「え....!?」
「ど、どういうことだよ...。爆豪たちが、バケモンに...」
「これは一体...」
「..........!」
飯田たちは目の前に映る光景が信じられなかった。巧たちが突然USJやI・アイランドに現れたあの怪物になったことに。
「ついに正体を現したか化け物ども、今世界中がお前らの恐ろしく醜い姿を見ているんだ。もうお前らは二つの意味で終わりだな」
赤井は画面に隠れた笑みを浮かべながらファイズフォンを取り出し、巧たちに向ける。巧たちはそれぞれ構え、赤井たちに迎え撃つ。その様子を、オールマイトは苦渋の表情を浮かべる。
「緑谷少年たち...!なんということを...!」
「フハハハハッ!!まさか君の後継者があんな化け物だったとは驚きだよ!!」
AFOはわざとらしく驚き、オールマイトを煽る。巧たちのその姿はもちろん報道のヘリコプターからのカメラに撮られ、人々が、ネットやテレビを通じてその姿を見ていた。
『あれは一体なんでしょうか!?雄英高校の生徒と思われる五人が灰色の怪物へと姿を変えました!個性と呼ぶには余りにも恐ろしい姿をしています!』
「なんだあれ...」
「こわ〜い」
「え?なにあれ
世間は巧たちの姿を見て、まるで他人事かのように、物珍しい何かを見るような目で巧たちの姿を見ていた。
「けど嬉しいね。こうして俺たちの存在が世間に認知されるようになったんだ。上の連中も、頑張って俺たちの存在を隠し通してきたみたいだが、いずれはこうなるはずだと薄々気づいてたはずだ。遅かれ早かれな」
赤井たちはゆっくりと攻撃の体勢に入っている巧たちに近づき、巧たちは警戒を解かずに、緑谷、爆豪、轟の三人はそれぞれ武器をだす。赤井たちの方も緑川はカイザブレイガンにミッションメモリーをセットし、青木もミッションメモリーをデルタムーバーにセットする。
Ready
Ready
カイザブレイガンからは黄色く光り輝く刀身が伸び、緑川はその刃を巧たちに向け、青木も銃口を巧たちに向ける。一見、3対5と巧たちが有利そうに見えるこの状況、実際は相手の方はオルフェノクを圧倒できるベルトを装着している。完全に不利なのは巧たちの方だった。しかし、もはや後戻りできない巧たちに迷いはない。巧は横にいる4人に目配せをすると、わかっていたかのように別れた。カイザに変身した緑川には緑谷と爆豪が、デルタに変身した青木には轟と結花が、最後にファイズに変身した赤井には巧が対峙する。
「チッ...!なんで俺がデクなんかと一緒に...!」
「文句言うな!そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ!」
爆豪が緑谷と一緒に戦うことに愚痴をこぼしていると、巧がそれに対して怒鳴る。そして赤井たちが一定の距離をとった場所で止まった瞬間、巧たちと赤井たちは同時に走り出し、巧たちはそれぞれ別れて赤井たちに突っ込んで行った。
「ハァ!」
「シャアッ!」
「フン!」
緑谷と爆豪は武器を緑川に振り下ろすが、緑川はカイザブレイガンで防ぐ。そして緑谷と爆豪を力技で跳ね返し、吹き飛ばされた緑谷と爆豪は同時に空中後転して体勢を立て直す。やはり2人で相手をしても一筋縄手は行かないほどの強さを誇るカイザ。その直後、緑川は走り出しカイザブレイガンで2人に斬りかかるが、咄嗟に緑谷が左手に持った盾で緑川の攻撃を防ぐ。そして緑谷はカイザブレイガンを弾いたあと、右手に持っていた剣で緑川を斬り付ける。
「ハァ!」
「グァ!」
緑川が怯んだ直後、後ろから爆豪が緑谷を踏み台にして上空に飛び上がる。
「かっちゃん!?」
「俺の前に立ってんじゃねぇぞデク!!」
緑谷が前に立っていたことが気に食わなかった爆豪はそのまま前転をしながら勢いよく落下して両手に持っていた短剣で緑川を切り裂いた。
「死ねぇ!」
