メジロアルダン? あんなのハズレだよハズレ!【完結】   作:宇宮 祐樹

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03

 

 それから、数日はあいつの練習を見てたわけよ。

 基本はあいつが作ってたメニュー通りやって、時間が余ったり、体調がよかったりしたら、ダートコース走って。まあ……普通のことやってたよ。それこそ、一人でも同じような……その、何度も言うけど、俺がいてもいなくてもそこは変わんなかったと思う。

 そんで、あー……三日目か四日目くらいだったかな?

 その日はだいぶ調子いいっつーから、いつもより多めに走らせてたんだけど。

 トレーニングもそろそろ終わるかなー、って時に、あいつ、やらかしやがって。

 

「あっ」

 

 なんか気ぃ抜いてたか知らねーけど、コース走ってる時に思いっきりバランス崩してさ。

 やべえ、って俺が立ち上がった時にはもう、地面に蹲ってたのよ。

 

「は……ちょ、おいおいおいおい!」

 

 いやもうマジで焦ったよね。だってこれでケガさせてたら俺、即東京湾だもん。

 こんなんで人生棒に振るとかたまったもんじゃねーから、とにかく、急いであいつの方に駆け寄ってさ。

 

「アルダンちゃん、大丈夫!? どっか痛んだりしてる!?」

「いえ……問題、ありません。その、少し……眩暈がしただけ、で……」

「大丈夫じゃねーじゃん! ちょ、今日はもうトレーニング終わり! 保健室行くよ!」

 

 いや、そりゃもうお姫様だっこよ。だってそれが一番楽だもん。

 そんでまあ保健室ついて、先生……ああ、そうそう。あそこも施設としては学校だから、普通の学校みたいに保健室の先生いんの。そんで、あいつの身体の関係上、その先生とも顔見知りみたいだったからさ。じゃあお願いしますっつってあいつのこと頼んだの。

 え、俺? 俺がすることなんてそりゃ、一つしかないっしょ。

 

「あー……もしもし? アルダンの主治医さんで合ってますか?」

 

 確か、主治医さんと話したのはそこが初めてだったかな。連絡先はその時、保健室の先生から教えてもらってさ。着替えさせてるうちにお願いします、っつって。うわ最悪、って思いながら電話かけたのよ。

 でもさあ、一応俺にも責任とかあるし。……ホントは絶対怒られるだろうから、したくなかったけど。後々バレる方がヤバいって思ったしさ。するしかなかったのよ。

 

「すいません、急に連絡しちゃって」

『構いませんよ。それより、お嬢様の容態は?』

「あー……怪我とかは大丈夫みたいっす。痛んでるところもないみたいなんで……眩暈起こして、フラついちゃった感じっすかね。一応、今は先生が見てくれてるんですけど……」

『なるほど。それでは、お嬢様に本日は屋敷に戻るようお伝えください。明日以降のことは、また追ってご連絡いたしますので』

「……よろしくお願いします」

 

 まあ、今になって分かるんだけど、あいつの眩暈はいつものことだったんだよ。だから主治医さんもいつも通り対応して、保健室の先生に任せて、って感じで。当時の俺は、え、そんだけ? って思ったけどさ。まあ今すぐ動かすのもアレだし、って適当に納得してたわ。

 そんで、連絡も終わったし電話でも切ろうと思ったんだけど。

 

『次の選抜レース、本当にお嬢様を出走させるおつもりなのですね?』

 

 なんてこと言われちゃってさ。

 いや……今だから言えることだけど、当時の俺ってそこそこ気が立っててさ。ほら、あいつがナメられてることとか、周りのトレーナーの目とかもあってさ。なんか、この人もそっち側なのかな、って思って。

 

「……ダメなんすか」

『いえ。ですが、普通ならお嬢様の出走を止めると思っていましたから』

「だから何なんすか。俺のこと普通じゃねーって言いたいんっすか?」

 

