一方、サーバールームでは警備マシンによって捕えられた飯田たちの元にオートバジンが駆けつけていた。
「あれ!?乾のロボット!?」
オートバジンは迫り来る警備マシンたちを次々と素手で破壊していき、飯田たちを拘束していた警備マシンも全て破壊する。オートバジンは全て救出すると飯田たちに向かってサムズアップした。
「ありがとう!えっと....オートバジン!」
お礼を言う耳朗にオートバジンは頷く、その後オートバジンは疲れ果てて立てなくなっていた八百万と峰田、そして上鳴を抱えて最上階へと向かった。
●●●
デヴィットを抱えながらウォルフラムは気絶していた眼鏡の男を叩き起こし、足を引きずりながら屋上へと向かっていた。
「ヘリは?」
「到着しています」
「脱出するぞ」
「は、はい」
●●●
ウォルフラムを見失った巧はおそらく屋上逃げたのだろうと察し、屋上に行こうとしたその時、緑谷とメリッサが駆け寄ってきた。
「たっくん!デヴィットさんは!?」
「悪い、逃げられた。多分屋上にいるはずだ。ヘリで逃げるつもりかもな」
「だったら早く行かないと!」
そう言って巧と緑谷は屋上に向かおうと駆け出そうとしたが、メリッサはそうはせず、管理室の中に入った。
「メリッサさん!一体なにを!?」
「イヌイ君に渡しておきたいものよ!私は大丈夫だから先に屋上に行ってて!」
「そんなもん後でいいだろ!さっさと行くぞ!」
「いいえ!これは次の戦いで必ず必要になるはず!だからお願い!私はいいから二人は早く行って!」
メリッサの強い意志に巧と緑谷は強く頷き、屋上へと向かった。
●●●
屋上のヘリポートでは部下がウォルフラムたちを待っていた。
「ボス。他の連中は?」
「警備システムが再起動しきる前に出るぞ」
「「は、はい!」」
察した部下たちはすぐに操縦席へと走った。ウォルフラムがヘリに乗ろうとした時、デヴィットの意識が戻る。
「私を....殺せ....」
「もう少しだけ罪を重ねてもらう。その後で望みを叶えてやる。出せ」
ウォルフラムはヘリの後部座席にデヴィットとアタッシュケースを投げ入れ、自身も乗り込もうとした時、光の弾丸が、ウォルフラムの正面を通り、窓ガラスを破壊した。ウォルフラムは外の方を見るとそこにはファイズに変身している状態の巧と緑谷がいた。
「くそっ...!」
ウォルフラムは巧の存在に気づくと焦り始める。ついさっき、圧倒的な差を見せつけられたせいで、この男にまともに戦うのは危険だとウォルフラムは思っていた。
「さっきのはわざとだ!次は確実に当てるぞ!!」
「博士を返せ!」
ファイズフォンを構える巧は次は外さないと脅す。ウォルフラムは焦りを隠すために余裕な態度を見せる。
「なるほど、悪事を犯したこの男を捕らえに来たのか?」
「違う!僕は博士を取り戻しにきたんだ!」
「テメェのその減らず口を閉じさせてやるぜ!」
「ガキが図に乗るな!犯罪者を助けて何になる!?」
ウォルフラムは床に手を当てると金属を操り、鉄柱が巧と緑谷を襲う。巧はグリップにミッションメモリーをセットする。
Ready
グリップからフォトンブレードが現れ、巧はファイズエッジで鉄柱を切り裂き、ウォルフラムと距離を詰める。
「僕はみんなを助ける!博士も助ける!」
「どうやって助けんだぁ!?」
「ウッセェ!んなもんテメェをぶちのめせばいいだけだろうが!!」
迫り来る鉄柱を巧は切り裂き、緑谷は避けながら徐々にウォルフラムへと近づく。するとウォルフラムはデヴィットに向けて銃を突きつけた。
「どうやって!?」
「「!!」」
二人は思わず立ち止まってしまう。そして迫り来る鉄柱を巧は緑谷を守るように防御を取って塞いだ。
「全くヒーローってのは不自由だよなぁ!たったこれだけで身動きが取れなくなる!」
二人はこの場から動くことができなかった。もし動けばウォルフラムがデヴィットに向かって引き金を引くことになる筈だ。そんな動けない二人に鉄柱が次々と迫り来る。巧は何とか盾となって防ぐ。
「たっくん!」
「大丈夫だ出久。これくらい大したことねぇ」
身動きが取れない二人にウォルフラムは吐き捨てるように答える。
「どちらにしろ、利口な生き方じゃない。出せ」
ウォルフラムはヘリに乗り込み、操縦士に命令するとヘリは徐々にヘリポートから離れていった。巧はファイズエッジで鉄柱をバラバラに切り裂き、上を見る。巧はファイズフォンで撃ち落とそうと試みるが、もし墜落でもしてしまったらデヴィットが危ない。巧は手を出すことができなかった。
「くそっ!」
「博士!」
どんどん距離が離れていき、もう巧が飛んでも届かない距離にまで離れてしまった。もう届かない、もう助けることができない。今の二人ではどうすることまで気なくなったその時、後ろから頼もしい声が聞こえてきた。
「こういう時は笑え!有精卵ども!」
「「!!」」
二人は後ろの方を向くとそこには筋骨隆々のこの世で最も偉大で頼もしい存在。No.1ヒーロー、オールマイトが立っていた。
「もう大丈夫!何故って!?私が来た!!」
「オールマイト...!」
「遅ぇんだよ...!」
緑谷はオールマイトを見て希望に満ち溢れた顔になる。巧も悪態を吐きながらも仮面の中では笑みを浮かべていた。
「親友を返してもらうぞ!
