ポケットモンスター M・GS~金銀より綴る物語~   作:紫苑試験式

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時が経つの早すぎぃ!(年単位)


2.そんな経緯をヨシノシティで

出発地点の“ワカバタウン”から西へ歩いて、次の町の“ヨシノシティ”に着いたのは、もうすっかり太陽も登り切っていた頃であった。

実際の距離として来た道程は当然ながらゲームのソレの様にそうあっさりとしたものでは無かったが。

が、かと言って完全な獣道を行く様な険しいものでも無く、現実としてすり合わせたらこんなものかと思われるくらいのものだ。

ここジョウト地方を回るのにはストレートに進んで行っても一年くらいか……などといった感じの予想を立てながらも、昼時を若干外した時分になるがこれも現実ではやはり必要な食事にする事に。

 

ヨシノシティは、言ってはなんだがゲームではシティと言うよりタウンのそれに近い印象であったわけだが、実際訪れてみてもそれ程的外れなものでも無いのでは、とうのが正直な感想である。

とは言え最低限度の施設はあるし、町なのに民家が数軒しか無いなんて事もない。端から端まで歩けば十分くらいの広さである。

勿論、他人の家に勝手に入り込む様な勇者理論を敢行する事も出来はしない。

 

ともあれ、適度な自然のある穏やかな雰囲気はさながら「住むには都の傍」とでも言った所の、所謂ベッドタウンであろう。

 

西側には海まで続く川が流れており、釣り船や川用の小型漁船が岸辺に停泊していて作業をしている人がちらほらと見当たる。

中州の岩場地帯には釣り人がのんびりと糸を垂らしているのが見え、釣れてしまった赤い魚――“コイキング”であろう――をリリースしているのが見えて、微笑ましい。

 

「水面揺れ…、静かに囃し……、水辺街……、それにつけても……」

 

……腹が減ったわ、などと他愛も無い事をヒノに真顔で告げてみた。

 

「……ヒノ?」

 

訳が分からないよ、と言わんばかりの表情をされた。そりゃそうだ。

そんなことよりヒノかわいい。

 

ヒノをかいぐりかいぐりしつつ、取り敢えず案内板で施設などの位置を確認してみる。

主要施設は固まっていて、基本的にはワカバタウンから“キキョウシティ”に続く方向に大通りがあり、それに沿って外部向けの建物の区域となっている。

食事場所としては”ポケモンセンター”―――ポケモンの体力を回復してくれる公共で無料の病院のような施設―――にトレーナー向けの格安な食堂があるらしいが。

この先何度もお世話になるのだろうし、何と言ってもこの世界で初めての食事だ。

これで次の朝起きたら夢オチだった……なんて事はこのリアルさなら無いとは思うが、それでも疑念は完全に拭えてはいない。

なので、よりリアルさを実感すべく少し奮発しようと思った。

……なんてのは後付けに現在進行形で考えているだが。

ともあれ、この年頃でこの貯金はどの程度なのか判断に困る持参金9000円を手に、物価の確認も兼ねて大通りをやや外れた所の食事処でランチと洒落込む事に。

 

記念すべき初食事は、数軒あった内の一つであるレストラン『The・ヨシノ屋」という、何やら不穏なネーミング(偏見)でありながら少しスタイリッシュな外観なのが微妙に腹の立つ(偏見)所を選んだ。

店内のポケモンの連れ歩きは抱きかかえての行動ならOKとの事で、当然ヒノを抱き抱えてもっふもっふもと滑らかなハグをしながら席に付く。

メニューを見ると、一応覚悟はしていたのだがパッと見では料理名にはポケモンの名前が入っていたりはしないようだ。

取り敢えずホッとしながらも、さりとて何の肉やら魚やらを使っているのか気になったが、普通にさんまだとか見知った名前の食材が見られたことに、兎に角の安心を得た。

ゲームのダイヤモンド・パール版では伝承の部分でポケモンを食糧に捉えた一説があったための心配であったのだが。

 