 ほんとさ、初対面の、しかもおじいちゃんにこんなオラついてるのマジでダサいよな。今じゃ分かるけど、あの人って普通にめっちゃいい人なのよ。それなのに……あー、もうさあ! 今でも後悔してるわ、ほんっと。俺、なんであんなこと言っちゃったんだろ……。

 

「そりゃ、止めた方がいいとは思いますよ。でも、それって本人が一番分かってることじゃないんっすか? その上で、あいつは走るって言ってるんっすから。……そういう子供(ガキ)のワガママ聞いてやるのが、大人の役目でしょ。違うっすか?」

『……貴方の言うことも尤もです。ですが、時には立ち止まる決断も必要でしょう』

「その場で足踏みだけさせてて満足なんすか、アンタらは」

 

 あのさ、マジでアホだよね俺。なにムキになってたんだろ、ホント。

 でもまあ……本音っちゃ本音なんだよ。安静にしないとダメってのは分かるけどさ、それでチャンス逃して結局何もできませんでした、じゃなんでトレセン学園(ウチ)来たの? って話になるじゃん。

 だからさ、どっかで賭けないといけないんだよ、やっぱり。それで結果的に失敗しました、ってなっても、やらないよりはマシでしょ。責任? そんなもん俺が取るよ。それでトレーナー辞めることになっても別にいいよ。何もさせてやれないままよりは、ずっといい。

 必要なのは、立ち止まる決断じゃなくて。

 前に進む勇気だと思うんだよ、俺は。

 ……みたいなことをね? 言うつもりだったのよ。

 そしたらさあ。

 

『あのお方が、あなたをお嬢様のトレーナーに選んだ理由が分かりました』

「……はい?」

 

 あのお方、って十中八九、お婆さまのことじゃん?

 その名前出されたら俺、急に冷静になっちゃって。自分がとんでもないこと言ってるのに気づいちゃってさ。もう終わったと思ったよね。

 そうやってボーゼンとしてるうちに、いつの間にか電話も切れてて。いやマジ、絶対やらかしたと思ったわ。

 ……まあ、これは後から分かったことなんだけど。

 主治医さんは、あいつをレースに出してくれるやつがようやく見つかった、って喜んでたみたいなの。

 

「……どいつもこいつも、ふざけやがって」

 

 まあその時の俺、そんなこと知ってるハズないしさ。

 え? ああ、今は普通に仲良いよ。あいつの面倒見てる以上、結構よく会うし。将来のため、とか言って禁煙勧めてくる以外はめっちゃいい人。いや、将来って何のだよ、って話だよな……。

 それでまあ、保健室戻ったら先生とあいつが話しててさ。今日はもう、迎えが来るまでここで安静に、って流れになったみたいで。先生も時間来たから帰っちゃって、そっから二人っきりになっちゃったのよ。

 

「無理だけはすんなって言ったじゃん。何してんの、もー」

「……申し訳ありません」

「あ、いや……責めてるつもりじゃなくてさ。なんつーか……もっと自分のこと、大事にしてよって話で」

 

 でないと俺が怒られるし。そこはまあ、ホントのこと言ったつもり。

 ただまあ、こいつがレースに出たいってのはある程度俺も理解してたのよ。でもまあ、難しいっちゃ難しい話なわけでさ。その……バランスってあるじゃん? それを見極めるのが大事だと思って。

 それをホントは伝えたかったんだけど、当時の俺ってやっぱり未熟だったからさ。

 

「俺が言いたいのは……その、レース出るために無理して、結果的にレース出られなくなるってマジでしょーもないじゃん? だからさ、適度に……っつっても、アレか……あー、その、何だ。やっぱり……」

「……ふふっ」

 

 上手い言い方が分かんないから、あーだこーだいてるうちに、そうやって笑われちゃって。

 

「私のことを、考えてくださっているんですね」

「え? あー……そうそう。俺の指導でケガされたら、こっちも気持ち良くないしさ。だから、よろしくね」

「はい。これからは気をつけますね」

 

 なんて、結構俺って最低なこと言ってたけど、あいつそれだけで済ましててさ。

 今になって分かるけど、あいつには全部分かってたんだろうな、俺の考えてること。でも、その時の俺がそんなこと気づくわけもないからさ。あー、都合いいわこいつ、とか考えてたわけ。マジでアホだよ。

