アニメオタクだらけのシェアハウスで、俺は特撮に人生を捧げる。   作:naogran

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128話・薬の恐ろしさ

4月9日午後3時。東京都・原宿。竹下通りに愛川夫妻が歩いている。

 

優之「いやぁ〜温かいな〜。」

 

佑美「新生活が始まって皆緊張していると思うけど、乗り越えられる事を願ってるよ〜。」

 

優之「さて、悠里達と待ち合わせ場所はもうすぐかな?」

 

佑美「響子ちゃんと蛍ちゃんに出演交渉しなきゃね。撮影時期は決まったの?」

 

優之「ああ。4月中に決まったって。撮影準備は諸々出来てるし。」

 

佑美「楽しみだね。2人は引き受けてくれるかな?」

 

 

 

 

待ち合わせ場所に着いたが、4人の姿は何処にもない。

 

佑美「いないね。」

 

優之「うん。遅れてるのかな?ん?」

 

裏路地を見ると、悠里達アンジェリカと藍澤組若頭の秋良が立っていた。響子がスマホで何かを撮影している。

 

優之「あれ秋良さんじゃね?」

 

佑美「あ!本当だ!悠里ちゃん達もいる!響子ちゃんが何か撮ってるね。行ってみよう。」

 

 

 

 

裏路地へ行くと、とんでもない光景があった。

 

秋良「オラァ!!」

 

なんと秋良が1人の男を殴っていた。

 

優之・佑美「え!?」

 

佑美「何!?どう言う事!?」

 

優之「秋良さん!?どうしたんですか!?」

 

秋良「っ!お2人さん。」

 

佑美「どう言う事!?何で秋良さんが一般市民を殴ってるの!?もしかして破門を受けて腹癒せで殴ってしまったんですか!?」

 

秋良「いえ、コイツ。お嬢達に麻薬を売ろうとしたんです。」

 

優之・佑美「ま、麻薬!?」

 

秋良「そいつの両手に持ってる物を見て下さい。」

 

優之「ん?」

 

殴られた男の両手を見る。左手に白い粉が入ったパック、右手にナイフが持ってる。

 

佑美「麻薬とナイフ・・・まさか密売人ですか!?」

 

秋良「ええ。お嬢達の話によると、売ろうとして拒否した所、裏路地に連れられてナイフを突き付けられて脅されたと。」

 

優之「そこに秋良さんが駆け付けて4人を助けたと。」

 

秋良「ええ。偶然ですがね。」

 

佑美「それで響子ちゃん、そのスマホは?」

 

響子「2人が来るまでに配信していた所、この人が襲って来てね。今証拠撮影中なんだ。」

 

優之「とんでもない配信になったね・・・」

 

 

 

 

 

 

その後、密売人は駆け付けた警察によって逮捕され、響子が撮影した配信が証拠の決め手となり秋良の行動は正当防衛と見做されお咎めなしになった。

 

 

 

 

 

 

秋良「これで片付いたな。皆さん、大丈夫でしたか?」

 

樹々「うん。ありがとう秋良。」

 

蛍「助かりました。」

 

優之「にしても、秋良さんが阻止したって事は、麻薬は本当にダメな物なんですね。」

 

秋良「当たり前です。」

 

佑美「私達カタギの人間だけど、その辺の事分からないんだよねぇ・・・」

 

悠里「ねぇ秋良さん。麻薬について教えて下さい。今後対処出来るようにする為に。」

 

秋良「・・・お嬢、どうします?」

 

樹々「教えてあげて。私達が手出ししないように。」

 

秋良「分かりました。お嬢の許可が出ました。教えてあげましょう。薬物の恐ろしさと言う物を。」

 

 

 

 

 

 

代々木公園のベンチに座って薬物の恐ろしさを学ぶ。

 

秋良「まず薬物と言っても種類があります。一緒くたに論じられる事も多いですが、効果もデメリットも様々です。その辺はしっかり区別しないといけません。」

 

優之「やっぱり1つだけじゃないんだ。」

 

秋良「コカインやLSD。危険ドラッグと呼ばれる類の物。今回アイツがお嬢達に売ろうとしていたのは、ヘロインと言う名称の物です。」

 

優之「ヘロイン・・・よくテレビや映画とかでよく聞くけど。」

 

佑美「実際どんな物なのか分からないんですよね。」

 

