オラリオに平穏を求めるのは間違っているだろうか? 作:悪魔野郎
「……ベル。私は怒っている。理由は分かるよな?」
「……すみませんでした」
「よろしい。過度に無理をしても意味はないし、分からなきゃ先生に聞くのは恥ではない。まだまだ君は子供だ。大人を頼りなさい」
大量の武器が散らばっている。その全てが傷付き壊れているものもある。それら全ては先生──ザインの所有物だったものだ。
ザインは
子供好きなザインは
ベルは大変優秀な生徒だった。努力はやり過ぎなほどで性格もよし、学んだことはスポンジのように吸収してくれる。
ザインにとって、最高の遊び道──生徒だった。
まあ、ザインに教えられるのは対人戦闘くらいのものだった。故にザインは様々な武器の基礎を教え込んだ。短剣、大剣、刀、杖、槍、果てには石すら使った戦闘スタイル。
故に様々な武器をベルに与えたのだが、ベルは要領が悪く──言ってしまえば、頑張り過ぎるのだ。たった一年で大半の武器をお釈迦にしたのだ。
しかもザインに隠れてやっていたので、怪我も多く武器の手入れにも不備がある。ザインは別に怪我や武器の不備に怒っているわけではない、子供が大人を頼らない事を怒っているのだ。
「ハァ。よっと」
「……ありがとうございます」
「まずは、武器の手入れから学ぼう」
ベルに
「ッ! ──ベル。コレは何だ?」
ザインは何も気にせずに拾った刀の傷に驚く。それは
「えっと……それはこうやって」
ベルは思い出すように刀を鞘に納め──抜刀術。それは何度も見た技。まだまだ荒削りだが
「……まだ、私に働けと言うのか? バカ娘共。いい加減休みをくれ」
「……先生?」
「いや、独り言だ。さて、罰ゲームだ。この場にある武器を持って村まで走ろ」
「無理ですよ!? かなりの数あるんですよ!」
……夜空に浮かぶ星々が一瞬輝いた気がした。
もう少し、もう少しだけ頑張ろう。世界は英雄を求めている。ならばその礎にはなろう。きっと、それはバカ娘共の正義に沿うものだから。
英雄を作るか。私が言うと馬鹿馬鹿しい。英雄に絶対なれない人類最後の盾であるこの私が。人にもなれない、魔にもなれない。そんな私の最後の仕事。
さあ──始めようか