重力少女のヒーローアカデミア   作:縞猫

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襲撃事件の終わり

 脳無とオールマイトの戦いは、ナンバーワンヒーローが勝利した。

 しかし死柄木弔(しがらきとむら)は悪態をついてるが、諦める様子はない。

 黒霧(くろぎり)は平和の象徴がダメージを受けていることを指摘するので、もうひと悶着ありそうだ。

 

 おまけに、増援のヒーローが駆けつける前なら勝てると説得している。

 私としては戦力差は開く一方なのに、無駄な諦めの悪さに奴らに脳みそ詰まってるのかと疑ってしまう。

 

「残念だけど、貴方たちに勝ち目はない。

 いい加減に降参して」

 

 こっちは気合だけで変身を維持しているオールマイトと、無傷でまだまだ元気な私と、疲労しているが個性を抹消できる相澤先生がいるのだ。

 あとはできれば控えていて欲しいが、十三号先生と一年A組の生徒も揃っている。

 

 切り札の脳無を失った今、ヴィラン連合に勝ち目はない。

 けれどいつマッスルフォームが解除されるかわからないため、オールマイトは動かないほうがいいだろう。

 

 なのでここは私が率先して戦うべきなのだが、自分はヒーロー科に属しているが一般人である。

 

(それにもし私がヴィラン連合を壊滅させたら、功績がまた増える)

 

 この場にはナンバーワンヒーローが居るし、相澤先生も後方支援をしてくれる。

 敵戦力は大きく削れて、勝利はほぼ確定していた。

 

 だからこそ最後はきっちり締めるべきで、できれば終わり良ければ全て良しで済ませたい。

 理想としては、ヴィラン連合に襲撃されたがオールマイトが駆けつけて全員やってつけてくれただ。

 

 私は彼らの油断なく観察しつつ、そのようなことを呑気に考えていた。

 すると何処からともかく銃弾が飛来し、死柄木弔(しがらきとむら)の右手に穴を空ける。

 

「ごめんね。皆。遅くなったね」

 

 振り向くと、入り口付近に根津(ねず)校長の声が立っていた。

 それだけではなく、雄英高校の教師たちが続々と入場してくる。

 

「すぐ動ける者を、かき集めてきた!」

 

 流石に全員ではないが、まさにプロヒーローの堂々たるメンツが揃っていた。

 さらには、飯田(いいだ)君の姿もある。

 

飯田(いいだ)君!」

「一Aクラス委員長! 飯田天哉(いいだてんや)! ただ今戻りました!」

 

 麗日(うららか)さんが飯田(いいだ)君の帰還に、喜びの涙を流していた。

 

 

 

 そこからは一方的な展開であった。

 まだ残っているヴィランは多くいるが誰一人としてプロヒーローには敵わずに、為す術もなく捕らえられていく。

 

「あーあ、来ちゃったな。ゲームオーバーだ。

 帰って出直すか」

 

 死柄木(しがらき)が私たちに背を向けて、黒霧(くろぎり)のゲートに入って逃げようとする。

 だがすぐに遠距離から撃ち抜かれて、動きを封じられた。

 

「今回は失敗だったけど、今度は殺すぞ!

 平和の象徴! オールマイトォ! そしてぇ! 二代目ェ!」

 

 何故私まで目の敵にされるのわからない。理不尽である。

 だが死柄木弔(しがらきとむら)は生理的に受け入れられないので、無言で数枚のコインを取り出す。

 

 重力加速で次々と撃ち出しては動けない彼と、ゲートを開いて逃げようとしている黒霧に当てていく。

 

あだだだっ!? 止めろォ! 二代目ェ!!!

「うぐっ! これでは、ゲートの維持が!?」

 

 若干泣きが入っているが、最初に挑発したのはそっちだ。

 死なない程度に、二人揃って容赦なくボコボコにしてやる。

 

 やがて声を出す元気もなくなったことを確認し、取りあえずの気は済んだので静かに息を吐いた。

 けれどそこで終わりではなく、私は彼らを睨みつける。

 

「コンティニューの機会を与えるとでも?」

「はぁ? ……うぐっ!?

「こっ、この個性は!? まさか!?」

 

 気が済んだあとに個性を発動させ、死柄木(しがらき)黒霧(くろぎり)の重力を操作して引き剥がし、急激な加重によって地面に縫いつけた。

 

「相澤先生!」

「任せろ!」

 

 死柄木(しがらき)に高速で接近した私は、相澤先生の個性消去が効いている間に躊躇なく中指をへし折った。

 

があああっ!!?

 

 しかも片手だけでなく、右も左も両方である。

 

これがヒーローのやることかよおおっ!!!

「私はヒーローじゃない。

 それに殺すために襲撃してきたヴィランが、それを言うの?」

 

 ヴィラン連合を逃すと、より強く狡猾に成長してしまう。

 それに彼らの背後に巨悪が隠れ潜んでいるのは、ほぼ確定だろう。

 

 多少乱暴であっても逃げられるよりはマシであり、ここでしっかり引導を渡してやる。

 

死柄木弔(しがらきとむら)!?」

「怪しい動きをすれば、他の指も折る」

 

 私は死柄木(しがらき)黒霧(くろぎり)の重力を増加させ、相棒を人質に取る。

 どうやら仲間思いのようで、完全に動きが止まった。

 

 そして救援に来た雄英高校の先生たちも、こちらの状況を把握したようだ。

 彼らを拘束している間に他のヴィランを捕縛しながら、続々と駆けつけるのだった。

 

 

 

 その後は、ヴィランは全員捕縛されて警察に引き渡された。

 オールマイトも正体がバレずに済んだし、全部彼の手柄になってくれた。

 一年A組や教師の誰も大きな怪我はなく、無事だったのでとにかくヨシなのだった。

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