進化する人々   作:奥歯

6 / 76
第二話です。余談ですがこの作品のopは勿論JURTIΦ'Sです。


雄英高校
トレーニングと試験 


翌日病院を出た巧と緑谷は引子が車で迎えてくれた。爆豪はまだ病院にいる。緑谷は爆豪が心配でしかたがなかったが、巧が「あいつなら大丈夫だろ」と爆豪を信頼しての発言というより、あんなやつほっとけという感じの言い方で緑谷と帰った。

 

●●●

 

家に着いた巧と緑谷は自分の部屋に戻る。二人の部屋は一緒になっており、二段ベッドで巧は上、緑谷は下で寝ている。ここには沢山のヒーローグッズが置かれ、ヒーローのポスター特にオールマイトのものが置いていた。これは緑谷のものであるようで見るからによほどのヒーローオタクであることがわかる。そのほかにはなぜかダンベルなどが置いてあった。緑谷はひょろひょろの体であるため緑谷のものではない、じゃあこれは誰のものなのか、これは巧のものである。巧はいつも筋トレをしているのだ。だからものすごくスタイルがいいのである。なぜ巧が筋トレをしているのかというと子供の頃テレビでオールマイトのニュースが流れているのを見て、その筋骨隆々の姿に少しばかりカッコいいと思ったのだ。それが巧が筋トレをしている理由である。そのほかにもギターが置いてあった。これも巧のものだ。巧は意外にもギターを弾くのが得意で、たまにしか弾かないがギターを弾く上手さは確かである。そしてラジカセ。これも巧の物で、音楽をよく聴く。特に全然世代じゃない洋楽ばかり好んでおり、日本の曲をあまり聴かないのは、歌詞が頭に入ってくるため集中できないとのこと。ふと壁を見てみるとそこには新しい制服がかけてあった。サイズ的に緑谷のものだ。あのヘドロヴィランの事件で緑谷は大量出血で制服が血まみれになってしまったので引子が新しく注文したらしい。学校にはしばらく休みであるため制服は着れないが、緑谷は新しい制服に喜んだ。

 

「じゃあ行ってきます」

 

「え?どこに行くの?」

 

「ちょっとトレーニングに行くんだ。これからヒーローになるためにね」

 

「でも大丈夫なの?昨日ヴィランに襲われて怪我したばっかなのに......」

 

「大丈夫だよ、ほら全然平気!」

 

緑谷は自分が平気なことを見せるために腕や足を大袈裟に動かしかした。

 

「そう......、でも気をつけて帰ってくるのよ」

 

「わかってるよ、行こうたっくん」

 

引子は心配だったが、自分の息子が元気そうで安心して見送った。トレーニングをするために緑谷と巧は多古場海浜公園に向かった。多古場海浜公園とは名前にある通り海浜がある公園なのだがそこは漂流物が流れてきたりそこにゴミを捨てたりする人がいたりと、公園というよりゴミ捨て場のような場所となっているところだ。巧と緑谷は公園に着くと早速そこにはオールマイト、今はトゥルーフォームという八木俊典と名乗っている姿で待ち構えていた。

 

「おはよう、緑谷少年と乾少年。では早速だが緑谷少年には体力をつけるためにここの公園の海浜のゴミ拾いをしてもらいたい。ここら一体の海浜をもう一度綺麗な場所にするんだ。これからヒーローになるための心構えを兼ねてね。これから10ヶ月間雄英に向けて頑張るんだ!」

 

緑谷は掃除を兼ねたトレーニングを、巧は出久に教える側ではあるが一応緑谷の手伝いをしろとオールマイトに言われ嫌々掃除をする。しばらく続いたが、長年放置されてきたゴミの海は二人だけではそう簡単に綺麗にできるわけではない。普段あまり運動しない緑谷はもう息が上がってきている。巧は普段鍛えたいるおかげでそこまで疲れていない。するとオールマイトが巧にある質問をしてきた。

 

「乾少年、私があの時オルフェノクの名を言った時君は何故かオルフェノクのことを知っているような反応をしたが、どうして君はオルフェノクのことを知っているんだ?」

 

そういえばと思ったのか緑谷も巧の方に振り返る。

 

「ある人が昔教えてくれた。今は何処にいるかわかんねぇけど。名前は確か木場(きば)勇治(ゆうじ)って言ってたな」

 

「木場勇治か.......、その者もオルフェノクなのか?」

 

「わからねぇ」

 

「そうか.........、一度こっちで調べさせてもらうよ。もしその男がオルフェノクだったら監視対象に置かせてもらう。仮にそうじゃなくてもオルフェノクのことを公言されてしまったらまずいからね」

 

オールマイトは厳しくもその男が何か知っているのなら早急に捕まえると巧に言った。今日は夕方まで続けた。オールマイトに「今日はここまで」と言われヘトヘトになった緑谷は巧に肩をかりながら家に帰る。

 

「た、ただいま........」

 

