進化する人々   作:奥歯

13 / 76
騎馬戦

『さぁ続々とゴールインだ!順位らは後ほどまとめるからとりあえずお疲れ!』

 

緑谷に続き次々と他の生徒らもゴールしていく。肩で息をしながら立ちすくんでいる巧は3位だったが、悔しそうな顔はせず、むしろ本気になった顔をしていた。

 

「ハァ....ハァッ......、またっ.....クソッ.....!クソがっ......!!」

 

「.........」

 

爆豪は1位を取れなかったことか、緑谷な負けたことか、悔しさの声を上げ、轟は無言で緑谷を見ていた。

 

●●●

 

『さぁみんなゴールしたわね。それじゃあ結果をご覧なさい』

 

全員がゴールした後、モニターから順位表が映し出される。

 

1位 緑谷出久

2位 轟焦凍

3位 乾巧 爆豪勝己

4位 塩崎(しおざき)(いばら)

5位 骨抜(ほねぬき)柔造(じゅうぞう)

6位 飯田天哉

7位 常闇踏陰

8位 瀬呂範太

9位 切島鋭児郎

10位 鉄哲(てつてつ)徹鐵(てつてつ)

11位 尾白猿夫

12位 泡瀬(あわせ)洋雪(ようせつ)

13位 蛙吹梅雨

14位 障子目蔵

15位 砂藤力道

16位 麗日お茶子

17位 八百万百

18位 峰田実

19位 芦戸三奈

20位 口田甲司

21位 耳朗響香

22位 回原(かいばら)(せん)

23位 円場(つぶらば)硬成(こうせい)

24位 上鳴電気

25位 凡戸(ぼんど)固次郎(こじろう)

26位 心操(しんそう)人使(ひとし)

27位 (やなぎ)レイ子

28位 拳藤(けんどう)一佳(いつか)

29位 宍田(ししだ)獣郎太(じゅうろうた)

30位 黒色(くろいろ)支配(しはい)

31位 小大(こだい)(ゆい)

32位 (りん)飛竜(ひりゅう)

33位 庄田(しょうだ)二連撃(にれんげき)

34位 小森(こもり)希乃子(きのこ)

35位 鎌切(かまきり)(とがる)

36位 物間(ものま)寧人(ねいと)

37位 角取(つのとり)ポニー

38位 葉隠透

39位 取陰(とかげ)切奈(せつな)

40位 吹出(ふきだし)慢我(まんが)

41位 発目明

42位 長田結花

43位 青山優雅

 

同率3位の二人がいるため、以上44名が次の第二種目へと進むことができる者たちである。その殆どがヒーロー科の面々で他の科の者は一人しかいない。

 

『見ての通り予選通過は上位44名!本当は43人までだったんだけど3位が二人もいるから44人となってしまったわ!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されているわ!そしていよいよ本戦よ!ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!』

 

そういうと画面が突然ルーレットのように周りだし、ミッドナイトは続ける。

 

『さーて、第二種目よ!私はもう知ってるけど〜〜....何かしら!?言ってるそばからこれよ!!』

 

モニターに映し出されたのは騎馬戦。第二種目は数人のチームを組んで対戦する。ミッドナイトは騎馬戦の説明する。

 

『参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが......先程の結果に従い、各自にポイントが振り分けられること!』

 

「入試みたいなポイント稼ぎ方式か、わかりやすいぜ」

 

「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると!」

 

「「あー!」」

 

『あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!』

 

そういうとミッドナイトは怒りながら鞭を地面に打ちつける。

 

『ええそうよ!そして与えられるポイントは下から5ずつ!43位が5ポイント、42位が10ポイント....と言った具合よ。そして...1位に与えられるポイントは1000万!!』

 

その瞬間全員の視線が緑谷の方に向く。緑谷はその予想だにしないポイント数に驚愕していた。

 

「1000万....?」

 

『上位の奴ほど狙われちゃう競技....言うなれば!下剋上サバイバルよ!!上に行くものには更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でも聞かされるよ。これぞPlus Ultra!予選通過1位の緑谷出久君!持ちポイント1000万!!』

 

ミッドナイトが言うと更に視線が緑谷の方に向き、緑谷は冷や汗を流す。

 

『制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイント数が表示された鉢巻を装着!終了までに鉢巻を奪い合い保持ポイントを競うのよ。とった鉢巻は首から上に巻くこと。取りまくれば取りまくるほど管理が大変になるわよ!そして重要なのは鉢巻を取られても、また騎馬が崩れても、アウトにはならないってところ!個性発動ありの残虐ファイト!でも....あくまで騎馬戦!悪質な崩し目的での攻撃などはレッドカード!一発退場とします!それじゃこれより15分!チーム決めの交渉タイムスタートよ!』

