変身を遂げた巧たちに対し、赤井たちもオルフェノクへと変身する。赤井はサボテンを模したカクタスオルフェノクに、緑川は蟷螂を模したマンティスオルフェノクに、青木は牛を模したオックスオルフェノクへと変身した。そしてそれぞれ向かい合う。巧は腕をスナップし、爆豪は襟を引っ張る仕草をし、轟は首を回しそれぞれ構える。直後、巧たちと赤井たちは同時に走り出した。赤井は棘のついた腕を、緑川が両腕の鎌を、青木が巨大な拳の鉄球を振り上げ攻撃を仕掛けるが、巧たちはその攻撃をくらう直前に攻撃を繰り出した。
「ハァ!」
「オラァ!」
「フンッ!」
「ガァッ!」
「グァ!」
「ゲハッ!」
巧は赤井の顔面を殴り飛ばし、爆豪は緑川の胸にドロップキック、轟は青木の首を回し蹴りで吹き飛ばした。そして隙を与えまいと、巧たちは赤井たちに猛攻撃を繰り出す。巧は手をスナップした後、赤井を無理やり起こし、頭を掴んで何度も鳩尾ににパンチを繰り出し、最後に顔面を衝撃の纏った拳で殴り飛ばした。爆豪は緑川の後頭部を掴み、何度も顔面に膝蹴りを繰り出し、そして頭突きで怯ませた後、爆破させた両拳で殴り飛ばす。轟は青木の右頬を回し蹴り、ローキックで左脇腹を蹴り、最後に炎を纏った左足で青木の顔面にハイキックを繰り出した。
「ハァ!」
「シャア!」
「デアァ!」
赤井たちは反撃も出来ず吹き飛ばされ、地面を転がる。かなりのダメージを負った赤井たちはフラつきながらも立ち上がる。
「こんなことなら...家で寝てたらよかったぜ...!」
赤井は怒り混じりに思わず冗談を言ってしまう。そんな赤井に対して巧は冷たく言葉を発する。
「テメェらに慈悲は与えねぇ、今まで犯してきた罪を悔いろ」
そう言って巧たちは赤井たちに向かって走り出した。巧は赤井の攻撃の間合いはすでに読み切っているので、赤井がどの攻撃を仕掛けてきたとしても巧は難なく避けることができた。そして赤井が右手の裏拳で殴りかかって来た時、巧は身を屈めて避け、その直後右足を軸に回転して後ろ回し蹴りを顔面に決めた。赤井はよろめいて後退り、その隙に巧は赤井の顔面に衝撃を纏ったストレートパンチを決める。
「グフッ...!犯してきた罪...!?んなもん今更悔いるわけねぇだろおおお!!」
赤井は怒りのまま巧に突撃し、攻撃を仕掛けるが全て避けられてしまい、逆に反撃をくらった。
●●●
爆豪は緑川の鎌の攻撃を避け、すカイザブレイガンを取り出し、ミッションメモリーをセットする。
Ready
爆豪は迫り来る緑川にカイザブレイガンで防ぎ、弾き返して緑川を切り裂いた。火花を散らした緑川は相当効いたのか、後退り膝をつく。
「今まで俺をコケにしてきた分を....1000倍にして返してやらぁ!!」
「ガキが...!」
緑川は鎌を振り回し、爆豪に切り掛かるが爆豪は飛び上がって緑川の頭上で回転しながら頭を切り裂き、振り向きざまに緑川の背中を爆破させた腕で殴り飛ばした。
●●●
轟は迫り来る青木の懐に入り、頭部に蹴り、喉に手刀、胸に掌手打ちと急所に連続でくらわし、青木が怯んだところを頭をつかみ、何度も腹を殴り、そして両拳で連続で顔面、胸、腹部を殴った。青木は殴られるがままに吹き飛ばされ、地面を転がる。
「結花を愚弄した罪は重いぞ。こんなもんで俺の気は晴れやしねぇ!!」
「.......!」
青木は防御を取ろうとしたその時、轟が地面を凍らし、青木の足元が凍りつかせ、身動きが取れなくさせる。その直後、轟は飛び上がって炎を纏った踵落としを青木の頭部にくらわし、地面に着地して同じく炎を纏った拳で青木を殴り飛ばした。
●●●
一方、オールマイトはAFOの攻撃から市民を庇い、力を使い果たしてしまい、本来の姿であるトゥルーフォームへと姿を変えていた。その姿は世間に晒され、正体を知る緑谷はその姿を見て青ざめ、巧は冷や汗を流していた。
「そんな.....ひみ....つ...」
「まずい...!」
オールマイトは今にも倒れそうなほどに体力を消耗していた。そんなオールマイトは衝撃の事実をAFOから聞かされ、今にも崩れそうになっていた。そんな時、オールマイトの背後でか細い声が聞こえてきた。
「負けないで....オールマイト.....お願い、救けて」
オールマイトはその言葉にハッとする。今まで何度も聞いてきた言葉。その言葉に応えるために何度も命を救ってきた。そしてその声援は徐々に、大きな声援へと変わっていく。
「オールマイト...!」
「あんたが勝てなきゃ…あんなの誰が勝つんだよ...!」
「姿が変わってもオールマイトはオールマイトでしょ!?」