オールマイトは高く飛び上がり、ヘリに向かって拳を突き出した。オールマイトの拳はヘリを貫き、ヘリは大爆発を起こす。オールマイトはその隙にデヴィットを助け出し、着地する。そしてデヴィットの拘束具を外した。
「パパ....!パパ!」
「う....メリッサ....」
「もう大丈夫だ」
オールマイトの姿を見てデヴィットは涙を浮かべる。
「よかった...」
「オールマイト...私は...」
デヴィットが何か言いかけた時、突然オールマイトが鉄柱によって吹き飛ばされた。
「オールマイト!!」
その直後に、デヴィットの体に鉄線が巻きつき、連れ去られてしまった。
「パパぁ!」
「博士!」
「あいつ...!」
巧はすぐにウォルフラムの仕業とわかり、後ろの方に振り向く。その時、轟音と共に地面にヒビが入り、その中から大量の金属が現れる。そしてその金属はウォルフラムの方に集まっていき、その姿はまるで鉄でできた生き物であった。
「サムめ...。オールマイトは個性が減退して往年の力はなくなったとか言ったくせに...!」
ウォルフラムの顔にはデヴィットが開発した個性増幅装置が取り付けたあった。
「あいつ...!博士の...!」
オールマイトは何とか立ち上がるが、血を吐いて咳き込み始め体から蒸気が噴き出していた。
「時間が...!」
マッスルフォームを維持し続けていたオールマイトの肉体はすでに限界が近くなっていた。オールマイトは一気に決着をつけるため、走り出す。
TEXAS SMAAASH!!
オールマイトの必殺技技が繰り出されるが、目の前に鉄の壁が現れ、塞がれてしまう。
「何!?」
「何だそりゃ!?」
いつもであれば鉄の壁など容易く破壊できるはずだが、もう破壊できるほどの力がオールマイトには無かった。ウォルフラムはオールマイトの攻撃を防いだ鉄の壁から鉄柱が伸び、オールマイトを吹き飛ばした。そしてまたウォルフラムは鉄を取り込み、更に大きくなる。
「流石デヴィット・シールドの作品。個性が活性化していくのが分かる.....。ハハハ、いいぞこれは!いい装置だ!これにオルフェノクの力を加えれば!俺に敵う相手はもういない!」
ウォルフラムはオルフェノクの姿に変わり更に力が増大され、どんどんセントラルタワーの金属たちがウォルフラムの方に集まっていく。
「これがデイヴの...」
「パパが作った装置の力..,」
「さぁて、装置の価値を吊り上げるためにも、オールマイトをぶっ倒すデモンストレーションといこうか!」
ウォルフラムは金属を操りオールマイトに攻撃を繰り出す。オールマイトはなんとか避け、ウォルフラムに飛び掛かるが、ウォルフラムはオールマイトを虫を払うように弾き飛ばす。その時、衝撃でヘリポートが裂け、メリッサは外に投げ出されてしまった。
「きゃあああ!」
「メリッサさん!」
緑谷はメリッサを抱え、巧は崩れるヘリポートから足場が崩れていない場所に着地する。巧はオールマイトの方を見ると、鉄柱を必死に耐えながら体から蒸気を吹き出し、かなり苦しそうな様子だった。
「チッ...!」
巧はオールマイトを助けようと駆け出すが、目の前に鉄の壁が現れる。巧はファイズエッジで切り裂き、どんどんオールマイトに近づくが、巧に飛び掛かる鉄の数があまりにも多く、中々オールマイトを助けることが出来なかった。
「くそっ...!キリがねぇ...!」
「ハハハハハ!!」
「マイトおじさま...!」
次々とオールマイトを鉄柱が襲い掛かり、オールマイトは防御を取るのに精一杯だった。巧も加勢しようとするも、鉄柱が邪魔をして助けられない。そしてウォルフラムはトドメ言わんばかりに更に大量の鉄柱をオールマイトに向けた。
「さっさと潰れちまえ!!」
「やめろおお!!」
緑谷が叫んだ時、オールマイトに向かって何かが飛んできた。そしてオールマイトに迫ってくる鉄柱を受け止める。
「オートバジン!」
オートバジンは鉄柱を投げ捨てオールマイトに手を伸ばす。オールマイトはオートバジンの手を取り立ち上がった。
「ありがとう。君は.....ロボットか?」
オートバジンは頷くと、オールマイトを持ち上げ、安全な場所まで連れ戻す。その直後、ウォルフラムに向かって氷塊が現れウォルフラムの動きを封じた。そして爆破音が聞こえたかと思うと、爆豪は連続で爆破を繰り出す。しかしウォルフラムは鉄の壁で攻撃を防いだ。