「おかえり、随分疲れてるみたいね。先にシャワー浴びてきなさい、もうすぐご飯の準備ができるから」

 

「うん」

 

先に緑谷が風呂に入り巧は部屋に行った。緑谷はシャワーを浴びながら自分の存在を考えている。これからヒーローになるためオールマイトの個性、"ワン•フォー•オール"を引き継ぎそしてそのワン•フォー•オールとオルフェノクの力を隠して生きてく。緑谷は重い責任と秘密を背負う覚悟を決めなくてはいけない。シャワーを浴び終えた緑谷は服に着替えて巧を呼んだ。

 

「たっくん。もう僕上がったから、次入って」

 

巧からは返事はなかったが少しして部屋から出てきてシャワーを浴びに風呂に入る。そして3分ほどで巧は風呂から出てきた。

 

「こら巧、流石にちょっと早すぎるわよ、いくら暑がりだからって」

 

「いいだろ別に、汗は流したんだ」

 

巧は極度の暑がりだ。そのため夏の間はほとんどと言っても下はちゃんと履いているが、上半身は基本的にシャツ一枚である。冬の時はまだ長袖を着てはいるがそれでも一枚だけである。巧はいつも筋トレをしているため体が熱くなるのは免れないのだがその辺は割り切っている。巧は風呂に入った時の熱を扇風機の強のスイッチを押して体を冷ましていた。今は下着一枚だ。引子はもう夕飯の準備はできている、今日はハンバーグだ。最初はロールキャベツでいこうとしたのだが、今日はキャベツが売れ切れていた。これではロールキャベツができないためハンバーグになった。緑谷と引子は席についており巧が来るのを待っている。体を冷まし終えた巧は着替えを着て席に着く、そして三人で手を合わせ「頂きます。」と呟いた。三人のハンバーグを見てみると引子は二人のより少し小さめである。最近体重を気にしているのか、同じ年代の爆豪の母親光己に体型の差をつけられていることを気にしているのかとにかく小さかった。逆に緑谷は普段より大きめであったこれは彼の要求でこれからヒーローになるために鍛えて筋肉をつけていくことになるためより多くのタンパク質を摂らなくてはいけない。だから普段より大きいのだ。次は巧だ、巧のハンバーグはいつもの大きさ、と言っても緑谷のと大差ない。筋トレをしているものとしてはこれぐらいがちょうどいいのかもしれない。しかし他の二人がハンバーグを食べているにも関わらず巧はじっと眺めているだけだ、そして箸をとりハンバーグの一部を取って口に近づける。そして何度もハンバーグに息を吹きかけ、口に運んだ。

 

「あちっ」

 

だがまだ熱かったのか思わず皿に戻してしまう。

 

「たっくん、いつまで経っても猫舌だね」

 

「うるせぇ」

 

巧は意外にも猫舌である。基本的に料理というのは焼いたり、炒めたり、蒸したりして作るので熱いものだ。特に鍋系やすき焼きなどといった中々冷めない食べ物は巧にとっては天敵である。だからいつも食べるのが遅く最後になってしまうのだ。巧は四苦八苦しながらハンバーグを食べ続ける。緑谷はトレーニングでお腹が空いていたのかいつもより早く食べ終え、手を合わせて「ご馳走様」と言った後食器を片付けて自分の部屋へと向かった。その後に引子も食べ終えて、手を合わせた後食器を片付けて風呂に入っていった。巧はハンバーグがやっと冷めてきたのでペースを取り戻し、全て食べ終え食器を片付ける。そして部屋へと向かい扉を開ける緑谷は今机に向かってノートに書き込みをしていた。今日のトレーニングのことをまとめるためらしい。緑谷が集中して書いている間巧はベッドに座る。足元にあったダンベルを手に取って上下動かしてみる。公園のゴミよりも随分軽く感じた。新しく買い替えようかと思っていたがあの公園のゴミ拾いの方が筋トレに充分かと思い、買うのはやめる。巧は隣に置いてあったラジカセのスイッチを押す。すると音楽が流れ始めた。曲はSteely DanのDoctor Wu。Doctor Wuとは、ヘロインという麻薬について歌った曲である。しばらくして緑谷はノートを書き終え一息つく、窓を見てみるともうすっかり夜になっていた。音楽も止まり、部屋の中は静まり返っていた。時計の針は午後7時40分をさしている。緑谷はふと振り返り巧に質問した。

 

「ねえたっくん、もし僕がヒーローになったらなんて名前がいいかな?」

 

「そんなの自分で考えろ」

 

「そんなこと言わずになんでもいいから言ってみてよ!」

 

緑谷の意外な押しに負け、巧は少し考える。緑谷がウキウキしながら巧の解答を待つ。そして巧が口を開いた。

 

「.........ジェットマン、とか?」

 

「ジェットマンかぁ、いいヒーロー名だね!他には!?他には!?」

 