 

●●●

 

巧は誰と組むか考える。まずは一番信頼できる緑谷がいいと思い、緑谷のところに向かった。その途中で誰かとぶつかってしまう。

 

「悪りぃ....いっ!!」

 

ぶつかってしまった巧は相手の顔を見て驚く。なんとそこにいたのは、障害物競走の時にたまたま隣にいた発目明であった。発目はぶつかったのが巧だと気づくと嬉々として近づいてきた。

 

「これまた偶然!またまた会いましたね乾さん!」

 

「お前...なんでここに....」

 

巧は近寄ってくる発目に対して後退りながら質問する。

 

「それは障害物競争で43位内に入ったからじゃないですか。順位表見てなかったんですか?」

 

巧はあの時、自分の順位しか見ていなかったため、誰が43位内に入ったのか分からなかった。そして発目は近づく。それと同時に巧は後退る。

 

「それはそうと....私にあのバイク...譲ってくれる気にはなりましたか?」

 

またあの質問をして来た。もしかしてわざとぶつかって来たんじゃないかとも疑う。巧は言い返す。

 

「何度も言うが、お前に渡すわけないだろ!!もう俺に近づくんじゃねぇ!!」

 

そういうと巧は発目から逃げるために走り出す。後ろにいる発目も逃すまいとして巧を追いかける。足の速さでいえば巧の方が早いためあっという間に距離が開いた。もうそろそろいいだろうと思い、走るのをやめる。そしてしばらく歩いていると緑谷の姿が見えた。しかも隣には麗日の姿もある。巧は緑谷のところに近づき、緑谷も巧の存在に気づいたのか振り返る。

 

「たっくん!」

 

「出久、俺とチーム組んでくれねぇか?」

 

「うん!たっくんがいれば心強いよ!」

 

「乾君がいれば百人力や!」

 

巧はチームに入れてもらえるか緑谷に頼んでみると、緑谷も麗日も快く受け入れてくれた。しかし緑谷は不安げな顔になる。

 

「でもいいのかな....僕1位だったからみんなに狙われる羽目に....」

 

「それでいいんだよ、無理に相手の点取らなくたって、自分たちの点数守ってりゃあいい」

 

「そうか!その方がリスクが低い!」

 

緑谷の不安な顔に巧は安心させるように作戦を言う。その作戦に緑谷も顔が明るくなった。

 

「あとはもう一人欲しいな....」

 

「だったら私でどうでしょうか!」

 

巧はあともう一人欲しいと思っていたところに後ろから声が聞こえる。その聞き覚えのある声に、巧は嫌な予感がした。恐る恐る振り返ると案の定、そこにいたのは発目だった。巧はすぐに距離を置き緑谷の後ろに隠れる。

 

「おい出久!こいつはダメだぞ!!こいつだけはダメだ!!!」

 

完全に発目にビビっている巧に緑谷は少し困惑していた。巧といえばどういった状況にもあまり動じない性格なので、こんなに焦っている顔を初めて見たかも知れない。相当この発目という女がやばいのか。そんなことを思っていると発目は話を続ける。

 

「ご安心下さい乾さん!私は乾さんと一緒にチームを組めばもしかしたらバイクをもらえるかも知れないなんてそんなやましいことは決して、決して考えていません!ただ1位であるあなたのチームにつけば必然的に注目度は上がる!そうすれば私のドッカワイイベイビーを大企業の目に留まるわけで、私のドッカワイイベイビーがもしかしたらあのスマートブレイン社にも見てもらえるかも知れないんです!」

 

怒涛の早口で理由を説明する発目。しかしどんな理由であろうとも、巧は発目のことを受け入れることはできなかった。

 

「お前の事情なんて知るか!さっさと俺たちから離れろ!」

 

「たっくん、別にいいじゃんそれくらい.....」

 

「いいわけねぇだろ!お前こいつがどんな奴かしらねぇからそんなことが言えるんだ!」

 

頑なに発目をチームに入れたくない巧。緑谷が困っていると、後ろにいた麗日が喋り出す。

 

「ねぇもう時間ないし、仕方ないからこの子でもええんちゃうん?」

 

