『1 0 6』
『Entar』
BURST MODE
巧はファイズフォンにコードを入力し、白い脳無に向かって撃つが、避けられてしまう。そして白い脳無は巧に飛びかかってきた。巧は右に転がり、攻撃を回避する。その間に巧はファイズフォンにコードを入力する。
『1 0 3』
『Entar』
SINGLE MODE
今度は精密射撃に優れたシングルモードで白い脳無に向かって撃つ。今度は右の翼に命中し、白い脳無はバランスを崩して落ちてしまう。地面に墜落した白い脳無はなんとか立ち上がり飛び立とうとするが、右の翼がやられてしまい、飛ぶことができなかった。その隙に巧はミッションメモリーをファイズショットにセットし、エンターキーを押す。
Ready
『Entar』
Exceed charge
その音声とともに、ファイズドライバーからフォトンストリームをつたってフォトンブラッドが流れ、ファイズショットにエネルギーをチャージする。そして巧は走り出し、白い脳無の顔面に向かってグランインパクトをくらわした。
「ハァッ!!」
グランインパクトをくらった脳無は、背後にΦの文字が浮かび上がると同時に吹き飛ばされ壁に激突し、そのまま動かなくなった。USJと戦った脳無よりも弱かったためか、すぐに倒した巧は変身を解除し、オートバジンに乗り込む。すると後ろからまだ黒い脳無と交戦中のエンデヴァーが巧を止めに来た。
「おい!単独行動は禁止と言ったはずだ!!」
「出久が危ねぇんだ!それぐらい目ぇつぶれ!!」
巧はそれだけを言うとオートバジンを走らせ目的地へと向かった。エンデヴァーは止めようとしたが、今は黒い脳無を対処しなくてはいけないため、そっちを優先することにた。
●●●
巧がオートバジンで目的地まで向かっている間、保須には既に脳無たちがおり、相当な被害が出ていた。
「クソッ!ここもか!」
今すぐ脳無の対処をしたいところだが今は緑谷のことが心配だ。脳無はプロに任せ、巧は目的地にに向かう。目的地に到着すると緑谷たちはヒーロー殺しことステインと交戦中だった。
「出久!」
「あ!たっくん!」
巧は緑谷の前に立ちステインを睨む。ステインは巧を見るなりため息をついた。
「ハァ......また増援か......」
巧は手首をスナップして構える。ただものではない雰囲気がただよっている。巧は瞬時にこいつは強いと感じた。すると緑谷は巧に向かって警告をした。
「たっくん!そいつは血を経口摂取することで相手の動きを止める個性だよ!気をつけて!」
「わかった」
「おい、変身すれば問題ないんじゃねぇのか?」
「黙ってろ。俺は俺のやり方でやる」
轟に言う通り、血を経口摂取して相手の動きを止める個性だというならばファイズに変身すれば問題ないはずだ。しかし巧はそうはしなかった。ファイズとして変身するのは、脳無かオルフェノク相手にしか変身しないと決めていた。人間相手に変身すれば、命を奪ってしまうかもしれない。それほどまでにファイズギアは危険なのだ。
「ハァ.......お前は本物か.....偽物か.....?」
「?なんの話だ?」
するとステインは巧に切りかかる。巧は咄嗟に左に避ける。そして今度は足を狙ってきた。巧はすぐに後ろに飛んで回避する。
「とりあえず、ネイティブさんを安全なところに。飯田君、動ける?」
「あいつ一人で何処まで粘れるか、動けるようになったら俺もいくぞ」
「駄目だ......兄さんの仇は僕が......俺が討たなきゃ......インゲニウムは僕が......」
飯田はまだインゲニウム、飯田の兄の仇を取ろうとするが、ステインに言われたことを思い出す。自分は真のヒーローとは言えない、確かにそうかもしれない。しかし、真のヒーローではなくてもいつかは自負の兄のような立派なヒーローになる。そのために雄英に来たのだ。飯田は考えを改める。
「.......いや、わかった」
そう言って飯田はインディアンを担ぎ、開けた場所に移動しようとすると、巧と戦っていたステインが隙をついて飯田にナイフを投げた。ナイフは飯田の左腕に命中し、動きが止まってしまう。
「お前!相手は俺だぞ!!」
「あいつは俺が殺すと決めた。偽物のヒーローは必要ない」
「偽物?」
巧は偽物という言葉に疑問を持つ。するとステインは話し始めた。