「チィッ....!」
爆豪は先ほどの警備マシンとの戦いでかなり疲労していた。轟の方も、なんとか炎で体温調節をして耐えているが、かなり凍りついている。結花は凍りついてきている轟を心配して凍傷を起こさないように体を修復していた。
「焦凍さん!あまり無理しないで...!」
「そんなに俺のことを心配してくれるのか...その気持ちだけでまだまだやれる!今のうちに
「轟君!みんな!」
全員集結し、皆協力してウォルフラムたちと戦う。爆豪は爆破で鉄の塊を破壊していき、轟も氷塊で攻撃、オートバジンもバスターホイールのガトリングガンで応戦する。巧も負けてられないと立ち上がり、ファイズエッジで鉄の塊を切り刻んだ。
「教え子たちにこうも発破をかけられては限界だなんだとは言ってられないな!限界を超えて更に向こうへ!!」
オールマイトは限界ギリギリの体を鼓舞し、ウォルフラムに向かって飛び上がる。
「そう!Puls Ultraだ!!」
ウォルフラムは鉄の腕でオールマイトに攻撃するが、オールマイトは全て破壊し、そして腕をウォルフラムに向けてクロスする。
CAROLINA SMASH!!
オールマイトは鉄の塊を突き破り、爆風が広がる。オールマイトは間髪入れずにウォルフラムに向かって拳を突き出した。
「観念しろ!
しかしウォルフラムは咄嗟に金属のワイヤーでオールマイトを拘束し、動きを封じた。
「この程度...!」
オールマイトがワイヤーを引きちぎろうとするが、そうはさせまいとウォルフラムはワイヤーでオールマイトの首を絞めあげる。なんとウォルフラムの腕が異様なまでに膨らんでいた。
「観念しろ!?そりゃお前だ!オールマイト!」
「ぐ、ぐぐ....!がああああああ!!」
ウォルフラムはオールマイトの左脇腹を集中的に攻撃する。オールマイトはそのあまりの痛さに血を吐き、絶叫した。緑谷はなんとか助けようとするが、個性をフルに使ったせいですでに肉体が限界に近づいていた。爆豪たちも、鉄柱などを防ぐのに精一杯で助けることができなかった。巧も向かおうとするが、横から飛んできた鉄柱に気づくことができず、吹き飛ばされてしまう。なんとか立ち上がり、もう一度向かおうとしたその時、遠くにいたメリッサが巧を大声で呼んだ。
「イヌイ君!これを!」
メリッサは巧に向かって何かを投げると巧はそれを受け取る。巧がメリッサから受け取ったものは腕時計のようなものだった。
「それはあなたの両親が設計した最後の発明品よ!それでみんなを助けて!」
「.....!ああ!」
巧は強く頷き、その腕時計ことファイズアクセルを左腕に取り付ける。そしてファイズアクセルに取り付けてあったアクセルメモリーをファイズフォンにセットした。
Complete
するとファイズの胸にあるフルメタルラングが展開し、中のブラッディ・コアが露出する。そして赤いフォトンストリームが銀色のシルバーストリームに変化する。黄色だったアルティメットファインダーも赤色に変色した。この姿こそ、ファイズ・アクセルフォームである。巧はファイズアクセルのスタータースイッチを押し、アクセルモードを発動する。
Start Up
すると巧の周りにある全てのものがまるで止まっているかの如くゆっくりになった。そして巧は目にも止まらぬ速さでオールマイトの救出に走り出した。
「この筋肉増強...!個性の複数持ち...!まさか...!」
「ああ、この強奪計画を練っている時、彼の方から連絡が来た!是非とも協力したいと言った。何故かと聞いたら彼の方はこう言ったよ!」
○○○
「オールマイトの親友が悪に手を染めるというなら、是が非でもそれを手伝いたい。その事実を知ったオールマイトの苦痛に歪む顔が見られないのが残念だけれどね...。近々日本に来たまえ、その時には君に素敵なプレゼントを我々で送るとしよう」
○○○
「オール・フォー・ワン...!」
オールマイトが呟いたその名は、倒すべき邪悪で尚且つ凶悪な
「ようやくニヤけ面が取れたか...!」
「Noooooooo!!」
オールマイトは怒りのままワイヤーを引きちぎろうとするが、正面から鉄柱が激突する。そして畳み掛けるように左右から鉄柱がオールマイトを挟み込んだ。そして次々と鉄柱がオールマイトを挟み込み、押しつぶされそうになる。
