合宿初日
I・アイランドから帰国して一週間がたち、林間合宿に行く日となった。
「雄英高は一学期を終え、現在夏休み期間に入っている。だがヒーローを目指す諸君に安息の日々は訪れない。この林間合宿で更なる高みへ、Puls Ultraを目指してもらう」
「「「「「はい!!」」」」」
林間合宿。B組と合同合宿で、楽しみにしている者もいれば、真剣に取り組もうとしている者も、出発の時間になるまで雑談をしている者もいる中、巧は日陰に入って太陽光の熱から逃れようとしていた。イヤホンをつけてアントニオ・カルロス・ジョビンの"Wave"を聴いて心を落ち着かせていると、耳朗が話しかけてきた。
「乾、合宿楽しみだね」
「こんなクソ暑いのに楽しみだなんだ言ってられるか」
「そ、そう...」
暑いのが嫌いな巧にとって林間合宿は拷問に等しい。耳朗は楽しくなさそうな巧に苦笑いする。
「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀な筈なのにぃ!?あれれれれぇ!?」
「ゲッ...B組の物間...」
嫌味ったらしく煽ってくるこの男はB組の生徒である物間。耳朗は面倒くさい奴が来たと顔をしかめる。すると巧の隣に結花が座り込んできた。
「物間さん。ああ言ってますけど、物間さんも赤点なんですよ」
「......そうなのか?ハハッ。だったら相当なメンタルだな」
「ですよね」
物間も赤点だったにも関わらずそれを棚に上げてA組をバカにするさまは、巧から見たら滑稽に見える。その直後、物間は委員長の拳藤に手刀をくらい気絶してしまった。
「私は物間さんみたいな恥ずかしい人にはなりたくありません。赤点を取らなかったのも、乾さんのおかげです」
「.....そうかよ」
楽しそうに喋る巧と結花に隣にいた耳朗はジト目で巧の方を見ていた。巧はその視線に気付き、耳朗の方に振り向く。
「なんだよ」
「別に....」
不機嫌な耳朗はその場から立ち上がりどこかに行ってしまった。巧はツンとした態度の耳朗の後ろ姿を訝しげな目で見ていた。その後ろ姿を目で追っているとこっちを睨みつけてくる轟が目に入った。
「まずい....」
巧はすぐに目を逸らしてやり過ごそうとするが、そう上手くはいかず、轟がこっちに近づいてくる。巧は面倒ごとにはもう巻き込まれたくないので、さっさとこの場から離れることにした。
「結花。どうしてあんな男と一緒にいたがる?」
「友達ですから。何か変ですか?」
「結花は、俺と乾どっちが大切なんだ?」
「それは.....」
轟の質問に少し口籠る結花。助けを求めるように巧の方を見ると、巧は轟の方を指差した。
「焦凍さんですよ。従姉妹ですし、家族じゃないですか」
「そ、そうだよな。そうだ、そうなんだよ。俺と結花は家族なんだ。あんなやつとは違うんだ....」
ぶつぶつと呟きながらどこかに行ってしまう轟。結花はそんな轟が少し心配だった。
「A組のバスはこっちだ!席順に並びたまえ!」
飯田は声を張り上げてA神の生徒たちを席順に並べる。巧も同じように並びバスの中に入り、適当な窓際の席に座る。膝の上にはいつも通りのファイズギアがあった。すると隣に耳朗が座った。まだ不機嫌そうな顔に巧は少し距離をとった。
「なんでそんな不機嫌なんだ?」
「別に...」
「俺悪いことしたか?」
「別に...」
「何があったんだよ?」
「別に何もないし!乾のことなんかどうでもいいし!」
「じゃあなんで俺の隣に座ったんだよ!」
「ここしか空いてなかったから!」
巧はあたりわ見渡すと、空いている席がちらほらあった。巧は怪訝そうに耳朗を見るが、それ以上は面倒臭いのでイヤホンをつけて音楽を聴き始めようとした。バスが走り出した時、耳朗が話しかけてくる。
「何聴くの?」
「.....フランツフェルディナンド」
「そう、ウチも聴いていい?」
「ああ」