秋良「薬物は興奮作用のある”アッパー系”。麻酔作用の”ダウナー系”。幻覚作用のある”サイケデリック系”に分けられます。ヘロインはダウナー系の代表格ですな。」

 

悠里「って事は、麻酔系のトップですね。」

 

秋良「そして元々は鎮痛剤として世に出回っていたのも特徴です。」

 

悠里「え!?普通に使われていたって事ですか!?」

 

秋良「ええ。多くの薬物は元々その危険性が知られないまま一般流通していたんです。覚醒剤なんて戦前や戦時中にはヒロポンと言う名前で普通に薬局で買えていたんです。」

 

優之「戦前や戦時中・・・恐らく兵士の緊張を和らげる為に出回っていたんでしょうね。」

 

秋良「そうでしょうな。そしてヘロインも”モルヒネに代わる依存性のない万能薬”なんつー喧伝をされたせいで広く出回るようになってしまった訳です。」

 

佑美「何それ怖い・・・」

 

秋良「ヘロインの基本情報も教えておきましょう。ヘロインは静脈からの摂取方法が一般的です。」

 

優之「静脈からってと言うと、注射ですか?」

 

秋良「そうです。しかしそれを素人が自分で打つ訳ですからな。腕を見ればソイツが中毒者か一発で分かる位悍ましい痣になります。」

 

蛍「痣・・・虐待跡の痣をイメージしますね・・・」

 

優之「うわぁ・・・それを聞いただけで手を出したくなくなるよな。」

 

佑美「打ったら後々後悔しそうで怖いなぁ・・・」

 

悠里・樹々・響子・蛍「うんうん。」

 

秋良「皆さんのように普通の神経を持っていればそう言うでしょう。だがしかし、ヘロインにはそれを度外視してでも打ちたくなってしまう成分が含まれているって話です。」

 

優之「一体ヘロインを打ったらどうなってしまうんですか?」

 

秋良「ヘロインは静脈に注射された瞬間、強烈な多幸感に包まれると言う。それが体内を波打つように駆け巡るんです。」

 

佑美「多幸感・・・どんな感じなんですか?」

 

秋良「俺は勿論打った事がないから本当の事は分かりませんが、”オーガズムの数万倍の快感”、”人間の経験しうる凡ゆる状態の中で他の如何なる物を持ってしても得られない最高の状態”とも言われていますな。」

 

蛍「想像出来ないレベルですね・・・」

 

秋良「人間が一生の内に体感しうる快感のトータルを上回る快感が一瞬で身体に流れ込んで来るとも言われていますな。」

 

佑美「トータルが上回る・・・と言ったらこんな感じですか?」

 

メモ帳にそれを表したグラフを見せる。下のグラフが真っ直ぐに上がる表。

 

優之「佑美さん何時の間に。」

 

秋良「ええ。俺のイメージしてる通りですね。」

 

響子「凄いなぁ・・・」

 

佑美「でもその快感、過去に一回位味わってみたい時もあったなぁ。」

 

秋良「佑美さん、それは愚かな人間が考える事ですよ。」

 

佑美「え?」

 

秋良「人間が許容出来る以上の快感を味わってしまったら、その人間はどうなると思います?」

 

佑美「どうって言われても・・・どうなるんです?」

 

秋良「許容以上ですからね。当然その人間の脳は破壊されます。そして、もうその人間は人生に於ける如何なる物に対しても興味を失ってしまうでしょうね。何せ他の事で得られる快感なんて、ヘロインに比べれば数万分の1なんですからな。」

 

佑美「確かに・・・」

 

秋良「1回手を出したら最後、ヘロインの快感を求めるだけの人生です。皆さんはそんな人生、幸せだと思いますか?」

 

優之「いいえ全く。」

 

響子「幸せだと感じないよ。」

 

他の4人も2人の言葉に賛同する。

 

秋良「薬物に於いて最も怖いのが依存性です。止められない薬物はどんどん身体を蝕んでいきます。今話したのがヘロインに於ける3つの快感の1つ。快感依存です。」

 

悠里「残り2つの依存はどんな物なんですか?」

 

秋良「2つ目は精神依存。不快な気分や不快感、そして不眠が使用者を襲う。そのせいでヘロインの中毒者は24時間落ち着かない生活を送るハメになります。そわそわしたり常に動き回ったり。果てには周囲の人間に手当り次第怒りをぶつけたりするようです。」

