メジロアルダン? あんなのハズレだよハズレ!【完結】 作:宇宮 祐樹
フォロワー「俺が資料とか集めるから、書きなさい」
おれ「はい……」
■
じゃあ俺も生一つで。はい、はい。お願いしまーす。
それで、あー……どっからだったっけ?
そっかそっか、デビュー戦からダービーまでか。でもなー……言っても特に話すことねーんだよな。テキトーに指導して、出られるレース出てみただけ。マジで結構綱渡りっつーか、その場凌ぎのことしかしてなかったわ。
多分そこまで話すことないけど、それでもいいなら……いや、分かった! 分かったって!
……そうだな。選抜終わってすぐのところから話すわ。確か……。
■
あ、そうそう。選抜終わってすぐ、俺メジロ家の屋敷に呼び出し喰らったの。
理由なんて、そりゃもう……選抜終わったらトレーナーにするって話だったから、それについてよ。正直もう行きたくなかったけどさ、これで約束すっぽかしたら飛ぶのは俺の給料と首だから、仕方ねーってなって。
予定の日になったら、この前みたいにおばあちゃんが車も用意しててさ。もう、後は同じ感じで屋敷まで着いて、お婆さまがいる部屋まで通されて。
あー……一個だけ違ったのは、そこに
「よくこの子を勝たせられましたね」
「……彼女の力です。それと……運に、恵まれました」
そんなこと全っ然、ひとっっつも考えてなかったけど。
「謙遜しなくてもいいんですよ、トレーナーさん」
「いや……ホント、自分は何もしてないんで。あはは……」
これはマジ。何もしてないのにこいつ、なんか勝ちやがって。ほんと、ふざけんなって話だよな。あの場じゃ口が裂けても言えなかったけど。
……みたいな感じでテキトーに挨拶してたら、まあ担当の話になってさ。
「では、先日申し上げた通り彼女のトレーナーに。異論はありませんね?」
「……うっす」
「よかった。……この子をよろしくね」
そんな感じで、今日はさっさと返されちゃったのよ。いや、正直なんか手続きとか契約書類とか色々書かされると思ってたからさ。あれ? ってなって。まあ、早く帰れるならそれでいいんだけどさ。
「それじゃ、早く帰って契約書類作るかー……」
「契約自体はもう済んでいますよ」
「……え、いつ?」
「お屋敷にトレーナーさんがいらした時に、もうこちらで済ませておきました」
「なに勝手な事してんだよ!」
あのババア、マジでやってるわ。
つまりさ、結局こいつが勝っても負けても、俺はこいつの担当になること確定してたってわけ。ほんと、やり方が詐欺師とかと同じなんだよ。お前も気をつけろよなー、ホント。メジロ家つってデカい顔してるけど、やってることガチでエグいからな。
「この後はどうされますか?」
「え? あー……とりあえずレース直後だし、今日はもう解散かな」
「……私、今日は身体の調子もいい方ですよ?」
「別にお前だからってわけじゃねーよ。これが普通なの」
まあ、これはマジ。あの、ウマ娘のレースって俺たちが思ってる以上に体力使うわけよ。だから普通、その翌日はそれこそ、激ヤバローテ組んでるヤツじゃない限りは基本オフにするのが普通なの。
なのにこいつ、何でか知らないけどやる気でさあ。
「では、明日から本格的にトレーニングということですね」
「……本音としては、明日明後日も様子見しつつ基礎トレって感じにしたいんだけど? お前の身体のこともあるし」
「そんな悠長にしている時間なんて、私には残されていませんよ」
「それで怪我されたら困るのはこっちなの」
……思えば、最初の頃はそんな感じで結構、意見の食い違いとかあったわ。今はもう、身体もある程度できてるし、体調とかはほぼ向こうに任せてるけどさ。当時はジュニア級だったし、何よりあいつのこと見始めてからまだ時間もそこまで経ってないから、分かんねーわけで。
「むぅ」
「……なに。なんか文句あんの?」
「はずれって言ったくせに、ずいぶんと大事にしてくださるんですね?」
「そうしないと俺が怒られるんだよ」
だって怒られたくはないじゃん? 俺、学生の頃からずっとそれで来てるからさ。そりゃ、やらなくちゃいけない時は腹括ってやるけど。基本、穏便にっつーか、静かに行きたいわけ。
そんでまあ、明日の予定も適当に決まったし、帰ろうとしたんだけど。
「あー……」
「トレーナーさん? どうかされましたか?」
「……別に。気にすんな」
「遠慮なさらなくてもいいんですよ。私たちはもう、トレーナーとその担当するウマ娘という関係なんですから」
「そういうんじゃなくてさ。いや……マジで大丈夫だから」
「……これから先、共に歩んでいくパートナーがそんな顔をしていては不安です」
「………………」
ほんと、女の子ってどこでああいうズルい言い方覚えてくんだろうね。
「あのさー……」
「はい」
まあ、そんなこと言われたら、正直に答えるしかなくてさ。
「
……いや、そんな顔しないでよ。
お前は吸わないから知らないだろうから、一応言っとくけどさ。
喫煙者ってタバコないとマジで終わるからね。
■
そんで、あいつに通されたのが、屋敷にあるでっかい中庭でさ。
そこがなんかもう、庭園っつーか、ちっさい植物園くらいあんの。あれ、やろうと思えば金取れるわ。手入れとかもめちゃくちゃされてて。金持ってんなー、って感じの庭だったの。
まあ、何がいいたいか、っていうとさ。
「マジで
「大丈夫ですよ。たまに使用人さんも吸われているようですし」