「アガァ!!」
火花を散らして吹き飛ばされた緑川は緑谷と爆豪の思わぬコンビプレーに翻弄され、かなり苛立っていた。緑川はカイザブレイガンのコッキングレバーを引く。
「チィッ!イラつかせやがって!!」
BURST MODE
弾が装填され、緑川は後ろに下がりブレイブトリガーを引いた。そしてフォトンマズルから黄色いフォトンブラッドの弾丸が発射される。緑谷と爆豪はフォトンブラッドの雨を防ぐが、流石に防ぎきれずに火花を散らして吹き飛ばされてしまう。
「うわっ!」
「ぐっ...!」
一定の距離を保った緑川は立ち上がりもう一度カイザブレイガンのコッキングレバーを引く。
BURST MODE
構えを解かない緑谷と爆豪に向かって緑川は走り出し、剣で斬りかかってきた緑谷の攻撃をカイザブレイガンで叩き割り、そのまま腹を切り裂く。
「遅い!」
「うぐっ!」
その直後すぐに緑川は爆豪に斬りかかるが、爆豪は短剣でカイザブレイガンを防ぐ。それを見越していたのか緑川は防がれたと同時にブレイブトリガーを引いて弾丸を爆豪の顔面に浴びせた。思わぬ攻撃に怯んでしまった爆豪に回し蹴りで吹き飛ばす。
「弱い!」
「うがぁ!」
「かっちゃん!」
緑谷はすぐに立ち上がり緑川に斬りかかるが、緑川はその攻撃を防ぎ、剣を弾き飛ばすと正確に緑谷の手の甲を撃ち、剣を手放させるとその剣を奪い、カイザブレイガンと緑谷の剣の二刀流で緑谷を切り裂き、吹き飛ばした。2対1でもこの圧倒的な力の差に緑谷と爆豪は圧倒されるが、それでも2人は立ち上がる。その姿に緑川は怒声を浴びせる。
「無意味な悪あがきはやめてさっさと死ねよ!テメェらにはもう勝ち目なんざねぇんだぜ!」
緑川の言うとおり、この埋めようない差に最早緑谷たちに勝ち目などないかもしれない。それでも、みんなで生きて帰ると決めたのだ。緑谷と爆豪はふらつきながらも立ち上がる。
「それでも...負けるわけにはいかないんだあああ!!」
「死ぬのはテメェらのほうだああああ!!」
●●●
一方轟と結花は青木と対面し、青木は2人の攻撃を淡々と避けていた。轟は巨大な蜘蛛の巣状の八方手裏剣で切りつけようとするも、青木はそれを避け、直後に結花の蹴りが青木の顔面にめがけて繰り出されるが、それも素早く回避する。しかし避けてばかりの青木では無い。
「Fire」
BURST MODE
後ろを振り向いた直後、青木は銃口を轟に向けてトリガーを引いた。轟は放たれた弾丸を自身の武器で防ぎ、その隙に結花が空中から青木の背後に羽を飛ばした。しかし、青木はすぐに反応して結花が飛ばした羽を全て撃ち落とした。
「......!」
「二度はくらわないぜ」
すかさず轟が武器を振り上げて、青木の頭にめがけて振り下ろすが青木はその攻撃を左腕で受け止め、その直後に右手に持っていたデルタフォンで轟の腹を撃ち抜いた。
「グハァ!」
「焦凍さん!」
結花はすぐに轟に駆け寄り、近寄らせないために青木に向けて羽を連続で飛ばす。青木はその羽を撃ち落とすが、流石に防ぎきれずに何発かくらい火花を散らして吹き飛んだ。
「ぐっ...!」
その隙に結花は焦凍の傷ついた腹部を優しく手で触れてその傷を癒した。
「すまない結花...。いつも助けられてばかりで...」
「謝らないでください。こういう時はありがとうって言うんですよ。困った時はお互い様ですから」
「そうだな...。ありがとう。結花」
轟と結花が青木に対して視線を外している隙に青木はデルタフォンで結花の背中を撃ち抜こうとした時、轟が武器をブーメランのように飛ばして青木の胸を切り裂き、火花を散らした。
「ぐあ!」
「しょ、焦凍さん!ごめんなさい!私...!」
「こう言う時はありがとう、だろ?」
「.....はい!ありがとうございます!」