 ……ホント、子供のことあんまり舐めちゃいけないよ。

 こういう仕事(トレーナー)してるからこそ、分かるようになったんだけどさ。

 子供ってマジで大人のこと、よく見てるからね。

 

 

 そんでまあ、その日以降、俺もあいつのトレーニングを見てやるようにしたのよ。

 いや、だってさあ、また体調不良です、つって倒れられても困るし。今回はケガしなかったからいいけど、もし同じことあってケガでもされたら俺の首が飛んじゃうしさ。仕方ないっしょ。

 でもまあ、しっかりは見てないよ。そりゃそーでしょ。そう決めたもん。だから、体調とか気を付けたり、走る時の姿勢とか、もっと負担の少ないやり方とか教えたりとか……そんな感じで、テキトーに。

 まあ……飲み込みは早い方だったよ。言ったことすぐに治せるし、文句の一つも言わないし。やりやすいっちゃやりやすかったかな。ガチで指導してないから、ってところも多分、あるだろうけど。

 ってな感じで見てやってから、しばらくしたら、いつの間にか本番のレースの日になっててさ。

 

「……雨、ですね」

「ねー、最悪」

 

 確かその時の選抜レースは、天気が雨でバ場状態が不良だったの。

 まあ、いいことではあったんだよね。負けやすくなるだろうからさ。

 

「それでは、行って参ります」

「はーい。がんばってね―」

 

 ……これ、今だから言える話なんだけど。

 実は俺、あの時点であいつにワンチャン感じてたんだよね。

 そりゃ他の娘よりダート苦手だし、ましてや短距離とかお世辞にもイケるとか思えないけどさ。なんか……もしかしたらやるんじゃ? みたいな予感があったのよ。あいつのトレーニング見てた感じ。

 なんつーんだろ。気迫っつーか、覚悟っつーか……そういうの。

 いや、何それとか思う気持ちは分かるけどさ。実際レースで一番大事なのって、そういうモンだからね。現役でトレーナーやってるヤツが言うんだから信じろって。

 だからさ、ちょっと焦ってたのよ。このままだとあいつ、レースに勝ってホントに俺の担当ウマ娘になるんじゃねーの、って。いや、そりゃ嫌でしょ。あんなハズレ掴まされるなんて、たまったモンじゃねーよ。

 でもまあ……流石にねーか、って思って。普通に負けて終わりでしょ、って決めつけてたの。

 

「……タバコ吸いに行こ」

 

 だからまあ、そっからはもうテキトーに流して終わろうって思っててさ。コースからそれほど離れてないところに、喫煙所あるんだよね。だからそこで一服して戻ればちょうどいいかなって。

 そんで火ぃつけたところで、ちょうど実況が聞こえてきてさ。

 

『各ウマ娘、一斉にスタートを切りました! 最初に先頭へ出たのは四番……』

 

 でもまあ、別に聞く必要もねえかなって流してたのよ。だって、どうせあいつ負けるって思ってたし。聞くの半分、吸うの半分くらいの意識だったのね。いや、盛ったわ。聞くの二割、吸うの八割だったかも。

 だから、タバコうめ~、とか、あのお婆さまになんて言い訳しよう、とかいろんなこと考えてたわけ。

 そしたらさあ。

 

『最終コーナーを抜けて、先頭に立ったのは……は、八番!? メジロアルダンです!」

 

 みたいな実況が聞こえてきたわけ。

 

「……は?」

 

 まだ吸い切ってねえとか関係ないよね、もう。

 聞き間違いかと思ったけど、そのあとの実況聞いてる限りマジっぽくてさ。もう吸い殻さっさと捨ててレース場にダッシュで戻ったのよ。あんだけ走ったの学生以来だわ。マジ走りだったね。

 

『メジロアルダン、驚異的な加速で一気に後方との距離を離していく!』

「いや……いやいやいやいや!」

 

