ターフの景色 作:にんじんぷりんとにんにく
最強のクイーン世代
そう呼ばれたのには意味がある
クラシック世代でスプリンターズステークスを制した女王
ダービーを制した常識破りの女帝
有馬記念を制した緋色の女王
知らない人は存在しないそんなウマ娘が同じ時代に走っていた
誰が聞いても最強クイーン世代と聞いても疑問は持たないだろう
納得の強者に挑んでいた私は
結局彼女たちに勝てなかった
そして緋色の女王に憧れた
私も女王の名を冠するものとして
意地は確かに存在した
けれど理想には程遠く
オープン戦を勝ち抜くだけで精一杯だった
“中央で勝てるだけで上澄みだ”
“世代が悪かった”
そんな言葉を何度も聞いた
言い訳はしたくなかった
私は勝てる
私は勝てる
私は勝てる
私は勝てる
何度も何度も自分に言い聞かせて
そしてまた負ける
キラキラの一着にはまだ届かない
いつの間にか世代が変わった
私が憧れた緋色の女王は引退し
常識破りの女帝は引退レースに向けて
それぞれの道を走っていた
そんな中私はまだしぶとくターフにしがみついて
いつしか存在を忘れられようとしていた
“とんでもないティアラ二冠ウマ娘がいる”
そんな話を聞いた
なんでもあの日本総大将に憧れて中央トレセンに入学、スピカに加入したらしい
三冠がかかる秋華賞では降着してしまったらしいが
満場一致で最強らしい
そんな彼女がエリザベス女王杯に出走すると話を聞いた
それはくしくも私も出走するレースだった
私が憧れた緋色の女王と同じチームに在籍する彼女は
圧倒的一番人気でターフに立っていた
誰もが勝利を疑わない
そんな風格が確かにあった
そんな中私はただただ集中して
たった一つの方法を
たった一つの戦法を
たった一つの可能性を
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
ひたすらにイメージする
100回イメージしてたった1回勝てるそんな戦法
けれども負けを恐れない
何度も何度も負けてきた
確かにあの子は強いだろう
けれども私はあの子より
ずっとずっと強いウマ娘としのぎを削ってきた
さぁ見せよう
これが私にとっての最強戦法
スタミナも見栄えも何もかもを捨てて走る
最初から最後まで全力
そう“破滅逃げ”だ!!!!
走り終わった後には
静まり返ったターフの上で
私とともに逃げたウマ娘とあの子と三人で倒れこむ
空を見上げてみれば
満点の空が私を祝福していた