進化する人々   作:奥歯

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Χ&Δ

巧がクロコダイルオルフェノクと交戦している間に相澤は外に出て状況を確認した。外は炎に包まれ、山火事になっていた。このままでは多くの怪我人が出てしまう。森の奥には生徒たちがいて危険な状態だ。一体何人の(ヴィラン)があそこにいるのか把握できていない。すると森の向こうから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「先生!」

 

「緑...!」

 

「先生!よかった!」

 

相澤はすぐに緑谷だと気づき振り返るが、その緑谷の酷すぎる怪我に顔を歪ませた。

 

「大変なんです...!伝えなきゃいけないことが沢山あるんです...!けど...!」

 

「おい...」

 

「取り敢えず僕、マンダレイに伝えなきゃいけないことがあって...洸太君をお願いします」

 

「おいって...」

 

「水の個性です。絶対守って下さい!」

 

「(こいつ...完全にハイになってやがる...!)」

 

もはや相澤の声も届いていないほどアドレナリンが出ている緑谷はもはや痛みも感じない程の興奮状態でいるのだろう。

 

「お願いします!」

 

「待て緑谷!」

 

次に行こうとする緑谷を相澤は声をあげて止める。緑谷は振り向き、相澤は深くため息をつく。

 

「その怪我、またやりやがったな」

 

「あ...いやっ...でも...」

 

冷静になった緑谷はこのことについてどう説明すればいいのかしどろもどろになってしまう。ヒーロー免許を持っていない者は個性を使ってはいけない。しかし緑谷は洸太を守るために使った。たとえ罰せられても悔いはなかった。相澤もそれをわかっていたのか、緑谷にこう答えた。

 

「だから彼女にこう伝えろ」

 

●●●

 

迫ってくるクロコダイルオルフェノクになす術がない巧はなんとか防御だけでもしようと身を屈める。もう目前まで迫ってきていたその時、巧の目の前にオートバジンが現れ、クロコダイルオルフェノクの攻撃をバスターホイールで塞いだ。

 

「オートバジン!」

 

オートバジンはクロコダイルオルフェノクの腕を弾き、その直後にガトリングガンでクロコダイルオルフェノクを撃ち抜き、火花を散らして吹き飛ばした。形勢逆転した巧はもう一度迎え撃とうとした時、クロコダイルオルフェノクの周りに大量の泥が浮かび上がり、徐々に人の形になっていく。そして形ができるとその泥人形は大量のクロコダイルオルフェノクになった。またしても形勢逆転された巧だったが巧は全く焦っていなかった。巧は冷静にミッションメモリーをファイズショットに切り替える。

 

Ready

 

そして左腕に付けてあるファイズアクセルからアクセルメモリーを抜き取りファイズフォンにセットした。

 

Complete

 

巧はアクセルフォームにチェンジし、腕をスナップするとファイズアクセルのスタータースイッチを押した。

 

Start Up

 

そして巧は銀色の閃光となり、その直後にエンターキーを押す。

 

『Enter』

 

Exceed Charge

 

シルバーストリームからフォトンブラッドがファイズショットに伝わり大量のクロコダイルオルフェノクたちに向かって連続のアクセルグランインパクトをくらわした。

 

3 2 1

Time Out

Reformation

 

時間切れとなったアクセルフォームは通常のファイズに戻る。一体残らず一瞬でくらわされた泥人形たちは一瞬で崩れ去り、そしてクロコダイルオルフェノクは青い炎に包まれて崩れ去った。やっとの思いでクロコダイルオルフェノクを撃破した巧はまずは助けてくれたオートバジンの方に振り向く。

 

「ありがとなオートバジン」

 

オードバジンは言葉を発さないが、代わりにサムズアップをした。しかし巧はまだ、物陰から潜んでいる新たな敵に気付いていなかった。

 

●●●

 

一方結花たちの方では充満したピンク色の煙の中で拳藤の拳の中でなんとか煙を吸わずにいた。

 

「早く施設に戻らないと!」

 

「はい!」

 