轟は戻ってきた武器を掴み、結花は前を向き直なおって構えをとる。そしてこちらに向かって走ってくる青木に迎え打つように同時に走り出した。
●●●
巧は今、緑谷たちが懸命に戦っている中、赤井な動きを伺っていた。巧は赤井を警戒して構えを解かず、赤井は余裕な態度で構えを取らずに巧を見ていた。お互い動かずにいると、赤井が突然巧に語りかけてきた。
「俺はな、お前らに感謝してんだ」
「何?」
「俺たちオルフェノクは人間たちにバレないように生きてきた。上の奴らやスマートブレインのせいで表に立つことも叶わず、ゴキブリみてぇにひっそりと存在を隠してきた。だがチャンスが来たんだよ!この時を待っていた!俺たちの存在が世間に認知されるようになったんだ!」
突然何を言い出すかと思えば赤井は巧に感謝をしていると語り出す。何を言っているのかわからない巧は少し困惑し、一体何が目的なのか赤井に問いただした。
「テメェ...何が目的だ!」
「.......恐怖だよ」
「恐怖...?」
「そのままの意味さ、人間共に俺たちの存在を認知させた上で絶対に逆らえない、絶対に敵わない存在として恐怖を植え付けてやるんだ。俺はその顔を見るのが好きなんだよ。そして痛ぶり殺してやるんだ」
「........!」
巧は赤井の嘘偽りのない目的が到底理解できないことだということを、この男は身も心も人間ではないんだということを理解した。巧は拳を握り締め、目の前の怪物を倒すために走り出した。巧はある程度の距離まで近づくと飛び上がり鉤爪で攻撃するが、赤井はその攻撃を一歩後ろに下がり難なく避け、空振りになった巧に拳を突き出すが巧はそれを受け止め、そのままもう一度鉤爪で攻撃する。しかし赤井は受け止められた拳を軸に回転して巧の後頭部に肘打ちをした。
「グッ....!」
攻撃をくらった巧は思わず掴んでいた手を離してしまい、その隙に赤井は巧の手から離れ、今度は逆に巧の両腕を掴んで背中に固め、スープレックスをくらわした。そして巧を無理やり立たせると、回し蹴りで巧の腹を蹴り飛ばす。
「グハァ!」
そして赤井は左脇腹にローキック。右頬にストレート。顔面にハイキック。そして首をつかみ何度も鳩尾にパンチを繰り出し、最後にアッパーカットで巧の顎を殴り飛ばした。
「どうした?俺たちを倒すんじゃなかったのか?それともハッタリか?」
赤井の煽りに対して、吹き飛ばされた巧はふらつきながらもなんとか立ち上がり、赤井に対して力強い視線を向ける。赤井はその目に対して苛立ちを感じた。
「んだよその目...。お前みたいな目をしたやつが一番嫌いなんだよ俺は」
そういうと赤井はファイズフォンからミッションメモリーを抜き取り、ファイズショットにセットしてエンターキーを押した。
Ready
『Enter』
Exceed charge
エンターキーを押したと同時にファイズドライバーからフォトンブラッドが腕にかけてファイズショットに流れていき、エネルギーが装填される。
「これでお前のムカつくツラをぶっ潰してやる」
赤井はファイズショットを構え、姿勢を低くする。この一撃をくらえば、確実に巧は死ぬだろう。しかし、そんなことで引き下がる巧では無い。同じく巧も姿勢を低くし、攻撃の体勢に入った。そして先に走り出したのは赤井だった。赤井は勝利を確信していた。このファイズの力がオルフェノクとの圧倒的な差を見せつけたのだ。もはや負ける道理などなかった。あとは間合いを詰めてこのファイズショットを巧の顔面に向かって殴りつけるだけだ。
「死ねぇえええええ!!」
迫り来る赤井に対して、巧は構えたまま動かなかった。ただじっと、獲物を狩る狼のようにじっと相手を睨みつけたまま構えを解かず動かない。そして赤井がギリギリまで迫り、拳を振り上げてファイズショットを巧の顔面に向かって振り下ろした時、巧は突然、身を屈めてショルダータックルの体勢にはいる。
(なっ!?)