ヒーロー好きのスイッチが入ったのか緑谷は少し興奮しながらヒーロー名の要求をする。巧はあからさまに嫌な顔をするが断っても無理だと思い仕方なく考える。急に考えてくれと言われてもすぐにでてくるわけではないので必死に考え色々なことを思い出したり、それらを組み合わしたしたりしてでた答えは。

 

「.........アギト」

 

「アギトかぁ、ねぇ他にっ!」

 

「もういいだろ!自分のヒーロー名ぐらい自分考えろ!」

 

「!!ごっごめん........」

 

流石にしつこい緑谷に巧は怒鳴りびっくりした緑谷は謝る。ため息をついた巧は少し考え事をする。あの時緑谷が言った質問のことだ。ヒーローになる気はないのか?勿論巧はなる気はない、生まれてこの方夢を持ったことがなかった巧は夢を持つことが一体どんなことなのかわからない。夢を持たない自分には考えるだけ無駄だと思い考えるのをやめ、緑谷と雑談をした。気づいたらもう午後10時ごろになり、そろそろ寝ようとなって洗面所で歯磨きをした後引子に「おやすみ」と言って部屋に戻り電気を消してお互いベッドに横になった。疲れていた緑谷はすぐに寝てしまい、部屋は静かになる。聞こえてくるのは遠くの方にいる車やバイクの音、その音がより静けさを増す。巧は天井を眺めながら夢を持つことはなんなのかとまた考えてしまっていた。翌日緑谷は急なトレーニングによる負荷により全身が筋肉痛となり動けなくなった。

 

●●●

 

数日が経ち学校にも復帰し、しばらく休んでいたときの遅れを取り戻すため勉学に励みそしてオールマイトとの秘密の特訓をするのであった。爆豪は巧と緑谷が学校に行くようになった後すぐに復帰して遅れを取り戻すべく勉強に励んでいる。あのことは吹っ切れたのかいつも通りな感じがするが、ここ最近巧や緑谷に突っかかることはしなくなった。理由は察せる、これからずっと自分は人間じゃないことを隠して生きていかなくてはいけない。その思い十字架を背負うのは息苦しさを感じるものだ。緑谷は爆豪の気持ちを理解しながら雄英に向けての猛勉強に勤しんだ。放課後の後巧と緑谷はいつも通りに多古場海浜公園に向かい。オールマイトと会う。今日は筋骨隆々のマッスルフォームという姿で出迎えた。

 

「今日はゴミ拾いをやめて別の訓練をしてもらうぞ!そのために乾少年!君には手伝ってもらうからな!」

 

「わかってるよ」

 

巧はオールマイトの言われた通りに動き緑谷と向き合う。緑谷は困惑していた。急にオールマイトが巧に合図をし、それを受け巧は突然緑谷の方に向き合う何が何だかわからない緑谷はオールマイトに質問をする。

 

「あっあのこれってどういう.........」

 

「ああ、そういえば緑谷少年にはまだ話していなかったな。実は乾少年には君をヒーローにするための特訓を手伝ってもらうために予め言っておいたのさ。今から緑谷少年の先生になってくれるのは乾少年だ!今日やる授業は戦い方だ!しっかりと乾先生のゆうことを聞いてくれぐれも失礼のないように!」

 

オールマイトは軽い冗談を言った後少し遠く離れた木陰に座った。オールマイトが見守る中、巧と緑谷は向き合ったまま何もしない。巧はじっと鋭い目つきで緑谷を見つめる。見つめられている緑谷は何が起こるのかわからない恐怖に足が少し震えていた。そして巧は口を開く。

 

「いいか出久。俺が今から教えるのは戦い方というより喧嘩の仕方だ。そこだけはわかってろよ。じゃあ構えろ」

 

緑谷は言われた通りに構えてみる。しかし今まで喧嘩などしたことのなかった緑谷の構えは貧弱なものだった。巧は続けて説明する。

 

「まずは相手の目を見ろ。そして睨むんだ。目で殺す勢いでな。相手がもしビビったなら隙をついて攻撃、狙うは顔面。先手必勝ってやつだ。俺が手本を見せてやる」

 

聞くより見たほうが早いので巧は構えを取りそして緑谷を睨みつける。その瞬間緑谷は背筋が凍るほどの恐怖心が湧き上がってきて思わず硬直してしまう。そしてすかさず巧は目にまとまらぬ速さのストレートパンチを繰り出し緑谷の顔面ギリギリで止めた。パンチによる風が緑谷の顔に当たり緑谷は腰を抜かしてへなへなと座り込んでしまった。

 

「今のを真似してやってみろ」

 

腰を抜かした緑谷は少し立ち上がるのに時間がかかったがしっかりと立つ。緑谷はまず睨みつけてみた緑谷的には強く睨んでいるつもりだが巧には全く効いていない様子。緑谷は結構鍛えてきたつもりだ。緑谷は渾身のストレートパンチを巧の顔面に当てようとするが、軽くはじかれてしまった。

 

「だめだな、睨みは悪くなかったがパンチが弱すぎだ。これじゃ簡単に避けられちまうぞ。今度は殴り方の練習だ」

 

