アニメオタクだらけのシェアハウスで、俺は特撮に人生を捧げる。   作:naogran

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89話・聴覚を救え

6月19日。モロスターアート。

 

優之「雨降ってんな〜。」

 

茂成「梅雨入りしたもんな。あ〜、ジメジメしたの嫌だなぁ〜。」

 

紫「分かるぅ〜。湿度が高くて暑いんだよね〜。」

 

結衣「髪も上手く纏まらないし。」

 

奈々「気圧の変化で体調が優れないって言うか。」

 

優之「まあ来月になればまた晴れるんだし。」

 

茂成「来月から熱中症が増えそうだけどな。」

 

 

 

 

 

 

モロスターアートでの絵描きが終わり、優之と茂成は東京ミッドタウンへ向かった。

 

優之「珍しいな。お前がミッドタウンが好きだなんて。」

 

茂成「仕事帰りにたまに来るんだよ。それに今日は、待ち合わせがあるし。」

 

優之「待ち合わせ?」

 

???「おーい茂成ー!」

 

茂成「お、噂をすれば!」

 

そこにやって来たのは、3人の男女だった。

 

茂成「麗子!竜司!恵里佳久し振りだな!」

 

竜司「元気そうだなお前も。」

 

優之「茂成の友達?」

 

麗子「茂成君、その人は?」

 

茂成「俺の親友の愛川優之だ。」

 

恵里佳「あ!もしかして、佐賀時代に友達になったって言う?」

 

茂成「そう。その本人だ。」

 

優之「えっと、愛川優之です。」

 

 

 

 

 

 

カフェ。

 

恵里佳「初めまして。私は宮園恵里佳。中学の時に転校して来た茂成の親友よ。」

 

竜司「俺は楠竜司。茂成のダチだ。」

 

麗子「久住麗子よ。宜しくね。」

 

優之「皆、お前の親友か。」

 

茂成「まあな。転校したての俺と親しくなった3人だ。因みに竜司と恵里佳は幼稚園時代からの幼馴染みだ。」

 

竜司「中学の頃は波乱万丈だったもんな。」

 

恵里佳「ええ。今思い出すと前代未聞だって実感するわ。」

 

優之「波乱万丈?まさか4人共、中学の時ハメ外しちゃったのか?」

 

茂成「違う違う。事の発端は麗子でな。彼女、生まれた時から聴覚障害で耳が聴こえなかったんだ。」

 

優之「え?でも補聴器着けてないけど?」

 

麗子「聴覚手術して聴こえる耳を手に入れたの。」

 

竜司「あの時は色々大変だったもんな。」

 

優之「なぁ、アンタ達の中学校時代に何があったのか教えてくれるか?」

 

茂成「いいとも。麗子は耳が聴こえない事を良い事に、俺達3人を除いたクラスメート達から悪口や罵声を浴びせられるイジメを受けてたんだ。」

 

優之「何で?普通優しく接するのが当たり前だろ?」

 

竜司「アイツらはな、日頃のストレスを発散する為に耳が聴こえない麗子に色々当たったんだ。」

 

優之「何だそれ?頭可笑しいだろ。」

 

恵里佳「優之もそう思うでしょ?それで私達は麗子を助ける為に計画を練ったの。」

 

 

 

 

 

 

中学校時代。

 

竜司『なぁどうするよ?このままだと麗子の奴、イジメを受けたまま卒業しちまうぞ。せめて一緒に笑顔で卒業したいけどな。』

 

茂成『って言っても、どうすれば良いのか分からねえよ。』

 

恵里佳『私達はこうしてる間にも・・・』

 

 

 

 

クラスメートA『久住って本当聴こえないんだなw。』

 

クラスメートB『ストレス発散には丁度良いもんなw。』

 

クラスメートC『可哀想な久住さんw。学校辞めれば良いのにね〜w。』

 

麗子『・・・・?』

 

 

 

 

恵里佳『何か、見てるこっちが怒りたいわよ。竜司、ちゃんと録音してる?』

 

竜司『当たり前だ。バッチリ録ってるぜ。』

 

持ってるスマホでさっきの悪口を録音していた。

 

竜司『今まで録音を担任に提出したけど、一切対処してくれねえし。アイツらとグルだと確信してるよ。』

 

