メジロアルダン? あんなのハズレだよハズレ!【完結】 作:宇宮 祐樹
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「おーい、萩野さん! こっちですよ、こっち!」
アルダンを送り出してから観客席に行くと、チヨちゃんとヤエノにそんな感じで呼ばれた。
まあ、あの二人は距離適性もあって元々、有馬は見送るつもりだったから。
それなら一緒にアルダンのレースを見届けよう、みたいな約束はしてたんだけど。
「ついに始まりますね。萩野さんを巡る、女の戦いが……!」
「……何がどうなったら、そういう話に?」
「色々あったんだよ……」
あの場にいなかったから、ってのもあるんだけど、ヤエノが完全に蚊帳の外でさ。
オグリが煽ったらアルダンがブチギレちゃって、って話をわざわざ俺がすることになって。
「その、あなたも色々と大変ですね」
「ヤエノ……! 分かってくれるか……!」
「とはいえ、味方をするつもりは一切ありませんが」
「ヤエノ?」
「自分で蒔いた種ですからね」
そんな風に話してるうちに、もうすぐ出走するって時間になって。
『今年もこの時がやって参りました。夢のグランプリ、有馬記念!』
「やっぱりというか、一番人気はオグリさんでしたね」
「そうだね。去年の有馬で勝ったから、ってのはもちろんだけど……秋天が僅差二着、ジャパンカップは回避したから、今回こそは、って期待が集まってるのが大きいのかも。……まあ、しばらくオグリキャップの人気は続くだろうなあ、こりゃ。向こう二年は見てもいい」
「そう考えると、オグリさんにとっては重要なレースになりそうですね。グランプリの二連覇がかかっていますし、今後の自分の人気にも大きく影響しますから。ですが、この顔ぶれでは簡単にはいかないでしょう」
「で、二番がイナリワン……は概ね予想通りだな。オグリキャップとクリークに勝ちがあるし、ちゃんと戦績とか見て考えるなら、一番勝ちの目がある生徒だ。オグリキャップにアイドル的な人気があるから、それで勘違いしやすい……って言うと少し言い方悪くなるかもしれないけど、そういった目線を抜きにしたら、まあ妥当なのはイナリワンだろうな」
みたいな感じで、その年の有馬は結構その二人が話題だったな。
実際、オグリキャップって子が人気だからレース見始めました、って人と、それよりも前からレース見てましたよ、って人で勝敗予想も結構割れてたんだよ。ってよりは、オグリキャップが人気を独占しすぎてるし、そもそもオグリキャップ目当てでレース来てるヤツが気に食わない、みたいなこと言い出すヤツがちらほら出てきた、って感じかな。
もちろん全員がそうってワケじゃない。でも、そういう流れもあって、誰があのオグリキャップを倒すか、みたいな予想が立ちはじめて……有馬の中で一番の有力候補に挙げられたのがイナリワンだった、ってだけの話。
面白いのがファンと同じで、トレーナー間でも予想が分かれてたんだよな。順当に行けばイナリワンなんだけど、もしかしたらオグリキャップが、みたいなこと考えてる人も結構いて。あ、筆頭は先生ね。だから今回の有馬どうなるかな、って話題にするヤツは例年に比べると多かったよ。
桐谷はイナリで、園田はオグリって、そこでも分かれてた。多分、本当に五分だったと思う。
……まあ、そんな感じで主にイナリワン側とオグリキャップ側で派閥が分かれてて。
だから、他の子たちの人気とかにも影響あってさ。
「クリークさんは三番人気ですが……投票数で見ると、イナリさんとはかなり差があるように思います」
「意外ですね。長距離っていう主戦場ですから、もっと頭一つ抜けてると思いました。それこそ、距離的にアウェーなアルダンさんとほぼ横並びですもん。やっぱり、春天でイナリさんに敗けたのが大きいんでしょうか?」
「みたいだね。菊花賞以降、入着はあるけど勝ちが無い……ってよりは、オグリキャップとイナリワンが目立ちすぎてるだけな気もするな。その二人に注目が集まって、相対的にあの位置に落ち着いてるって感じか」
「……そう考えると、アルダンさんの人気って高いですね?」
「去年は見送っちゃったから、そこの期待もあると思うよ。距離的にも三〇〇〇メートルよりはって感じだし」
とはいえ、思ったより高いのは事実だった。予想ではもう少し下だと思ってたから。
……まあ、あの場にチヨちゃんが居たから言えなかったんだけど。
ジャパンカップでのあの走りが効いたのかもな。ダービーウマ娘としての意地というか、そういう期待もあったのかもしれない。あの走りをするアルダンとオグリキャップの対決を見てみたい、って人は多かったはずだよ。
何より、俺がそれを一番望んでたんだから。
『各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました』