その言葉に対し二人は時計を見るともうすぐ15分が経とうとしていた。周りはもうチームを組んでいて他に組めそうな奴がいない。巧は発目を見る。その顔は愛想笑いととるべきか、純粋な笑顔ととるべきか、はたまた別の意味があるのか、底が知れない相手という者には、恐怖を感じるのが普通。巧は今その状況に面している。しかし時間がない。あともう一人欲しいと言ったのは巧自身。もう一度言うが時間がない、そして巧は....。

 

●●●

 

『15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!さぁ上げてけ!鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今狼煙を上げる!』

 

「たっくん!麗日さん!発目さん!よろしく!」

 

「ああ」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

緑谷チームの構成は騎手が緑谷、前の騎馬が巧、左と右が麗日と発目ということになった。結局巧は発目をチームに入れることにした。理由としては発目のサポートアイテムが騎馬戦で役に立てそうだったのと、拒否していれば後々もっと面倒なことになりそうだったためだ。そして緑谷チームは配置につく。

 

『よぉーし!組み終わったミテェだな!!準備はいいかなんて聞かねぇぞ!!いくぜ、残虐バトルロワイヤルカウントダウン!!!3!2!1!START!!!』

 

プレゼントマイクの合図とともに11組の騎馬たちが一斉に緑谷チームのところまで迫って来る。

 

『実質1000万(それ)の争奪戦だ!!』

 

「まぁ、当然だな。わかってるよな出久?」

 

「うん!勿論逃げの一手!!」

 

その言葉どうり緑谷チームは逃げる。しかし突然、地面が泥のようになり、足をとられてしまう。

 

「ケッ!」

 

「チッ!あいつの個性か!」

 

地面を泥のようにした者の正体はB組の鉄哲チームの一人、骨抜柔造である。いきなりピンチになった緑谷チーム。緑谷は指示を出す。

 

「麗日さん!発目さん!飛ぶよ!」

 

そして麗日は個性の無重力を使い体を軽くし、巧の個性であっという間に空へと飛び、鉄哲チームを回避する。

 

「かわした!?やっぱ読まれてやがる!!」

 

「逃しません!!」

 

鉄哲チームの塩崎は自身の茨のようになっている髪を使って束縛しようとするが巧はこれも衝撃で全て弾き返した。

 

「こ、これも防いだ!?」

 

流石に防がれるとは思ってもいなかったのか鉄哲チームはかなり驚いている。緑谷チームはその隙に距離を置く。しかし次の瞬間何かが緑谷チームに飛んでくることに巧は気づき、すぐさま衝撃で弾く。

 

「ヤベェ!バレてたぞ!?」

 

その何かは紫色のボール状のものであった。そのボールの持ち主といえばこの男、峰田実。今度は峰田チームが攻めて来た。そのチームは障子の個性、複製腕でガードを固めていて、他のメンバーの姿が見えず攻め入ることは難しくなっている。そして今度はチームの一人の常闇が個性を使って追撃してくる。

 

黒影(ダークシャドウ)

 

すると突然複製腕の隙間から鳥型の影、黒影(ダークシャドウ)がこっちに向かって攻めてくる。そして巧は緑谷に告げる。

 

「このまま突っ込むぞ!」

 

「うん!」

 

何をするのか察した緑谷は承諾し、緑谷チームは峰田チームに向かって走る。そして黒影(ダークシャドウ)は緑谷チームに攻撃して来た。

 

『オラァッ!!』

 

「邪魔だぁ!!」

 

『ウゲェッ!!』

 

それと同時に巧は衝撃で黒影(ダークシャドウ)を殴り飛ばす。常闇はそれでも黒影(ダークシャドウ)を戻さない。

 

「くっ....!怯むな黒影(ダークシャドウ)!」

 

「流石に乾相手じゃ一筋縄ではいかないか....」

 

「このチームじゃやっぱり難しいわね」

 

「やっぱりってなんだよ!?やっぱりって!?」

 

黒影(ダークシャドウ)は果敢に挑むが全て弾き飛ばされてしまう。流石に限界か、常闇はダークシャドウを戻してしまう。

 

「もういい黒影(ダークシャドウ)戻れ!」

 

黒影(ダークシャドウ)が戻って行ったのを見計らい、巧はこのまま峰田チームに走っていく。

 

「傷つけることはしねぇ、ただここで落ちてもらう!」

 

そして巧は拳を握り締める。すると巧の拳が歪み始めると思いっきり腕の装甲に向かって拳を突き出した。

 

「オラァ!!」

 

その衝撃は複製腕の装甲を突き破り、ものすごい風が巻き起こし、峰田チームは峰田の絶叫と共に吹き飛ばしてしまった。

 

「ぎゃああああああああああ!!」

 