巧は片方のイヤホンを耳朗に渡し、巧は音楽をかけ始めた。流れ始める曲は"Take me out"。バスが走り出した頃には静かだったバス内も色々な話に盛り上がっていた。
「音楽流そうぜ!夏っぽいの!チューブだチューブ!」
「バッカ夏といやキャロルの夏の終わりだぜ!」
「終わるのかよ」
「しりとりのり!」
「りそな銀行!」
「ウン十万!」
騒ぎまくるバス内で相澤は少し呆れていると、それ見かねた飯田は立ち上がる。
「みんな!静かにするんだ!席を立つべからず!べからずなんだ!みんな!」
「ま、まあまあ飯田君。それよりも、危ないから座ったほうがいいよ」
「ム!俺としたことが!」
飯田はすぐさま席に座る。相澤はうるさかったバス内を注意するのは諦めた。なぜならこれから一週間で起こる合宿の内容を知らない生徒たちには、今だけ楽しんでいるほうがいいと考えたからだ。そうと決まれば相澤は目を瞑り仮眠をとった。
●●●
巧はFranz Ferdinandの曲を足で軽くリズムをとりながら窓を眺めていた。先程まではまだ街並みが続いてはいたが、今はもうあたり一面の木しか見えない。そろそろ着く頃かと思っていた矢先、巧はあるものに気がついた。後ろの方から何か影のようなものが見える。巧はよく目を凝らすと、それはバイクの形をしていた。
「まさか...!」
「どうしたの乾?」
巧はバスの窓を開けて身を乗り出し、後ろの方を見ると巧がいつも学校に通うときに使う愛車であるオートバジンが無人でA組のバスの後ろを走っていた。
「オートバジン!お前何しに来てんだ!」
巧はオートバジンに怒鳴りつけるが、オートバジンは無視をして巧が乗っているバスを追いかけ続けていた。
「おい!乾のバイクが走ってんぞ!」
「本当!?まさか乾のこと追いかけてきたわけ!?」
「スゲェ!犬かよあのバイク!」
他の生徒たちも無人で走行するオートバジンを目にする。オートバジンは巧の横につくと、挨拶がわりにクラクションを鳴らした。
「帰れオートバジン!お前が来るとこじゃねぇ!」
巧はオートバジンに変えるように言うが、オートバジンは言うことは聞かず、そのままバスを追い越してバスの前を走行した。ざわざわと騒ぐバス内に相澤は何事かと目を覚ます。そして最初に目に入ったのは前を走るオートバジンであった。相澤はすぐに後ろを向き、巧に問い詰めた。
「おい乾。お前のバイクが目の前を走っているんだが、どういうことだ...?」
「俺もわかんねぇよ。勝手についてきたんだ」
「勝手についてきた?犬じゃあるまいし...」
相澤は目の前のオートバジンを見るが、この様子だとどうすることもできないので、これは巧の責任として放っておくことにした。
●●●
一時間ほどして、雄英高校のバスはオートバジンの後ろを走りながら何もないパーキングエリアに到着する。ゾロゾロとA組の面々が降りる中、巧は急いで降りてオートバジンに走って行き、助走をつけて殴った。しかし殴ったところがかなり硬かったのか、少し痛がり手をさする。
「テメェ!なんでついてきたんだ!俺に恥かかせる気か!?」
巧の説教を受けるオートバジンはビークルモードからバトルモードに変形し、指で地面をなぞった。何か文字のようなものを書いており、巧はよく目を凝らすと、そこには"シンパイ"とカタカナの四文字で書かれていた。
「心配だと?俺はただ一週間、林間合宿でいないだけだ。わかったならさっさと帰れ!」
巧は買えるよう促すが、オートバジンはその場にとどまり続ける。巧は無理矢理でも帰そうとして力ずくて押すが、あまりにも重すぎてビクともしなかった。
「もうええんちゃう?一緒にいても困らへんやし」
「バジンちゃんはご主人様が心配でついてきちゃったんだよね〜」
「バジンちゃん?」
「そ、オートバジンじゃちょっと長いからバジンちゃんって呼ぶことにしたの」
「勝手にあだ名つけてんじゃねぇよ...」