そうやって話しているうちに、出走する生徒のゲートインも完了して。
『――全員、一斉にスタート! 今年のシリーズを締めくくるレースが今、始まりました!』
やっぱ去年の有馬は、最近だと一番盛り上がってたな。
そもそもスタート直後の歓声が凄かったもん。で、その大半がオグリキャップに対してだったし。
だから俺もチヨちゃんもヤエノも、自然とオグリキャップの方に視線が行っちゃって。
「オグリさん……あの位置は、差しですか?」
「それにしては前に出過ぎな気もします。というより……クリークさんをマークしている?」
「……クリークを盾にするつもりだな」
オグリキャップの奴、序盤からぴったりクリークの後ろに張り付いてたんだよな。
元々クリークってスタミナが頭一つ抜けてる代わりに、最高速度も加速はまあそこそこ、って感じだったんだよ。だから先行の中でも最後方について、周りのスタミナ切れを待つってタイプの走りしてるんだったんだけど……その時のオグリはそのクリークの更に後ろにピッタリついててさ。
「先行と差しのほぼ中間……み、見てるだけでゾワゾワしちゃいますね。私ならあんなところすぐに抜け出したいです」
「それぞれの脚質の恩恵を受けにくい位置ですからね。先行にしては位置的な有利が取れているとは言えませんし、差しにしては脚を温めにくく体力を消費しやすい。そんな場所でクリークさんのマークを続けられるのは……オグリさんの柔軟性だからこそ成せる技ですね」
「先生の指示……いや、違うな。脚質変えるみたいな一発芸はさせても、あんなどっちつかずの位置で走らせるみたいな曲芸はさせない。オグリキャップの独断だな」
「でもあの位置って結局、一番危険な位置取りじゃないですか? 萩野さんの言ったみたいに、クリークさんを盾にして他の人のスタミナを削る、っていうのは分かるんですけど……それって実際、クリークさんの真似をする、って話ですよね? だったらクリークさんと同程度のスタミナがないと成り立たないじゃないですか。最悪、クリークさん自身に潰されちゃう可能性も……」
「……あいつ、春天でクリークと真正面からやり合ってたからなあ」
「それに比べて、今回は芝の二五〇〇メートルです。充分、有効な作戦になるでしょうね」
そのまま第三コーナー入るまで、ずーっとオグリキャップはクリークの後ろについてて。
『第三コーナーを抜けてスタンド正面へ! 依然として落ち着いた展開が続いています!』
「オグリキャップが出張ってこない分、かなりスローペースだな」
「先行集団も間延びしているせいで、オグリさんの位置もバ群のほとんど真ん中に落ち着きましたね」
「でもその代わり、アルダンさんはかなりいい位置で走れてますよ! こういう時のアルダンさんはそうそう簡単に崩されることはありません! というか何やっても無理でしたもん!」
「そうですね。アルダンさんに状況の有利は傾いています」
結果的に、アルダンにとってはかなり都合のいい流れになった。
展開がスローペースなお陰で位置取り争いも起きないからスタミナも温存できるし、バ群全体が間延びしてるお陰で後方脚質の連中との距離も取れる。先行で走るアルダンにとっては、これ以上ないくらい有利な条件だった。
……でも、それは同じ脚質のクリークも同じだ。
「クリークさん、少しずつ上がってませんか?」
「状況的には追い込まれていますからね。攻めに転じるほかありません」
「このままアルダンを放置するわけにもいかないから、全体的なペースを上げてアルダンを退かす、あるいは体力を削るための攻めだな。後手に回ることにはなったが……クリークにとっちゃさほど問題にならないかもな。あいつ、スタミナ切れを狙う待ちのレースが得意だから、こういった対応には慣れてるはずだ」
「というかクリークさんがこのまま上がっていくと、オグリさんもスタミナ的に厳しくなってくるんじゃ……?」
「でも、そのぶん他の連中をクリークが潰してくれる。五分五分ってところかもな」
「……いえ。五分ではないみたいですよ」
ヤエノがそう言った瞬間にちょうど、バ群が俺達の正面を過ぎて行ったんだけど。
「……なるほど。スカした顔してるわ、あいつ。クリークに真っ向からやり合う気なのは変わんねーか」
「あの様子ではスタミナの問題はほぼ無いでしょう。クリークさんの後を追った上で、スパートを仕掛けるタイミングを見極める余裕もあるはずです。こうなると一気にクリークさんが厳しくなってくるかもしれません」
『直線を抜けて第一コーナーへ! ここからレースはどう動くのか!』
そのまま第一コーナーを抜けて、第二コーナーに差し掛かっても動きは少なかったな。
アルダンは未だに自分の位置をキープし続けて、スパートまで備えてたし。
クリークも上がってはいたけど、後ろに張り付いたオグリキャップのせいでそこまで攻められるわけでもない。