パンチが弱すぎると指摘した巧は今度は殴り方を教える。構えをとった巧はもう一度緑谷と向き合う。

 

「いいか、殴るときはなとにかく焦らずに集中しろ、睨みつけながら相手の隙を見てそこに拳を叩き込むんだ。じゃあゆっくりやってみるぞ」

 

緑谷は構えをとって深呼吸する。落ち着いた緑谷は集中して相手を観察した。隙があるかどうかは正直全くわからない。巧は説明する。

 

「まず俺がゆっくり右腕を出すからそれを避けてガラ空きになった左頬を殴れ。遠慮するなよ、よしいくぞ」

 

巧は緑谷に向かってゆっくりと右拳を突き出す。緑谷は左に避けて拳を突き出す。巧は左手で受け止めた。塞がれてしまったが今の動きを覚える。オールマイトは緑谷に教えている巧を見ながら自分の師匠のことを思い出していた。

 

●●●

 

オールマイトはふと、とある疑問を浮かべ巧に質問した。

 

「そういえば乾少年、君は確か緑谷少年の家に居候しているようだが君の両親はどうしているんだ?」

 

「父さんと母さんは火事で死んだ」

 

「!!すまない、失礼なことを聞いたな」

 

「いや別に大丈夫だ」

 

「それじゃあ、たっくんのお父さんとお母さんはどんな人だったの?」

 

今度は隣にいた緑谷が質問してくる。巧は少し考え緑谷の質問に答えた。

 

「正直どんな人だったか覚えてねぇけど、父さんと母さんはスマートブレイン社の社員だったんだ」

 

「スマートブレイン社とはあの大手企業ではないか!!」

 

スマートブレイン社とは巨大なサポート会社であり、サポートアイテムの他にも家電製品や医薬品、食品、ブランド、日用品など様々なものを取り扱っておりショッピングモールで売られている殆どはスマートブレイン製と言ってもいいほどだ。今では世界中に拠点を置き今の社会にはなくてはならないものである。

 

「父さんと母さんはスマートブレイン社のサポートアイテム専門の研究員でそこのチーフを務めていたらしい。二人は他の奴らよりもずば抜けた天才で社長にもすごく気に入られてたって話だ。まあ全部木場勇治から聞いた話なんだけどな」

 

緑谷は納得する。どうして巧がこんなにも才能の溢れる男だったのかを、自分の父親はこんなすごい人たちと友人だったなんて、そんなことを思っていると緑谷は思い出した。

 

(父さん、どこにいるの?)

 

緑谷は空を見上げながら今行方不明になっている自分の父親、緑谷(ひさし)のことを思い出していた。

 

●●●

 

その夜警察署で慌ただしく一人の警官が走っていた。扉を勢いよく開ける。

 

「大変です塚内(つかうち)さん!」

 

「どうした?」

 

スーツとネクタイをピシッと着込んでいる男塚内直正(まさなお)は慌ててきた警官に驚かず落ち着いて話を聞く。警官はここまで全速力で走ってきたのか息が荒い。一旦呼吸を整え話し出す。

 

「へっヘドロヴィランがいないんです!」

 

「何!?」

 

塚内はヘドロヴィランがいる留置所に走り出す。厳重に拘束していたはずなのにどうやって逃げ出したのか?塚内は走りながら考える。留置所に着いた頃にはもぬけの殻であった。どうやって抜け出した?部屋には通気口以外抜け出せる場所がないかと言って通気口から逃げ出したとしても警報が鳴ってすぐにバレるはずだ。だが警報はならなかった。扉も外からしか開けられないようになっている鍵もカードがないと無理だ。仲間でもいたのか?しかしヘドロヴィランの証言では仲間は一人もいないと言っていたし調べてもいなかった。じゃあどうやって抜け出した?塚内は部屋に入ってみるとそこには白い何かがあった近づいてみると、それは灰であった。何故こんなところに灰が?一体誰がこんなものを?

塚内は考えるよりも監視カメラを見た方が早いと思いカメラを確認する。しかしヘドロヴィランが消える瞬間はカメラがオフになっており何があったのかわからなかった。

 

(どうやって抜け出した?それにあの灰の山は一体..........)

 

●●●

 

緑谷はトレーニングの休憩中考え事をしていた。首を傾げながら何を考えているのかと巧は質問する。

 

「何考えてんだお前?」

 

「うーん、オルフェノクの名前って何が由来なんだろうって思ってさ」

 

緑谷の疑問に巧は確かに今まで考えたことなかったなと思い少し由来を考えてみる。

 

「オルフェノクの名前の由来とはズバリ!」

 

「うわっ!?オールマイト!」

 

「急に驚かすな!!」

 

「sorry........」

 

後ろから急に現れたオールマイトに巧と緑谷は驚いてしまう。巧は驚かしたオールマイトに怒鳴り、オールマイトは素直に謝る。

 

