零話 オールマイト日本に立つ
平和な日本のとあるラーメン屋。
そこに画風が完全にアメコミな金髪の大男が精神統一しながら箸に手を伸ばした。
「おまたせしました〜黒とんこつラーメン大盛り麺バリカタ半玉トッピングになります」
掴み持ち上げたタイミングでアルバイトらしき若い店員が眼の前にラーメンを置く。
商品名に偽り無く、乳白色のとんこつスープに黒の焦がしネギ油が多めに振り掛けられ、白と黒の美しいコンストラクションが食欲を唆る。
(Great……白と黒のスープにツヤッツヤの半熟煮卵、そしてこのぶっといシナチク
デイブの腹みたいに太いじゃないか!
これは無敵のオールマイトも降参するしか無いなハッハッハッハッ)
そう、この男の名前はオールマイト。
世界でもかなりの知名度を誇る作品『僕のヒーローアカデミア』のメインキャラクターであり、一人だけ画風が違うと言われている男だ。
そして彼は今、その世界とは全く関係のない超平和な世界に存在していた!
事の始まりは原作十巻辺りを思い出してほしい。
神野区の悪夢編だ。
本来はそこでオールマイトは悪の帝王であるオール・フォー・ワンとぶつかり、死力を尽くした事により逮捕に成功。
ただそれにより全ての力を使い切ったオールマイトは引退し主人公達を育てることを決意するのだ。
本来はそうなるはずだったがある人物の介入、つまり転生者と呼ばれる愚か者のせいでオールマイト、オール・フォー・ワンは共に死亡してしまったのだ。
だがあの世界の神を名乗る人物が今までの活躍を認め、平和な日本へと転移させたのだ。
その際にオールマイトは幾つかの特典を授けられた。
一、肉体を全盛期(二十代半ば)にする
二、この世界での身分証と動きやすい立場
三、当面の間、生活に困らない資金
目が覚め自身の腕を確認したオールマイトは驚愕した。
あの風が吹けば折れそうな細腕ではなく、筋骨隆々の丸太のような腕。
足は歩くだけで砕けそうな細足では無く大地を砕かんばかりの重機。
そして脇腹には痛々しい傷跡はなく、まさにパーフェクトオールマイト!
「夢では無かったのか……これから私はどうすれば……」
今まで弟子を育てる事しか……平和の為に戦う事しか出来なかった自分はどうするべきか。
六畳一間の狭い部屋で筋肉ムキムキのマッチョマンは頭を抱えた。
そんな時に聞こえた一つの音。
「な、なんと!?」
空腹音だ。
原作開始時のオールマイトはオール・フォー・ワンとの戦いにより体の至るところを壊し、食事さえマトモに出来ない状況だった。
回りくどく書いたがオールマイトは食という人間の持つ欲求の一つが完全に無くなってしまったというわけだ。
そんな生活をし続けて幾年月、食への関心だけはイレイザーヘッド並になりかけてたがここに来て空腹という懐かしい感覚。
オールマイトはすぐに時計を確認、時刻は午前六時。
この時間で開いている店はコンビニとかだろう。
「と、とりあえず何か食べよう」
自身の身長の半分にもみたない冷蔵庫の中を確認、見事に何も入ってない。
ついでにキッチンの棚も確認、ホコリ一つない程にキレイだ。
「…………う、うむ!
では少し散策しようか!」
気を取り直し財布を片手にパジャマから青の芋ジャージに着替えて外に。
「お、おぉ……」
玄関を開ければそこには『平和』が有った。
朝早くから制服を着て駆けていく学生、信号待ちをしているサラリーマン。
誰一人としてヴィランの脅威を知らない無垢な平和、ここでやっと違う世界に本当に来てしまったのだと実感するオールマイト。
「……皆、元気にしてるかな」
もう誰にも会えない、そう思うと寂しい気持ちになってしまう。
暑苦しい友情を思う生徒にも、口は悪いがストイックな少年にも、ムードメーカーな少年にも、おとぼけた少女にも、元気いっぱいな少女にも
そして
自分の弟子にももう会えない。
「落ち込んでても仕方ない」
オンボロアパートの階段を降り、適当に歩こうとすると向かいには二十四時間営業の牛丼屋。
それを見た瞬間に騒ぎ出す腹の虫。
「では行こう、うむ!」
ここから始まるのは少年が最高のヒーローを目指す物語ではなく、最高のヒーローが普通の食事をするだけのお話。
山も谷も無く、ただただ普通を楽しむだけ。
オールマイト
この世界での設定
神野区の悪夢編にて転生者の介入により死亡してしまったトップヒーロー
今までの活躍を評価され、異世界というか現代日本に転移してきた
神からの特典により普通に食事とか楽しめる健康体へと戻れたので少し嬉しい
仕事は自営で八木運送という従業員一名の超ミニ企業の社長
最近は寂しさが凄いからか独り言が多くなったらしい
他のキャラは登場させる?(番外編だけになりますが)
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居る(原作死亡キャラ)
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居る(向こうでの死亡キャラ)
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居らない