改めて考えてみると、この分野の権威である大木戸博士(漢字で書いては怒られるらしいが、敢えて)でさえ、明らかに誤りであるポケモン151匹説を初めは唱えていたりしたので、Pocket Monster(ポケットの中の獣)という存在自体の研究の歴史はモンスターボールの発明がそう昔ではないことからも、大昔からいたものではないのか……片っ端から調べてモンスターボールに入れられる生物をポケモンと定義したのか……先の伝承の続きにあったポケモンが怒って姿を現さなくなった、とされる状態から再び現れたのが最近なのか……。

 

推測での考察は結構好きなので、不毛と分かっていてもついつい考え込んでしまう。悪い癖だ。

しかし、漠然とした知識のみの現状は今後致命的な何らかのミスを招き兼ねないため、何所かで調べておいた方がいいだろう。

 

―――と、そこまで考えた所で、癖で組んでいた腕を、ヒノが揺すってくる。促す視線の先にはウェイトレスの女の子が困ったような表情で待っていた。

制服と思われるエプロンをしてはいるが、その下には普通の私服にミニスカートである。あれだ、旧金銀世代のモデルである。

素直に可愛いと思う、高水準な容姿の娘であった。

 

「ご注文、お決まりでしたらお伺いしますよ?」

 

「あぁ、すいません。えっと、じゃあこのYosinoステーキ定食ってやつを一つ。あと、ポケモン用の食事ってありますか?」

 

腕の中で大人しくしていた反応してヒノが見上げてくる。

目をまん丸にパチクリとしながら輝かせて、期待に満ちた表情。

俺は彼女にアイコンタクト。

 

「……申し訳ありません。当店では……」

 

ガビーんといった感じに切なさを表情一杯に表現するヒノ。

おぉぅ、上目遣いのタイプ一致補正で威力倍増。効果は抜群だ!

 

「……なんて事はありませんよ。ふふ、可愛い子ですねぇ。木の実を調理したものから、ポケモンフーズも用意してます。因みに、オススメは当店特製の『炒め木の実RE:ミックスセット』です」

 

一転、パァっと花開く様に幸せ一杯な表情を開花させるヒノ。

再び眼を爛々と煌めかせて、嬉しさがひしひしと伝わってくる。

効果は抜群だ!

……ヤバい、滅茶苦茶、可愛さが。(冷静に倒置法)

 

因みに、説明の語尾にウインクを添えた店員の女の子にもドキッとしていたのは、此処だけの秘密である。

効果は抜群だ!(打ち止め)

 

 

今後の予定がゲームの様に進むのかは分からないが、取り敢えず今進行中なのは宇津木博士(漢字にするとry)に頼まれた、ポケモンじいさんの所へのお遣いである。

ゲームでは、リメイク版であろうと初代であろうとここに居合わせた大木戸博士(漢字ry)にポケモン図鑑を授けられる流れになるわけだが、結構道草食ってる俺では果たして間に合うのか。

 

そも、初っ端からイベントを起こして下さった我らが宇津木博士の先のトラブルは、若干構図は違うものの、ルビー・サファイア版の導入に似たようなものであったりしたのだし。

なので、ここまで接してきた人々がゲームの世界の人物だとは思えないし、一概にゲームの設定を振りかざしたりするのはやめようと思う今日この頃だ。

 

ゲームでの先入観では何と無く頼りない印象しかない宇津木博士だが、実際には現役バリバリであった彼の勇姿を思い出しながら、染み染みと決意する昼下がりであった。

 

 

 

●○●○◎●○●○◎●○●○◎●○●○◎●○●○

 

明確に相手(スピアー)の意識がこちらに向くと共にヒノ自身が纏っていた炎の開放で"技”未満の火の粉が迫るも、それは両の手の鋭い槍で一閃される。

俺とヒノ(こちら)が射線をズラすように進み出ると、合わせてスピアーも間合いを取るように堂々と滑空してくる。

倒れたワニノから90度程回り込んで完全に一対一となり両者構えたところで、状況が一旦膠着する。

 

改めて対峙してみると、やはり個体差は如何ともし難いものなのだ、と痛感させられる。

先ずは冷静にできることからの把握、後姿から気迫の炎が見て取れる――というか実際燃えてるんだが――ヒノであるが、まだまだ理解するには短すぎるもののそれでも見て取れるコンディションは上々のようで、いつでも突撃できる体勢で前足を付き、上半身深く構えている。

