メジロアルダン? あんなのハズレだよハズレ!   作:宇宮 祐樹

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思ってるより筆が進まなくて遅れてしまった~申し訳ないです


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 で、夏合宿の合同トレーニングも後半戦になったんだけど。

 

「…………………………」

「…………………………」

「…………………………」

「おー、死屍累々」

 

 流石に模擬レースとトレーニングを連日繰り返してたら、そりゃまあこうなるかって感じ。

 その時点でもう、三人とも自分で水分補給する余力も残ってなかったみたいだから、先輩と一緒にペットボトルからそのままぶっかけて、なんとか体力回復させようとしたんだけど。

 

「あら、今日はもうおしまい? それなら午後はゆっくりお茶でもしようかしら」

「おいおいおいおい! 今の聞いたかアルダン! あいつ完全にナメ腐ってるぞこっちのこと! このまま言われっぱなしでいいのか!? お前からもあのクソ姉貴に何か言い返してやれ!」

ぢょっぼきょぼばぶぼぼぼ(ちょっと今日はもう無理です)

「アルダンちゃん溺れてるよ、萩野くん」

 

 やる気はあったんだけどなあ。それこそラモーヌと走れるっていうモチベもあったし。

 でもまあ、流石に体力がついてこなかったみたいで。その日はそこで解散。

 つっても動く体力もないから、しばらくそこでダラダラしかできなかったんだけど。

 

「にしても、ラモーヌの姉御はなんであんなケロっとしてられるんだい……」

「消費スタミナの効率が違うんだよ。走行フォームとか地面の踏み方とかを切り詰めて、スタミナの消費を極限まで減らしてる。お前らもうっすら感じてたと思うけど、こいつ走り方に余裕が見えるだろ? 原因はそれだよ。あとこのやり方、百パーセント才能に依ってるから、走り方はともかく、完全に真似るのは難しいからやめときな」

「あら、思ったよりもよく見てるのね。そんなに私のことが気になるのかしら?」

「……冗談言えるくらいの余裕があるなら、ちょっと付き合え」

「?」

「先輩、申し訳ありませんけど、生徒たちのこと任せます」

「はーい、任されましたー」

 

 そんな感じで、ラモーヌだけ連れてって。

 ちょっと遠くで記録つけてる、アイツのとこまで行ったんだよ。

 ……そう、アイツ。ヤエノに突っかかってコテンパンにされた不良娘。

 

「おう、サボってねーだろうな」

「当たり前だよ。……アタシだってウマ娘だ。レースを見るのに退屈はしないさ」

「そりゃ結構。じゃ、さっさとデータ貸せ。これから確認作業するんだから」

「チッ……」

 

 ほら、ああいう連中って、負けたときのケジメはしっかりつけるからさ。結構真面目に記録つけてくれてたよ。ラップ毎の平均タイムとか算出してくれたりもしてくれて……意外とよかった。あれ見た感じ、途中までは真面目にレースと向き合ってたんだろうな。

 ……いいや。で、それを眺めながら、改めて考えてたんだけど。

 

「(ここまでの平均順位が一番高いのはクリークか。でも……どっちかっつーと、アルダンとイナリワンがバテてるから相対的に繰り上がった、って感じだな、こりゃ。この結果がそのまま実力に直結してる、ってハッキリとは言えない。でも逆に言えば、こんだけキツいトレーニングに耐えられて、かつ一定のパフォーマンスが発揮できるだけのスタミナはあるってことだ。それに関してはラモーヌ以上にあるって見てもいい。……やっぱりこいつ、良くも悪くも長距離用のエンジン積んでるよなあ。改めて、コイツと長距離でやり合うのは勘弁してほしいな)」

 

 クリークに対する感想はそんな感じ。あんまり前と評価は変わらなかったな。

 でも、スタミナっていう武器をちゃんと大切に育てて、それこそラモーヌすら凌ぐレベルで仕上げてる。こういう生徒の持ってる才能を見極めて突き詰めて伸ばすところ、先生のやり方だなって感じたよ。

 ……そう考えると、やっぱり宝塚でのオグリキャップが異質ってのが分かるだろ?

 

「(イナリワンは……どうだろうな。クリークやアルダンと違って初見の感想にはなるが……思っているより堅実な走りをする生徒ってとこか。序盤のレース運びを堅実にやれる落ち着き、仕掛けるタイミングを見極める判断力、スパートの時の加速度……どれも高水準で纏まってる。アルダンが先行の教科書だとしたら、こいつは追込の教科書みたいなヤツだ。つってもアルダンとはまた別のタイプ……全体を平均的に鍛えたんじゃなくて、荒さを削って形を整えた感じがする。苦労しただろうな。本人も、先輩(トレーナー)も。

