進化する人々   作:奥歯

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職場体験
ヒーロー名


休日も終わり、巧と緑谷はオートバジンに乗って登校していた。今日は雨が降っており二人はカッパを着ている。雄英高校に到着しオートバジンを駐車場に停めた後、カッパを脱いで二人は教室へと向かった。教室に着くと皆妙に疲れたような顔をしていた。どうやら学校に来る途中で周りの人たちに話しかけられたりして学校に来るまで大変だったらしい。巧と緑谷はオートバジンで通学しているためそう言ったことはなかった。そうこうしているうちにチャイムかなり相澤が教室に入ってきた。今からHRが始まる。

 

「おはよう」

 

「「「「「おはようございます!!」」」」」

 

相澤が挨拶をすると生徒たちは5倍くらい大きく挨拶を返した。

 

「はい、元気が良くてよろしい。早速だが今日のヒーロー情報学だかちょっと特別だぞ。"コードネーム"ヒーロー名の考案だ」

 

「「「「「胸膨らむやつきたあああ!!」」」」」

 

今日の授業はヒーロー名の考案。ヒーローといえば自身を表す名前が必要不可欠。アイデンティティであり誇りである。そんなヒーロー名を今から考えるというのは誰であっても心が高鳴るものだ。全員が大騒ぎしている中で相澤が睨むと一瞬で静まり返った。

 

「というのも先日話した"プロからのドラフト指名"に関係してくる。指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2〜3年から.....つまり今回来た指名は将来性に対する興味に近い。卒業までにその興味を削がれたら一方的にキャンセルなんて事はよくある」

 

「大人は勝手だ!」

 

相澤の説明に峰田はその怒りを自分の机にぶつけた。そして葉隠が相澤に質問をする。

 

「頂いた指名がそのまま自分のハードルになる....ってことですよね!?」

 

「そ。で、その指名の集計結果がこうだ」

 

そういうと相澤は電子黒板からプロヒーローからの指名の集計結果を表示した。

 

轟焦凍   4800

乾巧    3200

爆豪勝己  2100

飯田天哉  661

上鳴電気  272

八百万百  108

切島鋭児郎 68

麗日お茶子 20

瀬呂範太  14

 

「例年はもっとばらけるんだが、三人に注目が偏った」

 

「だーーー白黒ついた!」

 

「見る目ないよね、プロ☆」

 

皆口々に語る中集計結果を見ていた耳朗が少し驚いた様子で疑問を口にする。

 

「あれ?なんで乾のより轟の方が高いんだろ?乾1位だったのに....」

 

「そらオメェ、あんな容赦ねぇファイトスタイル、ヒーローっぽくねぇだろ、ただのチンピラじゃねぇかよあれ」

 

「まぁ、そうだよな。俺がプロだったら指名はしないかなぁ」

 

耳朗の疑問に、瀬呂と上鳴は巧の方をチラチラと見ながら理由を説明する。見られていたことに気づいていた巧は睨みをきかせると、二人は急いで目を逸らした。

 

「意外と爆豪票貰ってんな。体育祭めちゃくちゃヘイト集めてたのに」

 

「個性はすげーけどあんな性格じゃあねぇ....」

 

「出すわこっからぁ!!」

 

切島と瀬呂の会話を聞いていた爆豪は二人に怒鳴り散らす。

 

「流石ですわ、轟さん」

 

「殆ど親の話題ありきだろ.....」

 

轟はNo.2の息子だから票数が多いと思っており、特別嬉しそうではなかった。

 

「これを踏まえ.....指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようってこった」

 

「それでヒーロー名か!」

 

「俄然楽しみになってきたぁ!」

 

「まぁ、仮ではあるが適当なもんは.....」

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ!」

 

突然扉が開かれ全員が視線を向けるとそこにいたのはミッドナイトであった。

 

「この時の名が!世に認知され、そのままプロ名になっている人多いからね!」

 

「「「「「ミッドナイト!!」」」」」

 