オグリキャップもここで上がったところで体力は持たないし、何より後方にはイナリワンがいるから隙を見せた瞬間に一気に詰められる。
とはいえイナリワンも間延びしたバ群のせいで様子見しようにも難しくて、コーナーに入ってからじゃないと自分がどう動くかを組み立てられない。
「膠着していますね。アルダンさんにとっては有利なのでしょうが」
「こうなってくると後方にいるイナリさんが怖いですね。クリークさんたちの競り合いを外から様子見できる立ち位置ですもん。攻め方次第では、一気にイナリさんが有利になるかも……」
「とはいえクリークもオグリキャップも、イナリに一杯食わされてるからな。簡単に攻められないよう、警戒は続けてるだろうが……こうなると、そこに巻き込まれるアルダンが一気に不利になるか。競り合いに関してはアイツ、このメンツの中で一番苦手だし」
「このままリードを稼げればいいですが……そう簡単に許してはくれないでしょうね」
そんな感じで向こう正面に入っても、未だに展開はスローペースのまま。アルダンは先行集団の先頭で現状維持しつつスパートに向けて位置取りの調整、クリークもこれ以上スタミナを消費するのは損だって考えたのか、オグリキャップを引き連れたまま先行集団の真ん中あたりで待機。オグリキャップもクリークの後ろで落ち着いてたんだけど……今思えば、アレは確かに違和感あったな。いつでも抜ける位置にいたんだもん。
っていう、それぞれの位置関係を把握したイナリワンが、そこから動き始めて。
『第三コーナーに差し掛かったところ、ここでイナリワンが徐々に上がってくる!』
「早いですね。天皇賞・秋のように焦っているわけではなさそうですが」
「アルダンにこれ以上有利を取らせないためだな。無理やり荒らしにきたか」
「でも、展開はかなり固まってますよ。スタミナをいくら残したとしても、これを崩すのは……」
そうやってイナリワンが上がってきたのとほとんど同じタイミングで。
オグリキャップもスッ、ってクリークの後ろから外れやがって。
『そしてここにきてオグリキャップも上がってきた!? スーパークリークと並ぶ!』
「…………イナリさんのスパートに被せた? まさか、意図的に?」
「そうだと思いますよ。オグリさんならやりかねません」
「あ、いつ……っ、カンがいいとかの次元じゃねえだろ!! 背中に目ぇついてんのか!?」
イナリワンが上がってくるって時に、一気にスパートかけてきやがったんだよ。
つまり、イナリワンが上がってくるタイミングを完全に予測して、そこに被せたわけ。
……実際、オグリキャップ自身が追込走れるし、タマモクロスからもイナリの走り方に何か吹き込まれてはいたみたいだけどさ。それにしたって、あんなドンピシャで被せてくるのはヤベーよマジで。予測なんてレベルじゃねえよ。あいつマジで未来予知できるんじゃねーの?
そんで結局、イナリワンが出鼻をくじかれたことになって、レースは膠着状態のまんま。
「イナリさんから強引に主導権を奪って、オグリさんが自らレースを動かし始めましたね」
「つっても展開的に大きな動きはない。まだアルダンの方が優勢だ。でも……時間の問題だな。イナリワンの位置的にもう一度スパートをかける余地は充分にある。何よりオグリキャップ、あのカンの的中のさせ方からしてゾーン入ってる可能性あるな。こうなってくると何してくるか分からん」
「でも、アルダンさんだって負けてませんよ。ここまでほぼ理想通りのレース運びをしてますから、位置的な有利とそれを継続できる余裕もありますし、クリークさん以外に大きくスタミナを削られるようなこともされてません。大丈夫です、ああいう時のアルダンさんは本当に強いですから」
「問題は、オグリさんがここからどう動くかですね。というより、オグリさんからすればそうする以外に崩す手段が無いということでしょうか。……この局面で先手を奪えたのは大きいですよ。さすがアルダンさんですね。レース運びに隙が無い」
「つっても、バケモン相手につま先だけリードしてるみたいなモンだ。すぐに巻き返されてもおかしくない」
そのまま第三コーナーを抜けて、第四コーナー。
ついに最終決戦、ってところで一番初めに動いたのが。
『イナリワン、ここで再び上がってくる! 第四コーナーはじめ、イナリワンが全速力で後方から追い上げています!』
「は、速い……! こんなハイペースで二回もスパート掛けられる人、いたんですね!?」
「いや、一度目のスパートがブラフだったんだ。……先輩、相当イナリワンに仕込んでるな」
「……なるほど、秋天で見せたオグリさんの勘の良さを逆手に取りましたね。オグリさんも無意識的にイナリさんをマークしているでしょうし、何より隙を見せれば春天のように持っていかれますから。あの一度目のスパートで、オグリさんは動かざるを得なかった……」