 でも、個性を無くして平均化、ってやり方じゃない。むしろこいつの頭があれば、状況に応じて削っておいた荒さを戻して、みたいなこともできる。上っ面だけ整えて、場合によっては本性を表すタイプ……こう言っちゃイナリワンに悪いが、先輩の担当した生徒って感じだな。そう考えると堅実ってよりは一癖も二癖もあるか。……クリークとは別のベクトルで、相手したくないタイプだな)」

 

 イナリワンについてはそんな感じだった。

 春の天皇賞の時にも若干思ったことだけど……やっぱり、総合力の高さが武器だな。それでいて周りに流されない、自分のペースが明確にある。だから春の天皇賞でも、オグリキャップの隙をついて勝てたんだと思う。

 そんでまあ、その二人を踏まえてアルダンについて考えてたんだけど。

 

「(良く言えば全体的に平均値で纏まってる……が、悪く言えばパッとしない。他と比べると、尖ってる点がないってことだ。先行っていう比較的有利な位置からの加速、っていう明確な武器はあるが……ぶっちゃけ、見劣ってるのは否めない。実際、平均順位も一番下。……先生からの「完成された走り」って評価はそういうことかもな。完成されてるってことはつまり、これ以上の伸びしろを探すのが難しい段階に入ってるってことだ。

 だから、これまでとは別の方向性で、他のメンツとやり合えるような方法を考えないといけない。かといって、新しい武器をイチから調達して鍛えるような時間もない。宝塚で先生が見せた、オグリキャップを追込で走らせる、みたいな一発芸もコイツには難しいか……)」

 

 ぶっちゃけ頭打ちな雰囲気は、その時点でかなり感じてたんだよね。

 あの世代、結構層が分厚いからさ。ピークが過ぎたってよりは……やっぱり、他の連中に比べると伸びしろが見えなくなったってのが一番それっぽいな。天井(オグリキャップ)にどうやっても届く気がしなかった。

 とはいえ、他の武器や一発芸をするような余裕も持ってない。このままだと二人そろって全員に置いてかれる、ってのは多分、その時点で本人もある程度は自覚してたんじゃないのかな。

 どうにかしてやりたい気持ちはあるが、俺としても煮詰まってる感じがしてどうにもならない。

 だからここは一旦、第三者の意見を取り入れるべきだと思って。

 

「どう思う?」

「そうね……」

 

 今更だけど、やっぱりアルダンのこと大好きだよな、あいつ。

 だって何も言わなくても、勝手にアルダンのことについて考え始めたんだもん。

 

「大体の意見はあなたと同じ。他の二人と比べて、物足りなさを感じるところがあるわ。……そもそもあの子は、他の子よりもスタート地点がずっと後ろだったもの。こうして怪我も病気もないまま走り続けられていること自体、奇跡みたいなものよ。それを言い訳にするつもりはないけれど……その出遅れが今になって効いてきたわね」

「失った時間をどう取り戻すか、なんて無駄な話をするつもりはない。それよりも、今のあいつにとって必要なものは何かを考えたい。……率直に言ってほしい。お前から見て、あいつに足りていないものは何だ?」

「執着心ね」

 

 即答だったよ。話の流れからして、そうやって聞かれるのは分かってたとしても、あの速度はそうそう出ないと思う。それこそ常日頃から考えてるくらいじゃないと、ああやって答えられないだろ。

 

「……いや。執着心に関しては人一倍ある方だろ、あいつ」

「あなたに関してはね。見ているだけで胸焼けするくらいよ。でも、レースに関してはどうかしら。今のあの子は、あなたの元で走れていることや、同期の子たちと競い合うこと……それこそ、私とこうしてレースができるこの現状に満足してしまっている気もするわね。それが悪いことだとは決して言わないけど、物足りなさを感じる原因はそれね」

「つまり、勝とうとする気持ちが足りないって言いたいのか?」

「いいえ? むしろ勝ちたいという気持ちは他の子より何倍もあると思うわよ? 私に噛みついてくるくらいだもの。でも、あの子はそれを表に出す方法を知らない……いえ。誰からも教えられていない、という言い方が正しいのかもしれないわね。それさえ掴むことができれば、あの子はもっと伸びるわよ。問題は……あなたにその気があるかどうか、ね」

「どういう意味だ」

「あなた、あの子にはもう他に武器が無いと思っているのでしょうけれど……私はそう思ってないわ。むしろ、あなた自身がそれから目を逸らしているようにも見える。あんなにも鋭くて、透き通るように美しい剣を、あなたは視界に入れないようにしている。……そんなの、あまりにも勿体ないわ。

 でも、それも仕方のないことかもしれないわね。だってその剣は熱すぎて、握ったあの子の手に火傷を負わせることになったんですもの。トレーナーであるあなたが、それを握らせるわけにはいかないと判断するのも頷けるわ。だけど……怪物退治には、あの硝子の剣が必要ではなくて?」