結花は骨抜を背負い、施設まで走ってこの煙の中を抜け出そうとした時、マンダレイのテレパスから(ヴィラン)の襲来を聞かされた。

 

「やっぱり(ヴィラン)!」

 

「........!拳藤さん!骨抜さんをお願いします!」

 

結花は何を思ったのか骨抜を拳藤に渡し、どこかに行こうとする。

 

「ちょっと長田!?まさか(ヴィラン)と戦う気!?」

 

拳藤は結花を止める。マンダレイのテレパスからも戦わずに逃げるように言われていた。仮に戦うとしてもどこに(ヴィラン)が潜んでいるのか見当もつかない。しかし結花は戦う決意を固めていた。

 

「勿論です!それに(ヴィラン)がどこにいるのか見当はついています!この毒ガスを放っている人がいるはず!それならガスが濃い方に行けばいいはずです!」

 

「マンダレイに戦うなって言われてるじゃん!」

 

「バレなきゃ戦ったことにはなりません!それにこのまま逃げたらヒーローを目指した意味がなくなります!」

 

「長田の言う通りだぜ!」

 

茂みの中からガスマスクをつけた鉄哲がガスで気絶した塩崎を担いで現れる。

 

「鉄哲さん!」

 

「毒ガス対処用に八百万から貰ったたんだ!お前らの分もあるからつけろ!」

 

鉄哲からガスマスクを受け取り、気絶している小大と骨抜につけ、自分たちもつける。

 

「これでしばらくは大丈夫なはずだ!」

 

「ありがとうございます!それじゃあ私は行きます!」

 

「よし!俺もいくぜ!」

 

「待って二人とも!交戦はダメだって...!」

 

『雄英生徒に告ぐ!A組B組総員!プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!!ただしかっちゃん!お前は単独行動を避け、戦闘を行わないこと!繰り返す!....』

 

拳藤が止めようとした時、マンダレイのテレパスから(ヴィラン)との戦闘するよう許可技がおりた。

 

「かっちゃんって...爆豪さんのことでしょうか...?」

 

「もういいだろ拳藤!俺たちは行くぜ!1年B組ヒーロー科!ここで立たねばいつ立てる!?見つけ出して俺たちが必ずぶっ叩く!」

 

「こんな時にこそヒーローの出番です!」

 

そう言って走って行った2人に拳藤も決意を固め、二人の後を追いかけた。

 

●●●

 

ムーンフィッシュと交戦していた爆豪と轟はこの森の中で爆破や炎などを使ったりしたら二次災害に繋がりかねないため、本領を発揮出来ずに悪戦苦闘をしていた。

 

「肉......早く見せてぇええええ!!」

 

ムーンフィッシュは歯から刃を連続で飛ばし、轟はすかさず氷で防御する。

 

「近づけねぇ!クソ!最大火力でぶっ放すしか...!」

 

「駄目だ!」

 

「木ぃ燃えてもソッコー氷で覆え!」

 

「爆発はこっちの視界も塞がれる!仕留めきれなかったらどうなる!?多数も向こうに分があんだぞ!」

 

防戦一方で勝ち筋が見えない状況、このままではムーンフィッシュの刃で切り刻まれてしまうのは時間の問題だ。

 

「肉、肉.....肉うううううううう!!!」

 

ムーンフィッシュは刃をさらに増して氷を削っていく。このままでは氷の壁を破られてしまう。轟もすでに体が凍りつき始めていた。体温調節を行うにも円場を背負っている状態ではそれができない。どうすればいいか考えているとムーンフィッシュの後ろから男の声が聞こえてきた。

 

「もうその辺にしておけ、後は俺たちがやる」

 

「あ....?」

 

ムーンフィッシュが後ろを振り向くと、そこには緑川と青木が立っていた。

 

「ここは俺たちに任せてお前は他んとこ行けよ」

 

「肉、肉.....お前ら....邪魔.....」

 

ムーンフィッシュは邪魔されたのが気に食わなかったのか、緑川と青木に向かって刃を飛ばし、驚いた2人はギリギリで避ける。

 

