行手を阻んできたソキルを巧が倒し、周囲の様子を伺いながら最上階の200階に到達する。
「やっと着いたか」
「メリッサさん!制御ルームの場所は!?」
「中央エレベーターの前よ!」
巧たちは走りながら角を曲がろうとした時、一番前にいた巧が待ったをかけた。
「待て」
「どうしたのたっくん?」
巧は曲がり角を曲がった時、扉が開いていることに気がついた。そしてそこに人影が見えることも。おそらく
「誰かいる...!」
巧たちは警戒しながら中を覗く、そしてメリッサがその中を覗いた時、驚いたような顔をした。
「パパ...?」
「本当だ...!」
その人影は何とメリッサの父親であるデヴィットであった。デヴィットはパネルを使って何か操作をしている最中であった。
「どうしてパパが最上階に...!」
「
「すぐに助けんぞ」
「うん!」
巧たちは意を決して部屋の中に入った。
●●●
管理室では
「コードを解除できた!1147ブロックへ!」
「は、はい!」
サムは急いでその1147ブロックという場所に向かう。
「開くぞ」
そういうと壁が起動し、サムの元にボックスが送られてくる。サムはそのボックスを開くと中にはアタッシュケースが入っていた。
「やりましたね!博士!全て揃ってます!」
アタッシュケースの中身には何かのデータと丸い形にフックのついた装置があった。デヴィットはそれを見て覚悟を決めたような表情を浮かべる。
「ああ、ついに取り戻した。この装置と研究データだけは、誰にも渡さない。渡すものか...!」
「プラン通りですね。
「ありがとう。彼らを手配してくれた君のおかげだ。サム」
「....パパ.....?」
突然聞き覚えのある声が聞こえ、声のする方に振り返るとそこにはメリッサと緑谷と巧の三人がいた。
「メ、メリッサ...!?」
「お嬢さん、どうしてここに...!?」
メリッサはいまだに信じられないという顔をする。夢だと思いたい。そんな顔をしていた。
「手配したって....何?」
「......」
「もしかしてこの事件.....パパが仕組んだの....?」
「......」
デヴィットはメリッサの問いに答えることはせず、ずっと黙っていた。
「その装置を手に入れるために...?そうなの、パパ!?」
メリッサの問いに耐えかねたのか、デヴィットはおそるおそる答えた。
「.......そうだ」
「なんで...?どうして....!?」
答えあぐねているデヴィットの代わりにサムが代わりに答えた。
「博士は奪われたものを取り返しただけです!機械的に個性を増幅させる画期的な発明を...!」
「個性の増幅だと...?」
「ええ、まだ試作段階ですが、この装置を使えば薬品などとは違い人体に影響を与えず個性を増幅させることができます。しかし、この発明と研究データはスポンサーによって没収、研究そのものまあ凍結させられた。これが世界に公表されれば、超人社会の構想が激変する。それを恐れた各国政府が、圧力をかけてきたのです。だから博士は私の考えに承諾してくれて今日この日、
「そんな....嘘でしょ、パパ...」
この事件は全てデヴィットの仕業であることに、まだ信じることができない。メリッサは頭の中が混乱していた。
「嘘だと言って!!」
「嘘ではない」
嘘だと言うて欲しかったその想いを無慈悲にも壊すその言葉にメリッサは打ちひしがられる。
「こんなのおかしいわ....!」
「メリッサさん...」
怒りと悲しみの混じった悲痛の叫びに緑谷の顔が曇り、巧は拳を握りしめる。
「私の知ってるパパは、絶対そんなことしない!なのに...!どうして....!どうして!?」
「オールマイトのためだ....お前たちは知らないだろうが彼の個性は消えかかっている。だが、私の装置があれば!元に戻せる!いや、それ以上の能力を彼に与えることができる。No.1ヒーローが....平和の象徴が...再び光を取り戻すことができる!また多くの人たちを、助けることができるんだ!!」
(僕が、ワン・フォー・オールを受け継いだから....オールマイトの力が失われていることを憂いて、博士は...)