「でも、レース全体がスローペースなのは、イナリさんにとって向かい風ですよ! 先行集団との距離はまだかなりあります!」
まあ、チヨちゃんの言う通り、今回ばかりは少しだけ運が悪かったかな、イナリワンは。
オグリに一矢報いたのは素直にすげーって思ったけど……まあ、プラスでクリークが居たのが良くなかったな。元はと言えばクリークの時間かけてスタミナ潰すってやり方と、イナリワンの一点突破の追込って相性良くないし、そこにオグリが追従したってのもあるし。何よりその二人からマークされて、あんまり虚を突くやり方っていうか、ハッタリかませなかったのが一番の原因かな、アレは。
『メジロアルダンも一気に上がっていく! 逃げの子たちを抜いて一気に独壇場に!』
「いい! いいですよ! 好位置からのとびっきりの加速、アルダンさんの一番得意なやり方です!」
「もしかすると、ここ数戦で一番いい運びかもしれませんね。並の相手なら、手も足も出ていないでしょうが……」
『しかし、そこに追走するオグリキャップ! スーパークリークは沈んでいくか!? 先頭争いはメジロアルダンとオグリキャップ、この二人に託された!』
イナリワンのスパートに合わせて、オグリキャップとアルダンもスパート。
互いの加速度もここまで来ると五分五分になってくるから、そのままイナリワンは引き剥がされる形になって。
『オグリキャップ、じわじわと距離を詰めていく! 第四コーナー終盤、直線に一番で出てくるのはどちらか!?』
「詰められてるな。ここで仕留めに来た……いや、もうここくらいしか仕留めるタイミングないんだろうな」
「で、でも! アルダンさんも粘ってます! このまま逃げ切れれば……!」
「問題はスタミナがどれだけ残っているかですね。しかし、アルダンさんの距離適性を考えると……」
ヤエノの言う通りだった。今回のレースは長距離、アルダンの適性からは完全に外れてたし……そもそも日本ダービー、ジャパンカップどっちも二四〇〇メートルのレースでぶっ倒れてたんだ。それ以上の二五〇〇メートルなんて走り切れるわけがない。結局、最終直線でオグリキャップに抜かれるのが関の山、少なくとも入着で充分、適性外でもそれなりに健闘したってのが最終的なゴールだろうな。
……なんて、思ってたんだろうな。
『最終直線、一番で躍り出たのはメジロアルダン! オグリキャップ、わずかに追いつかない!!』
「あ、アルダンさんが……アルダンさんが先頭ですよ! アルダンさんが先頭のまま、最終直線に!」
「これは……わずかにオグリさんが届いていない? 一体、どういう……」
チヨちゃんとヤエノも、さすがにビビってたな。
だってダービーとジャパンカップでぶっ倒れてたアルダンが、未だに加速してるんだから。
「はは……はははっ!」
だから俺も思わず、笑いが込み上げてきちゃって。
つい、叫んじゃったよね。
「ざまぁみろオグリキャップ! 最初っからここまでずーっと全ッ部、俺の想定通りなんだよ!!」
まさか、あそこまで上手くいくとは思ってなかったからさあ。
「そ、想定通りって……?」
「途中のいざこざはぶっちゃけ予想外だったが、この際ンなことはどーでもいい! オグリキャップも、イナリワンも、クリークも! 直近のレース通り、全員まんまとアルダンを
「……まさか、クリークさんがこのレースの中心になることを見越していたんですか?」
「菊花賞で優勝、春天で入着のクリークが長距離レースでマークされないワケねーもんな! それにこのメンツはほぼ秋天と同じ! 予想通りレース展開はスローペースの膠着状態! アルダンにとっちゃ最高のシチュエーションだよ!」
「で、でも! 有馬記念は二五〇〇メートルのレースですよ!? いくらアルダンさんが有利とはいえ、
「そんなもん、この一か月間でスタミナ超特化トレーニング組んだからに決まってるでしょ! この日のために週八でプール練してたんだよこっちは!!」
二五〇〇メートル。古い言い方で言えば中・長距離。
分類的には長距離レースだけど、距離で言えば二四〇〇メートルよりも一〇〇メートル長いだけ。
改めて思ったんだよ。何とかなる数字だ、って。
……ダービーの時だったら先生の言う通り、レースの経験も浅かったし身体も未熟だったから、付け焼き刃にしかならなかっただろうな。そんな間に合わせの刃なんて、オグリキャップにへし折られて、クリークにコナゴナに踏み潰される終わるのがオチだ。
でも、ここまで走り続けてきたアルダンなら。
オグリキャップとクリークを一気に刺せる刃になる。
『メジロアルダン、強い! 徐々にオグリキャップを突き放していく!』
「アルダンさん、このまま逃げ切りそうです! このままいけばホントに勝っちゃいますよ!」