「まぁ、そういう事だ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう......、俺はそういうのできん。将来自分がどうなるか名をつけることでイメージから固まりそこに近づく。それが"名が体を表す"ってことだ.....。オールマイトとかな」

 

これから自身のヒーロー名を考えてもらうために全員にフリップボードが配られた。さっきまで騒いでいた生徒も集中して自分の名前を考えている。相澤はこれに関してはあまり得意ではないと言っていたためにさっさと寝袋に入って寝てしまった。巧はフリップボードを見つめながら考えていた。自身のヒーロー名、巧はこうなる前に何も考えてこなかった。他のみんなは考えているとはいえ、何かしら想像はしていた筈だ。ヒーローに興味がなかった巧は一体どうしたらいいか頭からを悩ました。

 

●●●

 

「じゃ、そろそろできた人から発表してね!」

 

(((((発表形式かよ!?)))))

 

大体15分ぐらいたったあとまさかの自分が考えたヒーロー名を発表しなくてはいけないという状況になり、巧はさらに頭を抱えた。まだヒーロー名の頭文字すら思いついていない。そして最初に発表したのは青山だった。

 

「じゃあ僕からいくよ。

輝きヒーロー"I can not stop twinkling."!略して"キラキラが止められないよ"!☆」

 

「「「「「短文っ!!」」」」」

 

まさかの英短文のヒーロー名に思わずツッコミが入る。そしてミッドナイトは青山のヒーロー名に軽くアイデアを入れた。

 

「そこはIをとってCan'tに省略した方が呼びやすい」

 

「それねマドモアゼル☆」

 

そして次は芦戸は発表する。教卓に立つとフリップボードを見せた。

 

「じゃあ次はあたしね!

リドリーヒーロー"エイリアンクイーン"!!」

 

2(ツー)!血が強酸性のアレを目指してるの!?止めときな!!」

 

「ちぇ〜」

 

名前が某ホラー映画のキャラクターのような名前にミッドナイトは流石に止めた。そうしているうち雰囲気が楽しくなってきたところで次は蛙吹が教卓に立ちフリップボードを見せた。

 

「じゃあ次私いいかしら?小学生の時から決めてたの。梅雨入りヒーロー"フロッピー"!」

 

「可愛い!!親しみやすくていいわ!!みんなから愛されるお手本のようなネーミングね!!」

 

「「「「「フロッピー!フロッピー!フロッピー!」」」」」

 

完全にみんなの緊張が解れ、クラスはフロッピーの名前を盛大に称えた。そして切島が教卓に立ち自分で考えたヒーロー名を自信満々に答えた。

 

「んじゃ俺!!剛健ヒーロー"烈怒頼雄斗(レッドライオット)"!!」

 

「"赤の狂騒"!これはアレね!?漢気ヒーロー"紅頼雄斗(クリムゾンライオット)''のリスペクトね!!」

 

「そっす!だいぶ古いけど俺の目指すヒーロー像は(クリムゾン)そのものなんす!!」

 

「ふふ....憧れの名を背負うってからには相当の重圧がついてまわるわよ?」

 

「覚悟の上っす!!」

 

憧れのヒーローの名を背負う。それはかなりのプレッシャーとなるが、切島は覚悟の上でこの名にしたようだ。

 

「うあ〜、考えてねぇんだよなまだ俺」

 

「つけたげよっか、"ジャミングウェイ"」

 

「おお!"武器よさらば"とかのヘミングウェイもじりか!インテリっぽい!カッケェ!」

 

「〜〜〜いやっ、せっかく強いのにブフッ!!すぐ...........ウェイ.......ってなるじゃん......!?ブフフッ!!」

 

「っ!?耳朗お前さぁ!ふざけんなよ!」

 

上鳴は耳朗の提案に嬉しそうな反応をするが、耳朗が笑っているところを見てすぐに馬鹿にされていることに気づき耳朗に怒った。次は上鳴を馬鹿にしていた耳朗がフリップボードを見せた。

 

「ウチはこれ、

ヒアヒーロー"イアホン・ジャック"」

 

「いいわねぇ!さあどんどんいきましょ!次!」

 