茂成『だったらさ、校長先生に提出すれば?』

 

竜司『校長に?』

 

茂成『担任がダメなら、もっと上の校長先生に相談すれば良いんじゃね?』

 

恵里佳『妙案だけど、ちゃんと取り入ってくれるのかな?』

 

茂成『物は試しだ。行こう。』

 

 

 

 

校長室。

 

茂成『失礼します。』

 

校長先生『おや。畦間君に楠君に宮園さん。どうしましたかな?』

 

茂成『実は、ウチのクラスでイジメが起きていまして。』

 

校長先生『イジメ?』

 

竜司『俺達はそのイジメの暴言を録音して担任に提出したんですが、担任は対処してくれなくて。』

 

恵里佳『それで茂成の妙案で、校長先生に相談しようって事になったんです。』

 

校長先生『ほう。それで、イジメを受けている生徒さんのお名前は分かりますか?』

 

茂成『久住麗子です。』

 

校長先生『久住麗子・・・もしかして麗子ですか!?』

 

恵里佳『え?校長先生、麗子を知ってるんですか?』

 

校長先生『実は、久住麗子は私の妹の娘です。』

 

茂成『って事は、校長先生の姪御さん!?』

 

校長先生『麗子は生まれた時から聴覚障害を患っておりまして。』

 

竜司『補聴器とか無かったんですか?』

 

校長先生『麗子の着ける補聴器はオーダーメイドで、一昨日に故障したと妹から連絡がありまして。治すのに1週間掛かる特別製の物なんです。』

 

恵里佳『それで今日補聴器着けてなかったんですね。』

 

校長先生『これは見過ごせない事案です。私の力で対処しましょう。』

 

茂成『その事なんですけど、俺達にアイディアがあるんですが、それを採用してくれないでしょうか?』

 

校長先生『分かりました。私が責任を持って見届けます。』

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

クラスメートA『耳が聴こえないって可哀想だな〜w。』

 

クラスメートB『障害者は早く帰れよw。』

 

担任『皆の邪魔をするお荷物だからな〜w』

 

クラスメート達『あははははは!』

 

麗子『・・・・』

 

クラス中に響く邪悪な嗤い声。その時。

 

 

 

 

校内放送A『久住って本当聴こえないんだなw。』

 

校内放送B『ストレス発散には丁度良いもんなw。』

 

校内放送C『可哀想な久住さんw。学校辞めれば良いのにね〜w。』

 

 

 

 

突如校内放送が、これまで録音された罵詈雑言が流れ始めた。その放送は全校生徒や教員達の耳に入った。

 

クラスメートA『な、何だよコレ!?』

 

クラスメートB『何で俺達の声が!?』

 

クラスメートC『まさか久住の仕業か!?』

 

茂成『俺達の仕業さ。』

 

困惑する中、茂成、竜司、恵里佳の3人がニヤリと微笑んだ。

 

クラスメートC『あ、あなた達!一体何のつもりよ!!』

 

茂成『何って、ただお前達の美しい声を全校生徒に聴かせてあげてるだけだよ?』

 

竜司『耳を澄ませてごらん?お前達の声がまるで草原の風のように流れてるぞ?』

 

恵里佳『なんとまあ心地良いって言うか、やっぱり気持ち悪いけどね。』

 

クラスメートA『巫山戯んなよ!!勝手な事をしやがって!!』

 

竜司『勝手な事?それは違うな。』

 

恵里佳『私達はね、麗子を助けてあげたい。ただそれだけなのよ。』

 

担任『な、何でお前達がそんな障害女を庇うんだ!!』

 

茂成『それはこの人から話を聞いてからだな。どうぞ〜。』

 

すると、ロッカーから校長先生が出て来た。

 

校長先生『どうも失礼します。』

 

担任『こ、校長先生!?何でここに!?』

 

突然登場した校長先生に、クラス中が驚いてる。

 

校長先生『実は昨日、畦間君達3人から久住さんがイジメを受けていると相談を受けましてね。今朝その事を確かめる為、ずっとロッカーに隠れて一部始終覗いていたのです。そして先程流れた校内放送は楠君が録音した物で、教頭先生に頼んで流して貰ったものです。』