峰田チームは体勢を崩してしまい全員倒れ伏してしまう。ここで峰田チームのリタイアとなった。

 

●●●

 

「今は空中に逃げた方が良さそうだな」

 

「うん!二人とも頭避けて!」

 

緑谷はそういうと手にあったスイッチを押す。すると背中に背負っていたバックパックが起動し、麗日の無重力と巧の衝撃が合わさり空高く飛んだ。

 

「調子乗ってんじゃねぇぞクソがっ!!」

 

すると下から爆豪が爆破で飛び上がり緑谷チームのところまで迫ってくる。巧は振り向き爆豪に立ちはだかる。

 

「かかってこい!!」

 

爆豪は巧の挑発を受け取り、爆破を纏った拳を突き出し、巧も衝撃を纏った拳を突き出した。そしてお互いの拳がぶつかり合う。そしてそのものすごい衝撃が当たり一面に広がり、それは観客席にまで届いた。そして競い合いの末、お互いの拳は弾かれ爆豪は下へと落下していき、瀬呂のテープでキャッチされた。

 

「跳ぶなら跳ぶって言えよ!危ねぇだろ!」

 

「.......チッ!」

 

『乾と爆豪の拳がぶつかり合ってものすごい衝撃波が起こったぞおおおお!!っていうか騎馬から離れたけどいいのかあれ!?』

 

「テクニカルなのでOK!地面に足ついてたらダメだったけど!」

 

騎馬から離れていても反則にならないのなら空中も安全ではないということ、誰かが狙ってくるのも時間の問題だ。緑谷チームは取り敢えず地面に着地する。

 

『さぁ7分経過!未だに1位は動かず緑谷チームが保持!正直A組緑谷以外パッとしねぇ.....ってか爆豪あれ!?』

 

プレゼントマイクは実況中何かに気づいたのか爆豪の方を見る。なんと爆豪は物間チームに鉢巻きを取られてしまっていた。

 

「何盗られてんだあいつ....」

 

巧は物間に取られてしまった爆豪に呆れつつも次の行動をどうしようかと考えている時、緑谷チームに向かって地面から氷が伝わってくる。巧は咄嗟に飛び上がり、衝撃で氷塊を破壊する。

 

「よそ見してんじゃねぇぞ」

 

この攻撃をしてくるのは他の誰でもない轟であった。今度の相手は轟チーム。騎馬が轟となりその下には、飯田、八百万、上鳴の3人だ。飯田の個性エンジンでこちらに迫ってくる轟チームに緑谷チームは迎え撃つ。

 

『さぁ残り時間半分をきったぞ!!!』

 

「そろそろ獲るぞ、1000万」

 

轟の視線は緑谷チーム一点。轟はチームに指示を出す。

 

「八百万、ガードと伝導を準備。上鳴は....」

 

「わかってる!しっかり防げよ!」

 

何が来るか察した巧は地面に両拳を打ち付ける。そして上鳴は個性を発動する。

 

無差別放電!130万ボルト!

 

その瞬間上鳴から大量の電気が放出され近くにいたチームが上鳴の電気に感電してしまうが、轟チームは八百万が創造した絶縁体で防御し、巧は咄嗟に地面を殴り衝撃で地面が隆起し、それが一瞬だけ盾になり上鳴の電気を避けることができた。

 

「一気に畳み掛けるつもりか....!」

 

「大丈夫!このまま落ち着いて1000万をキープできれば、僕たちの勝ちだ!」

 

「残り6分弱。後は引かねぇ、悪いが我慢しろ」

 

1対1になり、そして非常に不味い状況でもあった。轟チームには轟の氷結、上鳴の放電、八百万の創造、飯田のエンジン。遠距離中距離攻撃にも、防御にもスピードにもどれも隙のないチームだ。対して緑谷チームは殆ど寄せ集めのチームのようなもので遠距離やスピードに特化した個性を持った者がいない。完全にこっちが不利。この状況をどう切り抜けるのか緑谷と巧は必死に考えていた。対して轟の方ではまず叩くべきは巧の方だと考えていた。巧の個性衝撃は遠距離攻撃が無いものの、近距離では圧倒的な破壊力を見せる。威力だけ見ればA組の中ではおそらく一番強力な個性だ。氷結で攻撃してもすぐに破壊されてしまうだろう。しかし上鳴の放電ならば、流石の衝撃だけでは防ぐことはできない。そして轟は少しラリっている上鳴に指示を出す。

 

「上鳴!」

 

「ウェア!」

 

「お前ら!少し我慢しろよ!」

 

