ライスシャワーはダークヒーローとなる   作:黒い平方四辺形

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パズルのようなこれからと今と昨日

 

骨の癒着、筋肉のリハビリを終えたライスシャワー。

次に行われる治療は骨延長手術だった。

 

「ライス、本当に大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよ。私、できるだけ元に戻りたいから。

でもお姉さまに頼ることになっちゃうかも…」

 

「それなら全然気にしないでいいよ、私に任せてね」

 

骨延長手術は骨を切断してから外側に取り付けた器具で固定し、

切断面が治ろうとして作った仮骨をゆっくり引き延ばすことで骨の全長を延ばす手術である。

きちんと処理をすれば痛みはあまりないが、大きめの器具を数か月つけることになるので、

日常生活がしにくくなるデメリットがある。

 

「ちゃんと手術が済んでよかったわ。痛くない?」

 

「うん、違和感はあるけど痛くはないかな」

 

「それならよかった。ゆっくり治していきましょうね」

 

「うん!」

 

トレーナーはライスシャワーを車椅子に乗せ、散歩に出ることにした。

8月中旬の今、外は照りつける太陽と青々しい木々のざわめき、

セミや鳥の声が響き渡りとても賑やかな世界だ。

 

「うーん、いい日差し。でもちょっと暑いわね、まさに夏って感じ。

ちゃんと帽子を持ってきてよかったわ」

 

「ほんとだね、熱い日差しが気持ちいい。お姉さま、ちゃんとお水も飲んでね?」

 

「うん、水分も二人分持ってきてるわ。

それにしても夏ねえ。今週末は花火大会もあるらしいわね。一緒に行く?」

 

「花火…!楽しそうだね、お願いしてもいい?」

 

「もちろん。じゃあ、楽しみましょうね!」

 

「うん!夏はイベントもいっぱいだよね。

でも私としては、この時期は長距離の重賞が全然ないからちょっとつまんないな。

ブルボンさんたちもレースは中距離メインになっちゃうかな?」

 

「そうね、テイオーさんがオールカマーに出るようなこと言ってたわ。

どうせだったら応援行ってみようか」

 

「わあ、楽しみ!テイオーさん、脚が治ってから大活躍だもんね!」

 

雑談をしながら歩いていくうち、トレーナーがとあることを切り出した。

 

「ライス、あなたの人気は今も続いてるようね。

治療自体は終了したことを発表したら、いっぱいファンレターが届いたわ」

 

「ファンレター…?そうなんだ。でも前に話したけど、私はその人たちのことを…」

 

「そのことで話しておきたいことがあるの。あなたが言っていたこと、気持ちはわかるわ。

観客の人を信じることができない、憎らしいって気持ちは私にもあるからね。

でも、全部がそうだと思ってほしくはないのよ」

 

「全部じゃないって…」

 

「正直言うと、ひどい人たちがあんなに多いとは私も思ってなかったわ。

だからあの時うまく対処できなかったんだけど…

でもみんながみんな、そういう人たちじゃない。このファンレターを読んでくれる?」

トレーナーはそう言ってカバンから何通かのファンレターを取り出した。

どれも装飾された封筒に入っており、宛名も文章も手書きだ。

 

「ファンレター…ずっと読まないようにしてたっけ。

でも、お姉さまがそう言うなら…」

 

渋々ながらも中身を読むライスシャワー。そのファンレターに書かれていた内容は。

 

『ライスシャワーさん、治療が済んだそうで本当にうれしく思います。

私はあなたのデビュー戦の時からのファンです。

あの元気な走りと勝った時の嬉しそうな顔を見て、私は元気を貰えました。

それからも何度負けても立ち上がる姿、何度も勝ち進む姿、今も心に残っています。

大きな怪我をしてしまったことはとても悲しかったですが、

治療に向けて頑張っているときの話を聞いてまた勇気を貰えました。

私もライスシャワーさんのように決して諦めず、精一杯頑張って過ごしていきたいと思います。』

 

