沈んでいく、沈んで行く、沈んで逝く…
大罪を犯した歌姫は、自身が生み出した世界と共に消えていく…それを受け入れながら
「あぁ…これで終わりなんだね」
ポツリ、心残りが無いと言うように呟き誰も居ない空間をただ見つめていた
「ごめんねルフィ、貴方の新世界に私は居られない…魔女である私には、眩しすぎる」
誰も居ない空間で、誰に話すでも無いただただ呟く…そうしていると目頭が熱くなる様な感覚を感じる、否…心残りが無いのは嘘だ
「…っ、でも…私は許されない事をしたんだ…ファンの皆んなを、ルフィの友達も…ルフィにナイフを刺そうと」
だがそれが許されるはずがない、許していいはずがないと手で顔を覆いながら必死に涙を抑えようとする。しかし一度流れ出た感情と言う涙は止まることを知らず、いつの間にかあるのか無いのかわからない地面に足がついていた事すら気付かない程に流れ出ている。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……でも、でも……」
嗚咽を吐きながら、心残りである言葉を吐き出す
「私っ!またシャンクスに…ルフィに会いたいよぉ…!」
膝をつき嗚咽を吐きながら泣きじゃくり、自分の本当の願いを呟く
だがそんな事を言ったとしても誰が聞くことも叶わない、ここは何もない闇の空間────
の筈、だった
『ならば、こちらを向きなよ』
「え……?」
背後から声が聞こえて、歌姫──ウタ──は泣きじゃくった顔で後ろを振り返る、そこには白いキツネが鎮座していた
「キツネ…?」
『キツネじゃない、俺はデザイア神と言う神になった…男?で良いんだよな、名前は『仮面ライダーギーツ』だ』
白いキツネはそう言ってウタに歩み寄る
『お前はまだ未練があるんだろ?ならその未練断ち切らないと、ちゃんと輪廻に回せないからな』
「りんね…?」
『おいおいそれすらわからないなんて…とんだ箱入り娘だ』
ハッ!と笑うような声で白いキツネはウタの前で止まると、前足をウタの前に出す
『まぁ要するにお前の罪を精算するって事だよ、やらかしすぎてるからな…何?人類7割と心中未遂するって、規模違うじゃん』
「ウッ……それは…」
そうだ、ウタには死んでも許されるはずが無い罪を犯した…それが今、自分に返ってきただけの事
「…何をすれば良いの、凄く痛いとか…苦しいとかされるの?」
ならそれを受け入れる、ウタはただ新時代をつくる為に、人々を幸せにしたかったと言う純粋な他人への優しさが暴走した為に起きた事でも許されるはずはない…『あの日』あの楽譜を歌った罪は償わなくてはいけない、それならどんな罰でも彼女は受け入れる
『いや、単純に記憶引き継いだままある世界で天寿全うするだけだけど?』
「………へ?」
それがヘンテコな罰だったとしても、だ
『事前説明だけどまず自殺はNGね、それやったらまた1から
「え、ちょっと待って!?」
『ん?何?めちゃくちゃヤバい精算方法だなって思っちゃった?』
「違うよ!いや違く無いけどなんか思ってたのと違ったんだもん!」
動揺して語彙力が低下したようなセリフを吐くウタは、『何故そんなに死を遠ざけるような前提を話すのか』が分からずに居た
『…人間は、生きてるだけで罰を受けてるんだよ』
「え…」
だからこそ次に言われた言葉が更にウタの頭をこんがらかせる
『後悔しない生き方をするだとか、損した生き方してるだとか、楽しい生き方だとか、悲劇的な生き方だとか…そんな感じで生き方を模索してる時点で中々の罰だと俺は思うけどな?』
「ど、どう言う事?」
『だって何も予測出来ない事を考えなくちゃならない、目の前は何も分からない『未来』と言う未知の獣道なんだし…何があるのかわかったもんじゃ無いだろ』
それを単なる予測だけで、単なる気分で、単なる自身の考えだけでどうにかしなくちゃならないなんて…
『とても困難なものだ、だから十分な罰だろ?特に周りに流されるまま自分を決めたお前には』
「………」
推し黙るしか無かった、ぐうの音も反論も出ない…だが疑問がないわけでは無い
「…それは、普通の悪い人だった場合じゃ無いの?私は大罪を犯したんだ、普通の罰じゃ…」
そう、一般的な罰だと意味がないのではと思った…自分で言うのもアレだがそんな事でこの罪を精算出来るとは到底思っていなかった