 そりゃおかしいだろ。距離もバ場も適性外なのに、なんで勝ちそうなんだよ。

 なんかもう、ここまでくると笑えてくるよな。いや、その時の俺は冗談じゃねえって思ってたんだけど。今になって思い返してみると、なんか……マジで俺たち、アホなことやってたなあ、って気分になるわけよ。

 んで……そうそう。マジ走りして、レース場見えるところに着いた時に、ちょうど。

 

『今回の選抜レース、一着を手にしたのはメジロアルダンですっ!』

 

 あいつ、一番先頭でゴールしてたのよ。泥まみれになりながらさ。

 

「……マジで言ってんの?」

 

 なんて言葉しか出てこなかったのよ、もう。だってマジで勝つとか思ってるわけねーもん。

 そうやってボケーってしてたらさ、あいつの周りに他のトレーナーも集まってて。あ、そうそう。選抜レースってスカウト目的だからさ。ああやって一着取ったやつは目ぇつけられるわけ。

 それだから俺、あそこであいつ、適当なヤツに無理やり契約されねーかな、って遠巻きに見えたのよ。いや……最後の抵抗っつーかさ。そこで今後あいつと一切会わなきゃ何とか逃げ切れるんじゃ? とか思ってたの。

 

「申し訳ありません、通していただけますか?」

 

 まあ、無理だったんだけどさ。

 何言われてたかはよく知らねーけど、あいつ身体に付いた泥も落とさないまま、こっちに歩いてきてさ。そこで気づいたのよ、俺。あ、もう逃げ場とかないんだ、って。いやもう絶望だよね。

 後ろの方からも、色々聞こえてくるわけよ。予約済みかよ、とか。え、あいつがトレーナー? とか。絶対止めといた方がいいのに、とかね。まあ、言いたいことは分かるし、何なら俺もそっち側の意見だったのよ。

 でもあいつ、そんなこと一切気にしてなくてさ。

 

「見ていてくれましたか?」

「あー……うん。見てた見てた。いや、すごかったわ。もう、見入っちゃってたよ、俺」

「傘を差すのも忘れて、ですか?」

「え?」

 

 そう。俺、急いで出てきたから傘忘れたままだったのね。だから服もびちょびちょでさ。

 

「やっべ、ちょっと喫煙所行ってきていい? あそこに忘れて……」

「ということは、先程まで喫煙所にいらしたんですね」

「あ……」

 

 なんかもう、憐れだよね。自分から思いっきり地雷踏みにいってんの。

 

「いや、違う……違うんだって! その、ちょっと用事があって……」

「……ふふっ」

 

 そしたらあいつ、そうやって笑ってさあ。

 

「やっぱり、()()()のレースなんて、見たくありませんでしたか?」

 

 ……うん。そう。

 もう、思いっきしバレてたんだわ。俺があいつのことハズレって呼んでたの。

 

「お……お前、それどこで……」

「どこで、って……トレーナーさんの口から聞いたんですよ。ほら、お屋敷で」

「いや、でもあの時何も言わなかったじゃん……」

「それは……ええ。その方が、面白そうだと思って」

 

 な? あいつ、いい性格してるっしょ、マジで。

 つまり、あいつは俺のことを適当に泳がせて一人で楽しんでたってわけ。もうさ、情けねーよ。こんな子供(ガキ)相手にさあ、めちゃくちゃ揶揄われてんの。ほんっと、ダサすぎるでしょ。

 

「こんな()()()でも、中々やるものでしょう?」

 

 でもその時の俺、もう引き下がれなくてさあ。

 

「……言うじゃねーか、このクソガキ……!」

「あら」

 

 悔しいっつーか、まあ、そんなこと言っちゃったのよ。

 そっからかな。あいつに、普通に接するようになったの。

 吹っ切れたっつーか……もう、雑でいいかな、って。向こうがこっちのこと舐めてるなら、こっちもそれ相応の、みたいな? まあ……気の置けない、って言うの? いや、方向性はだいぶ違うかもしれないけど……まあ、そんな感じで。

 