「さらばだ!オールマイト!!」
そしてウォルフラムはトドメの尖った鉄柱をオールマイトを閉じ込めた鉄の塊に突き刺した。
「マイトおじさまああああ!!」
メリッサは悲痛の叫びをあげる。緑谷は助けられなかった自分の不甲斐なさに怒り血が流れるほど唇を噛んだ。オールマイトが死んだ。皆そう思い、諦めそうになったその時、メリッサと緑谷の目の前にオールマイトを抱えた巧が突然現れた。
「おじさま!?」
「たっくん!?」
巧はゆっくりとオールマイトを下ろし、メリッサと緑谷はオールマイトに駆け寄り安否を確認する。胸に耳を当てるとまだオールマイトの心臓は動いていた。
「よかった!まだ生きてる!」
「でも、どうやってここに?たっくんも...色が変わってる...」
緑谷はいつものファイズの姿とは違うことに唖然とする。そんな中で巧はファイズアクセルの方を見た。
「あと8秒だ」
「え...?」
何を言い出すかと思ったら突然巧の姿が消える。
「消えた...!」
消えたと思ったら既に巧は銀色の閃光と共にウォルフラムのところに行き、ファイズエッジで切り裂いた。ウォルフラムは突然現れた巧に驚く。
「何っ!?どこから現れた...!」
ウォルフラムが辺りを見渡すがどこにも見当たらず、その間に巧はファイズエッジで鉄の塊を何度も切り裂いた。その様子を爆豪たちは見ていた。
「なんだ!?一体何が起こってんだ!?」
「誰かがあいつを切り刻んでんぞ。もしかして乾のやつか?」
「は!?乾、瞬間移動もできんの!?チートすぎだろ!!」
「瞬間移動というよりかは、目で認識できないほどの速さで動いているようですわね」
「尚更チートやん...」
爆豪たちが巧のアクセルフォームの強さに驚いている中、巧は次々とファイズエッジで切り刻む。そして残り5秒となったあたりで巧は取り込まれてしまったデヴィットを救出し、メリッサの元に送る。メリッサは横になったデヴィットに駆け寄った。
「パパ!」
「メリッサ...」
メリッサはデヴィットが無事だとわかると涙を流し抱きついた。そして巧はウォルフラムのところに戻るとエンターキーを押した。
Exceed charge
シルバーストリームからファイズエッジにフォトンブラットが流れ、エネルギーが送られる。そして巧はウォルフラムに向かってアクセルスパークルカットの斬撃を放った。その斬撃はウォルフラムの鉄の塊の左半身に直撃し、ウォルフラムの鉄の怪物は今にも崩れそうになった。そしてファイズアクセルのタイムリミットが残り3秒となる。
3 2 1
Time Out
Reformation
タイムオーバーとなるとフルメタルラングが閉じ、シルバーストリームは元のフォトンストリームに戻り、赤い複眼が黄色に戻った。
「何故だ...!これほどまでの力を手に入れたのに...!こんなガキごときに勝てないんて...!」
「そんなもん決まってんだろ!お前が俺より圧倒的に弱いからだ!!」
圧倒的な差があると、巧は堂々と言い放つ。そして巧の方に緑谷とオールマイトが駆け寄ってきた。
「緑谷少年!乾少年!決めるぞ!」
「ああ」
「はい!」
オールマイトと緑谷は最後の力を全身に込め、ワン・フォー・オールを引き出す。巧はミッションメモリーをファイズポインターにセットし、エナジーホルスターに取り付け、エンターキーを押した。
Ready
Exceed charge
巧は姿勢を低くして膝の上に肘を置き、必殺技を放つ態勢に入る。そして緑谷とオールマイトは飛び上がり、ウォルフラムに向かって二人同時に必殺技を放った。
W DETROIT SMAASH!!
緑谷とオールマイトの二つの拳がウォルフラムの金属の塊を完全に粉砕する。そして鉄の塊から放り出されたウォルフラムに向かって巧は飛び上がり、空中前転をするとファイズポインターからポインティングマーカーが射出され、ウォルフラムを捉える。そして巧は右足を突き出し、クリムゾンスマッシュをくらわした。
「ヤアアアアア!!」
「ぐあああああ!!」
巧はウォルフラムを貫き、背後から光となって現れ、地面に着地する。ウォルフラムは空中でΦの文字が浮かび上がると同時に青い炎に包まれ、灰となって崩れた。