レセプション会場では謎の
「安心しろ。大人しくしていれば危害は加えない。時間がくれば解放する準備もある」
「貴様らの目的は何だ!?」
拘束されたプロヒーローの一人が身を乗り出してウォルフラムに問いただす。しかしウォルフラムは動じず、プロヒーローの顎を容赦なく蹴り上げた。
「ぐはっ!」
「聞こえないのか?大人しくしていろ」
倒れ込むプロヒーローを見て女性が悲鳴を上げる。ウォルフラムはプロヒーローをまるでゴミを見るように見下す。その時、ウォルフラムの顔から一瞬何か模様のようなものが浮かび上がる。
(まさか....!この男....!)
オールマイトはその様子を見てすぐにウォルフラムがオルフェノクだと気がつき、更にまずい状況に陥っていることになっていたことに焦りを感じ始める。するとウォルフラム野通信機から部下の連絡が入った。
「...ああ、そうか。...わかった」
ウォルフラムは周囲を見渡すと近くにいたサムに目に留まり、サムの胸につけてある社員プレートを目にする。
「お前、ここの研究員だな?」
「は、はい...!」
そうとわかるとウォルフラムは部下たちにサムを連れて行くように命令する。しかし、そうはさせないとしてデヴィットが身を乗り出す。
「やめろ!彼は私の助手だ!どうするつもりだ!?」
「ん?....デヴィッド・シールドじやねぇか。お前も来い」
「断ったら...?」
「この島のどこかで誰かの悲鳴が響くことになる」
「....わかった....行こう」
デヴィッドとサムはウォルフラムの部下たちに銃口を向けられながら会場の外に連れて行かれてしまった。
「デイヴ....!」
オールマイトは自分の友人が
(緑谷少年!?)
オールマイトが気がついたところを見計らい緑谷は耳朗に合図する。
「オールマイトが気がついた!耳朗さん行けそう!?」
「いいよ!」
そう言って耳朗は自身の耳たぶをオールマイトの方に伸ばす。そして緑谷はオールマイトに喋るようジェスチャーを送った。
「聞こえるか?
「っ!大変だよ緑谷!」
耳朗は慌てて緑谷にオールマイトから聞いた話を伝えた。
●●●
緑谷と耳朗は非常階段の踊り場で待機している巧たちに報告する。
「オールマイトからのメッセージは受け取った。俺は雄英高教師であるオールマイトの言葉に従い、ここから脱出することを提案する!」
「飯田さんの意見に賛同します。私たちはまだ学生、ヒーロー免許もないのに
飯田と八百万はオールマイトの言葉に従ってこの場所から脱出することに賛成する。
「脱出は困難だと思う。ここは
メリッサがそう言うと、発目も飯田と八百万の意見に賛成する。
「ならば脱出が困難な以上、大人しく待機しているのがいいかと」
「だったら俺は行くぜ。ここに待機していたところで何も変わらねぇ。ここから出るためには今動ける俺たちで何とかするしかねぇだろ」
発目は飯田と八百万と同じ意見を述べるが、巧は今この状況を変えるために動くべきだと言う。
「おいおい、オールマイトまで
しかし峰田は巧の意見に苦言を呈する。無理もない、こんな絶望的な状況で自分たちでどうにかしようなどと考えようとするのはまずないだろう。
「俺らはヒーローを目指してる」
「ですから、私たちはまだヒーロー活動を...」
「だからって、何もしないでいいのか?」
「それは....」
轟の言葉に押し黙ってしまう八百万。もちろん八百万もできることなら助けに行きたい。飯田も同じ気持ちだ。
「救けたい....救けに行きたい!」
「
「違うよ峰田君。僕は考えてるんだ。
緑谷のヒーローとしての強い思いとその言葉に皆の心が動かされる。
「私も行きます。ここで動かなければヒーロー失格です!」
「長田さんの言うとおり、僕も探したいんだ。今の僕たちにできる最善の方法を、みんなを助ける方法を!」
結花も捕えられた人たちを救ける決意を決めたようだ。それに続くように皆の決意を固めていく。メリッサもはその姿が頼もしく見えた。
「I・アイランドの警備システムはこのタワーの最上階にあるわ。
メリッサの情報に希望が見出される。メリッサも救ける覚悟を決めたようだ。
「メリッサさん...」
「戦いを回避してシステムを戻すか...成程」
「それならイケんじゃね!?」
「だよね!」
希望を感じ始める上鳴と耳朗。峰田はその状況に震え上がる。そんな中発目は突然立ち上がりあるものを取り出した。
「だったら私のドッカワイイベイビーの出番です!」
「何だ急に」
「名付けてハッキングガン!この銃に込められた弾丸を機械に命中させればあとは私のスマホで簡単にハッキングできますよ!もちろん殺傷力はありません!」
「何でそんなもん持ってんの...?」
「パーティーで披露しようと思ったんです!私はこれをオートバ...犯罪を食い止めるために役立てようと開発しました!まだテストもしてませんけど!」
どうやってI・アイランドの中に入れたのかはわからないが取り敢えず役に立ちそうなものを作ってくるなと感心する。
「すごいわ発目ちゃん!これで監視カメラをハッキングすれば
「しかし、最上階には
「戦う必要はないんだ。システムを元に戻せば、人質やオールマイトたちが解放される。そうなれば状況は一気に逆転するはず...!」
緑谷の言葉に麗日は立ち上がる。