芦戸に勝手にあだ名をつけられていたオートバジン。巧は呆れ、うんともすんとも言わないオートバジンをもう放っておくことにした。巧はオートバジンを連れてA組たちが集まる場所に来る。一時間ほどバスに乗っていたせいか少し疲れている者がチラホラ、そしてトイレに行きたがっている者がいた。
「つか、ここパーキングエリアじゃなくね?」
「ねぇアレ?B組は?」
「お、おしっこ...!トトトトトイレは...!」
「なんの目的もなくでは意味が薄いからな」
峰田はかなり近いようだが、相澤に思いっきり無視される。その時、バス以外に停まっていた車から何人か降りてくる。
「よーーうイレイザー!」
「ご無沙汰しております」
陽気に相澤に話しかけてくるのは金髪の猫耳をつけたヒーローコスチュームの女性と同じく猫耳をつけたボブヘアーの女性、そして最後に帽子を被った目つきの悪い少年が一人いた。
「煌めく瞳でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
突然奇抜で派手な名乗りをあげる二人にA組の面々は唖然とする。
「今回お世話になるプロヒーロー"プッシーキャッツ"の皆さんだ」
「連盟事務所を構える4名1チームのヒーロー集団!山岳救助などを得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年で12年にもなる—!」
「心は18!」
「へぶっ!?」
突然緑谷の顔面を鷲掴みにする金髪ヘアのピクシーボブ。顔面を鷲掴みにされた緑谷はピクシーボブの圧力とギラリと光る爪に冷や汗を流す。
「心は!?」
「じゅ、ジュウハチ!」
ピクシーボブに許された緑谷は手を離してもらいことなきを得る。それを呆れた様子で見ていた巧は小さく呟いた。
「30であのノリはキツいな...」
その時ピクシーボブに聞こえたのか、巧の方に鋭い視線を向ける。巧はそっぽを巻いてシラを切った。
「お前ら挨拶しろ」
「「「「「よろしくお願いします!」」」」」
相澤に言われてプッシーキャッツの二人に挨拶するA組一同。そしてボブヘアのマンダレイが山々を見渡し説明を始める。
「ここら一体は私たちの所有地なんだけどね。あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
「「「「「遠っ!!」」」」」
マンダレイが指差す宿泊施設はかなり遠くにあった。何人かはその余りの遠さに驚く者もいる。
「え...?じゃあなんてこんな半端な場所に...?」
麗日の言う通り、バスであそこまで行くのに多少の時間がかかりそうなほど遠くにあった。その麗日の疑問に何人かは嫌な予感がしはじめる。
「これってもしかして...」
「いやいや...」
「ハハ...。バス、戻ろうか...。な?早く....」
「そうだな...そうすっか...」
皆バスに戻ろうとする中、マンダレイは腕時計見る。
「今は午前9時30分。早ければぁ...12時半くらいかしら」
「ダメだ...おい...」
不敵な笑みを浮かべながら腕時計を見るマンダレイに生徒たちの嫌な予感が徐々に確信へと変わっていった。ここに居続ければ確実にやばいことが起こる。
「戻ろう!」
「バスに戻れ!早く!」
芦戸と切島に催促されて生徒たちは一斉にバスに戻ろうするが、緑谷はその場でオロオロしてしまい、巧は手首をスナップし、爆豪は不敵な笑みを浮かべ、轟と飯田のはすでにこれから起こりうる出来事にすでに警戒態勢に入っていた。
「12時半までに辿り着けなかったらキティはお昼抜きねー」
「悪いね諸君...。合宿はもう始まっている」
バスに戻ろうとする切島たちの目の前にピクシーボブが現れ、両手を地面につける。すると突然地面が盛り上がり、生徒たちを押し上げた。
「なんだーー!?」
「土が盛り上がって——!?」
生徒たちは土に押し上げられ、フェンスの先にある木々が生い茂る崖の下の森に放り出された。その時、オートバジンが巧を助けようと動き出した時、それを巧が止める。
「オートバジン心配すんな!自分で戻ってくる!」
