読んでみますか? →Y/N
冒険者たちは事前準備は大切だと考え、その書物を手に取った。
「世界樹計画の報告と考察」
世界樹。神話の時代において、天と地を繋ぐとされた大樹、あるいは巨大な建造物。
古代の人々は、希望を託してその名を「計画」に与えた。
計画の概要は「毒を駆逐するのは自然に任せよう」という他力本願過ぎる杜撰なものであったが、当時の人々はその崇高なる目的の為に全てを捧げた。
人生。誇り。倫理感。そして新たな毒を含みつつも世界樹計画を実行に移すために新たな種族を創造した。
自然に頼ろうとしながらも自然からかけ離れた歪んだ存在を造り出す矛盾。それに気付かぬまま計画は進められる。同時に進んでいたあらゆる計画にもその片鱗を覗かせながら。
しかしその結果はどうだったろう。思い出して欲しい。毒そのものも自然が生み出した、人類への懲罰だということを。そして、自然というものは常に人間には計り知れない大いなる力を秘めていたということを。
この未来を想像できたものは、おそらく古代の民には存在しなかった。
エトリア――遺都の上に建てられ、そして遺都の奥に眠る世界樹の毒により大部分が滅びた拒絶の街。
ハイラガート公国――唯一の成功例とされたが、世界樹計画とは別の存在により侵食され無意味な建造物と化した塔の立つ虚構の国。
海都アーモロード――かつての都を亡きものとし、毒すら喰らう異形を監視しながら停滞を続ける腐敗の都。
そしてタルシス。完了、完遂、そして計画そのものすら不完全だった世界樹計画を発展させるべく複数の種族を人工的に造り出し、さらに世界樹そのものを必要な要素ごとに切り分けた。
知恵(かんむり)、体(しんぞう)、そして心(たましい)。
分けられた要素は一つになり全ての毒を浄化する―――筈だった。
世界樹の姿をした巨人は、
かくして、世界樹計画は廃された。無理が祟って滅びた街。欠陥品の
人は無力を感じ、街を後にする。毒を奪い浄化する大樹は、その脅威を毒から化け物に変換しただけだったのだから。―――もっとも、グラズヘイム遺跡から発掘された資料によれば、世界樹計画は世界樹の完全なる破壊を以って完了するとのことだ。所詮全てが理想通りにゆくことなどないのだろう。
そしてさらに多くの時が流れ――――
ここから先は崩れていて読めそうにない―――突然本が崩れ始めた!
司書に伺うと、古い書物は既に崩壊が始まっていて、写しをした後でも無事なものはコレクターに売りつけて資金にするつもりだったようだ。
司書「ビンテージものの古本だったんですよねー。当然器物破損による罰金も弾みますよー?」
冒険者たちは5000en失った!
そろそろ情報収集も切り上げるべきだろう。冒険者たちは図書館を後にすることにした。