「あいつは復讐に囚われ、そこのヒーローを助けずに俺を捕まえることを優先した。他のやつも同じだ.....金、名誉、名声........どいつもこいつも自分のことばかり、偽物だらけだ。そんな世の中を誰かが正さなければならい」
巧はその威圧的な声に、巧はさらに警戒する。するとやっと動けるようになった轟が巧の加勢に来た。
「さっきあいつにやられて怪我してんだろ?足手まといはすっこんでろ」
「さっきは調子が悪かっただけだ。あれくらい俺一人で充分だ」
「偽物だらけの世を、正さねば.....偽物のヒーローは、ハァ......必要ない!」
そういうとステインは巧たちに突っ込んできた。轟はすぐさま氷を生成して捉えようとするが簡単に避けられてしまい、ステインは壁を蹴って巧に突っ込む。巧は咄嗟に地面に倒れるように体を大きく逸らし刀を避けた。そしてステインは刀を巧に向かって突きつけるが、すぐに左に避ける。そして轟がステインに蹴りを入れるが受け止められ、逆に足を掴まれて投げ飛ばされた。巧はステインに殴りかかるが避けられ、胸に掌手をくらい吹き飛ばされる。
「誰かがやらねば、この世は変わらない......誰かが粛清しなければ、この腐った世は変わらない!そのために俺がいる!」
ステインは刀を振り上げ巧たちに切り掛かってきた。絶体絶命の時、巧はステインが間合いに入った瞬間、ステインの腹を殴り飛ばした。
「ハァ!!」
「アガァッ!!」
吹き飛ばされ隙ができた瞬間に巧と轟はステインに向かって走り出し、畳み掛けた。腹をおさえているステインは轟に攻撃しようとするが、避けられてしまい顔面を殴られ、仰け反ったところを巧が後ろに回り込み背中を蹴り飛ばした。吹き飛ばされたステインはなんとか立ち上がろうとするが、最後に巧の衝撃を纏った右拳と、轟の炎を纏った左拳でステインの顎を殴り飛ばし、ステインは吹き飛ばされ地面に激突し、そのまま気絶した。
「なんとかなったな.....」
「クソッ......結構手強かったなこいつ」
巧と轟は気絶したステインを近くにあった縄で縛り上げ担いだ後、開けた場所まで来る。すでにヒーローたちが脳無の対処を済ましているようだ。するとすでに避難していた緑谷が駆け寄ってきた。
「たっくん!轟君!無事だったんだね!」
「ああ、見ての通り俺が倒した」
「馬鹿言え、俺が倒した」
この状況でもまだ言い合っている二人に緑谷は苦笑いする。するとその3人に小柄な老人が駆け寄ってきた。全体的に黄色いコスチュームを身に纏っており、おそらくヒーローだろう。
「誰だジジイ?」
「ジジイとは、最近の若もんは礼儀がなってねぇな」
「たっくん!この人はグラントリノって言ってベテランのヒーローなんだよ!」
巧はグラントリノにかなり失礼な発言をし、緑谷はグラントリノはベテランのヒーローだと説明をしたが、巧はあまりピンと来なかった。
「とりあえずそいつは預かっとくぞ、怪我してんなら見てもらえ、すぐに救急車が来る」
「はい!」
そう言ってグラントリノはステインを担ぎ、何処かに行ってしまった。
「すまない......俺のせいで、三人に怪我をさせてしまった。何も見えなく.......なってしまっていた!」
飯田はステインとの戦いに涙を浮かべながら自分のせいで友達に怪我をさせたことに深く反省していた。
「気にすんな。同じクラスメイトだろ?」
「うん!ヒーローは助け合いだから!」
「ああ、こんな怪我大したことない」
「みんな.......ありがとう!」
三人の言葉に飯田は涙を流して感謝を述べた。
●●●
保須市内の何処か、バイクに乗ったコートの男が走っていた。しばらく走っていると目の前には数台のパトカーが止まっているのが見えた。向こうでは警官たちが止まるよう合図を送っている。コートの男はバイクを止め、事情を聞く。
「なんかあったんすか?」
「いや〜あっちでは
「へぇ〜、そいつは怖いですね......」
コートの男は不敵に笑いながら答える。その顔を見て警官は少し怪しむ。コートの男はバイクから降りた。
「けど、
「?」
警官はコートの男が言っていることが理解できなかった。するとコートの男の顔に模様が浮かび上がり人間の姿から灰色の象のような怪物、エレファントオルフェノクに変化した。
「うわあああああああああ!!!」