助けなくてもいいと命令を受けたオートバジンは黙ってその場に留まった。落下する中、巧はなんとか緑谷のところまで来る。
「大丈夫か出久?」
「たっくん!たっくん!!たっくん!!!」
「落ち着け出久。この高さなら死にやしねぇ」
パニックに陥っていた緑谷は生存本能が働きオルフェノクに変身しかけていた。巧は緑谷を落ち着かせ、森の中に落ちる。森の中は木によって光が遮られてしまい薄暗くなっていた。その時、マンダレイが崖に落ちた生徒たちに向かって大声で説明をし始める。
「おーい!私有地につき個性の使用は自由だよ!今から3時間!自分の足で施設までおいでませ!この..."魔獣の森"を抜けて!」
「魔獣の森...!?」
「なんだそのドラクエめいた名称は...」
「雄英ってこういうの多すぎるだろ...」
「文句言ってもしゃあねぇよ。行くっきゃねぇ」
「耐えた...!オイラは耐えたぞ...!」
ここまで来たら流石に自分たちでなんとかしなくてはいけない。峰田は限界をギリギリ耐えた状態でなんとか持ち堪えていた。ちょうどいいとして茂みの中で用を足そうとすると峰田を睨む視線があった。
「「マ、マジュウだーーーー!?」」
「HAA...」
その生き物と呼ぶには余りにも禍々しく、そして岩や土と言った無機物的なその姿に生徒たちは驚いていた。魔獣は峰田に襲いかかり咄嗟に緑谷が救い出す。
「魔獣?ただの岩と土の塊じゃねぇか。あの三十路女の個性か」
巧は目の前にいる魔獣がピクシーボブの個性だろうと推測する。でなければこんなこんな生物がいていいはずがない。そうとわかれば単純だ。
「ぶち壊す」
そう言って巧は腕をスナップして飛び上がり拳に衝撃を纏った。そして魔獣に向かって拳を突き出そうとした瞬間。爆豪が飛び出した。
「テメェだけ目立ってんじゃねえ!すっこんでろ!」
「ああ!?」
空中でも言い合いしながら衝撃と爆破の拳が魔獣の顔面へと直撃する。そして魔獣の全身は一瞬にして砕け散った。
「魔獣を一瞬で!スゲェ!」
「やったな!」
「やった...!オイラやっちまった...!」
魔獣を一瞬で倒した二人に皆勝利の喜びをあげる中、峰田は齢15歳にして漏らしてまうという屈辱を味わい嘆いていた。しかし、まだこれだけではないことは巧たちは気づいていた。
「流石だぜ爆豪!」
「...まだだ!」
爆豪の視線の先には木陰に隠れている魔獣の姿が、大きさは違うが背中には翼が生えていて、ドラゴンのような姿をしていた。その魔獣は翼を広げて空中へと飛び立つ。
「おいおい一体何匹いるんだ...!?」
「どうする?逃げる...?」
「冗談。12時半までに施設に行かなきゃ昼飯抜きだぜ」
砂藤の言うとおりこのまま逃げ続けていたら、昼までに着くことは不可能だろう。木の傘に隠れて空を飛ぶ魔獣の姿が見えない状況下で魔獣の雄叫びだけが響く中、A組一同は覚悟を決めるしかなかった。この森を向け出すためにも、昼食のためにも。
「よしっ!行くぞA組!」
「「「「「おおっ!」」」」」
●●●
皆協力して魔獣を次々と倒していき、やっとの思いで"プッシーキャッツのマタタビ荘"という合宿施設までたどり着いた。しかし時刻は17時20分。もう日は傾き、夕方近くになっていた。ゴール付近で待っていた相澤、ピクシーボブ、マンダレイと少年そして最後にオートバジンが待ち構えていた。
「あ、やーーっと来たにゃん」
「随分遅かったねぇ」
A組たちはかなり疲弊しボロボロになっていた。互いに競い合っていた巧、爆豪、轟の3人は特にボロボロだ。
「何が3時間ですかぁ...!」
「腹減った...死ぬ...!」
「あれ私たちならって意味なの。悪いね」
「実力差自慢のためか...やらしいな...」
「ねこねこねこ...」
思惑通りとなったピクシーボブは奇妙な笑い方をする。巧はそんなピクシーボブにキレそうになり、一週間やっていけるとは思えなかった。
(三十路ババァめ...!)