「改めてオルフェノクの名前の由来は聖書に登場するエノクとギリシャ神話に登場するオルフェウスを組み合わせて作った名前だ。どうしてその名前が使われたかというと、エノクは人間から天使になったという神話がありオルフェウスは冥界から帰ってきたという神話が語られていたのだ。その神話がオルフェノクにピッタリだと言って先ほども言ったようにその二つを組み合わせたのだ」

 

オールマイトのトリビアに巧と緑谷の疑問は晴れ、これからずっと話の話題にできない豆知識を聞かされたなと思った。あれから3ヶ月程たち緑谷の体も徐々に仕上がってきた。今日は特段暑く立っているだけでも汗が滝のように流れてくる。暑がりの巧にとっては地獄のような日だ。こまめに水分補給をしながら巧と緑谷はゴミを拾う。あまりの暑さに巧は上半身裸で作業していた。ふとオールマイトはその巧の筋肉をじっと見ていた。

 

「ずっと前から思っていたのだが乾少年の筋肉はすごいな、特に大胸筋のところが」

 

「そうですよね、たっくんの筋肉ってすごく仕上がってて特に腹筋のところとか」

 

巧の筋肉を褒め始めるオールマイトと緑谷、褒められた巧はもっと褒めてほしいのか緑谷とオールマイトに質問する。

 

「じゃあ俺のこの筋肉どうだ?カッコいいか?」

 

緑谷とオールマイトは少し考えて同時に答えた。

 

「カッコいいというより.........」

 

「なんというか..........」

 

「「セクシーだね」」

 

セクシーと言われた巧は期待していた返答とは違い少しガッカリする。セクシーと言われるのは別に悪い気はしないが、今までずっと鍛えてきたのはカッコいいと言われるために鍛えてきたのであってセクシーと言われるのはなんか違うように思ってしまう。しかし鍛えるのを止めるわけにはいかないのでそのまま続けるつもりでいる。今日の訓練が終わりオールマイトは緑谷に用事があるため巧は先に家に帰っていた。巧は帰りの途中に張り紙を見かけたAIを専門をするとある会社の宣伝ポスターだ。その張り紙には「夢に向かって飛べ!!」と書かれている。この張り紙を見た巧はまた夢について考える。

 

(夢......か)

 

巧は夢を持つことがどういうものなのかまだ分からなかった。緑谷が家に帰ってきて3人で夕飯を食べた後巧と緑谷は部屋に入った。緑谷は机に座りずっと自分の手を見つめている。何を考えているのかわからないが巧は質問せずにそっとしておいた。しばらくしてもう就寝の時間になり巧と緑谷はベッドに横になる。お互い黙ったまま時間が過ぎ、この静けさが眠りを誘い込む。今にも瞼が落ちそうな緑谷に巧は突然話しかけてきた。

 

「なあ、出久。夢を待つことってどいうことなんだ?」

 

「夢を持つこと?」

 

緑谷は突然の質問に目が覚め考える。しばらく考えた後緑谷は答える。

 

「...........夢を持つとね、時々すっごく切なくなるんだけど時々すっごく熱くなるものなんだ」

 

「..........そうか」

 

巧はこれ以上質問をすることはなかった。明日も特訓である。

 

●●●

 

今日もいつものようにトレーニングに来たらオールマイトに驚くべきことを聞かされた。

 

「出久に個性が発現した?」

 

「ああそうさ!彼の個性はいわば増強系の個性でね、非常に強力なのだが強力すぎて彼の体がもたないんだ」

 

「いや待て、なんで急に今になって出久の個性が発現したんだ?」

 

「うむ、そのことについてなのだが個性の中には何らかの条件や切っ掛けによって発現したりするものもあるのだ!緑谷少年は後者のほうだね!」

 

切っ掛けによって発現したのならあの先日ニュースで行方不明になったヘドロヴィランの事件の時かと巧は思う。

 

「では引き続き緑谷少年のトレーニングのサポート及び指導をしていくよう頼む。私も出来る限り手伝うよ」

 

今日のトレーニングも終わり巧と緑谷は帰路につく巧は考えるこの前の緑谷の言葉を思い出す。

 

○○○

 

夢を持つとね、時々すっごく切なくなるんだけど時々すっごく熱くなるものなんだ

 

○○○

 

巧はあの言葉に何かを感じていた。夢を持たない自分に何ができるんだ?色々と思考を巡らせて巧はある結論に至る。

 

「.............なぁ、出久」

 

「何?」

 

「俺、雄英に行くことにする」

 

「本当に!?」

 

「ああ、俺は他の誰かの夢を守るためにヒーローになる」

 

巧はヒーローになることを心に決めた。人々の夢を守るために。

 

●●●

 

緑谷のトレーニングから10ヶ月巧と緑谷は"雄英高校 一般入試実技試験"を受けるため雄英高校の門前まで来ていた。緑谷はかなり緊張しているが巧はいままで通り無表情のまま、周りはには色々な人たちがいる。胸に手を当てて深呼吸をし緊張をほぐしているもの、かなり余裕そうな顔をしているものなど様々だ。