赤井は巧の予想外の動きに驚く。どうして避けられてしまったのか、それは巧が今までの赤井の攻撃で間合いを覚えていたのだ。赤井は突然な動きに驚き、すぐに反応することができなかった。そして巧はものすごいスピードで赤井の脇腹に向かって肩の鋭利な刃で切り裂いた。
「ぐおあああ!!」
赤井はその鋭利な刃をモロにくらい、火花を散らして吹き飛ばされた。巧のこの姿、ウルフオルフェノクの脚力は時速300km。しかもそれを初速で繰り出せるという強靭な脚力をしているのだ。赤井は巧の予想外な動きと、早すぎる動きに反応できずに攻撃をくらってしまったのだ。
「い、痛えじゃねぇかよ...」
「お前に....ハァ、殴られっぱなしは、癪だからな...」
巧の攻撃がかなり効いていた赤井はふらつきながら立ち上がる。巧も構えを取るが、巧の方も赤井から受けたダメージは大きく、息も上がっていた。こんな状態では勝てるはずもない。先ほどの攻撃がやっとだった。その時、巧はある視線に気づいた。それは瓦礫の影に隠れて見ていた耳朗たちだ。巧は耳朗たちの方を見て手を前に出し、首を横に振った。耳朗は巧が何を伝えようとしているのか理解した。ここは危険だらか今すぐここから離れろと。
「乾...」
「一体どうなってんだよ!?助けようとしてたのは爆豪たちじゃなかったってのか!?一緒に来ていた3人は!?もう訳わかんねぇよ!!」
パニックになっている切島と同じく状況が理解できず、ただ見てることしかできない八百万と飯田。その中で耳朗は一人立ち上がった。
「耳朗さん...?」
「ここから離れよう。ウチたちがここにいたら危ない」
「......そうだな。ここから離れよう。俺たちの役目はすでに終えているんだ。さぁ、立つんだ切島君」
「あ、ああ」
耳朗たちがこの場にいては危険すぎる。そう判断した飯田たちは、この場から離れて行った。巧はその様子を見届け、安心する。その時、赤井が不意打ちを仕掛けてきた。
「よそ見をするな!」
「グァ!!」
巧は赤井の拳を顔面にくらい吹き飛ばされた。その様子を戦いながら見ていたグラントリノはこの状況にどうするべきか考えていた。
(全く面倒事が多すぎる...!