「……いや、ちょっと待て。もしかして俺、それ見たことあるのか?」

「もう少し分かりやすく言ってあげましょうか。日本ダービーで見せてくれたような走りができれば、あの子はもっと強くなる。あの研ぎ澄まされた闘志があれば、あの子は誰にも負けない」

 

 そんなの。

 

「……あんな乱暴な走り、アルダンには二度とさせない」

「ほら。そうやって目を逸らしてる」

「……………………………………」

「あなたみたいな大人たちが、あの子からずっと闘う機会を取り上げてきたのよ」

 

 ラモーヌの言いたいことは分かる。俺がそれから目を逸らしてるってのも、その通りだった。

 でも、だからって……アルダンにまたあんな走りをさせるなんて、認められるわけがなかった。

 だってその結果として、ダービーの直後に脚ぶっ壊してるんだぜ? 

 つまりあの走りをさせるってことは、もっかいケガしてこいって言ってるようなモンだ。

 トレーナーとしてもそうだし、純粋に一人の大人としても、子供にそんなこと言えるわけがない。

 だけど……ラモーヌの言う通り、アルダンの周りにはそういう大人しかいなかった。アルダンのことを大事に思っているからこそ、アルダンを戦うことから遠ざけてた。

 ……そんなあいつをレースの世界に連れ出したのは、他でもない俺だ。

 

「あなたは、そういった大人たちとは違うと思っていたのだけれど」

「でも、そうした大人たち以下になるかもしれない。もちろんあいつのことは誰よりも信じてるさ。でも、そうして寄せた期待が重荷になることだってある。たとえ本人が無自覚だったとしてもな。そうやって期待に圧し潰されて引退した生徒だって、過去に何人もいる。アルダンもそのうちの一人になりかけたんだ。

 ああ、そうだ。俺にとってダービーは反省するべきレースなんだよ。俺があいつに救ってくれ、なんて伝えたせいで、あいつは脚を壊すことになった。同じような失敗は、もうしたくないし……させたくもない」

「……あなた、本当に言い訳が上手なのね」

 

 そこまで言ったところで、ラモーヌに。

 

「言い訳?」

「結局、あの子に期待するのが怖いから、そうやって理由を並べて目を背けているのでしょう?」

「……そうかもな。俺はこれ以上、あいつの負担になりたくない」

「全く、この男は……」

 

 どうしようもねーな、って感じで頭抱えられちゃってさ。

 

「あの子がそんな簡単に折れるような子だと思ってるの? この二年と少し、あなたはあの子の何を見ていたの? こんなことを言うのは癪だけど……あなたには本当に感謝しているのよ。だってあなたがずっとアルダンに寄り添ってくれたから、あの子はこうして今でも走り続けられるくらい強くなれた。それを一番よく理解してるのは、他でもないあなただと思ったのに……未だにそんな卑屈なことを言うつもり?」

「それは……」

「あの子はあなたが思っているほど弱くない。むしろあなたが想像しているよりもずっと強い子よ。……もしかして、二冠バを舐めてるの? それとも、あの子を信じてるって言葉はウソだったのかしら?」

「………………」

 

 ラモーヌの言うことも理解できた。

 俺がいたから、あいつはここまで来れたんだ。ああ、それだけは胸を張って言えるよ。でも、だからこそ……あいつは俺の期待に何が何でも応えようとしてくれる。それが怖かったんだ。

 仮に俺が無理をさせたら、意地でもついてくる。それこそラモーヌとの合同トレーニングがそうだ。今まであんな過酷なトレーニングなんてさせたことないのに、あいつはぶっ倒れるまで弱音も吐かずにやり遂げてきた。きっと俺がその時に「走れ」って言ったら、あいつはラモーヌにその走りを見せてたんだろうな。

 ……ブレーキをかけてる自覚はあった。目を逸らしている、っていう事実も認めるしかなかった。

 つまり、あいつがこれ以上強くなれるかは俺次第、ってことだったんだよ。

 

「どうせ、こうやって言ってもあなたは聞かないんでしょうね」

「……よく知ってるじゃねーか。俺の事」

 

 そんな感じで、ラモーヌとの話は一旦そこで終わって。

 

「で、お前は?」

「……まさか、アタシに聞いてんのかい?」

 

 そりゃあ、まあ。

 

「ずっとあいつらのレース見てたんだろ? なら何か感想とかないのか?」

「感想っつったって……いやまあ、伊達に現役で重賞走ってるヤツらじゃないね。こうして遠くから見てるだけでも気圧されそうさ。あのヤエノとか言うヤツも、この連中とやりあってるんだろ? ……ケンカふっかけたアタシが間抜けだったよ。悔しいけど、そこは認めるしかないね」

「別に反省させたいからレースを見せてるわけじゃないが……ま、素直になってくれたのはいい傾向だな。あと、お前も筋自体はいいから、ちゃんとした指導さえ受ければヤエノといい勝負できるところまで行けるはずだ。……見て盗む分には何も言わないから、勝手にすればいい」