『ライスシャワーさんは私の憧れでした。

ミホノブルボンさんを破った菊花賞、感動の涙で前が見えなくなったほどです。

私もウマ娘ですが、実力が伸びず自分に自信を持てないウマ娘でした。

ライスシャワーさんも、初めのころは自信のなさそうなことをおっしゃってましたね。

でも、そこで立ち止まらずに誰よりもひたむきに努力している姿を知って、

誰よりも強くなったあなたを見て、私もあなたのようになりたいと憧れるようになりました。

ライスシャワーさんが引退されることはとても残念ですが、

私もライスシャワーさんのようなウマ娘を目指して、これからもがんばっていきます。』

 

『私はライスシャワーさんがジュニア期の頃からのファンです。

重賞の連勝を続けていたカッコいいあなたも好きでしたが、

初めの頃の楽しそうに走るあなたもがとても好きでした。

勝っても負けても前を見て、また次へと走り出すあなたは、いつも私に元気をくれました。

何度かトレーニング風景なども見ましたが、トレーナーさんと仲睦まじくトレーニングを行い、

レースでもトレーニングでも楽しそうな笑顔を憶えています。

引退はとても残念ですが、また新しい道を見つけてほしいと願っています。

私はこれまでも、そしてこれからもずっとファンでい続けます。

あなたは私の永遠のヒーローなのですから。』

 

「……」

無言で、涙を流しながら読むライスシャワー。

 

「世の中にはひどい人もいっぱいいる。でも、あなたが言っていたように表面だけじゃなくて…

ずっとあなたのことを見続けている、その人たちのような本物のファンもいるのよ。

だからね、人をみんな恨むんじゃなくて、人をみんな嫌うんじゃなくて、

あなたを愛する人だけでも愛してあげてほしいの。

そうすれば何かの時、きっとあなたの支えになってくれるわ」

 

「……私にも、こんな優しいファンがいたんだね」

 

「そうよ、だってあなたは…ヒーローなんだから」

 

「うん…。私の走りも、全部が無駄なわけじゃなかったのかな」

 

「もちろんよ。ファンレターを送ってきてない人の中にも、

あなたに勇気づけられた人がいっぱいいるわ」

 

「そっか。そっか…。やっぱり私は間違ってばっかりだね。

それなら…。これからは、もうちょっと人を信じてみるね」

 

「うん。ライスはこれからもずっとヒーローとして、誰かを照らせるように人になれるわ」

 

「うん…!」

 

ライスシャワーは静かに泣いた。

自分が嫌っていた人たちは、すべてが同じような人ではなかった。

優しい人もちゃんといるんだ。それなら、少し信じてみてもいいのかな。

だけど悪い人たちもいることは確か。だから私は…。

 

しばらく無言のライスシャワーだったが、数分後に口を開いた。

「ねえお姉さま。脚の延長以外は大体治療も終わったし…

私ね、これからの目標、これからやりたいことができたよ」

 

「やりたいこと?…ああ、前に言ってたわね。絵本作家になりたいんでしょ?」

 

「ううん。それも夢だけど、それは今じゃなくていいの。

私が目標にしてるのは…トレーナー。」

 

「と、トレーナー…?ライス、トレーナーになりたいの?」

 

「うん。憶えてる?前に私が走るのを嫌になっちゃったとき、

お姉さまがサポート用の色々な知識を教えてくれたこと。

あの時は結局また走ることにしちゃったけど、勉強するのは結構楽しかったんだ。

だからサポート課に編入して、そこからトレーナーを目指したいって思うの」

 

「そっか。ライスは頭もいいし真面目で優しいから向いてると思うわ。応援してるよ!」

 

「ありがとう…!私もお姉さまみたいな素敵なトレーナーになるからね!」

 

「わたっ…。だめだよライス、私みたいになっちゃ。

私は大失敗して一から出直してるダメダメトレーナーだから…

反面教師にならいくらでもしてちょうだい?」

 

「お姉さま!自分を卑下するのはダメだよ!

間違うことは悪いことじゃない。悪いのは間違いをした時に反省しないこと、でしょ!」

 

「あっ…それ…」

 

「えへへ、憶えてた?私が勝つのを怖がって自分を責めてた時に言ってたよね。

私がこうなっちゃったのは私にもお姉さまにも悪いところがあったかもしれない。

でも、お姉さまは本当に頼りになって、優しくて、私が強くなれたのはお姉さまのおかげなの。

だからそれを全部否定してほしくないな…。」

 

「そっか…ありがとうライス。

私はトレーナーなのに、あなたに教えてもらうことがいっぱいだわ。

でもそうね、トレーナーになるための知識だったら何でも聞いてね、それは自信ある!