この悲劇が起こったのは、緑谷がオールマイトにワン・フォー・オールを受け継いでしまったからなのではないかと緑谷は思ってしまう。デヴィットはサムからアタッシュケースを奪う。
「頼む!オールマイトにこの装置を渡させてくれ!もう作り直してる時間がないんだ!その後でなら、私はどんな罰でも受ける覚悟を...!」
デヴィットが言いかけた時、我慢な限界を迎えた巧がデヴィットに掴みかかった。
「たっくん!」
「そんなもんのために!テメェの娘を危険に晒したってのか!!」
「な、何だと...?」
「捕らわれた人たちを助けようと!デク君、イヌイ君も!他のクラスメイトのみんなが!ここに来るまでどんな目に遭ったと思っているの!?」
巧たちはここに来るまでいくつもの危険を潜り抜け、何人もの仲間たちが今戦っているのだ。激昂する巧とメリッサにデヴィットは困惑していた。
「ど、どういうことだ...!?
「もちろん芝居をしたぜ。偽物
突然後ろから聞き覚えのある声を巧は聞き取り、後ろを振り返るとそこにはウォルフラムがいた。
「テメェ...!」
「ん?お前、あの高さから落ちて生きていたのか。中々しぶといな」
巧と緑谷はウォルフラムに突っ込み、個性を発動して攻撃しようとするが、ウォルフラムは瞬時に鉄の扉に触れる。すると鉄の扉はまるで生き物のように動き出し、巧と緑谷に向かってきた。巧はウォルフラムの個性は見ていたので咄嗟に避けるが緑谷は回避できず、捕らえられてしまう。
「出久!」
(金属を操る個性か....!)
緑谷は口を塞がれてしまい喋ることができない。巧はウォルフラムに突撃しようとするが、突然ウォルフラムは懐から銃を取り出し、それをメリッサに向けた。
「大人しくしろ。出ないとこの女の頭を吹き飛ばす」
「く....!」
この距離ならすぐにウォルフラムを捕えることができるはずだ。しかし先にウォルフラムの引き金の方が早く引かれてメリッサは撃たれてしまうだろう。その時、ウォルフラムは金属を操作し巧を捕らえた。
「サム、装置は?」
ウォルフラムに言われたサムはデヴィットからケースを奪い取りウォルフラムに渡した。
「サム...?まさか、最初から
突然のサムの裏切りにデヴィットは驚愕した。
「だ、騙したのはあなたですよ。長年あなたに仕えてきたというのに、あっさりと研究は凍結、手に入れるはずだった名誉、名声....全て無くなってしまった....。せめてお金くらい貰わないと、割が合いません!」
サムは涙目になりながら答えた。サムもデヴィットに仕えてきたのだ。デヴィットと同じ苦しみも味わってきたのだ。デヴィットは何も言えなかった。全ては自分の弱さから招いた悲劇。デヴィットは自身の不甲斐なさを悔やんだ。
「約束の謝礼だ」
ウォルフラムはそういうとサムに向かって銃を撃った。弾丸はサムの肩に命中し、血が飛び散る。
「う、うわあ!」
「サムさん!」
「な、何故...!約束が違う!」
撃たれたサムは肩を抑えながらウォルフラムをに問う。ウォルフラムは銃口をサムに向けて答える。
「約束?忘れたなぁ。謝礼はこれだよ」
もう用済みと言わんばかりにウォルフラムはサムに向かって引き金を引いた。その瞬間、デヴィットがサムを庇い撃たれてしまう。
「博士...どうして...!?」
「に、逃げろ...!」
「パパぁ!」
「来るな!」
デヴィットに駆け寄ろうとするメリッサだったが、デヴィットはそれを止める。だがウォルフラムは目の前でメリッサを殴り飛ばした。
「あぁ!」
「メリッサ!」
巧と緑谷は必死に抜け出そうと力を込めるが中々抜け出すことができなかった。その間にウォルフラムは倒れているデヴィットを踏みつける。
「がはっ....!」
「今更ヒーロー気取りか?無駄だ。どんな理由があろうと、あんたは悪事に手を染めた。俺たちが偽物だろうが本物だろうが、あんたが犯した罪は消えない。俺たちと同類さ。あんたはもう科学者でいることも、研究を続けることもできやしない。
全て打ちひしがれたデヴィットの姿にメリッサは涙を止めることができなかった。
「今のあんたにできることは、俺の下でその装置を量産することぐらいだ」
