにいきがるなよ。戦力差も理解できない馬鹿なシャケは身の程を弁えて死んでほしい。切実に。
しかもお前モグラの中でも遅いだろ。
別職にマウントを取るなんて惨めにも程がある。
…つか無駄に体躯がでかいなこいつ。
そこそこ本気で殴らないとじゃねえかよ面倒だな。
「折ェッ角弱らせた獲物を横取りされた気分はどうだァ?勝ったなァ、俺がァ。ギギャハハハ!」
誰だお前。マジで知らない。
「……なんだァ?こ・の!スーパーパーフェクトハイパー…強靭…なゴルン様にィ?寄ってくるのかァ?逃げずに寄ってくるのかァ?」
「あぁ、そうだな」
「ほォん?ならば現実を見せてやろう!ハッ!」
…もうなんかムカついたから腹のイカとかどうでもいいから普通に殺しても良いかな、こいつ。
周りに他のシャケは……居ない。
余程自信があるのか、それか…………
いや、どうせ死ぬし意味ないな。うん。
…で、こいつは今モグラの利点を活かし地面に潜った訳だが……何がしたいのだろうか。顔を地表に出しながら泳いだら強みが台無しじゃないか。
「どうだァ?テッキュウである貴様なんぞには追いつけもしないだろう?どうだ?どうだァ?」
……あぁ、煽ってるのか。
別にテッキュウが遅いなんて統計も無いだろうに良く言えるな。いや俊敏なテッキュウは確かに想像できない。確かに。
………普通なら。
「俺様の勝ちだ……な……あ?…………へ?」
「……速いテッキュウも居るんだぞ?」
……パキッ。
瞬間的に近寄りモグラの頭部を掴み、強めに握る。背後から頭部を捕まれ怯んだシャケを見てさらに力を込めると、ミシミシと音が鳴る。
どうせつまらない、使えない命。
所詮モグラ。アルバイターにカモ扱いされているのも知らず自分がエリートだと高を括っている能無し。救いようの無い脳筋。
……うん、死んでも問題無い。
「痛ィ……ッ…!い…た"…いィ……!!」
「…………お前が羨ましいよ。」
グシャッと少しグロい音が鳴る。
………我ながら、慣れたものだ。
少しも動揺していない。
心身共に化け物になった事を自覚する。
……今更すぎる、かな。
こいつは『鉄球を投げるくらいの腕力があるならその力で握り殺されるかも』とは考えなかったのだろうか。
……テッキュウは戦闘方法を鉄球投擲に頼っているという先入観、それと…テッキュウは基本温厚な奴しか居ないという常識に囚われていたのが敗因か。それもやはり仕方ない事だけど。
こいつみたいな頭だったらどんなに楽になれたことか。
「は。」
さっき投げた鉄球は………あった。あれか。
鉄球を使ってモグラの喉辺りを叩き潰していき、ゲソが見えた時点で鉄球を側に置いて直接両手を食道に突っ込んで無理矢理こじ開ける。
胃液らしき黃緑色の液体と共に流れ出てきたのは、光の無い目をし、涙を含めた色々な物で塗れているイカと、既に消化し終えかけていたイカの骨らしき棒の塊。このモグラは何匹もイカを食ったことがあると考えられる。
シャケの胃液が強いのは知っているが、骨まで溶かす程とは知らなかった。意思がある状態で食われた生体の方のイカの心情が察せられる。
……光の無い目がこちらへ力なく向けられる。
するとじわりじわり、目と股間から液体が流れ出し、全てに絶望した様な、何かに訴える様なかすれた泣き声と共に身をよがらせ、突然静かになった。
『……死にたくないか?』
問う。きっと言語は伝わらないだろう。
…反応は無い。
こちらに向ける視線に変化も無い。
何もできない程にまで衰弱したのだろうか。ならばかなり危ない状態と見える。
近寄り抱えようとしてみれば、痛みに堪えるために歯を食いしばり、顎を引く姿が目に入る。
………俺のこの姿じゃあ…当たり前だけれど。
陸地は…東側。
ジャンプでは流石に届かないため、何かに乗る必要がある。……インクリングという生物は面倒だ。水が天敵とか生物を舐めている。
廃材を使って簡易的な
時間がないというのに………………
バババババババババババババ………
「──────ッ……!!!!」
この傷跡だらけの平たい手のヒレでできるだけ優しく抱え上げ、一本の弾力性のある尾で跳び、なるべくヘリから近い広場に横たわらせて急いで海中に戻る。
「……これで大丈夫だろう…」
後はもう知らん。
なるべく見つけやすく拾いやすい位置に置いたがもうどうなろうと知らん。
というか俺も戻らなければならないのだ。
…とりあえず、俺が折角助けたのだからもうバイトには来ないでほしい。
命あっての金・人生。
まぁ……今回の件は相当なトラウマになっただろう。次に万全の状態で出会った時は全力で殺さねば、隊長としての立つ瀬が無くなる。
殺さなければならなくなる。
だから、もう来ないでほしい。
あのイカが死んでも、俺はすぐに忘れて日常を謳歌するだろう、というのは分かっている。人であろうとしても人の心はもう殆ど消えている。
同胞が死んでも、元の同胞が死んでも。
俺は悲しんでいられない。
飯が食えない時。眠れなかった時。戦えない時。
そんなものの悲しさにかき消されて、死んだ仲間の顔も覚えていられない。
それでも綺麗事を語る。
それが人間としての最後の砦なのだ。
………さ、用事は済んだ。
シャケって本能で動いてて、理性とか無さそうだよね。いやまぁ少しはあるんだろうけどそれでも微小っぽいよね。なので用意したのがこちらになります。(暗黒微笑)
強き者に倒される事を夢見て戦うのが公式設定ってどうしたんですか任天堂さん……?
…元から任天堂さんはこうでしたわ。いっけね。
コウヒョウカ…コウヒョウカ…(思念体)
正直、このシャケに転生してみたいと思う?
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イグザクトリー(その通りでございます)
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ンンンンンヌォッッット(ねっとり)
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どっちでもええやんかぁ!!!!(迫真)
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ふふ……その…下品なんですが…ぼっ喜(殴