そして上鳴はもう一度いつもよりためを入れて緑谷チームに向かって放電を放つ構えをとる。このままでは上鳴の放電に感電してしまう。しかし巧は両拳に衝撃を纏い、力を込める。するとその衝撃が手のひらに凝縮し、球状の形になった。そして巧は両手で潰すように勢いよく叩いた。そしてその拳の中で凝縮された衝撃が弾け一気に解放される。その瞬間に緑谷チームは後ろに吹き飛ばされ、轟チームと距離を取り、轟チームも吹き飛ばされ上鳴は放電を放ち損ねてしまった。

 

「うわわ!」

 

「クッ.....!どんな威力してんだ.....!」

 

轟チームはなんとか体勢を崩さずに済んだが、緑谷チームとかなり距離が空き、この距離では轟の氷結や上鳴の放電も射程外だ。飯田のレプシロバーストもまだ残しておきたい。轟チームは緑谷チームにもう一度追いかける。

 

「チッ...!追うぞ!」

 

なんとか轟チームの猛攻を逃れた緑谷チーム。だが、一息ついている暇はない。かなり距離が空いていてもすぐに追いついてくるだろう。もう既に轟チームの姿が見える。

 

「なんとか撒けたな。今のくらってたら相当やばかったぞ.....」

 

上鳴は馬鹿ではあるが個性に関しては強個性といってもいい、使い手が上鳴だったからよかったものの、使い方次第ではかなりの強敵になっていただろう。

 

「もう逃げ続けるのも限界みたいだ。今の衝撃でバックパックが壊れちゃった」

 

「うーむ。まだまだ改善の余地ありですねぇ」

 

バックパックは巧の衝撃で壊れてしまい、空に逃げるという選択肢も無くなった。麗日は狼狽えてしまう。

 

「ど、どうしたら....」

 

「真っ向から行くしかねぇな」

 

攻撃は最大の防御。巧の言う通り、最早真っ向から立ち向かうしか勝ち目はないようだ。そんなことを言っている間に轟チームが迫ってくる。緑谷は覚悟を決める。

 

「みんな!行くよ!」

 

その言葉に緑谷チームは迫ってくる轟チームに身構える。轟チームも察したのか望み通りにと、真っ向から突っ込んで行った。

 

「みんな!急ですまないがしっかりつかまってろ!!」

 

すると飯田が突然何を言い出すかと思ったが、3人は飯田を信じ、しっかりとつかまる。そして飯田は全力で個性を発動した。

 

トルクオーバー!

レプシロバースト!!!

 

その瞬間、飯田のエンジンのようになっている脚から煙があがってしまうほどの物凄い勢いで緑谷チームに迫り、緑谷を横切り、轟はすかさず緑谷の頭に巻きつけてある鉢巻を奪い取った。

 

「飯田、なんだ今の?」

 

「トルクと回転数を無理矢理上げて爆発力を生んだんだ。反動でしばらくエンストするがな。クラスメイトには教えていない裏技さ」

 

今の技は飯田の隠し持っていたいわゆる必殺技のようだ。緑谷は一瞬何が起こったのか分からなかった。だが、すぐに理解する。鉢巻を獲られた。今、緑谷チームは一位から転落し、0ポイントの状態へと成り下がってしまったのだ。

 

「チィッ!!」

 

「突っ込んで!」

 

緑谷の指示で騎馬は轟チームに突っ込んでいく。このままでは負けてしまう。残り時間も少ない。取り返さなければ、ここで落ちるわけにはいかない。そう思っているのは緑谷だけではない。緑谷はワン・フォー・オールで力を増幅させる。

 

(大丈夫だ!どのみち当てはしない!空を切るようにっ....!)

 

そんな緑谷に気押されたのか、轟は思わず左側から炎が出てしまい、油断が生まれる。

 

(俺はなにを....?)

 

その隙をついて緑谷は大きく腕を振り上げる。

 

「おりゃああああ!!!」

 

緑谷は轟から1000万の鉢巻を取り返した。緑谷は勝利の声を上げる。

 

「取った!取ったぁ!」

 

しかし何かの異変に気づく。緑谷は奪い取った鉢巻を見てみると、それは1000万点の鉢巻ではなく、70点の鉢巻であった。

 

「万が一に備えて鉢巻の位置は変えていますわ!甘いですわ緑谷さん!」

 

既にすり替えられていた。もう1分もない。しかし緑谷チームは最後まで足掻く、緑谷チームは再度轟チームに突っ込んで行った。しかし、その足掻きも虚しく。プレゼントマイクの終了の声が響き渡った。

 

『Time Up!!』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。