 

蛍「人格をも変えてしまうんですか!?」

 

秋良「そう言う事ですね。だから使用者はこんな精神的苦痛から逃れる為に使用を繰り返してしまいます。」

 

佑美「幸福を求める為にヘロインを打つ。しばらくして辛くなって、逃げる為にヘロインをまた打つ。もう無限ループだね・・・」

 

秋良「そして最後に、最も恐ろしいのが3つ目の肉体的依存です。」

 

優之「いやもう充分恐ろしいんですが・・・」

 

秋良「これに関して言えば実際に見た方が早いでしょう。これは5年前にSNSで話題になった動画です。見てみますか?」

 

優之「はい。」

 

秋良からスマホを借りて、5年前にSNSで話題になった動画を見る。その動画は、映ってる人達が前傾姿勢になって座り込んだりゆらゆら歩いている恐ろしい動画だった。

 

優之「っ!?こ、これって・・・!?」

 

秋良「これはとある海外でヘロインが蔓延した街の動画です。中毒者が皆前傾姿勢になっているのが分かりますか?」

 

樹々「うん・・・これはまるで・・・」

 

秋良「そう。まるでゾンビ映画の世界そのままです。」

 

佑美「うへぇ・・・リアルナイト・オブ・ザ・リビングデッドだ・・・」

 

秋良「こうなってしまってるのは体内の関節に激痛が走っているからです。」

 

優之「激痛!?」

 

秋良「離脱症状の一種です。ヘロインを摂取して快感を感じ、しばらくすると体内の関節に激痛が走るようになるんです。例え小風が吹いただけでも身悶えする程の痛みが身体に走るらしいです。」

 

優之「何ですかそれ・・・!?」

 

秋良「果ては体温の調節機能を失い、激暑と極寒を数秒間隔で味わう事になります。激痛に強烈な不快感。その症状は地獄以外の何物でもないと表現される程です。」

 

優之「確かに・・・この光景は地獄そのものですね。」

 

佑美「もう地獄と言う名の拷問ですね・・・」

 

秋良「薬物と言うのは生きながらにして地獄を味合わせてしまうとてつもなく恐ろしい物です。一度手を出したら最後・・・地獄の苦しみから逃れる為に何度も摂取を繰り返し、その度に地獄を味わう。気付けば廃人になって街を彷徨き回るようになるんです。」

 

響子「恐ろしいよ・・・」

 

 

 

 

代々木公園のベンチから立つ。

 

秋良「皆さんは薬物の怖さが理解出来ましたか?」

 

佑美「もう充分過ぎる程です。私絶対・・・いや死んでもヘロインには手を出しません!」

 

優之「俺も死んでも手を出さない。手を出したら俺のウル活ライフが楽しめないからな。」

 

響子「皆!絶対に手を出したらダメだからね!良いね?」

 

悠里・樹々・蛍「うん!」

 

6人は絶対にヘロインに手を出さないと約束した。

 

秋良「そう。その意気です皆さん。」

 

するとその時。

 

男「ヘロイン・・・だってぇ・・・?」

 

突然スウェットを着た1人の男に絡まれた。

 

優之・佑美・悠里・樹々・響子・蛍「え?」

 

秋良「何だお前?」

 

男「今・・・ヘ、ヘロインって言ったよなぁ?も、もしかして・・・持ってるのか?」

 

秋良「持ってねぇよ!」

 

男「そんなぁ、嘘吐くなよ。今ヘロインって言っていたじゃないか。なぁ・・・分けてくれよぉ。なぁ!」

 

秋良「皆さん下がって下さい!」

 

優之「後ろに下がって!」

 

女性陣を後ろに下がらせ、男2人が男の前に出る。佑美は4人を守る。

 

秋良(挙動が可笑しい・・・)

 

優之(秋良さん、この男もしかして・・・)

 

秋良(恐らく中毒者でしょう。ヘロインの。)

 

優之(こんなタイミングで出会すとは運命の悪戯でしょうか?)