グラントリノはこの状況をどう打開するか思考を巡らせる。今彼らに加勢はできない。自分たちにできることは何か、それを最優先にしなければならない。まずは
「俊典!オルフェノクのことは奴らに任せてこいつらを俺たちで片付けるぞ!!」
「わかっていますよ!彼らも精一杯頑張っているのなら!私も負けていられない!!」
オールマイトは拳を振り上げてAFOを殴りかかる。咄嗟にAFOは右腕でその攻撃を受けるが、勢いまでは殺せずに吹き飛ばされてしまう。
「とりあえず!残りの連合は2人!終わらせる!」
「くっ....!」
「弔君、終わりたくないです」
「...やれやれ、してやられたな。あの子達の一手に」
そう言うとAFOは指先から黒い何かを出し、オールマイトに向かってくる。オールマイトはその攻撃を咄嗟に避けるがあることに気がついた。それはこの攻撃はオールマイトを狙ったものではなく、その後ろにいるマグネの方に向かっていた。気づいた頃にはもう遅く、黒い何かはマグネに突き刺さった。
強制発動 磁力
すると突然マグネの個性が強制的に発動され、グラントリノを迎え討とうとした死柄木の体がのけぞって浮かび上がり、グラントリノの攻撃を避ける。そしてトガに向かって飛んで行った。そして次々と気絶している
「待て...ダメだッ...先生!」
死柄木は必死に磁力に抗おうとして地面を掴もうとするが、その行動も虚しく、徐々にワープゲートに吸い寄せられる。
「その身体じゃ、あんた...!ダメだ...!!俺はまだ——ッ!」
「弔。君は戦い続けろ」
死柄木たちはワープゲートを通り抜け、そのゲートは黒霧と一緒に完全に消えてしまった。そらを見届けたAFOは、迫り来るオールマイトに向き直る。
「僕はただ、弔を助けに来ただけだが...戦うとなったら受けて立つよ」
●●●
一方、赤井たちと交戦している巧たちは、徐々に赤井たちに押され、防戦一方を強いられていた。そんな中、緑川は死柄木たちが自分たちを置いて何処かに行ってしまったことに怒りを露わにしていた。
「あいつら...!俺たちを見捨てやがった!」
「ハッ!所詮お前らは助けるに値しない雑魚だったてことだろうがよ!!」
「んだとクソガキイィィィ!!!」
苛立ちの中緑川は爆豪に煽られ、怒りのまま殴りかかった。迫り来る緑川にどうしたものかと爆豪が考えを巡らせていると突然、緑谷が爆豪の前に立つ。
「デクッ!テメェ俺の前に立ってんじゃねぇぞ!」
緑谷は爆豪の怒号を無視して迫り来る緑川に丸腰で爆豪を守るようにたったままだった。そして緑川が怒りのまま斬りかかろうとした瞬間。緑谷は剣を出現してその勢いで緑川の胸を剣の切先て突いた。
「グオアア!!」
「ハァッ!!」
「がああ!」
緑川が緑谷の攻撃で火花を散らして怯んだ直後に緑谷は剣でもう一度緑川の胸を切り裂いた。緑川は吹き飛ばされ、地面に転がる。その直後、緑谷は爆豪に一つ提案を持ちかけた。
「かっちゃん!僕が合図したら僕の背中に乗って!」
「あっ!?何言ってやがる!?」
「いいから準備して!!」
突然何を言い出すのか理解が追いつかない爆豪だったが、このままではただやられてしまうだけであるため、しのごも言ってられない。爆豪は仕方なく緑谷が考えた作戦に乗ることにした。
「チッ!クソナードのくせに命令しやがって!!」
爆豪は悪態を吐きながらも緑谷の合図を待つ。
「ゴチャゴチャうるせぇぞテメェらああああ!!」
完全に頭に血が上っている緑川はエンターキーを押し、カイザブレイガンにエネルギーを送る。
『Enter』
Exceed Charge
緑川はカイザブレイガンを振り上げて迫り来る。すると緑谷は突然走り出したと思うと、徐々に姿が変化していき、下半身が馬のようになる。さながらその姿はケンタウロスのようだった。先ほどの姿を格闘態と言うならば、この姿はホースオルフェノク疾走態と言うべきか。疾走態へと姿を変えた緑谷は爆豪に合図を出した。
「かっちゃん!」
合図を受けた爆豪は癪に触りながらも飛び上がり緑谷の背中に乗る。緑川は飛び上がりカイザブレイガンで斬りかかろうとする直前に、緑谷は個性を発動する。
「ワン・フォー・オール!フルカウル!!」
すると緑谷の全身に赤いラインが駆け巡る。それだけではなく、緑谷の持っていた剣にも赤いラインが駆け巡った。そして緑谷は攻撃を仕掛けてきた緑川を切り裂いた。
SLASH!!!