 

「い、いよいよだね」

 

「ああ」

 

巧と緑谷は歩き出し雄英の中へと入っていった。会場へと向かう間に緑谷は躓きそうになるが突然緑谷の体がフワッと浮きことなきを得る。後ろを振り向くとそこには顔が丸い感じの少女がいた。これは彼女の個性のようだ。

 

「お互い頑張ろう。じゃー」

 

助けられた緑谷は固まっている。巧は心配して緑谷に声をかけようとしたが突然振り返り巧は驚く。

 

「たっくん!僕女子と喋っちゃった!」

 

「お、おう」

 

緑谷の喜びの表情に巧は少し引く。緑谷はいままで無個性であったため女子とは殆ど会話などしたことがなかった。助けてくれた少女もさっきから後ろをチラチラと見ている。緑谷はもしかして自分に気があるんじゃないかと一瞬期待したがその少女の視線の先は巧に向いていたことに気づき肩を落とす。無理もない、巧はかなりのイケメンであるため他の女子たちも巧に釘付けになっている。女子の視線に何も反応しない巧に緑谷は幼なじみとしてこんなことは言いたくないが正直巧にはそういうところにムカついてしまう。緑谷は気を取り直して巧と会場に向かう。会場はまるで大学の講義室のような場所だ。巧と緑谷は席に座るとここの試験官らしき人物が入ってくる。金髪でサングラスをかけているラッパーのような風貌の男性に巧は変なやつを見るような目で見ていたが緑谷は興奮気味に「プレゼントマイクだ......」と言った。

 

『今日は俺のライヴにようこそーーーー!!エヴィバディヘイセイ!!』

 

プレゼントマイクは大声で自分なりな挨拶をしたが、周りは無反応そんな周りの人たちにプレゼントマイクは臆さない。

 

『こいつぁシヴィー!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!アーユーレディ!YEAHHHHH!!』

 

プレゼントマイクはさっきと同じノリでいったがやはり誰も無反応で見ていて少し可哀想に思えてくる。

 

『入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の''模擬市街地演習"を行なってもらうぜ!各自持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!OK!?』

 

またしても誰も反応無しだがプレゼントマイクは続ける。

 

『演習場には仮想(ヴィラン)を三種多数配置してあり、それぞれの攻略難易度に応じてポイントを設けてある!各々なりの個性で仮想(ヴィラン)を行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!勿論、他人への妨害行為などのアンチヒーローなことはご法度だぜ!?』

 

プレゼントマイクのハイテンションな説明を巧は黙って聞いていると隣で質問するためにビシッと手を挙げる者がいた。

 

「質問よろしいでしょうか!?」

 

眼鏡をかけたいかにも真面目な感じの少年が配られたプリントをプレゼントマイクに見せつけて発言する。

 

「プリントには四種の(ヴィラン)が記載されております!誤載であれば、日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めて、この場に座しているのです!」

 

眼鏡の少年はプレゼントマイクが言っていたこととプリントに書いてことが違うことを指摘する。巧はプリントを見ると確かに四種と記載してあった。すると眼鏡の少年は緑谷の方に振り向く。

 

「ついでにそこの縮毛の君!さっきからボソボソと.......気が散る!物見遊山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!」

 

「すっすみません.......」

 

注意された緑谷は口を塞ぎながら謝る。随分うるさいやつだなと巧はイライラし始めるが、眼鏡の少年は今度は巧の方に振り向いた。

 

「そしてそこの長髪の君!なんだそのだらしない格好は!雄英を受ける者として恥ずかしくないのか!?」

 

緑谷と同じように注意された巧は立ち上がり眼鏡の少年を睨みつけながら言った。

 

「じゃあ俺からも言ってやるぜ、雄英を受ける気があんなら他人のことなんか気にしてねぇで自分のことを考えろ。出ないと足元すくわれるぞ」

 

そう言って巧は席に着く眼鏡の少年はどこか納得したような顔をしている。あたりはより静かさを増すがプレゼントマイクが同じような喧し声で眼鏡の少年の疑問に説明した。

 

『そこのリスナー!試験前にファイトなんてやめてくれよな!?えー受験番号7111番君ナイスなお便りサンキューな!これは四種目の(ヴィラン)は0ポイント!そいつはいわばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやったことあるか!?レトロゲーの!あれのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体、所狭しと大暴れしているギミックよ!倒せないことはないが倒しても意味はない!リスナーにはうまく避けることをオススメするぜ!』

 

「ありがとうございます!失礼致します!」

 

眼鏡の少年は丁寧にお辞儀した後しっかりと席に座る。

 

『さて!俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!【真の英雄とは人生の不幸を乗り越えて行くもの】と!"Puls Ultra"!!それでは皆!よい受難を!』

 

プレゼントマイクの実技試験の概要の説明も終わり、案内人が演習会場まで案内した。その途中、爆豪とすれ違う、巧は爆豪に気づくと中指を立てた。爆豪も同じように中指を立てる。