「おいおい、仲間に向かって攻撃ってどう言う了見だ」

 

「下等生物が調子に乗りやがって」

 

これに怒った2人はムーンフィッシュに向かって指を指す。すると指が触手のように伸び、ムーンフィッシュの胸を貫き、ムーンフィッシュはそのまま灰となって崩れ去った。

 

「これで邪魔なやつはいなくなったな」

 

「後はこの氷を....」

 

青木は前に出ると顔に模様が浮かび上がり、その姿を変える。その見た目はまるで牛の様な姿をしたオックスオルフェノクだ。青木は巨大な拳のような武器を出現させ、大きく振りかぶり、氷の壁を一撃で破壊した。

 

「こいつら...!」

 

「オルフェノク...!」

 

爆豪と轟は氷の壁の向こうから現れた青木を見て身構える。青木は元の姿に戻り、緑川と一緒に氷の塊を乗り越える。

 

「どっちを狙うんだ?」

 

「あの爆発頭だ」

 

青木と緑川は爆豪の方に視線を向ける。爆豪は身構え、マンダレイが言っていたことを理解した。この2人の狙いは自分自身だと。だから戦闘を避けて逃げろと言われていたのだ。しかし、だからといっておいそれと逃げる爆豪ではない。このままこの2人を倒すと決めた。

 

「爆豪、お前は...」

 

「わかっとるわ。こいつらをぶっ殺せばいいんだろ」

 

「いや....はぁ、仕方ない」

 

このまま逃げることを進めようとしたが、恐らく逃してはくれないだろう。轟は円場を近くの茂みに寝かしつけ、戦闘体制に入る。そして同時に爆豪と轟の顔に模様が浮かび上がると、それぞれスネークオルフェノクとスパイダーオルフェノクに姿を変える。

 

「こいつらやる気だぜ緑川?」

 

「なーに心配いらねぇよ。俺らにはこれがある」

 

そういうと青木はニヤリと笑い、2人は上着を捲ると腰にベルトを巻いていた。爆豪と轟は巧がつけていたファイズドライバーによく似たそのベルトを見て驚く。そして緑川はガラケーのようなものを取り出し、青木はトランシーバーのようなものを取り出す。

 

『9 1 3』

 

『Enter』

 

Standing by

 

「変身」

 

緑川はそのガラケーのようなもの、名をカイザフォンと言いキーを入力するとカイザフォンに流れた音声はファイズファンと違い低く、くぐもった音声をしていた。そして青木はトランシーバーのようなもの、名をデルタフォンと言い、デルタフォンのトリガーであるドライブグリップを押しながら変身コードをマイクロフォンに向かって呟いた。

 

「変身」

 

Standing by

 

緑川はカイザフォンをカイザドライバーにセットし、青木はデルタフォンを右腰に装備されてあるデルタムーバーにセットした。

 

Complete

Complete

 

その直後、緑川の体に黄色い光が全身を駆け巡り、青木の体にも青白い光が全身を駆け巡った。そして最後に光を放つと二人はファイズによく似た姿へと変身を遂げていた。

 

『ファイズが2人....!?』

 

『どういうこった....!?』

 

月光に照らされてできた影から爆豪と轟の姿が映し出される。2人ははまさかファイズ以外にも似たようなものが存在していたとは思わず、動揺していた。

 

「いや....俺はファイズじゃない....カイザだ」

 

「そして、我が名はデルタ。とか言ってみたり」

 

緑川と青木が変身した姿はカイザとデルタと言い、オール・フォー・ワンが死柄木に渡したプレゼントとはこのベルトのことだったのだ。爆豪は両手に短剣を、轟は巨大な八方手裏剣を出現させ構えを取る。緑川は右腰に装備してあるカイザブレイガンを取りミッションメモリーをセットする。そして青木はデルタムーバーを取り出してミッションメモリーをセットし、ブラスターモードにする。

 

Ready

Ready

 

カイザブレイガンをブレードモードにし、カイザブレイガンから黄色い刀身が伸び緑川は構え、青木はデルタムーバーを向ける。そして4人は同時に走り出した。

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