「あのな、レースで一勝したからって調子に乗ってんじゃねーよ。言っとくけどな、お前マジでまだ全然ダメだからな? 今回もたまたま勝っただけで、良バ場だったらホントお前、ボロカスに負けてたかもしれねーんだぞ?」

「まあ、そこまで私のことを分かってくれてるんですね」

「そこまでお前が付き合わせたんだろーが!」

「……ですが、ここまで逃げずに付き合ってくれたのも、トレーナーさんですよ?」

「いや、それは……そうだけどさあ!」

 

 こっちからしたら、こいつと付き合うのはこれっきりだと思ってたから、仕方ないって話なだけで。そっからは……ああいや、いっか。いちいち話してたら、マジで時間喰っちゃうし。

 それで……そうそう。一個だけ気になったことあったから、それ聞いたの。

 

「……つーか第一、なんでこんなヤツをトレーナーにしようと思ったんだよ」

「え?」

「だってお前、やろうと思えば拒否できただろ。それこそお婆さまにチクれば、俺の顔を二度と見なくすることもできたでしょ? それなのに、なんで……マジで意味不なんだけど」

 

 普通はさあ、自分のことハズレとかいうヤツなんて、絶対トレーナーにしたくないじゃん。でも、こいつ俺のことトレーナーにしようとするの。普通にわけわかんねーじゃん? だから、もうこの際だから聞いてみたのよ。

 そしたらあいつ、なんて言ったと思う?

 

「トレーナーさんは、私が適性外のレースに出ることを止めませんでしたよね?」

「そーだよ。だってその時、まだお前の適性とか知らねーもん」

「……ですが、知ってもなお、私を止めませんでした」

「そりゃまあ……出たいっつってんなら、止める理由もねーし。それが無謀っつーか、勢いでやってるなら話は別だけど、お前は……なんか、違うじゃん。色々自分で準備して、やってたから。なら、いいかな、って」

「そういうところです」

「いや分からん分からん」

 

 ……まあ、自分の出たいレースに出させてくれるトレーナー、っつったらまだ分かるけどさ。でもさあ、そんなの誰でもそうでしょ。俺である理由とかないじゃん。つか、その点で言ったらそれこそ、こんな自分のことハズレとか言ってくるヤツじゃなくても、無限にいるだろ。

 でもなんか、嫌がらせなのか知らねーけど、あいつは俺を選びたいみたいで。

 

「それでは、これからよろしくお願いしますね、トレーナーさん」

 

 改めて、こっちの目ぇ見ながら丁寧にお辞儀とかしてくるからさ。

 

「……あー、もう! 勝手にしろよ!」

 

 そう答えるしかなかったのよ。

 いや、ほんと子供には気を付けた方がいいよ。お前もこの先、子供とか出来るかもしれないけどさあ。マジで何度も言っちゃうけど、子供って俺たちの想像以上に大人のこと見てるし、聞いてるからね。

 

 え? 俺? いやアホかお前。

 俺はもう手遅れだって……。

 

 

 ……まあ、大体はこんな感じかな。

 後悔はしてるよ普通に。

 俺、ホントはチヨちゃんのトレーナーやりたかったもん。そう。サクラチヨノオー。

 だってあの子、めちゃくちゃいい子だしさ。何より、俺がココ勤務になってから初めて会った娘だし。担当するならあの娘がいい! って思ったんだけど……あいつがさあ! 何してくれてんだよマジで!

 え? ああ、そりゃあいつダービーウマ娘になったのは純粋にラッキーだったよ。金も入ってきたし。俺の名前も売れたし。何よりまあ……トレーナーとして嬉しくないわけないじゃん。それはそれ、これはこれよ。

 ……はあ? そこまでの話?

 いや、もういいだろ。話すの疲れたって。それに話してばっかりで俺、全然呑めてねーんだけど。

 明日? 明日は休み……あー、もう分かった分かった! 話してやるから!

 

 ……そんじゃ、とりあえず二軒目行くか。

 

 




Q.続きますか?
A.脅されているので、続きます
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