「……なんだい。ちゃんとトレーナーらしいこと言うじゃないか、アンタ」

「現役トレーナーだっつってんだろ」

 

 なんて冗談みたいに言われて、俺もからかわれてると思ったんだけど。

 そっからのあいつの話は、割と真面目っていうか、ああまあ確かに、って感じで。

 

「もしもの話をするのは嫌いだけど……アンタがアタシの担当になってくれたら、何か変わってたのかもしれないね。それにアタシとアンタ、何だかんだ気も合いそうだろ? うまいコトいけると思うけどね」

「お前みたいなチンピラの担当なんて、死んでもお断りだよ」

「まさか、アタシだって本気で言ってるワケじゃないさ。ただ……だからこそ、アンタの担当してるヤツを見てると不思議になるよ。どうしてアンタたち、ここまで二人でやってこれたんだい?」

 

 あいつがそう思うのも当然っちゃ当然だった。

 今思えば、かなり新鮮な感想ではあったかもなあ。お前みたいに俺を知ってる訳でもないし、メジロ家の連中みたくアルダンを知ってる訳でもない。同期のトレーナーとか生徒みたいにレース業界にそこまで深く関わってる訳でもない、一般人からの目線って言えばそうだし。

 

「メジロアルダンって言ったね、確か。そいつに関しては、ラモーヌの(アネ)さんと同じ意見さ。見ててムズムズするよ。ああいうお行儀のいい走りするヤツは、どうも好きになれないね。でも、一番の違和感は……()()()()()()()()()()()、ってとこかな?」

「……らしくない?」

「ああ。アンタが担当してるって話だから、相当ヤンチャなヤツだと思ったのに……あんなお高く止まってるお嬢様だなんて、ねえ? アタシみたいなヤツを担当してた方がまだ納得できる。さっきの話はそういう意味さ。……でも、さっきのラモーヌの姐さんとのやり取りを見た限り、繊細なところは案外、気が合うのかもしれないね」

 

 的外れな意見……ってワケでもなかったなあ、正直。言いたいことも何となく分かるし。

 外から見たら俺達ってやっぱり()()()()なんだな、ってのは改めてそこで理解できた。別にそれに何か文句があるわけじゃないし、そもそも今更すぎるって話だから何も気には留めなかったんだけど。

 

「もちろん、アンタたち二人の今までを否定するつもりはないさ。ただ、そうさね……やっぱりラモーヌの姐さんの言ってた通り、勿体ないってのが一番かね? 自分の気持ちをぶつける方法を教えられていない、ってのもそうだし、何よりああいうヤツは懸けるものがないと本気を出せないのさ」

「あら。見る目があるのね、あなた」

「そりゃ、アタシはそういう世界で走ってきたからね。だから分かるんだよ。追い詰められた最後の最後、何かを天秤にかける段階までいかないと、ああいうヤツはいつまで経っても勝てないままでいる。……ただ、それさえ見つけられればもっと伸びるよ、あのメジロアルダンってヤツは」

 

 そうやって言えてる時点で、あいつも伊達に走ってるワケじゃないのは何となく理解できた。

 プライド賭けた治安の悪い野良レースばっかりやって、その中で勝ち昇ってきたんだ。レース経験で言えばそれこそ、学園(ウチ)の生徒と互角だろうし……その上で、色んなヤツを見てきたんだろうな。どんなヤツとやり合ってきたか、っていう経験で言えば、ウチの生徒よりもよっぽど多い。

 だからこその視点だな、とは思った。技術とか経験を抜きにして、勝てるヤツと負けるヤツにはどういう違いがあるのか、ってのがあいつの中ではっきりしてる。その上で、アルダンを見た上での感想がそれだったんだよ。

 それに。

 

「……懸けるもの、か」

 

 心当たりはあった。

 あの二人が言った通り、アルダンは自分の気持ちをぶつける方法を教えてられてないし、俺もそれを教えるのは無意識に避けてたんだ。言っちゃえば、丁寧に走るよう指導してた。そうしないと、あいつはすぐに壊れそうだったから。あいつの身体のこともあるし、自分の保身のため、っていうのもあったと思う。

 でも、ダービーでのあいつは違った。

 誰にも教わってないくせに、自分でその走り方に辿り着いた。

 どうしてあんな走りをしたのかなんて、とっくに分かりきってる。

 ……俺が、救ってくれ、なんて願いを託したからだ。

 

「アルダンに剣を握らせるかは、あなた次第よ」

「……ああ、そうだな。あいつが脚を潰すことになるかどうかも、俺次第だ」

「鬱陶しいくらいヒクツだね、アンタ。そんなんじゃあのメジロアルダンってヤツも不安になっちまうよ? 男ならもっと胸張って、しっかり構えてやりな。それにああいうお高く止まってる女は案外、無理矢理される方が好みだったりするのさ。だからアンタが強引に引っ張ってやれば、勝手に尻尾振ってついてくるよ」