警官は悲鳴をあげ、それに驚いた他の警官も振り向くと同じように悲鳴をあげた。警官たちは拳銃を構え、発砲するが火花が散るだけで全く効いていなかった。警官の一人が連絡をとろうとすると後ろからエレファントオルフェノクが肩を掴み無理やり振り向かせる。すでに警官たちはやられており、灰と化していた。その光景を見た警官はあまりの恐怖に悲鳴もあげれず、そしてエレファントオルフェノクは側頭部にある牙を触手のように伸ばして口の中に侵入した。
「がああああああああ!!!」
●●●
救急車が到着し、巧たちは怪我をした部分の手当てをしてもらっていた。飯田は特にひどい怪我をしていたため、違う場所で手当てをしてもらっていた。手当も一通り終わり、巧たちは救急車の台の上に座る。ふと巧はグラントリノのことを緑谷に聞いた。
「なぁ出久。あのジジイはなんだ?お前のこと知ってる風だったが.....」
「ああ!グラントリノは僕が行ってる事務所の人で、オルフェノクのことを知ってる人なんだ」
「そうか.....」
巧はオールマイト以外にもオルフェノクの存在を知っている人間と分かれば、警戒心はなくなる。すると隣にいた轟が巧に話しかけてきた。
「おい乾。なんであの時変身しなかった?変身しておけばすぐに勝てたはずだろ」
「.......あれは人間相手に使わねぇって決めたんだ。お前も見ただろ、USJのオルフェノクを」
「........」
轟はUSJで見たスティングフィッシュオルフェノクのことを思い出した。あのオルフェノクはファイズの力で死んだ。人間を超越した存在のオルフェノクが、あのベルトで命を落としてしまうのなら、人間に使えばどうなるか分かり切っている。轟はそのことを思い出し、巧に謝罪した。
「.........すまない」
「謝んな気色悪りぃ.......あのベルトは父さんと母さんの形見だ。多分、オルフェノクから人間を守るために作ったのかもな」
「どんな人だったんだ。お前の両親」
「知らねぇよ、もう覚えてねぇ」
巧は少し空を見上げる。もう夜になっており、街の明かりのせいで星が一つも見えないが、巧には妙に綺麗に見えた。緑谷は空を見上げている巧の目があの時と同じ寂しげな目をしていることに気がついた。すると突然、近くでバイクのエンジン音が響き、三人は音がする方向に振り向く。バイクに乗っていたコートを着た男はバイクから降りて、だんだんとこっちに近づいてくる。そこにコートの男に気づいた一人の警官が止めた。
「ちょっと君!ここは立ち入り禁止だぞ!今すぐ立ち去りなさい!」
コートの男は警官に聞く耳も持たず、そのまま巧たちに近づいていく。警官は必死に止めようとするがコートの男は気にせず払いのける。巧たちはそのコートの男を警戒した。コートの男は巧たちの前に立ち止まる。
「なんだお前」
巧は質問するが、コートの男は構わず巧たちの顔を見て最後に遠くに停めてあるオートバジンに目をやった。そしてオートバジンに指を差し巧の方を見る。
「ねぇ、あのベルトちょうだいよ」
「「「!」」」
するとコートの男の顔に模様が浮かび上がるとエレファントオルフェノクに変化した。その姿を見て、巧たちは驚く。
「オルフェノク!?」
「まずい!避けろ!!」
エレファントオルフェノクは拳を振り上げ巧たちに攻撃する。巧と緑谷は左に避け、轟は右に避けることで攻撃は回避できた。その代わり救急車は大破して大爆発を起こす。その音に気がついた警官とヒーローたちが駆け寄ってくる。
「な、なんだあの化け物!?」
「本部!未確認生命体第2号を発見!」
警官とヒーローたちはエレファントオルフェノクを取り囲み拳銃を構える。取り囲まれたエレファントオルフェノクは周りを見渡すが全く焦っていない。そして警官たち一斉に拳銃を発砲するが、エレファントオルフェノクには全く効いておらず、その場で仁王立ちしていた。警官たちはその圧倒的な防御力に驚く。
「そんな、効いてない.....!」
ヒーローたちの中にいたグラントリノは冷や汗をかきながらかなり焦っていた。
(拳銃如きじゃオルフェノクには傷一つつかねぇ。まさかこんなところに来るとは、かなりまずいことになった。今あのオルフェノクを倒せるやつはあいつと同じオルフェノクしかいねぇ......!人間の俺たちじゃどうしたって太刀打ちできない........!)