「いつだって何とかしてきてくれたじゃんか!」
「オールマイト!頑張れ!!」
「まっ、負けるなあオールマイト!!」
「頑張れえええ!!」
この声はオールマイトの耳には直接届いてはいない。だがその思いはしっかりとその胸に届いていた。緑谷たちも、そんなオールマイトに必死の声援を送る。
「勝って!!」
「勝てや!」
「負けないで!」
「負けるな!」
「勝て!!」
「「「「「オールマイトオォ!!」」」」」
ここまでの声援を送られて、諦めるわけにはいかない。力などすでに出し切ったはずのオールマイトの右腕が一気に肥大化する。おそらく、これが正真正銘最後の一撃であるだろう。オールマイトは助けを求めてきた市民に優しく声をかける。
「お嬢さん、もちろんさ」
AFOは、オールマイトにまだこんな力が残っているのかと、狼狽えてしまう。
「ああ...!多いよ...ヒーローは...!守るものが多いんだよ、オール・フォー・ワン!!だから、負けないんだよ」
もはやオールマイトに迷うことなどない。いつものようにただ胸を張って笑顔を見せるだけだ。
「渾身。それが最後の一振りだね、オールマイト」
そう言ってAFOは空中へと上昇する。
「手負いのヒーローが最も恐ろしい。腸を撒き散らし迫ってくる君の顔、今でもたまに夢に見る。二、三振りは見といた方がいいな」
AFOは右腕を膨張させて距離を取り、空気弾を発射しようとしたその時、横から火炎が迫ってくる。AFOは咄嗟にオールマイトに発射しようとした空気弾で相殺した。
「何だ貴様...その姿は何だオールマイトォ!!!」
AFOに火炎を放ったのはエンデヴァーであった。エンデヴァーはオールマイトの変わり果てた姿に怒声を浴びせ、隣にいたエッジショットとシンリンカムイも呆然と立ち尽くしていた。
「全て
エンデヴァーは先ほど、脳無たちを一掃してここまで駆けつけてきたのだろう。その時、エンデヴァーは後ろで青木と戦っている轟の方を見る。
(焦凍...)
エンデヴァーはここに向かう途中、ビルのスクリーンで轟が人とは違う姿に変身したところを見ていた。エンデヴァーは轟の姿に困惑したが、今はそれどころではないとして後回しにし、目の前のことに集中することにした。
「応援に来ただけなら、観客らしく大人しくしててくれ」
AFOは膨張させた右腕をエンデヴァーに向かって突き出した。その瞬間エッジショットが体を細くし、AFOに突っ込むが、AFOは難なく避ける。
「抜かせ破壊者。俺達は救けに来たんだ」
その直後にシンリンカムイが現れ、倒れているベストジーニスト、Mt.レディ、ギャングオルカの三人を伸ばした木の腕で巻き取り、安全な場所にまで引き寄せる。
「頑張ったんだな...!Mt.レディ」
シンリンカムイは意識を失っているMt.レディに労いの言葉を述べる。更にオールマイトの背後では虎が瓦礫に埋もれた市民を救出していた。
「我々...には、これくらいしか出来ぬ...。あなたの背負うものを少しでも...」
「虎...!」
「あの邪悪な輩を...止めてくれオールマイト...!!皆...あなたの勝利を願っている...!!どんな姿でも、あなたは皆のNo.1ヒーローなのだ!」
ヒーローたちの応援も加わり、その頼もしい仲間たちがオールマイトを鼓舞していく。
●●●
巧たちもオールマイトの姿を見て、勇気が湧き上がってくる。
「たかが声援で何になる...!?」
「お前には一生わからねぇだろうな。仲間を持つことの大切を!」
巧はそう言って赤井の顔面を殴り飛ばした。
●●●
「煩わしい」
その直後、AFOが衝撃波を放ち、ヒーローたちを吹き飛ばし、オールマイトはかろうじて耐えることができた。
「精神の話はよして、現実の話をしよう」
AFOは右腕を骨が軋むような音を立てながら変形させていく。
「『筋骨
AFOは個性を重ねに重ね、もはや腕とは言い難い歪な形をした右腕で決着をつけるつもりだ。AFOは空中に飛び上がり、オールマイトに向かって突撃する。
「緑谷出久。君があのオルフェノクに個性を譲渡しなければこんなことにはならなかったのに、君は譲渡する相手を間違えた。資格もないのに、まるで制御できていないじゃないか。存分に悔いて死ぬといいよオールマイト。先生としても、君の負けだ」
AFOは歪な右腕を振りかぶり、オールマイトも最後の力を振りかぶった。そして両者の拳が激突し、ものすごい衝撃があたりに轟く。その時、AFOは個性を発動する。
(『衝撃反転』。君の放った力は全て君に返って———...)