 

クラスメートD『はぁ!?』

 

校長先生『それに先生。あなたは楠君の録音を聴いても何も思わず無碍にしたそうですね。』

 

担任『そ、それは・・・』

 

校長先生『あなた達には失望しました。これからの対処は私自身で下します。』

 

クラスメートD『・・・こ、校長先生!!俺達は先生に命令されたからあんな事を言ってしまったんです!!』

 

クラスメートE『そうです!私達は無実です!!』

 

担任『お、お前達何言ってるんだ!?』

 

クラスメートA『信じて下さい!!俺達は無実です!!本当なんです!!』

 

担任『お前達も暴言や罵声を叫んでたじゃないか!!俺だけ濡れ衣を着させんじゃねえ!!』

 

クラスメートA『五月蝿え!!先生は引っ込んでろ!!』

 

校長先生『いい加減にしなさい!!!!!』

 

とてつもない怒声がクラスを鎮めた。

 

校長先生『自分が不利になったら他人に罪を押し付ける。なんとまあ見苦しい行為でしょう。畦間君、楠君、宮園さん。麗子を助けてくれてありがとうございます。』

 

茂成『いえいえ。俺達は当然の事をしただけですから。』

 

竜司『そうですそうです。見て見ぬフリが嫌いなんで俺達。』

 

恵里佳『だから頭を上げて下さい。』

 

校長先生『これからも姪の友達として麗子を宜しくお願いします。』

 

茂成・竜司・恵里佳『はい!』

 

クラスメートA『は?姪?まさか久住って・・・』

 

校長先生『そうです。久住麗子は私の妹の娘。つまり私の姪です。』

 

全員『ええええ!?』

 

校長先生『麗子は私の姪である事を隠して学校生活を送ってましたが、こうなってしまった以上暴露するのも止むを得ないです。校長の姪だからって特別扱いしないで欲しいと麗子自身が申し出た提案でした。』

 

担任『う、嘘・・・だろ・・・!?』

 

麗子が校長先生の姪だと知ったクラスメート達と担任は驚いた。これで事件解決、と思われたが。

 

クラスメートA『久住お前・・・お前のせいだ!!!!!』

 

突如、クラスメートの1人が激怒した。

 

クラスメートA『校長の姪って知ってたらこんな事をしなかったのに!!全てお前の責任だ!!』

 

クラスメートE『そうよ!!責任取りなさい!!この障害女が!!!』

 

担任『校長!!あなたも同罪ですよ!!久住があなたの姪御さんだって事を教えてくれなかったじゃないですか!!』

 

麗子『・・・・・?』

 

彼らは反省するどころか、支離滅裂な主張を言い出して責任転嫁した。するとその瞬間。

 

竜司『馬鹿野郎!!!!!!』

 

突然竜司が激怒声を荒げた。担任とクラスメート達が驚いて黙った。

 

竜司『麗子が校長先生の姪だったら媚を売ってただと!?しかも反省せず2人に責任転嫁しやがって!!お前らは底辺に相応しい奴らだな!!』

 

恵里佳『そんな支離滅裂な言動よく校長先生にも言えるわね!』

 

茂成『こんなクラスメートや担任を持った俺達が恥ずかしいわ!』

 

クラスメートA『な、何だよお前ら!!部外者は引っ込んでろ!!』

 

竜司『悪いが俺は部外者じゃない。俺は、いや俺達3人は麗子の大親友だ。テメェらが下らねぇ暴言や差別やイジメを受けてる麗子を俺達は心の底から友達だと認めてるんだ。』

 

茂成『例えお前らからどう思われようが、俺達は麗子を守り続ける。』

 

恵里佳『言っとくけど、あなた達の支離滅裂な言動と責任転嫁する行動は録画してあるわよ。これも校長先生から許可を得てる行動よ。』

 

校長先生『あなた達をこの学校に迎えてしまった私の責任です。ならここは、責任者である私があなた達を徹底的に裁きます!これは私個人の決定ではない。この学校の平和とモラルを守る為の決定です!』

 

 

 

 

 

 

そして現在。

 

優之「それからどうなったんだ?」

 