私も一から再スタートだけど、今度こそ立派なトレーナーになれるよう頑張るから!

ライス、あなたにだって負けないわよ」

 

「そっか、私がトレーナーになったらお姉さまとライバルになるのかな?

それも楽しそうだね」

ライスシャワーの眼光が鋭く光る。

 

「さすがはライス…勝利への執念は衰えてないようね。

でもまあ、しばらく先のことだし一緒に仲良くやっていきましょ?

編入の手続きとかは私がやっておくから」

 

「うん!よろしくね、お姉さま!」

 

 

 

ライスシャワーのサポート課への編入は即日で受理された。

登校できるならば来週からでも来てよいとのことだ。

 

「理事長は話が分かりすぎるわね。即日でOKとは…」

 

「良くも悪くもワンマン経営だね…。」

 

「それでね、ライスにちょっと相談があるのよ。

あなたがサポート課に行って、ゆくゆくはトレーナーになりたいって話は理事長も感心してたわ。

それで話をされたんだけど…」

 

「どんな話?」

 

「まずね、私は一から鍛えなおしってことで、

他のトレーナーのところへ行ってサブトレーナーから始めようと思ってたの。

そうしたら黒沼さんが私を引き取ってくれることになってね」

 

「黒沼さん…ブルボンさんのトレーナーさん!?そうなんだ」

 

「それでね、どうせならライスも一緒に黒沼さんのチームに行かない?

あなたはサポートメンバーとしてチームを支えてもらえば、

勉強にもなるしいいんじゃないかって言われてね。それにブルボンさんもいるし」

 

「わあ…!私もブルボンさんと同じチームになれるってこと!?

うん、私も行きたいな!」

 

「それならOKってこと伝えておくね。

黒沼さんのところには日曜日に挨拶行きましょうか」

 

 

日曜日。

休日とはいえしばらくぶりの学校に懐かしさを感じるライスシャワー。

 

「また学校に来られるようになってよかったあ。

辞めちゃうかは少し迷ったんだけど、私はトレセン学園が好きだから。

それにお姉さまとも過ごせるしね…えへ。」

 

「うれしいこと言ってくれるわね…。トレーナーと担当の関係ではなくなったけど、

今度からはチームの仲間として宜しくね」

 

「うん、こちらこそ!」

 

そして黒沼の部屋についた二人。ドアをノックすると黒沼が迎え入れた。

 

「入れ」

 

「「失礼します」」

 

「お前たち二人はこれから俺のチームのサブトレーナー、

サポーターとして仕事をしてもらう。

では予定通り明日から来てくれ。これからよろしく頼む」

 

「「こちらこそ、よろしくお願いします」」

 

「ああ」

 

「……!」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「あの…面談はこれで終わりですか…?」

話が秒で終わってしまい、沈黙に耐えられずトレーナーが声を出した。

 

「む…すまない。俺の癖でな。

そうだな、理事長にも言われたからな…少し話しておこう。

ライスシャワーも聞いていけ」

 

そういって黒沼が話を始めた。

それは先週の話。

 

『なんだ黒沼、話とは!』

 

『はい。ライスシャワーのトレーナーが、入るチームを探していると聞きまして』

 

『うむ!彼女は自分を一から鍛えなおしたいと言っておる。

もしかして君のところで引き取ってくれるのか?』

 

『はい。ブルボンが復帰して以来うちのチームへ加入する申し込みも増えました。

今後チームの拡充も考慮していたところですので、

彼女が了承してくれれば私のところに来ていただきたい』

 

『そうか!確認はするがおそらく大丈夫だろう!ならば頼んだぞ!』

 

『はい』

 

『ああ!』

 

『それでは失礼します』

 

『…ちょっと待った!』

 

『何ですか?』

 

『うむ、黒沼よ。ときに君は…割と無口であるな?』

 

『そうですか?』

 

『そうだ。君は優秀なトレーナーだが、コミュニケーションに難あり!