「確かに、一ヶ月どれだけ集中的にトレーニングをしたところで、伸びる数値などたかが知れています。ですが、そのわずかな数値が、今オグリさんとアルダンさんの距離の差を生んでいる……!」
クリークの作るスローペースの拮抗状態っていう展開を何とか凌いで、かつオグリキャップに意表を突くためのスタミナ調整。……効いただろうな、ありゃ。ダービーでぶっ倒れたヤツが、平然と自分の目の前を、しかも最高のコンディションとレース展開で走ってるんだから。
「ほらほら、あと二〇〇メートルしかねえぞ!? 追いつけんのかってオグリキャップ!!」
「ほとんど悪役の台詞ですね」
「でも、これがこの人の素ですから……」
勝ったと思ったよ。
アルダンに追走するオグリキャップが、スタミナ切れでじりじり引き下がっていくんだもん。
でも、今思い返せば、おかしいって気づけたんだよな。
だってあのオグリキャップが二五〇〇メートルでバテるわけないって。
『す、スーパークリーク、ここにきて上がってくる!? 強引に道を切り拓き、メジロアルダンに追い縋っていく! オグリキャップをも抜かし、一気に距離を詰めていきます!!』
「な……は、はあ!?」
最終局面で出張ってきたのは、クリークだった。
……そこまで予想はしてた。最後に残るのはクリークだって。だって、レース展開をスローペースにすることでイナリワンを封じたのも、持ち前の持久力でオグリキャップを潰したのも、全部あいつなんだから。最後に立ってるのはクリークで、最終直線で張り合うことになるだろうな、ってところまで想定できてたんだよ。
ただ、それでも勝ち筋はあった。さっきも言った通り、クリークの加速と速度はチヨちゃんやヤエノに比べれば、平均点かそれを下回るくらい。ギリギリのスタミナ調整をしたアルダンなら、正面からの真っ向勝負でも紙一重で勝てるって考えてた。
でも。
「クリーク……あ、あいつ、あんなメチャクチャな走りできたのかよ!?」
「わ、私にも何が何だか……」
あんな乱暴に走るクリークの姿、今まで見たことなかった。きっと、先生も同じだと思う。オグリキャップのことを無理やり抜いて……ってか、ほぼ突き飛ばすくらいの勢いだったな、ありゃ。そうやって無理やり退かして、一気にアルダンまで追いついて。
『並んだ! スーパークリーク、メジロアルダンに並んだ! このまま追い抜くか!?』
「……まるで別人ですね。あれほどの気迫を放つクリークさん、初めて見ました」
「ですが、アルダンさんもスピードは落としてませんよ! まだ、終わりじゃない……!」
見てられなかった。……ってよりは、居ても立ってもいられなかった、ってのが正しいのかな。
だって、ここまで全部上手く行ってたはずなのに、最後の最後でギリギリの勝負になったんだもん。
そんなだから、俺ももう柵乗り越えるくらいの勢いでがっついちゃって。
「アルダン! おい、アルダン!! お前、ここにきて負けそうになってんじゃねーよ!」
「ちょっ……は、萩野さん、落ち着いてください!」
「気持ちが焦るのは分かりますが、このままではコースに侵入してしまいます!」
「テメーまたクリークに敗けてもいいのか!? そしたらまた俺が先生に煽られるじゃねーか!」
「それアルダンさんそんなに関係ないんじゃないですか!?」
「
「もうほとんどアルダンさんと関係ないのでは?」
「俺のアルダンがなあ! こっから先もずっと一番なんだよ!!」
声が届くかどうかなんて、もう考えてなかった。
「アルダン、走れ! お前がメジロアルダンだってこと、ここの全員に証明してやれ!」
でも、それで良かったんだと思う。
そうやってあいつを信じ続けることしか、俺にはできなかったし。
それが俺があいつにできる、一番のことだと思ったから。
『ゴールまで残りわずか、両者一歩も譲りません! 果たして冬のグランプリはどちらの手に渡るのか!?』
結局、最後までクリークは食らいついてきて、ほとんど横並びでゴールしたんだけど。
「――っ、ああぁああああっ!!」
ゴール板を越える直前、そんなあいつの叫び声が聞こえたような気がして。
『一着は――メジロアルダン! 接戦の末、見事有馬記念を制しました!』
気づけば、レースは終わってた。
■
「トレーナーさん!」
「アルダン!」
やっぱ直前のスタミナ調整が効いたのかもな。
レース終わってもぶっ倒れるどころか、元気に飛びついてきたよ、あいつ。
だから俺も、レース前にちゃんと言ってやったように、しっかり受け止めてやって。
「お前……っ、とうとうやりやがったなこの野郎ぉ! ヒヤヒヤさせやがって、この!」
「はい! ついに、ここまで……ここまで、来ることができました……っ!」
「おい泣いてんじゃねーよバカ! 俺まで釣られちゃうだろ!」
「で……でも、ぉ……っ! トレーナーさんと、ここまで一緒に来れたことが、嬉しく、って……!」
「あ~~~~もう! メジロアルダン! 俺の最高の担当ウマ娘だよ、お前は!」