茂成「俺達の通った中学校は、実は諸星財閥の寄付を受けている中学校なんだ。校長先生が諸星総合病院を紹介してくれて、麗子の聴覚手術を負担してくれたんだ。」

 

 

 

 

 

 

再び中学時代。麗子は伯父である校長先生の計らいで諸星総合病院を紹介され、聴覚手術を受けた。

 

麗子『・・・あ・・・聴こえる・・・耳が聴こえる!』

 

茂成『麗子。これが俺達の声だ。分かるか?』

 

麗子『畦間君の声!?凄くイケメンな声!』

 

竜司『久し振りに聴くな。俺の声を。』

 

恵里佳『私の声も久し振りじゃない?』

 

麗子『わあ!竜司君と恵里佳ちゃんの声久し振り〜!』

 

恵里佳『補聴器着けてる時にしか聞こえなかったもんね。』

 

竜司『麗子、もうあのクラスメートの処遇は校長先生が下すから心配ないぞ。』

 

麗子『伯父さんが?』

 

恵里佳『うん!これから私達4人ずっと一緒だよ!』

 

 

 

 

 

 

数日後の中学校。麗子をイジメたクラスメート達は今回の件で無期の停学処分を受けた。更に担任はクビになり学校を去った。今このクラスは茂成、麗子、竜司、恵里佳の4人だけ。

 

竜司『何か面白いなこの光景。』

 

恵里佳『皆志望校が決まってるのに、この状況になると皆絶望ね。』

 

茂成『しかし、クラス全員ストレス抱えてたって言ってたけど、何のストレスだろうな?』

 

恵里佳『きっと、受験勉強でストレスとプレッシャーを抱えてたかもね。絶対合格してやるぞって意気込んでる裏で、無意識にストレスを生み出してた。って可能性があるわ。』

 

竜司『頑張るのは良いが、無理は体に毒だもんな。担任はどうだったんだ?』

 

麗子『それ伯父さんから聞いたんだけど。あの先生、夫婦喧嘩で私に暴言吐いて憂さ晴らししてたみたい。今回の件で奥さんにバレて離婚されたらしいよ。』

 

茂成『素直に謝れば良かったのに。まぁ、担任にもプライドがあったんだろうな。しっかし、あの支離滅裂な奴ら本当に最後までクズたっぷりだったな。』

 

新しい担任『皆揃ってるわね?それじゃあホームルームを始めるわよ。』

 

更に担任には、とても明るい女性教員が担ってる。

 

 

 

 

 

 

そして再び現在。

 

茂成「それから俺達は勉強に勤しんで、同じ高校に入学。俺は高校在学中にモロスターアートに入って今に至るんだ。」

 

優之「俺が知らない間にそんなストーリーがあったなんて。にしても、ストレスってだけでイジメるクラスメート達は頭イカれてるな。」

 

竜司「アイツらは他の高校に入学してるか、留年してるか、はたまた引きこもりになってるかの人生を歩んでるだろうな。」

 

恵里佳「もしくは、私達を恨みながら生活してるかもね。まあ私達にはノーダメだけどね。」

 

優之「3人は大学生か?」

 

竜司「ああ。俺達3人同じ大学に通ってるんだ。」

 

恵里佳「本当は茂成と一緒に入学したかったけど、あなたにはあなたの人生があるって思って文句言わなかったわ。」

 

茂成「俺も最初お前達と同じ大学に入りたかったって内心思ってたわ。でもそっちはそっちで楽しそうで何よりだ。」

 

竜司「よし、この後どうする?」

 

麗子「ねぇ、カラオケ行かない?」

 

恵里佳「良いわね!行こう行こう!」

 

茂成「優之もどうだ?」

 

優之「良いのか?」

 

竜司「構わねえよ。茂成の友人なら大歓迎だ!」

 

優之「んじゃ、お邪魔しちゃおうかな?」

 

茂成と茂成の友人達とカラオケで歌い尽くした優之であった。

 

『END』




         キャスト

      愛川優之:濱田龍臣

      畦間茂成:上村祐翔

      久住麗子:伊藤彩沙
       楠竜司:岡本信彦
     宮園恵里佳:上坂すみれ

       宗像紫:礒部花凜
      日野結衣:堀内まり菜
      坪川奈々:熊田茜音

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