その体躯は直立になれば膝上を超える程度で、俺の両の足を閉じた幅も無い細さ。

口からチロチロと漏れ出る火は高揚と気炎の表れでもあるが、同時に排水の陣で格上への挑戦の覚悟でもあるのだろう。恐らく初陣か、経験浅いであろうに、ここぞというこの場面で真っ向から付き合ってくれているヒノには兎に角報いてやりたい。

 

対する相手のスピアーは、その全長だけでも優に俺を超える。

更には両手を広げても余るだろう背の羽を残像が残る程に高速で動かしており、高所から急襲する算段なのか、ヒノが飛び掛って届くかどうかの軌道を上下左右小刻みに動き、こちらを誘っている。

黒斑の腹部最下部の尾の部分には体表の毒々しいまでの黄色がより濃く現れる鋭い針を具えており、迂闊に仕掛ければヒノの細い身体など簡単に貫かれてしまうのではないかと思わせられる。

 

先の二体はこいつ程大きくもなく奇襲であったことも幸いしたが、何よりも明確に隙があったのは間違いない。

が、それらを統率していたと思われるこのスピアーには油断も感じられず、冗談抜きにデビュー戦では相手取ってはいけない格上なのだ、と焦りと恐怖が充満していく。

 

じりおりと詰め寄ろうとするヒノであるが現状小手先の機転は通用しそうにも無く、冗談ではなくここまでの勢いに乗って攻めるしかないのか、と緊張がピークに達しようとした時。

 

スピアーと俺達の戦いは、卑怯と言うなかれ、第三者の手によって均衡が崩された。

 

 

「スピアー、“ダブルニードル”っ!」

 

 

ヒノを相手取っていた大柄のスピアーに、いきなり横合いに繰り出されてきた新手のスピアー……ではなく、先程ヒノが倒したスピアー(……?)二体が、背後から両の手の鋭針を突き出したのだ。

 

ダブルニードルの技タイプは虫。

毒+虫の複合タイプであるスピアーに対しての威力は、毒タイプの耐性に引っかかり半分に減退してしまう。

タイプ一致技なので、合算すると0.75倍、威力20にこれをかけて正味威力15の、二体合わせて4連撃……

などと、咄嗟の出来事に計算が先立つのは理系の宿命か。

 

決定打に欠ける相性の悪さではあり、若干の戸惑いはあったものの、対峙していたスピアーはそれらを避け両の手と尾を刃として振るう。

先のダメージもあってか二体は迎撃され左右に吹き飛ばされていくが、確実に相手の意識はそちらに向いた。

 

やはり野生の群れ内でも確固たる個体差があり、仕掛けた方はヒノの攻撃により傷ついているのもあってそう長くは持たないだろう。

費えかけていた己の中の勢いは、今だ!と叫ぶ。呆けている場合ではなく、これはチャンスだ!と吼えるっ。

そう、臨戦体制は万全だったヒノにgoをかけるのは今しか無いと、……いきり立つっ!!

 

 

「行け、ヒノッ!!ひのこと共に捨て身で体当たりだ!」

 

「ヒノヒノッ!!」

 

 

合図を受けると同時に周囲をぶっち切るヒノ、その間僅かコンマ何桁の世界での反応。

心と心が通じ合うフルシンクロ、乱入者の襲撃で隙が出来ていた敵スピアーにひのこを直撃させてからの更なる強撃である。

いくらかの下心含む機先を制した不意打ちであったとはいえ、やはりひるみ効果までは出ない。

さっきの“かえんぐるま”がやれれば良かったのだが、冷静に省みると不安定だったのが見て取れて、そう何度も都合良くはいかないだろうと読んでの、小細工として二段構えの攻撃。

まぁ、すてみで体当たり(タックル)とか、別ベクトルでまたもテンションに任せた無茶振りだがな!