衝撃反転により、オールマイトのから放たれた衝撃が反転し、オールマイトの右腕からどんどん血が吹き出し、骨が折れていく。
「そうだよ...!」
「!?」
「先生として...、叱らなきゃ.......いかんのだよ!私が、叱らなきゃいかんのだよ!!!」
「成る程、醜い...」
決して死ぬわけにはいかない。後世を残して死ぬわけにはいかない。最後まで育てて行かなくてはならない。ヒーローとしての役目はここで終わったとしても、育手としての役目は決して終わりではない。緑谷はその言葉に強く歯を噛み締めた。オールマイトは血反吐を吐きながらも抗い続ける。
「そこまで醜く抗っていたとは.......誤算だった」
その時、オールマイトの右腕が急に萎んだと思うと、今度は左腕が肥大化する。AFOは突然の動きに虚をつかれ、その隙にオールマイトはAFOの顔面を殴り飛ばした。
SMASH!!!
AFOのマスクは砕け散り、吹き飛ばされるが、この攻撃ではAFOを倒すには十分ではなかった。
「らしくない小細工だ。誰の影響かな。浅い」
AFOは左腕を膨張させ、反撃にでようと構える。
「そりゃア...!」
「!」
「腰が!入っていなかったからな!!」
AFOは既に力を使い果たしたと思っていたオールマイトの目を見て驚愕する。それはまだ彼の目は諦めていなかったからだ。彼の目が諦めようとしていなかったからだ。オールマイトは肥大化した右腕を構え、AFOに向かって飛び出しした。これが正真正銘最期の一撃。これが最後のワン・フォー・オールだ。
「おおおおおおおお!!!」
これまで積み重ねてきた全ての思いをこの拳に乗せ、オールマイトは拳を突き出した。
UNITED STATES OF SMASH!!!
全身全霊最期の一撃はAFOの顔面に直撃し、轟音とともに地面にめり込んだ。その直後、オールマイトの周りに衝撃と風圧が巻き起こり、あたり一体を吹き飛ばす。そして土煙の中からボロボロの姿で立ち尽くすオールマイトと気を失い倒れ伏したAFOの2人。静寂の中でオールマイトは左拳を天に掲げ、マッスルフォームへと姿を変えた。
「「「「「オールマイトォ!!!」」」」」
遂に因縁の決着をつけることができたオールマイト。その姿に多くの歓声が上がる。その勇士を見届けた巧たちは赤井たちの方に向き直る。
「お前らもこれで終わりだ。地獄に落ちろ」
「地獄に落ちるのはどっちかな?これからしんどいことになるぜ。お前らの選択が間違っていたことがすぐにわかるさ」
赤井は不敵な笑みを浮かべる。これから巧たちがどんな目に合うのかを想像しながら高笑いをする。巧たちは最後の一撃を繰り出す準備に入った。巧はファイズポインターを、爆豪はカイザポインターを、轟はデルタムーバーにそれぞれミッションメモリーをセットする。
Ready
Ready
Ready
巧と爆豪はファイズポインターとカイザポインターを右足のエナジーホルスターにセットし、轟はデルタムーバーを口に近づける。そしてそれぞれフォトンブラッドのエネルギーを送った。
『Enter』
『Enter』
「Check」
Exceed Charge
Exceed Charge
Exceed Charge
そして轟はデルタムーバーを向かってポインティングマーカー放ち、巧と爆豪は右足を突き出してポインティングマーカーを放ち、赤井、緑川、青木の三人を捕える。そして巧は身をかがめ、右肘を右膝に乗せ、蹴りの体勢に入る。そして巧、爆豪、轟の三人は走り出して同時に飛び上がり空中前転をして、巧は右足を突き出し、爆豪は両足を突き出し、轟は左足を突き出した。
「ヤアアアアアアアア!!!」
「ウオリャアアアアア!!!」
「ズィヤアアアアアア!!!」
「グオアアアアアアア!!」
「ガアアアアアアアア!!」
「グハアアアアアアア!!」
そして三人はポインティングマーカーの中を通り、赤井にクリムゾンスマッシュ。緑川にゴルドスマッシュ。青木にルシファーズハンマーを叩き込んだ。巧たち三人は光となって赤井たちの背後に着地し、赤井たちは体にΦとΧとΔの文字が浮かび上がり、青い炎と赤い炎に包まれ爆散した。