だんだんと盛り上がってきたヒーロー名の発表に他の生徒たちも次々と発表していった。まとめるとこのようになった。

 

青山優雅  Can't stop twinkling

芦戸三奈  Pinky

蛙吹梅雨  フロッピー

麗日お茶子 ウラビティ

尾白猿夫  テイルマン

上鳴電気  チャージズマ

切島鋭児郎 烈怒頼雄斗(レッドライオット)

口田甲司  アニマ

砂藤力道  シュガーマン

障子目蔵  テンタコル

耳朗響香  イヤホン・ジャック

瀬呂範太  セロファン

常闇踏陰  ツクヨミ

轟焦凍   ショート

葉隠透   インビジブルガール

峰田実   グレープジュース

八百万百  クリエティ

 

順調に進み爆豪の番となった。爆豪は教卓に立つと自分で考えたヒーロー名を自信満々に見せる。

 

爆豪勝己 爆殺王

 

「そういうのやめた方がいいわね」

 

「何でだよ!?」

 

「爆発さん太郎にしろよ!!」

 

「黙ってろクソ髪ぃ!!」

 

爆豪の考えたヒーロー名は即座に却下され苛立ちながらも爆豪は席に戻った。

 

「思ったよりずっとスムーズ!残ってるのは再考の爆豪君と....、乾君、飯田君、そして緑谷君ね」

 

残るは四人、巧はまだ何も考えておらず、もはや考えるのも面倒くさくなってしまった。しばらくすると、飯田が教卓に立ちフリップボードを見せる。

 

飯田天哉 天哉

 

「あら、あなたも名前ね?」

 

「.........」

 

いつも真面目でうるさい飯田は珍しく黙ったまま席に戻った。そんな飯田に巧は妙に気になってしまった。そうしているうちに今度は緑谷が向かい教卓でフリップボードを見せる。

 

緑谷出久 デク

 

「!?」

 

「えぇ緑谷、それでいいのか!?」

 

緑谷のヒーロー名にみんなは驚く。デクといえば爆豪が緑谷につけていたあだ名だった。

 

「うん。今まで好きじゃなかった。けど、ある人に意味を変えられて.....、僕には結構な衝撃で嬉しかったんだ......。これが、僕のヒーロー名です!」

 

意味を変えられた。緑谷の言葉に巧はあの時のことを思い出していた。それは麗日が何故か緑谷のことを"デク君"と呼んでいて、巧はそのことに対して怒り混じりに麗日に問いただしていた。麗日は半泣きになりながら「で、デクって頑張れって感じやない?」と答えた。巧はその答えにムカついたが途中で緑谷が止めに入りことなきを得た。巧は緑谷のあだ名がそういう意味として言われたことに嬉しかったんだと今思った。そうしているうちに残りは二人、巧と爆豪だけだ。巧はそろそろまずいと思い必死に考えたが、なかなか思いつかない。みんなが発表を待っていると、巧はあることを思い出し、フリップボードに書いた。そして立ち上がり教卓の前に立ちフリップボードを見せる。

 

乾巧 555

 

「555?」

 

巧が発表したヒーロー名はどう呼んだらいいかわからない数字だった。みんなはそのヒーロー名に困惑する。

 

「数字?これ、どう読むの?」

 

ミッドナイトが質問をすると巧は説明をした。

 

「ファイズ。俺が使ってるあのベルトからとった。5の複数形でファイズって意味と、ギリシャ文字のΦとかけてる」

 

「あーそういうこと。あのベルトかっこいいよなぁ。俺も一度でいいから変身したいぜ!!」

 

「ガラケーで変身するのってなんかすごいオシャレだよね!武器にもなるし!必殺技もスタイリッシュでかっこいいし!」

 

皆口々にファイズの良さを語っていた。巧としては少し嬉しかった。褒められるのは柄じゃないが、自分の両親の形見を良く言ってくれるのは少し誇らしかった。自分もこの名に恥じぬように、死んだ両親が誇らしく思われるように巧は決意したのだった。

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