 

ヒノの放ったひのこは低くから鋭く、まっすぐにスピアーに向かい、炸裂する。余波で熱気が伝わり、辺りの温度は上昇する。

目は乾きその爆風に瞼は閉じそうになるも、その瞬間を、文字通り目に焼き付けなければならぬ……っ!

 

勿論のことひのこで落ちてくれれば御の字だったが……やはりそうは行かず、確実にダメージは入ったとは思うが小規模な爆炎が晴れても其処にしっかり鎮座するスピアーに、迎え撃たれる。

体を目一杯に使い飛び掛り、飛翔したヒノのたいあたり(?)と、スピアーの返す刃の”どくばり”で、空中にて交差する両者。

 

一瞬の攻防、その刹那は時間が止まったかの様な。

接触した瞬間ヒノが再び背から炎を纏い、炎の光の世界が包み込む。見逃すものかと影のみであっても見て取る爆心地から、互いに残心も取らずの姿勢のまますれ違っていく機影。

背を向けて地へ墜ちる二つの影は、降り立った勢いに土煙を上げ――

 

――硝煙と砂煙が薄れて真っ先に見えるのは、何故か(・・・)こちらに背を向け進行方向(・・・・)に迫り寄るスピアーと。

 

 

グラリと傾いて地に臥せていく小さい後姿。

 

 

「っヒノッーー!?」

 

 

ヒノであった。背中に灯っていた背中の炎が力無く掻き消え、持てる全てを出し尽くして倒れるヒノに、目の前が真っ白になりつつも駆け寄ろうとした。

 

 

「spーーッ!!」

 

 

が、目の前には当然ながら未だ健在のスピアーが当然存在していた。

振り向き邪魔が入ったと言わんばかりに構えられる槍。その鋭鋒は、非力なこの身など簡単に貫くだろう。

 

ヒノがいない今、一人の子供に過ぎない俺は余りにも無力だ。

それは、バトルの熱で紛らわされていた恐怖の感情を呼び起こしてあり余る明確な『死』の気配であったが、それでも俺は歩みを止めなかった。

 

愚かなことだと、自分でも思う。

いきなりこんな状況に放り込まれて、舞い上がっていたか?

ポケモンという生き物に触れて自分は特別だと錯覚したか?

熱くなりはしてもどこか冷めた思考の理性が、いつも(・・・)最後の一線では語りかけてくる。

 

ここは退け、お前は良くやった、たかだか出会って間も無い関係、後は誰かがやってくれるさ――

 

必死になって言い訳を紡ぐ。確かにその通りで、自分が行って何になる、というものだ。

 

 

――だが。

 

答えは否、否である。

 

ここで見捨てて、共に闘ってくれたヒノにどの面をして仲間だと宣うのか。

例えここで自分がどうなろうとも、逃げ出さずに必ずに守り切って見せる。

 

 

 

理屈じゃ無い。それが俺とヒノとの関係だ……っ!!

 

 

 

ヒノを倒したスピアーの鋭利な双鋒は、迫り来る。

人が、それも子供に過ぎない自分が避けるには絶望的な速さ。勝算など、あるはずも無い。

 

しかし、意地でもヒノの所に辿り着いてやる。その執念を胸に一か八かでのスライディング。

ゲーム(がめんの中)であれば命中100であろうの技の回避を、リアル(現実補正)で、全力で、狙う。

 

 

「スピアー、糸をはく!チコリータ、はっぱカッター!」

 

 

その時再び、聞こえる声。

横合いから迫るそれらに、空中にて拘束されたスピアーの下を無事に潜り抜けて、そのままヒノの元に駆けつけて抱き寄せてから後ろを確かめると、そこには対峙したスピアーの確かに倒れた姿と、それを成したであろう乱入者であったスピアー達と緑のポケモン、そしてそれを従える白衣の大人の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

パチン、という音と共に視界のブレ。

後から来たジワリとした頬の痛みで、自分が叩かれたのだと分かった。

 

 

「……君は、自分が何をしたのか分かっているのか?」

 

 

傷付いたヒノをモンスターボールに収めて急ぎ戻った研究所内。

博士と共にいた子供を助手の人に任せてから、回復マシンにモンスターボールを収めて一先ずの安心を告げらた所の、不意打ちであった。

……親にぶたれたことも無いのに。

 