『えぇい面倒な小娘だな!罪に大きい小さいなんてものは無い!罪は罪!それ以下でも無いし揺るがない事実、そしてお前は自分の罪を後悔してるんだろ。それだけでも上出来だ』
「で、でも……」
確かに後悔している、自分の願いは到底叶っちゃいけない事だという事も理解している…でもそれだけで許されるはずがないのだ
『お前は人生ってのを舐めてるだろ、ただ生きていれば良いと言うものじゃない!自分で選択しなくちゃならない、誰も自分の人生を教えてくれる奴も居ない!そんな中で自分を見つけるしかないのが人生と言うものなんだよ、まぁそれでも全く分からないことが起きることもあるけどな』
「自分を見つける……」
『お前の刑罰は、もう一回人生やり直してちゃんとした人間で老衰するだけの苦しいものだ。お前が会いたい奴は居ないかもしれないし、会うことすら出来ないかもしれない…それがお前へにピッタリな罰だ』
とても残酷、だがウタは受け入れるしかない。それで罪を償えるなら、喜んで
「…わかった、その罰…受け入れるよ、例え私の歌を失っても」
白いキツネの前足を掴む、すると突然眠気が襲い瞼が落ちていく
『なら行くがいい、ここから先は一方通行の何も予想出来ない世界だ………君の物語を始めな』
だんだん声が遠くに聞こえていく、だからこそ……その後のセリフを聞き逃してしまった
『あー後、お前を見張ると言うか監視する為に先に転生しとくから』
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さぁて、何処まで行けるやら
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それから7年…………とてもじゃないが普通の人生とは程遠い濃い内容で色々疲れている元歌姫、浮世
そこは2年前に引っ越した際見つけた街と森と海を見渡せる丘で、暇な時や悩んだ時、歌を思い付き楽譜に書いてそれを歌う時に来る場所になっていた
「ハァ…」
今日はその悩んだ時の場合で、最近通っている学校で友達が未だに出来ない事をどうするか悩んでいた所だった
「(まぁそりゃそうよね、他の子とは違って妙に大人びてると言うか…私が置いてけぼりにされてると言うか)…原因はハッキリしてるんだけど」
前世の記憶にてエレジアで起こした悲劇、虚無に等しい12年間、そしてエレジアの次に犯した大罪……それが彼女をこの世界に馴染ませない要因となってしまっている
しかしそれがわかっていてもどうにか出来るわけでもなく、はてさてどうしたものか…あの
「……こんな時に、ルフィが居たらなぁ………」
ボソリとこの世界に居るはずのない想い人の名前を口から溢す、会いたいよ…抱きしめたい、なんならまた昔みたいに勝負したいし色んな話をしたい
「(ダメだな〜、私…ルフィの事になると心が締め付けられる様に…)……会いたいよ」
太陽の様な
「手を繋いでよ…」
逆光ではなく直射日光のような
「一人にしないでよ…………ルフィ」
そんな眩しい彼の事を思っていれば
いつの間にか声は小さく、震えながらポツリポツリと呟き…涙を流していた
とある警報音が鳴り響いていた事に気付かないほどに
「の、ノイズだァァァァァァァァァァァ!!!」
街では人々を襲い灰にする化け物、『ノイズ』が出現し人々へ襲い掛かっていた
「助けて!」「死にたくない!」「お母さぁん!ドコォ?!」「嫌ダァ!」「くるな!」「どけ邪魔!」「押すな!やめろ!」「うわぁぁぁ!!」
本来なら通り魔に襲われるレベルの確率でしか遭遇しない筈のノイズ、それも今回は数が多く人々は混乱・錯乱状態になってしまいパニック…被害が多くなってしまう
「怯むな!」「撃て撃て!撃ちまくれ!」「こちらです!走らないで落ち着いて!」
それでも部隊の人達は冷静に対応する、これ以上被害を出さない為に
だが、それもノイズの前では無力同然…民間人を守ろうと庇う部隊の一人がノイズに襲われそうになった時
『よっと』
「!?」
ノイズを蹴り上げ灰化させた白と黒の戦士が彼らを守った
「!来たか!」「遅いぞ!」
その戦士を知っているのか部隊の人達は各々『待ってました!』と言わんばかりに声をその戦士に上げる