「ちょっと、私の妹をそんな品のないように言わないでくれる?」

「ああ、こりゃ悪かったね。失敬失敬」

「それに首輪を着けて尻尾を振っているのは彼の方よ。そこは勘違いしないでちょうだい」

「……なるほど。その実、飼われてるのはアンタってワケかい」

「うるせーな」

 

 結果として、あの二人に意見を聞いたのは正解だったのかもな。それこそ同期の連中とか、先生や先輩とはまた別の角度からの意見だったし。というよりは……俺が認めれば済むって話だったんだけどな。でも、他の人に言われたところで、俺は認められなかったんだと思う。あの二人が言うことに意味があったような気もする。

 ……共通点? あの二人の? いや、ええ……? 別にそういうのがあるワケじゃないよ、多分。

 でも、ずっと何かを懸けてここまで走ってきた、って言えばそうなのかもしれないな。

 

「今すぐ選びなさい、とまでは言わないわ。こう言ったところでどうせ、あなたはいつまでもウジウジと悩んでいそうだし……そもそも、こうした選択を自分からできる人なんて限られているもの。難しいことを強いている自覚はあるわ。

 でも、いつか選ばなければいけない時は来るわよ。彼女の言っていたように、追い詰められて、後が無くなって、誰かの手で天秤に何かを載せられる時が。……私から言いたいことは一つ。あの子に後悔だけはさせないで」

「……ああ。もう二度と、あいつに悲しい思いはさせない」

「いいね。今の啖呵の切り方、アタシは気に入ったよ。ま、要するにメジロアルダンが今後伸びるかどうかはアンタ次第ってことさね。自分の女なら、ちゃんと信じて託してやりなよ?」

 

 会話はそこで終わり。

 結局、その年の夏合宿で掴めたものはあんまり無かった。

 解決するべき課題が見つかった、って言えばそうなのかもしれないけど……それを合宿期間中のうちに解決はできなかった。これからどうするべきなのか、やっぱり悩んじゃったってのもあるし、アルダンに伝えるべきかってのも踏ん切りがつかなくて、俺は何も言えないまま終わった。

 でも、今までみたく後ろ向きじゃなかったとは思う。俺なりに選択しないといけないんだな、って覚悟はあった。ラモーヌたちが言ってた「その時」まで待つしかできなかったのは認めるしかないし、それまでアルダンに何かを背負わせることに躊躇ってのは、確かにそうだったけけど。

 ……あいつに二度と悲しい思いはさせたくない、ってのは、本当のことだったよ。

 

 

 そんでまあ、夏合宿もあと一週間切った、って頃になったんだけど。

 

「線香花火、今年はしませんでしたね」

 

 その日のトレーニングが終わった後に、急にあいつからそんなこと言われてさ。

 

「……え、何? 花火したかったの?」

「あ、いえ。特にそういったわけではないんです。ただ、去年も一昨年もトレーナーさんとご一緒させていただいたので……もしかしたら今年も、なんてちょっとだけ期待していました」

「別に恒例行事にしたつもりはねーんだけどな。理由も後ろ向きだったし」

「でも……トレーナーさんと花火を眺めているあの時間、私は好きでしたよ」

「……あっそ」

 

 まあ、特に断る理由も無かったし。

 それに真正面からそんなこと言われたら、なあ。

 

「帰り、ちょっと遠いけどコンビニ寄るか」

「……! はい、是非そうしましょう」

 

 なんて感じで、見るからにご機嫌になったあいつと二人で帰ってって。

 途中でちょっと道それて、コンビニ寄ったんだけど。

 

「それで? 今年は何賭けるんだよ?」

「……ふふっ、いいんですか? 去年は私の勝ちでしたよ?」

「アレはノーカンだろ。無効だよ無効」

 

 そしたらさ。

 

「あった……! ありましたよヤエノさん! ようやく見つけました!」

「……これですか? これが本当にチヨノオーさんが血眼になって探していたものなのですか?」

 

 なんか飲料売り場の方から、妙に聞き慣れた声が聞こえてきて。

 

「あら? お二人とも、奇遇ですね」

「アルダンさん! それに萩野さんも!」

 

 そんでそっちの方覗きに行ったら、チヨちゃんとヤエノがいたのよ。

 いや、珍しいなとは思ったの。二人とも買い食いとかするタイプじゃないし、飲み物買うにしても合宿場とかコートとかに自販機あるからわざわざコンビニまで遠回りする必要もないし。何しに来たんだろって思って。

 