もう何もかもどうでも良くなってしまったデヴィットは無抵抗のままウォルフラムは持ち上げられ、銃のグリップで頭を殴り、デヴィットを気絶した。
「おい、連れて行け」
ウォルフラムは眼鏡の男にデヴィットを連れて行くように命令する。するとメリッサが這いずりながらウォルフラムに叫ぶ。
「返して...!パパを返して...!」
「そうだなぁ、博士の未練は....断ち切っておかないとなぁ」
そう言ってウォルフラムはメリッサに向けて銃口を向ける。そして引き金を引こうとした瞬間巧と緑谷が全身に力を込めた。
「やめろーーー!!」
「ぬああああああああ!!」
巧と緑谷は自身を拘束していた金属を力尽くで剥ぎ取り、ウォルフラムに向かって渾身のパンチを繰り出した。ウォルフラムは咄嗟に床の鉄板を操作して防御とり、緑谷の拳を防御できたが、巧の拳はその鉄板を突き破りウォルフラムの顔面に直撃した。
「ぐおおお!?」
まさか破られるとは思ってもおらず、ウォルフラムは部屋の外に放り出されてしまう。
「メリッサさん!博士は助けます!だからみんなを!」
「....!」
メリッサは緑谷の想いを受け取り、入り口へと駆け出した。
「追え!逃すな!」
「はい!」
ウォルフラムは眼鏡の男に命令し、眼鏡の男はメリッサを追いかけた。緑谷はメリッサの援護するために走り出すが、目の前に鉄の壁が現れる。緑谷は壁を避けようとした瞬間、ウォルフラムは鉄パイプを操作して緑谷に飛ばした。鉄パイプが緑谷に迫ろうとした瞬間、その鉄パイプを巧は全て叩き落とした。
「たっくん!」
「行け!」
巧にウォルフラムを任せ、緑谷はメリッサに銃口向ける眼鏡の男を殴り飛ばした。
SMASH!!
眼鏡の男は殴り飛ばされ壁に激突し、気絶してしまう。それを見ていた巧はウォルフラムの方に向いた。
「テメェみたいなクズには会ったことがねぇ。だが、少し安心したぜ。これで心置きなくテメェをぶちのめせるからなぁ!!」
「フン!一度俺に負けたお前が何度来ようと同じだ」
余裕そうなウォルフラムをよそに、巧はベルトを巻きつけ、ファイズフォンを開く。
『5 5 5』
『Enter』
Standing by
「変身!」
Complete
そして巧はファイズに変身し、腕をスナップする。そしてウォルフラムもオルフェノクに変化する。そして両者同時に走り出した。先に攻撃を仕掛けたのはウォルフラムだ。ウォルフラムの攻撃を巧は下に屈んで回避し逆にウォルフラムの腹を殴った。
「はぁ!」
「ぐおあああああ!!」
ウォルフラム悶え苦しみ、その隙に巧はウォルフラムの顔面を殴り飛ばした。吹き飛ばされたウォルフラムは自身の身の回りにある金属を操り、巧に向かって投げる。巧はすかざす手に持っていたグリップにミッションメモリーをセットした。
Ready
グリップから刀身が現れ、そして自身に迫り来る金属を次々と切り裂いた。ウォルフラムは負けじと金属を巧に向かって飛ばすが、それも全て切り落とされ、巧は走り出してウォルフラムを突いた。
「ぐああああ!!」
ウォルフラムは火花を散らし吹き飛ばされる。ウォルフラムは胸を抑えながら何とか立ち上がる。すると突然タワー内の電源が復旧し、照明が付き閉じられていたシャッターも全て開いた。
「チッ!警備システムを戻したのか!余計な真似を!」
ウォルフラムは地面を叩き、金属を巧の両側に出現させ、巧を挟み込もうとする。巧は上に避けようとするが、上からも金属があり上に避けることが不可能だった。そして、巧はそのまま金属に押しつぶされた。
「やった!」
ウォルフラムが喜んだのも束の間、突然巧を押しつぶした金属がガタガタと揺れ始める。そして金属は弾き飛ばされ、押し潰されたはずの巧は平然としていた。
「何っ!?」
まさか押し返されてしまうとは思っても見ず、ウォルフラムは本格的に焦り始めた。この男には敵わないと察したウォルフラムは迫り来る巧に向かって大量の金属片を投げる。巧はその大量の金属片を全て叩き落とすことはできず、思わず防御をとった。金属の雨が止み、前を見るとすでにウォルフラムの姿はなかった。
「くそっ!」