 

秋良「俺が言っていたのはヘロインの危険性についてだ!実際に持っている訳じゃねぇ!」

 

優之「例え持ってたとしても、俺は刑務所に入る覚悟を持って素直に警察に自首するからな!」

 

男「もう3日も入れてないんだ・・・このままじゃ頭が可笑しくなっちまう・・・暑い・・・寒い・・・暑い・・・ヘロインを・・・寄越しやがれぇえーーーー!!」

 

優之・秋良「っ!」

 

佑美「危ない!」

 

男が飛び込んで来た。しかしその時。

 

 

 

 

 

 

陽子「そこまでよ!」

 

 

 

 

 

 

秋良「姐さん!?」

 

優之・佑美・悠里・響子・蛍「陽子さん!?」

 

樹々「お母さん!?」

 

藍澤組の娘の陽子が男を取り押さえた。

 

男「ぐあ!」

 

陽子「偶然通り掛かったから危ない所だったわ。秋良、怪我はない?」

 

秋良「助かりました・・・」

 

陽子「皆も怪我はない?」

 

樹々「ありがとうお母さん。」

 

陽子「秋良、この男は一体?」

 

秋良「ソイツは・・・」

 

男「ぐあああああああ!!!」

 

優之・秋良「っ!」

 

佑美・悠里・樹々・響子・蛍「っ!?」

 

陽子「っ?」

 

突然男が倒れ込んで悶絶し始めた。

 

男「痛ぇ!痛ぇよぉ!俺に触るな!身体中が痛ぇ!!!!」

 

陽子「どう言う事・・・?」

 

秋良「ソイツは恐らくヘロイン中毒者です。俺がブツを持っていると勘違いして襲って来たんです。」

 

陽子「ヘロイン・・・それで・・・!」

 

男「ぐああああああああ!」

 

秋良「見て下さい皆さん。あれがヘロイン中毒者の末路です。触れるだけで体内に激痛が走るこの世の地獄です!」

 

佑美・悠里・響子・蛍「怖い・・・!」

 

優之「恐ろしい・・・!」

 

樹々「・・・・!」

 

 

 

 

 

 

いざこざを片付いた後、優之達は藍澤組事務所に訪れた。

 

源一郎「そうか。ヘロイン中毒の男に絡まれたか。」

 

秋良「はい。しかし姐さんが助けて下さいました。」

 

源一郎「陽子、その男はどうしたんだ?」

 

陽子「警察に渡してリハビリセンターに収容される予定よ。証言から薬物の売人も逮捕出来そうって言ってたわ。」

 

源一郎「まだ絶えないモノだな麻薬は。秋良、藍澤組の総力を上げて密売人の根絶に尽力せよ。」

 

秋良「へい!」

 

源一郎「皆さんもお怪我が無くて良かったです。」

 

優之「いえ。」

 

源一郎「樹々も大丈夫だったか?」

 

樹々「うん。お母さんのお陰で助かった。」

 

佑美「そうだ!響子ちゃん、蛍ちゃん。ちょっと相談があるんだけど。」

 

響子「私に?」

 

蛍「何のご相談ですか?」

 

優之「実はね、俺達で自主映画を作ろうって話があってね。」

 

響子「あ。樹々がこの前言っていた特撮映画の事?確か神沢美彦さんが監督するんだよね?」

 

優之「そう。悠里と樹々ちゃんは出演許諾してくれてね。そこでなんだけど、2人の出演交渉として会いに来たんだ。」

 

響子「面白そう!私やってみたい!ね?蛍!」

 

蛍「はい!私も自主映画に出てみたいです!」

 

優之「決まりだな。じゃあ美彦に連絡するか。」

 

スマホを出して美彦に響子と蛍の出演交渉成功の連絡を入れた。

 

 

 

 

 

 

その夜。くおたハウスであるニュースを見た。

 

佑美「見て?あの男の証言で密売組織が壊滅したみたいだよ。」

 

優之「本当だ。警察と藍澤組の連携で密売組織壊滅だって。」

 

佑美「流石任侠団体。仕事が早いね。」

 

優之「薬物はダメ、絶対に。これ大事だな。」

 

『END』




         キャスト

      愛川優之:濱田龍臣
      愛川佑美:伊藤美来

      三峯悠里:近藤玲奈
      新田樹々:佐藤亜美菜
      杉原響子:本渡楓
       国生蛍:大野柚布子

     藍澤源一郎:小杉十郎太
      藍澤陽子:三森すずこ

        秋良:梅原裕一郎

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