「何してたの?」

「チヨノオーさんが探し物があると仰っていたので、それに付き添っていました」

「探し物ですか?」

「そうです! 見てくださいよこれ! アニマルちゃんシール、ようやく見つけたんです!」

「……あー、確か妹と集めてるって言ってたアレ? え、もう集めきったとか言ってなかったっけ?」

「それがですね、新しいラインナップが追加されたんですよ。でもこのシリーズ割と人気で、それに今回は期間限定での販売ということもあって……正直、かなり本気で集めてはいたんですけど、それでも全部は揃えられなかったんですよ」

「確かにこの前からチヨノオーさん、行く先々のコンビニに寄っていましたよね。それでも集まらなかったんですか?」

「都内は全滅でした」

「そんなに」

「最後に残ったケツァルコアトルスちゃんだけ、どうしても揃わなくって……」

「ごめん、誰?」

「古代の翼竜です! その回のテーマは絶滅したアニマルちゃん(恐竜含む)だったので」

「なんか過酷じゃない?」

「でも、ここにはまだ限定版が残ってたんです! やっぱりこういうキャンペーンは地方のコンビニを巡るに限りますね! ほら、見てくださいこのケツァルコアトルスちゃんのシール! よくないですか?」

「デフォルメで庇いきれないくらいイカつい見た目してんじゃん」

「ちゃんと説明文も新しく書かれてるんですよ!

 『ケツァルコアトルスちゃんは大きな翼で空を自由に駆けめぐる!

  でも最近の研究では、あまり長い間は飛べないことが分かったぞ!

  大きすぎた体で飛ぶのには無理があったみたいだ!』」

「思ってるよりコメントが辛辣だな……」

「絶滅した理由が分かりやすくていいですね」

 

 チヨちゃんの趣味とかアルダンの発言とかはもう意味わかんなかったから、スルーすることにしたんだけど。

 

「ヤエノはチヨちゃんに巻き込まれた感じか」

「いえ、私もちょうど飲み物が欲しかったところなので」

「お二人はどうされたんですか?」

「実はこのあと、トレーナーさんと花火で遊ぼうと思いまして……」

「えっ花火するんですか!? また二人だけで!? すいません、私たちも混ざっていいですか!!」

「はい、もちろん構いませんよ。ね、トレーナーさん?」

「なんで俺に聞くんだよ……別にいいけどさ」

 

 断る理由も特に無かったし、チヨちゃんの押しもやけに強かったからそういう流れになって。

 

「桐谷と園田は……合宿でだいぶ疲れ溜まってるだろうし、今回は休ませてやるか。じゃ、二人には俺から伝えとくわ。この三人なら、俺一人でも面倒は見れるだろうし、まあ何とかなるだろ」

「ありがとうございます!」

「ですが、トレーナーさんは大丈夫なんですか? 合同トレーニングの指示を連日かけてなさっていたので、疲労もかなり溜まっていると思うのですが……」

「……漁港バイト一回やったらさ、それ以外の労働は全部マシって思えるようになるんだよなあ」

「それは大丈夫とは言わないのでは?」

「でも、夜十時から朝六時までぶっ続けで潮風浴びながら船に揺られるよりは、まあ……」

「前々から思っていたんですけど、萩野さんのバイトの経験値どうなってるんですか?」

「話に困んないくらいは貯まってるね。カンストしてるかも」

 

 そんなしょーもない話もしながら、せっかく三人もいたから大袋のヤツ買って。

 てかこの辺って花火出来るとこあんの、確か近めの海岸で遊んでる地元の人たちがいましたよ、ああじゃあそこで、でも時間的にまだ日もぜんぜん沈んでないですよ、トレーニング終わりだからお腹も空きました、そしたらメシ食った後にまた集合でいっか、って感じで予定もポンポン決まって。

 俺もちょっと早めに飯食って、バケツの用意とか色々してたらすぐ時間になった。

 

「あ、打ち上げありますよ打ち上げ! やっぱり最初は景気よくいきましょう!」

「打ち上げ……えっ、よくテレビで見るあの花火ですか? こんなに小さいのにすごいですね……」

「流石にそこまで規模は大きくありませんが……でも、そうですね。最近の花火もずいぶん種類が増えたように感じます。それこそ私が子供の頃は手持ち花火しかありませんでしたから」

「それでは萩野さん、私たちだと危険なので点火の方をお願いします!」

「……あっヤベっコケた」

「あぶなーーーい!!!!」

 

 なんてバカ騒ぎしながら、三人とも楽しそうに遊んでたよ。

 

「トレーナーさん、火の方を頂いてもいいですか?」

「ん。ほら」

「あっ、私も欲しいです! 色変わるヤツで遊びたいので!」

「どーぞ。ヤケドしないように気ぃ付けてね」

「……申し訳ありません、私にもいただけますか?」

「え、ヤエノも? ってか俺のそろそろ消えるんだけど……」

「萩野さん! 私、このまま二刀流したいんですけどいいですか!」

「いや別にいいけどできれば向こうの方で……」

「二刀流……これは私も負けていられませんね。トレーナーさん、次は私も二本同時で迎え撃ちます」

「ちょ……眩しい眩しい! 距離取れって全員! いちいち集まってくんな!」

 