なんて、二人で涙まみれになって、ぐちゃぐちゃのまま抱き合ってさあ。
もう、今の自分がどんな感情なのかもよく分かんなくなっちゃって。
でも一つだけ言えるのは、最高の時間だったってことだなあ。
……だって、ようやく成し遂げられたんだぜ。
ラモーヌの後追いでも、メジロ家の病弱な落ちこぼれでもない。
ティアラ路線のローテーションをビリビリに破いたあの日から、ずっとあいつはメジロアルダンっていう一人のウマ娘として、皐月とダービーを獲った二冠ウマ娘として、俺のたった一人の担当ウマ娘として、ここまでずーっと走り続けてきて。
そしてようやく、有馬記念なんてでっかい舞台で一着を獲れた。
自分はメジロアルダンっていう一人のウマ娘なんだ、ってことを、あいつは証明した。
……もちろん、俺と二人でな。
「アルダン」
そうやってはしゃいでる俺達のところに、オグリキャップがやってきて。
「オグリさん」
「……いい、レースだったな」
「はい。私もそう思います」
「私も全力で君とぶつかれた。後悔はしていない。……とは、あまり言いたくないな。最後はクリークに持っていかれてしまったから。もう一度やり直せたら……なんて、できないと分かっていても、そう思ってしまう。こんなに悔しいのは……久しぶりだな」
「分かりますよ。私も、そう思ったことがありますから」
「でも、それでいいんだ。君の掲げた硝子の剣は、私という怪物の喉元に突き立てられた。……ふふっ、おかしいな。さっきは悔しいと言ったのに、今ではとても満足している。おかしな感覚だ。ああ……レースというのは、本当に不思議でいいものだな」
「……そうですね。だからこそ、私はずっとこのターフで走ることに憧れていたんです」
きっとオグリキャップも、すげー楽しかったんだろうな。
だってあいつがあんなに嬉しそうに話してるところ、初めて見たんだもん。
あとやっぱりあいつ、"怪物"の呼び名、気に入りすぎ。
「私はもう行こう。倒された怪物は、静かに屍となって朽ちるものだから……」
「……そして、怪物を倒した勇者は凱歌を揚げて、この舞台に幕を降ろす」
「…………!」
「その、オグリさん。以前からお誘いしようと思っていたのですが……」
「どうした?」
「よろしければ今度、一緒に演劇鑑賞でもいかがですか?」
「もちろん。トレーナーも一緒に連れて行こう」
最後はそんな風に、二人で満足そうに話をして終わり。
その後は普通に……つっても、まあ俺達にしちゃ久しぶりのヒーローインタビューの時間になって。
……あ、そう。その記事。その時にインタビューしてきたの。菊花賞後の記者会見の子だったんだよね。
『メジロアルダンさん、改めて優勝、おめでとうございます! レースを終えた今のお気持ちを、一言!』
「はい。まずは、ここまで応援してくださったファンの方々、同じレースを競い合った皆さん、そして……ここまで私のことを、ずっとそばで支えてくださったトレーナーさんに、心からの感謝を。本当に……本当に、ありがとうございました。皆さんがいてくれたからこそ、私は今ここに立てていて……そのことを、誇りに思います」
『ありがとうございます! 観客の中には去年から有馬記念への出走を期待している方もいらっしゃいました。結果的に去年は不参加となりましたが……今年は、見事その期待に応える形になりましたね!』
「そのことに関しては、ご心配をおかけしてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。ですが……そうですね。その方々の不安を吹き飛ばすほどの、最高のレースと結果を示すことができたと自負しています」
『はい! 私個人としても、メジロアルダンさんの全力のレースを見ることができて嬉しい限りです!』
「ありがとうございます」
『続きまして、萩野トレーナーにお伺いしたいのですが……ずばり今の気持ちを一言で表すなら!?』
「最ッ高!」
『ありがとうございます! 最高のお二人でした!!』
なんて感じのまま、インタビューもそのまま終わりそうになったんだけど。
「すいません。最後に先生へ……僕の恩師の、梶崎トレーナーへ伝えたいことがあって」
そうやって言ったら、すぐにマイクが回ってきて。
「俺がこうしてトレーナーの仕事に就けたのは、あの人がいてくれたからです。……落ちこぼれだった俺のことを拾ってくれて、色々と面倒を見てくれて、君ならできる、と信じてくれたお陰です。感謝しかありません。
不出来な教え子だったと思います。何度も不安にさせたと思います。俺から話を聞くたびに、辟易してたかもしれませんね。でも、そんな俺でもここまで来れました。担当する生徒をこんな大きな舞台で勝たせてやって、こんなにも大勢の人の前に立てるような、立派なトレーナーになれましたよ。