「グアアアアアアアア!!」
今までくらってきたどの攻撃よりも凄まじい攻撃に緑川は上空へと吹き飛んでしまう。そして吹き飛ばされた緑川に爆豪は飛び上がり、両手を爆破させてその両手を緑川に叩きつけた。
「死ねぇえええええ!!」
「ガアアアア!!」
強力な攻撃を二度もくらったカイザドライバーは強制的に緑川から外れてしまう。そして緑川は変身を解除されて地面へと落下していく。緑谷は元の姿に戻り、落ちてくるカイザドライバーをキャッチする。
「おおっと!.....これが、ファイズドライバーと同じベル...!」
「よこせデク!」
「うわ!?」
緑谷がカイザドライバーをまじまじと見ていると、横から元の姿に戻った爆豪がカイザドライバーを横取りする。
「ガハハハッ!このベルトは俺のもんだ!!」
「あはは...」
あまりにもヒーローらしくない笑い声を上げる爆豪に緑谷は苦笑いするのであった。
●●●
轟と結花は青木に対して攻撃を仕掛け続けるが青木は冷静に避け続ける。轟が真正面から攻撃しても、まるで動きを読まれているかのようにかすりもしない。結花も上空から羽を飛ばしても、青木は後ろに飛んでよけ、避けきれないものはデルタムーバーで撃ち落とす。このままではダメだと考えた轟は違う方向から攻撃を仕掛けることにした。まず轟は地面を凍りつかせ、動きを封じようとするが読まれていたのか、青木は飛び上がって回避し、着地した時足をとられないように氷をデルタムーバーで撃ち砕き、着地しようとしたとき、上空から迫ってきた結花が手刀で攻撃する。
「ハァ!」
「危な」
しかし青木はその攻撃を難なく受け止め、首を腕で締め上げて動きを封じたあと、地面に着地する。青木は結花の頭に銃口を突きつけて盾にし、轟に攻撃できないようにした。
「テメェ結花を離せ!」
「はい分かりましたといって離すとでも思ったか?ヒーローってのは
「クソ野郎おおおおおお!!」
轟は青木の煽りに怒り狂い、武器にヒビが入るほど握りしめる。青木はわざと轟を怒らせるような発言をし、自分の有利な状況に持ち込もうとする。案の定轟は怒り、必ずこの男を殺してやると思ったその時、青木に盾にされている結花が声を上げた。
「焦凍さん!」
「!!」
「相手の言葉に惑わされないで下さい!私なら大丈夫!こんな私でもヒーローの卵です!ヒーローはピンチの時こそ強くなくてはいけない!」
「結花...」
轟は結花の言葉を聞いて冷静になる。それを見届けた結花は力を振り絞り、腕を解こうとする。
「動くなよ。でないとお前の頭を吹き飛ばすぞ」
「あなたは有利に立っているつもりですが、むしろ逆ですよ」
「何を言って...」
結花の言ったことを理解が出来なかった青木は結花の腰部分から巨大な翼が現れることに反応が遅れ、結花はその翼を勢いよく広げた。
「ハァ!」
「ぐおああああ!?」
「今です!」
結花の突然の合図に轟はすぐに反応して巨大な氷を生成し、青木な動きを封じた。青木は動きを封じられたが、氷ごときで封じられるほどデルタの力は弱くない。青木は氷を砕いてすぐに抜け出そうとした時、そうはさせまいと轟は炎を出し、結花は大量の羽を出す。そしてその羽は轟の炎に引火し、燃え盛る羽になって青木に集中放火した。
「があああああ!!」
「行きますよ焦凍さん!」
「ああ!」
2人の息のあった攻撃に、青木はもう氷を抜け出す隙を無くしてしまい、ここがチャンスだと2人は同時に飛び上がり、轟の武器と結花の翼が青木の体を勢いよく切り裂いた。
「「ハアアア!!」」
「グハァ....!!」
青木は火花を散らして吹き飛ばされ、同時にベルトも強制的に外れ、変身が解除される。ベルトは轟がキャッチして2人は同時に着地し、元の人間の姿に戻る。青木に勝利した2人は見つめ合い、そして勝利の喜びを分かち合うように結花は轟に抱きついた。
