オラリオに平穏を求めるのは間違っているだろうか? 作:悪魔野郎
「ああ、そうさ。結果は始まる前から決まっている。天才と凡人が戦えば天才が勝つように、英雄は悪を打ち砕く結果を持っている。それが運命。始まる前から決まっているクソゲーさ」
俺は言った。それは無駄だと。言っていることはごもっともだ。なにせ、世界を滅ぼすには神の力が必要。そして、思い通りに使おうとすれば己自身を昇華しなければならない。
そもそも、中身が間に合ってないんだ。器はある。最高の前菜もスープも用意できる。でも、メインが圧倒的に弱い。神へ至るには致命的に足りない。
成功率は1%にもみたないだろう。
「だが、わかっているだろう? 俺よ。これは我等英雄の後始末。そして、私の『願望』か『正義』のどちらかが叶うんだ。私の存在などいくらでもかけよう」
『我ながら呆れたものだ。己の罪を支払いきれず、己のエゴを他人に押し付け、己の『正義』と『願望』のどちらかを叶えさせるのも他人任せ。酷いものだ』
俺は凡才。努力するのも天才の領域へは至れない。ただの長い時と他者との繋がりが私をこの領域に導いてくれただけ。
【未踏の領域、禁忌の壁よ】
【今日この日、我が身は天の法典に背く】
故に全てを持ってここに示す。
【白銀の鍵。次元越えし無窮の門。我が身に刻むは過去の原罪】
【継ぐものはなく。希望もなく。絶望もなく。堕ちてゆくは薔薇の花弁】
鍵が舞う。門が私を呼ぶ。過去が私の背中を押してくれる。
【原初の泥。始まりの石斧。空虚なる神。即ち原初の罪】
【荒野を埋め尽くし、星々を塗りつぶせ。それはとうの昔に捨て去った】
ああ暖かい手が声が言葉が、全て消えてゆく。
【神々の意思をも打ち砕く
それでも、止まれない。体──いや、魂に刻まれた『正義』と『願望』が私を突き動かす。
【代償はここに。我が全てを持って救済を成せ】
【開け──銀の扉!!】
私の名前は何だったか。私の愛したものは何だったのか。ああ、そうだ。目的を。『正義』を。『願望』を。
【クラーウィス・ボイド】
──
そうしてダイスは振られた。
──シナリオ名『神の不在』
■ゼーレ・リオン
「お父さーん。お母さーん。朝ごはんだよー?」
その日は珍しく父も母も朝から起き上がってこなかった。仕方がないので立派な淑女である私は朝ごはんを用意してあげたのです!
それでも、起き上がってこないので優しい私はわざわざ寝室まで起こしに行ったのですが
「お母さん? なんで泣いているのですか?」
私のお母さん──リュー・リオンは静かに涙を流していた。
「ゼーレ。朝ですね」
「どうしたのですか? 頭でも打ってきたのですか? 父の下手のポエムにでも影響されたのですか? それか、前に父が持ってきた海の悪魔(タコ)を思い出して気が触れたのですか? それとも──ゲブゥ!」
朝から母の強烈なゲンコツを受けて私はあまりの痛みにのたうち回る。
「……さて、ご飯にしましょう」
「……あれ? お父さん? 起きてー。起きてー! お母さんにまた埋め立てられるよー」
──父は息をしていなかった。
昨日の父は確かにおかしかった。いつもは危ないからと言ってあまり触らせてくれない魔導具も丁寧に使い方を教えてくれた。お母さんにいつも恥ずかしくて言ってなかった愛を素で喋ってラリアットをくらっていた。カメラという魔導具で様々な美しい光景を撮った写真を見せてくれた。
そして──父の御守をくれた。
まるで最後の思い出を作るために。心残りがないように
それはまるで老衰死だった。苦しみを一切感じることがなかったのか少し笑った顔で死んでいた。もし、これで息をしていたのならば私のローリングキックが炸裂するところだった。
本当に父が埋め立てられてようやく父が死んだと理解できた。父は馬鹿だったが頭は良かったのだろう。同年代と比べて成長の早かった私に相応しい知識を与えてくれた。父親と娘の関係よりも先生と生徒の関係の方が強かったのかもしれない。でも、父のことは娘として慕っていたつもりだし、母に怒られている時はいつもフォローしてくれた(お母さんもやり過ぎだと悩んでいたらしい)
父は‥‥父は‥‥
──って言えば言うほど馬鹿らしい。
あの父は到底、己のために涙を流すことを望んでいないだろう。むしろ、私が父をボロクソに言っているのを見てたら笑っているところだろうか。
たった5歳で父親を失う身になってみなさいよ。もー。
あっはじめましてー。私、今作のオリ主人公『ザイン・リオン』の娘『ゼーレ・リオン』です。よろしくお願いします。
さて、今日も父を嗤う。汚す。それが私の朝の日課。母が知ったら引きずった笑みで「あの人の子ですね」と言うだろうか。
そんな私の日課はまだある。父の墓の前で演奏することだ。
奏者も指揮者も私一人。楽器は大体扱えるようになった。お父さん直伝の魔力操作で魔導具である【ブレーメン】を同時に奏でる事ができる。
5分程墓の前で奏でると私は墓石を軽く蹴る。
起きているのなら起きてこいという意志を持って。
別に寂しい訳では無いカッコいい──いや、かわいいお母さんも持てた私は幸運なんだろう。
唯一、完璧な私に欠点があるとするなら
「父親がクソだったことだなー」
もう、呆れを通り越して感心するものだ。父が作った全ての
「てか、伸縮自在のロングソードって何? 多分、まだギミック隠しているんだろうけど。てか、この銀色の素材何?」
‥‥当たり前だが私はお父さんの子供らしい。だって、父のオーバーテクノロジーにこんなにも心躍らされている。
いつか、きっと父を超える何かを作って父を否定する。それが私の
愚かな英雄の王は死んだ。
だが、それでも受け継がれるものはある。
どうか、未来へ歩む愚か共に祝福を。
さて、ザイン死にました!ガチで死んだのでリューさん結構病んでます。ただ、アフターケアは何かしていたようで?
ザインの能力のモチーフわかる人居るだろうので魔法考察してくれたら嬉しいな。
え?ザインの目的?そりゃ、世界の滅亡そのものが目的ではないですよ。
・登場人物
名前:ゼーレ・リオン
種族:エルダーエルフ
武器:【プラタ・レーゼ】(ロングソード)
持ち物:銀の鍵 魔導具の説明書 多くの楽器
説明
母から受け継いだ金髪と容姿。父から受け継いだ感情によって色彩が変化する眼と探究心を受け継いだ。
世界を見て知識を広げ、父を超えることを夢見る少女。
年齢は5歳だがその知識と見た目は十代前半。
種族?だって父親が■■だもの。
母が病みかけているので背伸びしたいらしく「淑女」が口癖になっている。