というのが私の評価だ!』

 

『申し訳ありません。改善努力を致します』

 

『…硬い!今回彼女を君のところに入れると君にもよいだろうな!』

 

『どういうことですか?』

 

『うむ、彼女はコミュニケーション能力には長けておる。

一対一の関係ということもあるが、ライスシャワーとはとても親密になった。

あそこまでとは言わんが、君にもウマ娘との親密さを持ってほしいのだ。

分かっておる!ミホノブルボンやほかのウマ娘を見ても、

君がチームのウマ娘と信頼関係があるのはわかっておる!

でももう少しわかりやすくなってほしいと思うのだ!

良い緊張感だから悪いことでもないのだが、もっと心安らげる関係になってもよいと思う!』

 

『そうですか…。お心遣い痛み入ります』

 

『うむ!!!悪気はないのはわかっているのだが…やっぱり硬すぎるのだ!』

 

『そういわれましても…』

 

『まあ、おいおい学んでゆくといい。彼女の存在はきっと参考になることだろう。

君には期待しているぞ!』

 

 

 

「というわけだ」

 

((理事長…!!))

ちょっと笑いそうになったライスシャワーとトレーナーだった。

 

トレーナーが聞く。

「あの、私を引き取ってくれるよう言ったのは黒沼さんからだったんですか?

わざわざどうして私を…」

 

「ああ、それはお前と俺が似ているからだ」

 

「似てる…?」

 

少しうつむく黒沼。

「お前たちが知ってる通り、俺はブルボンを故障させてしまった。

理由は同じくオーバーワーク…ライスシャワーほど酷くはならなかったが、

一年以上も休養させることになってしまった」

 

ライスシャワーは天皇賞のころを思い出す。

あの時にブルボンさんが自分を目標にしていると言ってくれたから、今までの自分があったのだ。

 

「お前はきっと自分を責めているだろう、

トレーナーとして失敗としか言いようのないことだからな。

だがそれは俺も同じだ。だからお前を引き取った。

傷を舐め合うためじゃない、お互いに同じ過ちを繰り返さないようにな」

 

「黒沼さん…」

 

「理事長にも言われたことだが、

お前には俺に足らないところを補ってくれることも期待している。

これからよろしく頼む」

 

「…はい!」

 

「それとライスシャワー」

 

「は、はい…!」

 

「これからもブルボンと仲良くしてやってくれ」

 

「…! も、もちろんです…!」

 

黒沼はトレーナーとライスシャワーを自ら引き受けてくれていたらしい。

その期待に応えるためにも、これから頑張っていこうと奮起する二人であった。

 

 

 

翌日、トレセン学園。

 

ライスシャワーにとってはあの事故以来初めて、

そしてサポート課に編入となって初めての登校である。

新しいクラスに入り、先生に紹介される。

 

「皆さんおはようございます。

先週話した通り、今日からライスシャワーさんがこのクラスに編入になりました。

みんな仲良くしてくださいね!

まだ脚は治療中なので、何かあったら手伝ってあげてね」

 

「ライスシャワーです!よろしくお願いしまひゅっ…

か、噛んじゃった…!」

 

(((かわいい)))

クラスの誰もがそう思った。

 

「ライスシャワーさんは一番後ろの席ね。

車椅子だとちょっと不便かもしれないけどできるだけサポートしますからね」

 

「はい!」

 

ライスシャワーが自分の席につくと、隣のウマ娘から声をかけられた。

 

「私ベルノライトっていうんだ!ライスちゃん、これからよろしくね!」

 

「うん、ベルノさん!よろしくね!」

ライスシャワーがそれに答えると、周りからもっと声が飛んできた。

 

「おっ、ベルノさん抜け駆けじゃ~ん。私もライスさんと仲良くしたいんだけど?」

「走って最強のウマ娘がサポート課に来るなんて初めてだもんね。聞きたいことが山ほどあるよ」

「ライスさん!わからないことあったら何でも聞いてね!その代わり私も色々聞くと思う!」

「とても小さく引き締まった肉体…ミケランジェロの彫刻のように美しい」

「この体にあれほどのパワーが秘められているとはとても興味深いですね。

あの、放課後時間ありますか?」

サポート課にいるのはレースでは活躍してないウマ娘が殆どである中、

現役最強クラスだったライスシャワーの登場に皆が興味津々のようだ。

 