先生。あなたの教え子はもう、一人前のトレーナーです。だから……」
「あとは俺に任せて、さっさと引退しな! クソジジイ!」
■
「クソジジイ、とはよく言ってくれましたね」
「菊花賞のお返しですよ。言われっぱなしは癪ですし、何よりアルダンに示しがつかないんでね」
「ふふっ、相変わらずですね。ですが、今ではその威勢の良さに感慨深いものを覚えますよ」
インタビューも終わったあと、諸々の手続きとか用事も済ませて。
それでもライブまで結構時間があったから、喫煙所に行ったら先生が先にいて。
「……完敗です。改めて優勝、おめでとうございます。萩野くん」
「どうもっす。結構ギリギリではありましたけどね」
「それにしても、まさかあんな真正面から敗けるとは思いませんでした。君のトレーナーとしての実力を見誤ってしまったのが、今回の敗因ですね。これまでのレースから展開をほぼ完璧に予想し、その対応策を生徒に指導する……いやはや、こんな正攻法で敗けてしまうとは。私もまだまだですね」
「つっても、アルダンはオグリキャップみたいに一発芸できないっすからね。勝つなら正攻法かますくらいしか無かったんですよ。とはいえここまで上手くいたのは、アルダンが精度高い走りしてくれたから、ってのが前提ではありますね。まあ……アルダンと俺が完全に噛み合いましたね、今回は」
多分先生も、ダービーやジャパンカップで見せたアルダンの走りが来ると思ってたんだろうな。
俺も最初はそうしようと思ってたんだよ。あいつに好きに走らせてやろう、って。
でも……それよりもさ。せっかく、こんな舞台で先生とやり合えるんだってなったら……なんていうか、俺なりのやり方でぶつかりたかった、っていうか。そういうワガママなところもあったんだよな。
……このこと、アルダンには内緒な。
でも、気づいてるんだろうな、きっと。ここまで長い付き合いなんだ。それくらい、とっくに分かってるよ。でも、何も言わなかった。本当は本気のやり方でオグリキャップとぶつかりたかったのかもしれないけど……俺のためにさ、言うこと聞いてくれたんだよ。
「ええ、そうですね。あなたたち二人が勝ち獲ったレースでした」
「……ありがとうございます」
だから、先生にそうやって言われたのは嬉しかった。
そうやって話すことも無くなったし、そろそろライブの準備のアレコレもあるだろうから、あと一本だけ吸い終わったら解散にしましょうか、っていう流れになって。
まあ、俺も先生も結構ギリギリまで吸ってから、喫煙所を出たんだけど。
「あ……やっぱりここにいたんですね、お二人とも」
ちょうどその時に、クリークとばったり会って。
「おや、クリークさん。何かありましたか?」
「オグリちゃんが呼んでいましたよ? ライブのことで少し、確認したいことがあるとか」
「そうですか。……まだ、あの子はライブには慣れていないみたいですね」
「でも、音頭を披露しようとしていたころよりは、だいぶマシになった気も……」
なんてまあ、先生とクリークの方で話してて。
向こうも向こうで色々と大変そうだなあ、とか思ってたんだけど。
「それでは、少し見てきますね。クリークさんも、準備の方をよろしくお願いします」
「分かりました~」
そしたら先生が一人でオグリキャップの方に向かってったからさ。
自然と、そこに残ったのが俺とクリークの二人だけになっちゃって。
「……お前は行かないのか?」
「あ……はい。そうですね。私も、オグリちゃんが心配だから……」
ぶっちゃけ俺もそこでクリークと二人っきりってのは気まずかったから、そうやって先生の方行くように誘ったんだよ。そんであいつも、俺の言う通り先生の後を追おうとしたんだけど。
「もうちょっと、だったんですけどね」
やっぱりあいつも俺に一言二言くらいは、言いたいことがあったらしくてさ。
……今思えば、恨み言だったのかもしれないけど。
「そうだな。いや、実際ヒヤヒヤしたぜ。まさか、あそこでお前が上がってくるなんて思ってなかったから」
「あなたに少しでもいいところを見せられたら、と思って。そうしたら、自然に体が動いたんです」
「なんで、そこまで俺に……」
「私、アルダンさんよりもずっと前から、あなたと知り合いだったんですよ?」
理由なんて、それだけで十分だった。俺にとっても、クリークにとっても。
「あなたのことが、ずっと心配だったんです。あなたは……強がりな人ですから。本当は誰かに縋りたいはずだったのに、弱みなんて誰にも見せようとしなくて……でも、私は偶然、あなたの弱みを見ちゃいましたから。できることなら、私が支えてあげないと、と思って」
「……頼りなく見えたか?」
「ふふっ、そうですね。守ってあげたくなっちゃいました。だから頑張ったんです。私がちゃんと強いウマ娘になって、あなたの担当ウマ娘になってあげれば、あなたも安心すると思って。……トレーナーさんにもお願いしたんですよ? 結局、タイミングが噛み合わなくて……何より、あなたがそれを望んでいなかったから、無くなっちゃいましたけどね」