 

「落ちろクソ野郎」

 

「お前が落ちろ」

 

お互い相手を煽り、それぞれの演習会場に向かった。巧と緑谷は別の場所で行うらしい。演習場所に着いた巧は驚く。

 

「広いな.......」

 

巧は一つの街じゃないかと思うほどの広さに圧倒されていると突然スタートの合図が始まる。

 

『はいスタートー!』

 

巧は即座に反応して走り出す。他の受験生は何が起こったのか分からず戸惑っている者がいたり出遅れて走り出すものもいる。

 

『どうしたー!?実戦にカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!賽は投げられてんぞ!』

 

巧は走っていると目の前に仮想(ヴィラン)が立ち塞がった。巧は拳を握り締め個性を使う。

 

『標的確認!ブッ殺ス!』

 

巧は拳を突き出し仮想(ヴィラン)に当てるといとも簡単にグシャグシャになってしまった。

 

「大したことねぇな」

 

●●●

 

巧は順調に仮想(ヴィラン)を倒していきそろそろ時間が迫ってきたころだ。突然地響きがして巧は何事かと後ろを振り向くとそこには巨大な仮想敵がいた。他の受験生たちは巨大な仮想(ヴィラン)を前に逃げ出している。巧も倒す意味はないならさっさと逃げるかと思ったが巧のプライドが許さないのかやっぱり倒すことにする。

 

「おいお前早く逃げろって!」

 

「あいつ何するつもりだ!?」

 

巧は他の受験生の声には聞く耳を持たず、巨大な仮想(ヴィラン)に立ち塞がった。止めようとした受験生たちも呆れ、自分の身の安全のために我先に逃げる。あいつをどう倒そうかと考えていると目の前の瓦礫の中に誰かが倒れているのが見えた。

 

「チッ」

 

巧は舌打ちをしながらも助けに行く。近くに駆け寄るとそこにいたのは耳たぶがやけに長い少女であった。

 

「おいお前、そこで何してんだ?」

 

「何って瓦礫に挟まれて動けないんだよ!」

 

「ったく.......」

 

巧は瓦礫を持ち上げ耳たぶ少女を助け出す。すると突然暗くなり振り返ると巨大仮想(ヴィラン)が巧を踏み潰そうとした。しかし巧は冷静に手をかざす。すると踏み潰そうとした巨大仮想(ヴィラン)は逆に弾き飛ばされ体勢を崩してしまう。巧は巨大仮想(ヴィラン)を破壊しようと前に出る。

 

「ちょっとあんた!早く逃げないと!」

 

「俺はこんなガラクタ野郎相手に逃げたりしねぇ」

 

耳たぶ少女は巧を止めようとしたが、巧は逃げもせず巨大仮想(ヴィラン)の前に立っち腕をスナップする。やっと体勢を立て直した巨大仮想(ヴィラン)は巧を発見する。

 

『標的発見.....ブッ殺ス!』

 

「やれるもんなら........」

 

巧は個性を発動し飛び上がる。巨大仮想(ヴィラン)の頭上まできた巧は腕に力を込めて全力で拳を突き出した。

 

「やってみろ!!」

 

突き出した拳は巨大仮想(ヴィラン)の顔面に直撃してぐしゃぐしゃにひしゃげる。地面に着地した巧は機能停止した巨大仮想(ヴィラン)を見ても無表情のままだ。

 

『はい、終了〜!』

 

終了のアナウンスが響き渡り、巧はさっさと帰ろうとするが後ろから引き止められる。

 

「ねぇ、あんた。さっきは助けてくれてありがとう」

 

「.............」

 

巧は何も言わずに礼だけ聞いて歩き出したが、また引き止められた。

 

「ちょっと!人がお礼言ってんのに何だよその態度!?」

 

巧は面倒臭そうに振り向き耳たぶ少女を見た。見たところ足を怪我しているのか少し引きずっている。巧はため息をついて少女に近寄りお姫様抱っこで抱き上げる。

 

「何してっ!?降ろせよ!!」

 

「足怪我してんだろ?保健室連れてってやるから暴れんな」

 

巧は少女を保健室まで連れて行く。連れて行っている途中で色んな人たちの視線を集める。側から見たらイケメンが少女をお姫様抱っこして保健室に連れて行っているという少女漫画によくありそうなシーンに少女は顔を真っ赤にしているが巧にはどこ吹く風であった。保健室に着いた巧は少女を下ろして部屋を出ようとするがまたしても止められる。

 

「ねぇ、ちょっと」

 

「今度はなんだ?」

 

巧は何度も止められてイライラしながら振り返る。

 

「ウチ、耳朗(じろう)響香(きょうか)って言うの。あんた名前は?」

 

「.......乾巧」

 

巧はそう言ってさっさと帰ったのであった。

 

●●●

 

「実技総合成績が出ました」

 

モニターには今回の試験で多くありポイントを集めた受験生たち映し出される。

 