心の中でピクシーボブに悪態をついていると、オートバジンが巧にタオルとコップに入った水を渡してきた。巧は黙って受け取り汗を拭き取って水を一気に飲み干した。
「おい....乾だけズリィぞ...」
「バジンちゃん...私にも水を...」
巧一人だけ水を飲んでいることに羨ましそうに見る瀬呂と芦戸。オートバジンは黙って芦戸たちに水を配った。
「でも正直もっとかかると思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった。いいよ君ら....」
そう言ってピクシーボブは巧たちの方に指を向けた。
「特にそこの5人。躊躇の無さは経験値によるものかな?」
ピクシーボブに指をさされたのは巧とオートバジンから貰った水を飲んでいる緑谷、爆豪、轟、飯田の5人だった。ピクシーボブはまじまじとその5人を見た後、急に飛び出して唾を吐き出した。
「3年後が楽しみ!ツバつけとこー!」
「うわっ!」
「何をっ!?」
「やめろ!」
ピクシーボブの突然の唾吐きに抵抗する5人。それを見ていた相澤はマンダレイに質問した。
「マンダレイ...。あの人あんなでしたっけ?」
「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」
適齢期的なものであったとしても半分ほど年下の学生相手をターゲットにするのはどうかと思う。すると緑谷はとあることを思い出した。
「適齢期といえば——!」
「と言えばって!?」
「ぶっ!?ずっと気になってたんですが、その子はどなたのお子さんですか?」
またもやピクシーボブの肉球に顔面を鷲掴みにされた緑谷は、目つきの悪い少年がこの二人のどちらかの子供ななのかと尋ねた。
「違う違う。この子は私の従甥だよ、
目つきの悪い少年こと
「あ、えと、僕雄英高校ヒーロー科の緑谷。よろしく」
挨拶として手を差し出す緑谷に向かって洸太は右ストレート金的をくらわした。
「キュウ...」
「緑谷君!?」
「テメェクソガキ!」
急所を狙われた緑谷は力が抜けてその場に倒れ伏し、飯田が駆け寄る。巧はそんな洸太に怒鳴る。洸太は見下すようにフンッと鼻を鳴らした。そんな態度にさらに怒りが増した巧は一発ぶん殴ってやろうと立ち上がる。しかしそれを相澤に止められてしまった。
「子供相手に暴力はいただけんな。冷静になれ」
「.....チッ!」
巧は舌打ちをして仕方なく一旦ここはおさまることにした。爆豪はその様子を見て鼻で笑う。
「マセガキ相手に情けねぇな...」
「ああ!?」
「そこは爆豪と同意見だがあの子供、お前に似てねぇか?」
「あ?似てねぇよ!つーかテメェ喋ってんじゃねぇぞ舐めプ野郎!」
「悪い」
轟は洸太が爆豪に似ていると言って爆豪に怒鳴られてしまうが、対して狼狽えてはいなかった。流石にこのままでは時間だけが過ぎていくので相澤はさっさと切り替える。
「茶番はいい。バスから荷物降ろせ。部屋に荷物を運んだら食堂にて夕食、その後入浴で就寝だ。本格的なスタートは明日からだ。さぁ、早くしろ」
この後にやることの説明を聞いた後、A組一同は疲れ切った肉鞭打って歩き、荷物を取りに行った。その間、巧は洸太のことを睨みつけていた。