「デクくん!行こう!」
「麗日さん!」
「私たちにできることがあるのに何もしないでいるのは嫌だ!そんなの、ヒーローになるならない以前の問題だと思う!」
「うん!困っている人たちを助けよう!人として当たり前のことをしよう」
麗日の力強い言葉に応えるように緑谷も力強く頷いた。殆どが賛成派を占め、後は八百万と飯田、そして峰田の3人だけだ。そして最初に出たのは飯田だった。
「これ以上無理だと判断したら引き返す。その条件が飲めるなら、俺も行こう」
「そうであれば私も」
飯田も八百万も賛成し、残るは峰田だけとなった。全員行こうとしている中、一人だけ取り残された気分になった峰田。こういう流れは自分も行こうと賛成しなければいけない雰囲気なのだが、どうしても足がすくむ。しかし、ここでひいては男が廃るというもの、峰田はヤケクソに賛成した。
「あーもー!わかったよ!行けばいいんだろ行けばぁ!」
これで全員が救けに行こうとなった。そして緑谷はメリッサに言う。
「メリッサさんはここで待っててください」
「私も行くわ!」
「で、でもメリッサさんには個性が...」
「この中に警備システムの設定変更ができる人いる?」
一番大事な警備システムの変更ということができるのはこの中でメリッサだけだ。
「私はアカデミーの学生、役に立てると思う!」
「でも...」
「最上階に行くまでは足手纏いにしかならないけど...私にも、みんなを守らせて。お願い!」
緑谷は無個性のメリッサを一緒に行かせるのを躊躇うが、メリッサの強い眼差しに緑谷は強く頷いた。
「わかりました。行きましょう、みんなを救けに!」
「ええ!」
●●●
皆人質を助けるために一致団結し、いざ屋上へと向かおうとした時、巧は一人別のところに行こうとしていた。
「あ、おい乾どこ行くんだ?」
「ホテルに戻る」
「なんだ乾?怖気ついたか?」
「違うわボケ。ベルトを取りに戻んだよ。嫌な予感がするんだ」
どうやら巧はホテルに置いてきたファイズギアを取りに戻るらしい。嫌な予感と聞いて、緑谷、轟、結花の三人は察する。巧の嫌な予感とはもしかすると今このセントラルタワーを掌握している
「お前らは先に行け、俺は後で追いつく」
「待ってたっくん!一人じゃ危険だよ!」
「そうよイヌイ君!みんなで行動しないと...!」
「そうだぞ乾君!こんな時こそ団体行動をとるべきだ!」
「ただ取りに戻るだけだ。心配すんな」
巧は一人で行こうとするが緑谷とメリッサが止めようとする。巧は無視をしてすぐに行こうとすると、結花が前に来る。
「じゃあ私が乾さんと一緒に行きます」
「は?いや...俺一人でいいって言っただろ」
「おい結花。こんなやつと一緒に行くより人質を助ける方を優先した方が...」
轟は巧と一緒に行こうとする結花を引き止める。緑谷たちも心配だった。しかし結花はそれを拒否した。
「大丈夫です。心配しないでください。たとえ危険な目にあっても私だってやる時はやります。それに、もし乾さんの予感が当たっていたら、そっちの方が大変ですよ」
「いや、でも....」
轟は結花を行かせたくなかった。もし結花に何かあれば、恐らく一生自分を許せなくなってしまう。轟は不安気な顔をする。すると結花は轟の手を握る。
「大丈夫ですよ、何があっても必ず焦凍さんの元に戻ってきますから」
「......!」
その言葉を受け、轟の心に衝撃が走る。自分の手を握ってくれている結花がまるで女神のように見えた。その神々しさに、轟は放心状態となる。
(女神だ....)
「いや俺一人で大丈...」
「さあ行きましょう乾さん!」
「おい俺の話聞いてんのか!」
結花は巧の手を取ると一緒に走ってホテルの方に向かった。だんだんと小さくなっていく二人の背中を見送った緑谷は仕方なく階段を登ることにした。
「仕方ない、早く行こう。たっくんたちならきっと大丈夫」
「でも、少し心配だわ...」
「大丈夫。だって乾は、ウチたちA組のNo. 1だから...!」
●●●
乾と結花はホテルに戻り、乾が泊まっている部屋の中に入る。そして乾はベッドに置いておいたアタッシュケースを取ろうとしたが、すでにその場所になかった。
「ない....」
「どうしたんですか乾さん?」
「ない!どこにもねぇ!どこに行った!」
巧は置いてあったはずのアタッシュケースが消えてしまっていたことに驚き、焦り始める。
「ない!?ないってどういうことですか!?」
巧と結花は消えてしまったアタッシュケースを部屋の隅々で探した、しかしどこにもない。それも当然。少し前に爆豪がそのアタッシュケースを盗んでしまったからだ。
「くそ...!何でないんだ...!」
「どうしましょう乾さん!さっきちょっとカッコつけたのになかったから戻ってきましたなんて言えませんよ!カッコつけた私がバカみたいじゃないですか!」
「知るか!だいたい俺一人でいいって言ったのに俺についてこようとしたお前が悪いんだろうが!」
完全にパニックに陥ってしまたった二人、どうしようかと焦りまくるが、とりあえず一度深呼吸をして落ち着く。
「とりあえずねぇもんは仕方ねぇ。俺の予感が外れてくれることを祈るしかねぇな」
巧と結花は部屋から出てとりあえず非常階段から緑谷たちの後を追うことにした。