オラリオに平穏を求めるのは間違っているだろうか? 作:悪魔野郎
突然だがザインは
しかし
その理由は──オラリオそのものの
ダンジョンの蓋はザインによって作られた。正確には上書きしたのだが……実際にザインはオラリオに様々なトラップを仕掛けている。故にオラリオ最強。
とまあ。長々と説明してきたが結局言いたいのはザインにとってオラリオは抜け道だらけの箱庭だ。だから、隠れてオラリオと村を行き来するのは簡単な事だ。
その──はずですよねぇぇ!
ザインは混乱していた。今のザインは兜を被っていないが容姿を変化させる魔導具や声を変える魔導具。果てには個人特有の足音さえ全くの別物にしている。
それなのに──何で
とある飲食店。そこのオーナーに用事があったザインは入った瞬間に後悔した。
美しい金髪。あのお洒落好きなアマゾネスの言いつけは守って。いるのだろうか? あの頃よりも美しさに磨きがかかっているような気がする。柄もなく見惚れてしまった。
まあ、その顔は鬼の形相だったけどね!
「許してくれ! リュー」
「逃しません!」
魔導具の制限やスキルの代償によってステイタスを十前に発揮できない。だが、オラリオは私の庭だ! そう簡単に捕まってたまるか! てか、捕まったら怖い! めっちゃ怖い! 何されるか分からん!
とまあ、全力で逃げた。隠し通路すらも使ったのに逃げ切れない。一晩逃げ続けた先に協会に辿り着いた。
「ハァ。謝るんで許してくれない? 死ぬ以外なら何でもしてあげるから──「よし、殺しましょう」やめてね! 冗談抜きで!」
真の奥の手を使うか本気で迷いながらも逃げる隙を探し続ける。
「んで、その目は何だ? どっかの闇派閥にでも洗脳された?」
「……」
「無言が一番怖い!」
今のリューは今までに見たことのない表情だった。その目にはドス黒い何かが宿り、ザインのようなスキルも所有していない筈なのに
故に思わず、奥の手を使うための詠唱を紡ぐ。
「【未踏の階梯よ。禁忌の壁よ】」
「【
「【今日この日、我が身は──はい?」
別に油断はしていない。むしろ、奥の手を使うのだから神経は極限まで研ぎ澄まされていた。
だが──殺意のない攻撃には対応しきれない。
しかも、それは負の感情は一切ない……ある意味、回避不可能の攻撃。
……ディープキス
どう思考すればあの頭が硬い気高いエルフがこのような行動に出ると考えるだろうか?
(??????!!!!?!?)
思わず思考を放棄する。むしろ、どうしろと? この世界に転生してから
「私のファーストキスはどうですか?」
「……大変美味しかったです???」
変態のような返しをしたが許してくれ。
むしろ、理性的でいることが奇跡だ。控えめに言って今のリューは女神の如き妖艶さがある。オラリオを一晩中追いかけっこしたからお互い汗臭いが、その匂いがお互いの脳をクラクラさせる。
(理性を保て俺ぇぇ!)
久々の俺発言も気にせずに無理矢理、己の欲を制御しようとして──
「嬉しい」
満面の笑みにヤラれた。文字通り脳殺。どんな強靭な理性だろうが制御出来ない。
薄れてゆく思考のさなか、初恋の人物の言葉を思い出した。
「恋とは彼処まで人を狂わせるものなんですね……」
この先? ……ご想像にお任せする。
ザインの最強というよりも、ザインにとって最強ですね。
ザインは見た目はヒューマンですが寿命はかなり長いです。