この状況で頼れる相手はオルフェノクしかいなかった。しかし彼らに頼るのは、たとえオルフェノクであってもあまりにも危険すぎる。ここは自分たちがなんとか時間稼ぎしてまだ残っている市民を避難させるしかない。グラントリノはそんなことを考えていると、突然向こうからバイクのエンジン音がして、警官やヒーローたちは振り向く。そこにいたのはオートバジンに乗った巧だった。
「どけーーーー!!!」
突っ込んでくる巧に警官たちは道を開ける。エレファントオルフェノクはバイクの音に気づき振り向くが、反応が遅かったため巧はオートバジンでエレファントオルフェノクを吹き飛ばした。吹き飛ばされたエレファントオルフェノクはビルの壁に激突する。巧はオートバジンから降りてアタッシュケースを開き、ファイズギア一式を取り出す。巧は取り出したファイズフォンを見つめ、USJで命を奪ってしまったオルフェノクのことを思い出す。
「.......俺はもう迷わねえ、迷ってるうちに人が死ぬなら......戦うことが罪なら、俺が背負ってやる!」
そして巧はファイズドライバーを腰に巻き、ファイズフォンに変身コードを入力した。
『5 5 5』
『Entar』
Standing by
「変身!」
巧はファイズフォンをファイズドライバーにセットした。
Complete
すると巧の体にフォトンストリームが駆け巡り赤く光り輝く。周りの人たちはそのあまりの眩しさに目を覆った。光が収まるとそこに立っていたのは巧ではなくファイズであった。巧は腕をスナップし構える。吹き飛ばされたエレファントオルフェノクは立ち上がり突っ込んできた。
『ベルトを寄越せえええ!!』
エレファントオルフェノクは巧に攻撃しようとするが、右に避けられ、脇腹を殴られる。もう一度殴りかかろうとするがこれも後ろに下がって避けられてしまい、逆に連続で殴られて吹き飛ばされる。イラついてきたエレファントオルフェノクは、大砲を出現させ、巧に狙いを定める。そして大砲から一発の光弾が発射された。発射された光弾は巧にめがけて迫ってくるが巧はギリギリのこところで飛び上がり、光弾を避け、光弾は後ろにあった車を数台貫き、爆発させた。
「うおおおおおお!!」
「おおおおおおお!!」
巧は爆風を背に、エレファントオルフェノクに突っ込む。エレファントオルフェノクも真っ向から挑み、巧に拳を突き出すが、スピードは巧の方が上だったために簡単に避けられ、腹を殴られる。エレファントオルフェノクはうずくまると、今度は顎を殴られて仰反る。その隙に巧は連続で腹を殴りつけ、最後に蹴り飛ばし、吹き飛ばされたエレファントオルフェノクは車の後ろに隠れる。巧は車の後ろに隠れたエレファントオルフェノクを探そうとすると、突然横から下半身が象の足のようになったエレファントオルフェノク突進態が突っ込んでくる。右にジャンプして避けると同時に右のクレードルからファイズポインターを取り、ミッションメモリーをセットする。
Ready
そしてファイズポインターを右足部にあるエナジーホルスターにセットする。そしてファイズフォンのエンターキーを押した。
Exceed charge
巧は姿勢を低くし、右足に右肘を置く。そしてファイズドライバーからフォトンブラッドが流れファイズポインターにエネルギーがチャージされる。そして巧はエレファントオルフェノクに向かって走り出した。
「このまま踏み潰してやる!!」
エレファントオルフェノクは突進し、巧を踏み潰そうとするが、巧は飛び上がり空中前転をして両足‘をエレファントオルフェノクに向ける。するとファイズポインターから円錐状の赤いポインティングマーカーが射出されエレファントオルフェノクを捉える。エレファントオルフェノクは身動きができなくなり、巧はそのまま右足を突き出してクリムゾンスマッシュを放った。
「ヤアアアアアアアアアアア!!!」
巧は飛び蹴りを放つとポインティングマーカーの中に入りそのポインティングマーカーはドリルのようにエレファントオルフェノクを貫く。そしてそのまま巧はエレファントオルフェノクの背後に光となって現れ、着地する。そしてエレファントオルフェノクの前にΦのマークが浮かび上がり青い炎に包まれ、灰となって崩れ去った。エレファントオルフェノクを倒した巧は変身を解除し自身の拳を見つめた後、強く握りしめた。