「ねずみ花火……? トレーナーさん、こちらはどういう花火なんですか?」

「なんで今でも規制されてないのか意味わかんないくらい危険なヤツ」

「その説明だと色々と誤解を招くのでは?」

「でも私も危ないからやめなさい、って言われて結局、火を点けたところは見たことないんですよね」

「実際、公道でやると危険ってなだけで、こういう広い場所なら大丈夫だろ」

「そうですね。距離を取れば問題はないかと思います」

「ヤエノさんとトレーナーさん、なんだか手慣れていませんか?」

「……まあ、コレに関しては色々とな。ヤンチャなヤツが好き好んで遊ぶタイプの花火だから」

「私の地元にもいましたね。指に嵌めたまま火を点けて度胸試しをしたりする方」

「失礼なのは重々承知なんですけど、流石にそれは治安が悪すぎじゃないですか?」

「じゃあ火ぃ点けっから、治安のいいトコ出身の子は離れてね」

 

「……いやこれ、相当危ないですね!? コレ指に嵌める人なんているんですか!?」

「き、綺麗なのは綺麗ですけど……安全性に欠けるというか」

「ですが、まだ追いかけたりしないだけマシですね。昔はもっと動きませんでしたか?」

「一応、安全性とか考えて改良されてるっぽい? だいぶ大人しくなったよな」

「そんな意志があるみたいに動いてたんですかコレ」

「……あ、そろそろ消えそうですよ」

「アルダンさん、耳を塞いでおいてください」

「え?」

「あれ最後弾けるんだよ」

「弾けるってどうい……うわ、うるさッ!?」

「………………」

「………………」

「………………」

「誰かなんか言えって。切ねぇってなんか」

「どちらかというと花火じゃなくて爆弾でしたね」

 

 そうやって遊んでくうちに、すぐに花火もあらかた無くなってって。

 

「それでは、もう一度ルールだけ確認しますね」

 

 最後に残った線香花火に、みんなで手を付けることになってさ。

 

「線香花火に火をつけて、最後まで残った人が勝ちです」

「そんで負けたヤツは、勝ったヤツの言うことを何でも一つだけ聞く。拒否権はナシな」

「……この場合、一番最初にタネを落としてしまった人が負けになるのでしょうか?」

「いや、面白いから頂上決戦方式にしようぜ。二着が一着の言うこと聞く、ってことで」

「いいですね、燃えてきました! 私が勝てば、萩野さんに禁煙させられるんですね!」

「……一番最初に落とそっかな」

「ズルはダメですよ、トレーナーさん」

 

 そうやって、四人でいっせーの、で線香花火に火ぃ点けて。

 しばらく火花が立ち始めるまで全員でじーっとしてたんだけど。

 

「あっ」

「え、ヤエノ?」

 

 意外なことに、一番最初に脱落したのはヤエノだったな。

 いや、花火で遊んでる時、こいつ結構慣れてるなって思ってたんだよ。本人も子供の頃はよく遊んでたって言ってたし。でもまあ、よく考えたらアレか。そんな子供の頃に線香花火なんて滅多にしないか。

 

「不覚でした……」

「この感じだと個体差っぽいな。ま、運悪かったってことで」

「……トレーナーさん、ヤエノさんの心配をしている場合ですか?」

「え? ……あ、え、マジ? ウソだろ……」

 

 で、次に脱落したのが俺。

 ヤエノに声かけちゃったのがダメだったな。チヨちゃんとアルダンの二人はそのままじっとしてたし。ってかあの線香花火が結構貧弱なのが良くないわ。話しかけた程度の衝撃でタネ落ちるとか満足に遊べねーじゃん。

 ……まあ、そんな感じで序盤に俺とヤエノが脱落しちゃったから。

 あとはチヨちゃんとアルダンの真剣勝負になったんだけど。

 

「……上手くなったな、アルダン」

「そ、そうでしょうか……!」

「だって最初の頃、すぐに落としちゃったじゃん」

「あ、あの時は……まだ、不慣れでしたか、ら……!」

「いやでも、今は火花も結構立つようになったじゃん。子供の頃みたく、箱入り娘だったらこんな綺麗な花火見れなかっただろ? ……こうしてお前と一緒にいる間に、色んな遊び教えた甲斐があったのかもな」

「その、すいませんトレーナーさん! ちょっとだけ静かにしてもらえませんか!」

「私からもお願いします! 目の前でそんなにイチャイチャされると集中できないので!!」

「なんで二人ともそんなガチってるの?」

「譲れないものがあるのでしょう。真剣勝負に水を差すのはよくありませんよ」

 

 なんて感じで二人ともやけに集中しててさ。

 花火の方もひときわ弾け終わるまで続いてて、後はもうどっちが先に落ちてもおかしくない状況まで行ってたよ。だから最終的に、丸まっただけのオレンジ色した球体を四人で見つめ続けてる謎の時間になってたんだけど。