「やりましたね焦凍さん!」
「ゆ、ゆゆゆゆ結花....!そんな急に来られても...!」
結花は嬉しさのあまり轟を強く抱きしめ、轟は顔を真っ赤にして戸惑っていた。
●●●
緑谷たちが勝利していく中、最後の1人となった赤井は焦りもせずにヘラヘラとしていた。
「あらら、もしかして俺1人?全く荷が重いぜ」
「じゃあ降参したらどうだ?今なら半殺しで許してやるぜ」
「ははは。面白い冗談だな」
2人は軽口をたたきながら構える。その直後、緑川と青木を倒してきた緑谷たちが、巧の方に駆けつけてきた。
「たっくん!」
「出久!お前ら...!」
これで5対1となり、完全に形勢逆転となった。緑谷たちもオルフェノクへと変身し、皆疲弊しているものの戦う準備は整っている。ここまで来ればもう勝ち目はないと見えるところではあるがそれでも尚、赤井はヘラヘラと笑う。
「ははは、バカだなお前ら。これで勝ったつもりなら相当バカだぜ」
「何がおかしい?」
「ファイズにはまだ切り札があるってことだよ」
「!」
赤井の言葉に巧はあることに気がついた。それは赤井の左腕につけているデジタルリストウォッチ型のコントロールデバイス。通称ファイズアクセルだ。赤井はアクセルメモリーを使用するためにミッションメモリーをファイズショットに差し込む。
Ready
そしてファイズアクセルからアクセルメモリーを抜き取ると、それをファイズファンに差し込んだ。
Complete
するとフルメタルラング展開、中心のブラッディコアが露出し、赤いフォトンストリームが銀色のシルバーストリームに変化する。最後に黄色い複眼のアルティメットファインダーが赤色に変化した。これはファイズのもう一つの姿、アクセルフォームである。巧たちはこの姿を見て冷や汗を流す。その理由は勿論、あのI・アイランドの一件で圧倒的な強さをまじかで見たからである。赤井はファイズアクセルのスタータースイッチに指を置き、巧たちに語りかけた。
「俺の最後の切り札。存分に味わえ!!」
Start Up
その直後、赤井は銀色の閃光となり巧たちに襲いかかった。巧たちはなんとか防御を取ろうとするが、あまりの速さについていけず、次々とダメージを負う。
「がぁ!!」
「ぐっ...!」
「うっ...!」
「ぶはっ!」
「ぐふっ!」
その早すぎる猛攻撃になすすべもなく、どんどんダメージが蓄積されていく。ただひたすら攻撃を耐えるしかなかった。
「どうにかして打開策を...!」
「無駄だ...!こんなスピードじゃあ太刀打ちできねぇ!」
「どうすりゃいい...!」
巧たちはなんとか打開策を見つけようにも、この圧倒的な早さの前にはどんな作戦も無意味と化す。赤井はこの状況に声高らかに笑った。
「ふははははは!!いい気分だぜこの爽快感!弱いやつを痛めつけるってのは本当に楽しいなぁあああああ!!!」
圧倒的な強さに興奮状態の赤井。残り5秒となったところで、赤井は最後の一撃にでた。赤井はエンターキーを押してファイズショットにエネルギーを流す。
『Enter』
Exceed Charge
赤井の狙う先は巧だ。殺すと決めた男を最初に殺し、あとは全員同時に殺す。赤井の頭の中に出来たシナリオに笑いが込み上げてくる。そして残り4秒となったところで赤井は巧に向かって走り出した。
「これで終わりだああああ!!」
3
残り3秒、赤井は既に巧の目の前まで迫り、拳を振り上げていた。そのままこのファイズショットを巧の顔面にぶつければ、巧は跡形もなく灰となって崩れ去るであろう。
2
残り2秒、赤井は拳を巧の顔面に目掛けて振り下ろしはじめていた。巧の方は赤井が目の前に迫っていることに認識しているものの、巧が防御をとるにはもう既に遅すぎていた。
1