 

「……ごめんなさい」

 

 

まぁ殴られた事はあるがな。

確かに無謀だというのは嫌というほど理解したが。

比較的分かりやすい物理的な攻撃手段の上に、むしろ小型の部類と言っていいであろうスピアーでさえあれだ。

野生のギャラドスなんぞに生身で相対したらどうなるのか、火よりも明らかだ。

 

 

「……君はまだ若い。まだまだ経験も足りなければ、知識も、それに伴う実力も足りない。そんな中、生身でポケモンの前に立つという、一番無謀な事を仕出かせば、取り返しの付かない事に繋がる危険も相応について回るだろう。もし同じような場面で、彼女(ヒノアラシ)を助けることができる君自身が倒れれば、二人とも助からないところだったということだ」

 

 

ごもっともである。冷静に考えればそもそもの話、今回何が何でもあのスピアーを倒さなければならなかったかというと、それは否であった。

手元には、最初のヒノとの出会いの時に無意識に手を取っていたヒノの入っていたモンスターボールがあったのだ。例え離れていようと、それを掲げれば瞬時に退避させることが出来て、その場からすぐに離れれば或いは逃げ切ることもできただろう。

だが、それを思いつきも出来ず犬死するところであったのだ。ヒノの信頼を、踏みにじる所であったのだ……。

 

 

「ポケモンは、トレーナーの背を見て育つ。自身の主人が身を省みない行動を取れば、決していい方向には育たない。これは僕の経験から断言してもいい」

 

「……はい」

 

「そして、それが分かりきっている人に、トレーナーに、この子(・・・)を任せることはできない。差別のようになってしまうが、この子達(・・・・)は少々特殊な種族なんだ。例え今回のことを話して尚、トレーナーになることを親御さんに認められたとしても、他のポケモンを授けることになるだろう」

 

「……っ」

 

 

博士の言い分は全くの正論である。そして、それが原因でヒノを任せられないと言われれば、俺にポケモントレーナーになる資格などあるわけが無い。俺は、こいつと、旅に出れないならば、出るつもりは無いのだ……

 

 

「……かと言って、あそこで簡単にパートナーを見捨てろなどとは勿論言わないよ。こういうお小言は大人(・・)の特権で、小ズルイ理屈だろう。実際僕も嫌になる程言われたもので、今度は言う側に回ってもみたくなるものだと思うわけだ」

 

 

俯いていた顔を上げると、先ほどまでのまでの厳しい大人然としていた博士は、少々悪戯めいた表情でこちらにウインクをしていた。

正直ゲームからの人物像からは似つかないほどのイケメンである彼のその仕草はとても様になっていて。

あぁ、こんな大人になれればいいな、と憧れる。

 

 

「……それ、言わなければめっちゃいい話なのに」

 

「フフ、褒めるべきところは大いに、締めるべきところはキチンと。メリハリが大事ということだ。つまりは僕も散々言われてきた事なんだがね。

君はまだまだ若い。叱られるというのも今だけの特権だ」

 

「そうですね。……ですが、その機会はトレーナーとしては最後になるかと思います。今の俺が他のポケモンと旅に出るなんて、絶対二の舞になるだろうし、それこそ信じてくれて一緒に戦ってくれたヒノに対する裏切りでしょうから」

 

「おや?それは困ったな。そうしたら、彼女は一生パートナーとなる子を得ることは出来ないだろうね」

 

「……え?」

 

 

博士が視線で示す先、そこには。

 

 

「ヒノっ!」

 

 

元気を見せてくれるヒノの姿があった。

嬉しさ半分、戸惑い半分に博士のほうを見ると、「少々お仕置きが過ぎたかい?」とからから笑う姿で。

 

受け入れて本当にいいのか、そんな資格は……と、近くに寄るも抱き上げるのを躊躇する俺であったが。

手を伸ばし触れることができたのは、飛びついてきたヒノに押し倒されて、内臓で重さを知る、3秒くらい前の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




信じられるか?HGSS発売した時思い立った構想なんだぜ、これ(白目)
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