『ごめんほんとごめん!別の場所でもノイズが発生してさ、そっちもやってたんだよ』
そう言いながら手に持つ銃でノイズを撃ち抜いていく
『でももう大丈夫、ここからが…ハイライトだ』
そう言って一瞬、照準を合わせる様な構えを取ると一気にノイズへ駆け出す
『ハッ!』
ノイズに向けて飛びかかりながら一撃で何体ものノイズを一掃し、蹴りともう片腕に付いている銃で更にノイズを圧倒する
「す、すげぇ…あれが噂の『仮面ライダー』…」
守られた一人の男はそう呟きながら戦士の背中を見ていた、まるでキツネの様に飛び回りながら翻弄し、敵の数の差を感じさせない圧倒さを見せつけていく
『これで決めるか』
腰のベルト──デザイアドライバ──ーの左側にセットしているマグナムレイズバックルのリボルバーを回転、トリガーを引く
『MAGNUM STRIKE』
ベルトから音声が出て、両手の銃から無数の弾丸が放たれノイズを一掃、殲滅する
「「「おおおおお!!!」」」
それを見た部隊の人達は喝采を上げ、振り向いた仮面ライダーはそれを見て少し嬉しそうに反応して…何処かを見る
『さて、ここからはお前のハイライトだな…』
そして場面は丘に移る、ウタはまだ泣いていた。後ろからくる小さな影に気付かないぐらいに
「…スンッ、グスッ」
「おい!お前!」
「!」
その小さな影の主がウタに呼びかける、何故呼びかけたのかはその主もあまり考えてなかった様だが…『何故か呼びかけなければいけない』と思ったのだろう、その主の声を聞いたウタは…何処か懐かしい声だと思い主に振り向き
「……え?」
その顔を、その幼い顔を、とても懐かしく今一番会いたかったその顔をハッキリ、ウタは見た
その少年はウタより歳が2つ下の様で、左目の下に傷があり麦わら帽子を被っていた
見間違う筈が、なかった
「る………ふぃ……?」
涙目だった目が更に涙が溜まっていく、だがウタは感情的になりきれていない
「(でも、ここは別世界だから…顔だけ似てるだけの、別人)」
懐かしいが違うと、心の暗い部分が大きくなっていく……しかし、そんな事は彼の前では……『元海賊王』の彼の前では全く問題が無かった
「やっぱり!お前ウタだろ!おれだよ!ルフィだ!やっと会えたなぁ!」
「え……?」
彼は、いや……『元海賊王モンキー・D・ルフィ』は『元歌姫プリンセス・ウタ』を、その小さな体で抱きしめたのだ
「ふぇ!?え?へぇっ!?/////」
「にっしっし!顔真っ赤だぞお前〜!」
いきなりの事で頭が沸騰しそうなほどに顔が赤くなり、現実なのかと疑いたくなる…『夢じゃないのか』と考えてしまう
しかし、彼の手は、腕は、顔は、声は、その笑顔は…紛う事なき、想い人であるルフィである事に間違いない
現実なのだ……
「あ……ふっ、ゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「!……」
それを理解した時、蓋が抜けたかのように涙が溢れ出てくる
それをルフィは黙って胸を貸して、ウタの頭を少し荒っぽい撫で方で撫でてあげる
ルフィはウタを、前世を覚えていた。それは何故なのか、どうしてここに居るのか、どうやってウタを見つけてくれたのか…わからないことばかりだが、今のウタにはそんな事は気にする事では無い
「ほんものの、ルフィ…なの?」
「あぁ、そうだぞ」
会えたのだ、心のどこかで絶対に会えないと諦めていたルフィに…それだけがわかれば後の事はどうでもいいのだ
「ルフィ…会いたがっだぁぁぁっ!」
「あぁ……グスッ、お"れ"も"だっ!」
釣られて涙を流し始めたルフィと、嬉しく今も止まらない喜びの涙わ流すウタ
今、この二人は奇跡の再会を果たしたのだった……
『………人生は、何が起きるかわからないってな』
その光景を見ていた白と黒の戦士は、デザイアドライバーにセットされているマグナムレイズバックルを外すと姿が変わり、ある男の姿に戻る
「だからこそ、投げ出すなよ?」
コインを上に弾いて、それをキャッチし微笑む
その男の名前は
この世界でのウタの兄で、『仮面ライダーギーツ』なのだ
第一話『歌姫と海賊王への招待状」
いやー、今年のワンピースのウタさんヤバ無い?正直映画見るまでワンピース関係の小説は手を出す気は無かったんだけど……
ルウタつおい、ヤバイ、幸せになりやがれ(IQ⑨)