ターフの景色 作:にんじんぷりんとにんにく
黄金世代なんて大層な名前で呼んでくれるなぁ…
そんなこと言われても
そんな名前で呼ばれても
僕にはちょっと重いかな…
始めて挑んだG1レース
圧倒的一番人気に推されたあなたは飛ぶように駆けていった
黄金世代の一角
時代が呼んだ怪鳥
あなたは最強を証明するために凱旋門賞を目指していると言っていたね
少しはこっちを見てくれるかなぁなんて
そんな淡い期待を持っていた僕
確かに前走は負けたけど
あなたに対抗できると思ってたんだ
…あぁこれが
黄金世代なのかなぁ…
あれから一年が建ちました
東京の舞台に上がる僕
一番人気は怪鳥と同じチームの黄金世代
怪物の再来なんて呼ばれているね
しかも世界レベルの先輩と
王者の名を冠する君も出走だね
僕の人気は4番目
怪鳥は飛び立ってしまったけど
僕はまたあなたと戦いたい
けれどもまずは
あなたを倒す前哨戦ということで
怪物二世と世界、王者をここで卸す
道を開けろ
悪いがこの距離は
僕と怪鳥の世界だ
あなたが走る凱旋門
日本にいるウマ娘は
皆テレビに釘付けだ
それは生徒会長もあなたのチームも
黄金世代の皆も
そして僕も
大丈夫
きっとあなたは勝つ
勝って帰ってくる
そしてトロフィーを日本に持ち帰ってきてくれる
そんなあなたを今日も妄想した
そんなあなたを倒す僕を想像した
すっかり夜も更けて
今日だけ特別に解放されてる食堂で
ウマ娘達はテレビに釘付けだ
それぞれのウマ娘がゲートに入り
あなたもゲートに入り
そして扉が開かれた
後に勝者は二人いたと言われるレースは
僕を滾らせるのには十分だった
同期のダービーウマ娘
そして黄金旅路と
足蹴の二冠ウマ娘が集う天皇賞(秋)
あなたは凱旋門からしばらく休むんだって
また戦いたいけど
その前に
まずは私が日本総大将になって
あなたを倒した世界最強を
ここ日本で迎え撃つ
人気は相変わらずだけど
それでも僕はきっと勝つ
同期のダービーウマ娘が日本総大将となって
世界最強と戦うジャパンCが来週に
僕はここで戦う
ジャパンCに出走せず
僕は僕の距離を行く
王者の名を冠する君も
僕と同じ考えなのかな
あなたは今日もいないけど
その幻影は今日もターフに見えていた
そうだ。
僕はあの日からずっと
あなたを倒すために走ってきた
安田記念も影がいた
そして今日も
決着をつけよう怪鳥
確かにあなたは強い
だけど
だけどこの距離は
僕の方が強いっ
その瞬間は訪れた
もうなにも聞こえない
もうなにも感じない
ただ…
…ようやく僕は
空を羽ばたいた
その日の景色を僕は忘れない
怪鳥の幻影はもういない
あとに残るターフには
ただただ心地よい風が吹く