残り1秒、赤井の拳は目前まで迫り、もうなすすべもなく終わると思ったその時、巧の前に緑谷が盾を構えて前に出た。緑谷の突然の行動に、赤井は驚いたが、突き出した拳は引っ込めることはできず、そのまま緑谷の盾に衝突する。しかし緑谷の盾はアクセルグランインパクトに耐えることはできず、粉々に砕かれ後ろに吹き飛ばされてしまった。
Time Out
Reformation
「うわあああああ!!」
「出久!!」
緑谷はそのまま後ろのビルに激突し、煙を巻き上げた。巧たちはすぐに緑谷の元にかけ寄り、安否を確認する。
「出久!お前...!」
「たっくん...。ギリギリだったね...」
緑谷はダメージを負ったものも、防いだ盾のおかげで致命傷にはなっておらず、重症ではなかった。
「馬鹿野郎!お前、死んでたかも知れなかったのに...」
「当たり前のことしただけだよ」
そう言ってフラつきながらも緑谷は立ち上がる。
「まだ、終わってないでしょ?」
「.....ああ!」
緑谷の言葉に、巧は力強く答えた。そして巧は一人、前に出る。巧は1人で決着をつけるつもりだ。そのことを理解した緑谷たちは見守ることにした。赤井は巧を殺すことが出来なかったことに、怒りで体が震えていた。
「なんなんだお前らぁ!!どいつもこいつもイラつく奴らばかりだ!さっさと死ねよおおお!!!」
赤井は怒りのまま走り出す。迫り来る赤井に巧は姿勢を比較し、目にも止まらぬ速さで走り出した。その速さは獲物を狩る獣のごとく、赤井の目の前に一瞬で辿り着き、その胸を鋭利な爪で切り裂き、赤井は火花を散らした。
「ハァア!!」
「ぐおあああああ!!」
赤井は巧の速さについてこれず、次々と巧の猛攻撃をくらう。赤井は困惑していた。今まで優勢だったはずの自分がなぜここまで押されているのか、赤井には全く理解できなかった。
「クソッ!なんでだ!俺の方が強いはずなのに...!」
「強いのはお前じゃねぇ、そのベルトだ!返してもらうぜ!!」
巧はそう言うとベルトを掴み赤井の顔面を殴ると同時にベルトを引き剥がした。赤吹き飛ばさた赤井は変身が解除され、地面を転がる。赤井は立ち上がり、巧たちを睨みつけた。その直後、緑川と青木が赤井のもとに駆けつけた。
「お前らは!俺たちを倒したところでどうにもなんねぇんだよ!!お前らは怪物!人間にとって害でしかない醜いバケモンなんだ!!誰もお前らを受け入れるわけがない!蔑んで、恐れ、差別する!人間ってのはそういう生き物なんだぜ!!お前らにはもう夢も希望もないんだよ!!」
赤井の言葉に巧は面と向かって言い返した。
「おい知ってっか!夢を持つとな、時々すっごく寂しくなるが、時々すっごく熱くなる。らしいぜ」
「何言ってやがる?」
巧は緑谷の方に向きながら言い放つ。緑谷はその言葉に力強く頷いた。巧の言葉に赤井は何を言っているのか理解出来なかった。巧はベルトを腰に巻きつけ、ファイズフォンを取り出した。その両隣に、爆豪と轟が立つ。巧は赤井に向かって自身の信念を語った。
「俺には夢がない、けどな、夢を守ることはできる」
そう言うと巧はファイズフォンを開いた。
『5 5 5』
『Enter』
Standing by
「変身!」
巧は大きくファイズフォンを上に掲げる。
『9 1 3』
『Enter』
Standing by
「変身!」
爆豪はカイザフォンを顔の横に近づき、その正面を向ける。
「変身!」
Standing by
轟はデルタフォンを口元に近づけ、変身のコードを叫んだ。そして3人はそれぞれ、ファイズフォン、カイザフォン、デルタフォンをベルトにセットした。
Complete
Complete
Complete
そして巧と爆豪と轟の体に赤、黄、白の光のラインが全身を駆け巡り、ファイズ、カイザ、デルタへと変身を遂げた。