「ふええ…みんな、なんか圧が強いよ…!」

 

 

昼休み、食堂へと移動したライスシャワーとベルノライト。

ライスシャワーはクラスメイトにもみくちゃにされ、だいぶ疲れてしまったようだ。

 

「ふう…サポート課の人たちもみんな元気なんだね…」

 

「あはは、いい人ばかりなんだけど癖が強いよね。

私も最初に会った時はビックリしちゃった」

 

「そうだね、面白い人が多くて楽しいよ」

 

「それならよかった!じゃあライスちゃんここで待っててね、私がごはん取ってきてあげる」

 

「うん、ありがとう!」

 

ベルノライトが席を離れて少しして、後ろから声をかけられた。

 

「おや、ライスシャワー。そうか、学校に復帰するのは今日からか」

 

「あっ、オグリさん!」

 

彼女はオグリキャップ。

レースで勝負したことはなかったが、腹ペコ勢として何度か一緒に食事をしたことがあった。

 

「久しぶりだな。体は治って…はまだないようだが、随分元気になったようだな」

 

「うん、みんなのおかげでね」

 

「ふ…そうか。聞いたぞ、これからはサポート課でやっていくそうだな。

サポート課はサポート課で色々大変だろうが応援してるぞ。

ふむ、車椅子では動きにくかろう。私が食事をとってこよう」

 

「あ、それなら大丈夫!クラスの子が私の分も取りに行ってくれたんだ」

 

「なんだ、もう友達ができたのか。さすがだな」

 

話しているうちにベルノライトが戻ってくる。

「ライスちゃんお待たせ。あれ、オグリちゃんだ」

 

「おお、ベルノ。なんだ、友達というのはベルノのことか」

 

「二人は知り合いなの?」

 

「ああ、私が笠松にいたころからの友人だ」

 

「私がオグリちゃんに惚れちゃって、

サポートしたくてトレセン学園までついてきちゃったんだ!」

 

「そうなんだ、とっても仲良しなんだね!」

 

「ベルノにならライスを任せられる。…この子を頼んだぞ」

オグリキャップがベルノライトの肩に手を置く。

 

「うん…任せて!私頑張るから!」

ベルノライトは力強く答えた。

 

「な、なんだかお嫁さんを送り出すお父さんみたいだね…」

 

「せっかくだ、私も一緒に食べていいかな?」

オグリキャップが言う。

 

「もちろん!一緒に食べよう!」

ライスシャワーがそう答えると、オグリキャップがライスシャワーの前のお盆に視線を送る。

そこにあるのはごく一般的な量の定食が一つだ。

オグリキャップはいぶかしんだ。

 

「む、ライス。君はそんな…」

 

「ううん、いいの。今日はこのくらいで…」

 

「そうか…でも足りなかったら私のを分けてやるぞ」

 

「うん、ありがとう」

 

その会話を聞いた瞬間、ベルノライトに電流走る。

(えっ、もしかしてライスちゃんも結構いっぱい食べるタイプ…?)

 

「そうだライス、復帰祝いに来週にでも食事に行かないか?

私もスペも、君とまた一緒に行きたいと思っててな。

いくつかいい店を探しておいたんだ」

 

「わあ、本当?ぜひお願いします!」

 

「うむ、お祝いだし私が奢ってやろう。ベルノも行くか?」

 

「えっ私!?どうしようかな…」

ベルノライトは想像をした。

オグリキャップ、スペシャルウィーク、そしてそれに並ぶと思われるライスシャワー…

その三人が同時に店に行ったとき、どのようなことが起こるのかを。

 

「わ、私はその時期勉強したいことがあるから…三人で楽しんできてね!」

 

「そうか、残念だ」

シュンと耳をたらすオグリキャップ。

 

「お土産持ってきてあげるね…!」

気を遣うライスシャワー。

 

「ありがとう!それじゃ、お土産を入れてもらう用のお弁当箱を後で渡すね…!」

彼女らに任せたら何をどれだけ持ってこられるかわからない。

容器を限定することでお土産の体積も限定する策を実行するベルノライトだった。

 

 

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