「レスキューポイント0で二位とは大した子だ」

 

「しかし、まるで協調性がない。典型的な自尊心の塊と言ったところだな」

 

「そこはこれから直していけるわ、それとこの八位の子、アレに立ち向かった子は過去に何人もいたけど、ぶっ飛ばしたのは数えるほどしかいないもの」

 

「ああ!俺も思わずYEHA!って叫んじまったぜ!」

 

「それならこの一位の子もそうだろ」

 

何人かはモニターに映る巧を見る。

 

「相手の攻撃も間合いをとって確実に仕留め、どんな状況でも冷静に臨機応変に対応している。まるで戦い慣れしているみたいだな。そして巨大仮想(ヴィラン)を破壊してしまうほどの強個性、今年一番の逸材だな」

 

「今年は当たりが多いな、このまま上手くいけば素晴らしいヒーローになれるかもしれん」

 

●●●

 

試験も終わり緑谷と一緒に帰っているところ、緑谷の絶望した顔に巧は横目で心配していた。

 

「...........なんかあったのか、出久?」

 

「...........僕、一体も倒せてなくて倒せたとしても0Pの仮想(ヴィラン)だけ.......、もう終わりだ」

 

今にも泣き出しそうな緑谷に巧はどう声をかけたらいいかわからなかった。一週間後に試験の結果が返ってくる。その一週間の間は試験のアレがダメだったとかこれがいけなかったんじゃないかというマイナスな考えが緑谷の頭をよぎる。そんなこんなで一週間がすぎついに試験の結果が郵便配達されてきた。緑谷は緊張して封筒を手に取る巧も封筒を取りさっそく中身を開けようとしたが緑谷に止められた。

 

「た、たっくん!!開けるの早すぎない!?心の準備とかないの!?」

 

「心の準備をしたところで試験の結果は変わらないだろ?さっさと開けるぞ」

 

「ちょっと待って!ここは別々の部屋でやろうよ。お互い気を使わなくてもいいように」

 

「.........わかった」

 

巧は緑谷の提案に賛成して別の部屋に行く。リビングで開けようと思った巧はテーブルの椅子に座り封蝋された封筒を開ける。中に入っていたのは小さなチップであった。てっきり合格通知が書いてある紙が入っていると思っていた巧は少し拍子抜けする。するとそのチップが突然光出すとそこにはオールマイトが投影された。

 

『私が投影されたぁ!!』

 

「オールマイト」

 

突然投影されたオールマイトに巧は少しばかり驚く。

 

『驚いたかな!?いや〜〜人類もここまで進歩したと考えるとっ?えっ?もう時間ない?いやでも.......、わかったわかった』

 

オールマイトはカメラに映っていない人に時間がないと言われ急かされているように見える。巧も早く話してほしいと思って少しイラついている。

 

『え〜〜本題に入ろう乾少年!筆記テストは満点!素晴らしいね!そしてヴィランポイントは60ポイント!ちゃんと合格ラインだ!でもこれだけじゃないぜ!ヴィランポイント以外にもレスキューポイントがある!審査制だから誰にも言ってないことだ!覚えているかな!?あの少女をどデカいロボットから守ったことを!』

 

「あっ」

 

巧はあの時助けたやけに耳たぶが長い耳朗響香のことを思い出した。

 

『レスキューポイントを総合して100ポイント越えだ!文句なしの1位だぜ乾少年!主席合格おめでとう!さあここが君のヒーローアカデミアだ!』

 

映像が終わり巧は今までのことを思い返す。ヒーローになる気のなかった自分が今では雄英を受験して主席で合格したのだ。人生何が起こるかわからないとよく言われるがこういうことなのかと巧は実感した。巧は緑谷がどうなったのかと思い部屋に向かう。部屋を開けると緑谷が机に座ってワナワナと震えていた。もしかして落ちたのか?巧はそんな不安がよぎる。巧に気づいて振り返った緑谷は大粒の涙を流していた。

 

「たっくん..........!僕.........!僕...............!」

 

しゃくりあげて泣いている緑谷に巧はどう声をかけたらいいのか悩んでいると緑谷は大きな声で言った。

 

「受がっだんだーーーーーーー!!!!!」

 

「!?」

 

緑谷は大声で泣き出し巧に抱きつく。巧は驚きつつも緑谷が受かったことに素直に喜んだ。泣き止んだ緑谷は巧に試験はどうだったか聞いた。

 

「ところでたっくんはどうだったの?」

 

「受かった。主席でな」

 

「えっ本当!?すごいじゃん!!たっくんが主席で合格だなんて!」

 

緑谷も巧の合格に二人は喜びを分かち合った。今夜は試験の合格祝いのご馳走に出前で寿司を頼んだ。サーモンやマグロなど色とりどりの寿司を見て三人は手を合わせて寿司を食べる。猫舌の巧にとっては苦労せず食べられる物なので寿司は好物である。三人は今夜の夕食を存分に味わた。




 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。