そこで初めて気づいたよ。夏合宿の時にしてくれたクリークの話って本気なんだ、って。
「……悪いな」
「本当です。私、頑張ったのに。アルダンさんが羨ましいです。私だってあなたのことを、もっと甘やかしたかったんですよ? あの時のあなた、少しだけ……可愛かったですから。独り占めしたくなっちゃうくらいに」
「お前なあ……」
「……でも、もう不安にならなくてもいいみたいで、よかったです」
なんて、クリークがちょっとだけ寂しそうに笑って。
「改めて、今の俺はどう見える?」
「全然。だってあなたには、もうそばで支えてくれる人がいますから」
そこでクリークとの話は終わり。
……後ろめたいものがあると思ってた。お互いに。
でも、実際はお互いに気遣い過ぎてただけだったんだな、って分かったよ。俺もクリークのこと不安にさせたし、あいつも俺がこのままじゃダメだって思ってただけで……結局は、すれ違ってただけだった。
それさえなければ、俺はクリークの担当になってたのかもな。
……まあ、そんなあり得ない話なんて、しなくてもいいか。
「じゃ、俺もアルダンのとこ戻るわ。ライブ、頑張ってな」
「そうですね。では、またライブの後で」
なんて感じで、クリークとはそこで解散して。
……そういやライブの映像、多分ネットに上がってるんだよな。
せっかくだし見ねえ? クリークもオグリキャップも映ってるし、アルダンもセンターだしさ。
ああ、ケータイでいい……え、画面映せるの? そこのテレビ?
いいじゃん、それやろうぜ。
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いや、ライブって何度見てもいいな。
自分の担当する生徒がセンター取ってるなら猶更だわ。
トレーナーの仕事の醍醐味だよなあ。
やっぱこれ見てると、この仕事やってていいわってなるわ。
……これから? 俺とアルダンの?
いや別に……これといって特別なことは考えてねえけど……。
まあジャパンカップと有馬で無理させちゃったから、しばらくは療養かな。
最短で宝塚、まあ普通に考えたら秋天くらいからちゃんと復帰……。
え、そういう話じゃなくて?
結婚?
は?
いや、バカ言うなよお前。誰があいつなんかと結婚するかって。
しねーよ普通に。なんでこの先の人生もあいつの面倒見ねーといけねーんだよ。
そもそも生徒と教師だって言ってるだろ。ありえねーだろ。もっと考えてモノ言えよ。
……でも、そうだな。
結婚した上で、メジロ家のトレーナーとして食いっぱぐれないようにして。
そんでもってこれからのメジロ家のウマ娘の指導させてくれるなら考えてやってもいいな。
だってそうすれば優秀な生徒ばっかり担当できるし、失業する心配も無くなるしな。
いや、それくらいのメリットないとあいつと結婚なんてしねーよバカ。
むしろそんだけの条件あってギリギリってレベルだよ。
ははは……。
いやお前ちゃんと聞けよ人が話してやってるのに携帯イジってんじゃねえよ。
あー……。
お前が眠ぃ話するもんだから、眠くなった来たわ。
つーか、そもそも今日呑みすぎ。全然アルコールの許容量越えてるんだよな。
そろそろ寝るわ、俺。いや、布団はいーよ。適当にそこら辺で雑魚寝するから。
ってかホントに大丈夫だよな? 実は彼氏作っててみたいなこと言わねーよな?
……まあ、お前に見合う野郎なんてそうそういるわけねーか。
痛ッてェ!! いや冗談だって! 悪かったって! もうイジらねえから!
クソ、本気で殴りやがって……。
……あ、シャワーだけ借りるな。服はまあ、今着てるヤツもっかい着るわ。
ん。じゃ、お先にー。
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『まだ起きてる?』
『今、布団に入ったところです』
『どうされましたか?』
『ベッドでケータイいじるなんて悪い子だね』
『言質とっておいたよ、しかも動画つき』
『いや、まさかあんな簡単にゲロるなんてびっくりしたよ』
『思わず吹き出しちゃいそうになったね』
『ありがとうございます』
『んで、あいつアタシの家に泊まるから』
『身柄も確保して証拠まで押さえられてかわいそーだねアイツ』
『でも、身から出た錆だからね。今までのツケはちゃんと払わないと』
『明日、お伺いしますね』
『色々と準備が必要ですから、お昼ごろになるでしょうか』
『ま、あいつもそれくらいまでグッスリだろうね』
『じゃ、待ってるから』
『おやすみー』
『おやすみなさい』
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