 

「あっ」

 

 先にアルダンの方のタネが落ちちゃってさ。

 

「や、やった……! わ、私の勝ちですよ、アルダンさん……!」

「チヨちゃん息しな息。さっきから止まってたよ」

「これは……完敗ですね。全力は出し切ったつもりなのですが」

「あの状況では、どちらのタネが先に落ちてもおかしくありませんでしたよ」

 

 それで。

 

「どうする? チヨちゃん、コイツに何させる?」

「? 何がですか?」

「負けた方は、勝った方の言うことを何でも一つ聞く、というルールだったはずですが」

「はい。ですから、私はチヨノオーさんの言うことを何でも一つだけ聞きますよ」

「……あっ」

「え?」

「考えてませんでした!」

「ホントに何であんなガチってたの?」

 

 つってもまあ、チヨちゃんも勝負自体が好きなタイプだからなあ。

 自然と入れ込んじゃった、ってのが一番なのかもね。

 

「で、でも……私なんかがアルダンさんに何か指図するなんて……」

「いいんですよ、チヨノオーさん。遠慮せずに何でも言ってください」

「……や、やっぱり大丈夫ですよ! それにもう時間も遅いですし! 今日はお開きにしましょう!」

「えー、チヨちゃんに顎で使われるアルダン見たかったんだけどなあ」

「無理を強いるのはいけません。今回はここで終わりにしましょう」

 

 なんて結局、その時はアルダンに何も言わずに解散。

 それから数日したら合宿も終わって、いつも通り学園生活に元通り。

 当面の目標は天皇賞・秋。オグリもヤエノも出てくるって話だったから、その対策しつつ毎日トレーニングしてたよ。そんで天皇賞・秋の結果次第でジャパンカップ挑戦できたらいいな、くらいに考えてた。

 ……ってのがその当時の予定だったんだけど、なあ。

 

 

 よく考えたらチヨちゃんは、最初っからそのつもりだったのかもしれないんだよ。

 言い方は悪くなっちゃうけど……あの子は、ずる賢い考えができちゃうタイプの子なんだよね。

 だから、()()()()()()()()()()、っていう選択肢も咄嗟にできたと思う。

 ……きっとあの子は、そのためだけにこの一年を過ごしてきたんじゃないかな。

 それくらいたくましい子だよ、サクラチヨノオーっていう生徒は。

 

 ……ま、その話をするよりも先に、天皇賞・秋の話だな。

 アレは……うーん、まあ順当っちゃ順当だったね。色々あったよ。

 ってかお前……さっきからスマホばっかイジってんじゃん。話聞いてんの?

 お前があいつとの話が聞きたいって言ってるから、ここまで話してやってんのに……。

 聞いてる姿勢に見えねーって言ってんの。ったく……。

 でも……聞き疲れはしたか。俺も話し疲れたし。

 ちょっと小休止だなこりゃ。あ、トイレ借りていい? サンキュー。

 ……………………………………。

 

 

『今なんかみんなで花火したって話聞いたところ』

『そろそろ終わるんじゃない?』

『なんか馴れ初め聞いたらぶっ続けで話し続けてるんだけど』

『よっぽどアンタと過ごしたこと、覚えてるんだね』

 

『嬉しい反面、少しだけ恥ずかしいですね』

『ちなみにトレーナーさん、どの程度酔ってますか?』

 

『全然酔ってないし、意識も結構ハッキリしてる』

『アタシのことザルとか言ってるけど、あいつも大概強いんだよね』

『でもあと一押しかな?』

 

『強いんですね、お酒』

『私も大人になったら、ご一緒してくれるでしょうか』

 

『さすがにするでしょ。多分ウキウキだよ』

『でも、一番最初は家族と呑みなね。野郎と呑むのはダメだから、ホントに』

『ちゃんとそこは守りなよ』

『まあ、このままどんどん酒詰んでなんとか酔わせてみるわ』

『アルダンちゃんも眠かったら寝てていいからね』

『録音して送っといてあげるから』

 

『ありがとうございます』

『でも……本当にこんなこと、いいんでしょうか?』

『今になってみると、なんだかトレーナーさんを騙しているような気もして……』

 

『いーんだよ』

『コイツ今まで人に散ッッッ々迷惑かけてのうのうと生きてきたクソ野郎なんだから』

『そのツケを払う時がようやく来たんだよ』

『コイツに拒否権とか申請する権利すらない』

『それに、アンタもコイツに付き合ってやる覚悟はできてるんでしょ?』

 

『もちろんです』

 

『なら大丈夫』

『あ、戻ってきた』

『それじゃ、またアンタとのノロケ聞いてくるから』

 

 




Q.続きますか?
A.さすがに来月
 でも書くことは決まってるので早めにいけるかも!

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