……ほんと、子供ってよく見てるよね。
「いいっつーなら吸うけどさぁ」
「どうぞ」
それでまあ、いつもみたいに一服やってたの。あー……いや、その時はまだ今よか重いヤツ吸ってたな。なんでって……その時の俺、ストレスがアホみたいに溜まってたからさ。主にあいつっつーか、メジロ家のせいで。
んで、その時はこれからどーっすかなあ、なんて考えてケムリ吸ってたんだけど。
「……………………」
「…………なに見てんの」
あいつ、タバコ吸ってるヤツが珍しいのか、俺のことじーっと見てくんのよ。
「あら。もしかして、お邪魔でしたか?」
「そうじゃなくてさ……別に付き合わなくていいから、とっとと学校戻りなよ」
「元より、今日は屋敷に泊まる予定でしたので」
「……あっそ」
だからって一服してるヤツの隣にいる必要ねーじゃん、って思ったけどさ。多分こいつ、ぜってぇこっから動かねえんだろうな思って。うん。もう、あいつの頑固さはその時点で薄々分かってたんだよ。
それだから俺も、あ、こいつ何言っても無駄なんだな、って観念してさ。
「……もうちょい離れてくれる? 副流煙、そっち行っちゃうし」
「やっぱりお邪魔でしたか?」
「ちげーよ。お前、未成年でしかもアスリートに、こんな汚ぇモン吸わせられるわけねーだろ。つーか日陰行け日陰。ここ最近、気温上がってんだから。熱中症でブッ倒れても知らねーぞ」
こう、しっしっ、ってあいつのこと離してさ。そしたらあいつも納得してくれたみたいで、まあ不満顔なのは変わんなかったけど向こう行ってくれたわけ。
……いや、たしかにそれは俺も思った。あんな良家のお嬢様ならさ、タバコの匂いに文句の一つでも出そうなモンだよな。でも、あいつ今でも俺が吸ってることに対してなんも言わねーの。なんでなんだろうなぁ……。
まあ、こっちとしてはいちいちうるさくないから助かるんだけどさ。
それで……そうそう。
「…………」
「…………ふぅ」
「…………」
「……まだ、なんか用?」
「いえ。特には」
「……あっそ」
何って、めちゃくちゃ気まずいの。何考えてんのか分かんねー顔のまま、俺のことジロジロ見つめてきてさ。
だからもう、俺も耐えられなくなって、話題振ったのよ。
……あー、確かに。思えばこの頃から俺、あいつに根気負けしてたかもな。
「……時間あるから、話すんだけど」
「はい」
「デビュー戦、六、七月のうちに済ませときたいんだよね」
あいつの身体のこと考えても、まあそれくらいにはデビュー戦を終わらせとかないと、今後のレースに影響出るからさ。てか、ぶっちゃけデビュー戦さえ済ませとけば後でレースなんていくらでも出られるしな。早めにデビューしといて、ジュニア級は基礎固める、みたいなのも別に珍しくはないし。
でも、そん時はまだ大体これくらいかな、ってふんわりした予定しか考えてなくて。
「それくらいだったら、芝・中距離のレースあるだろうし。それ出るつもりで」
「分かりました」
「……また、ダート走りたいとかアホみたいなこと言うなよ?」
「しませんよ。だって、今回はトレーナーさんがいるんですもの」
なんて、笑いながら言われてさあ。
そこで確信したんだよ。あのババア、このワガママばっかり言うクソガキ本気で俺に押し付けたんだな、って。いや、別にその時まで半信半疑だったわけじゃねーけどさ。なんつーか、その……何だ。
……あいつ、その後なんて言ったと思う?
「次のデビュー戦では、今の私にできる全てを賭けたいと思います」
「……なにそれ。どういう意味?」
「私のこの両脚は、いつ壊れてもおかしくありません。ですから、まだ走ることができるその間に……出走する全てのレースに、悔いを残さぬよう全力を注ぐこと。それが、今の私に課された使命です。たとえ、私の両脚が砕け散ろうとも……砕け散るその瞬間まで、私は私のレースを完遂したい」
「いや、ちょ……は? お前、とんでもないこと言ってる自覚ある?」
「というと……?」
「……なんか、このデビュー戦で走れなくなってもいい、みたいに聞こえるんだけど」
「ええ、その通りですよ」
マジでさ、いちいち重すぎるんだって。
いや、デビュー戦はそりゃ、大事なレースよ。だってそこで勝たないと、今後のレースに出れねーもん。意気込みはそりゃ、あるだけあった方がいいよ。でもさ、あいつはデビュー戦を
つまり、あいつは『今できることを全力で』を突き詰めてるヤツだったの。
それで俺は、その全力に
そりゃ今まで、メジロ家の出のくせに、トレーナーの一人もつかないワケだわ。だって、そんな覚悟キマったヤツについてけるヤツなんて、
そんであいつ、頑固だからこっちが何言っても聞かねーじゃん?
その上、身体も強くないし、脚も弱いし。
だからまあ、言っちゃえば時限爆弾みたいなモンだよ。
……押し付けられてる、ってのはそういうこと。
「アホかお前。デビュー戦にそんな意気込みで出るヤツいるかよ」
「ですが、私の脚がそれほど長く保たないことは事実です」
「……………………」
なんつーか、そこまで言われたらもう俺、何も言えなくなっちゃってさあ。
「……おタバコ、吸われないんですか?」
「え? あー、ああ……やべ……」
気づいたら、俺の持ってたタバコ、ほとんど吸わないまま灰になってたの。
「……あと一本吸ったら、俺もう行くわ」
「そうですか」
そんでまあ、もう一本に火ぃ点けたんだけど。
いやあ、初めてだったわ。
吸ってもなんの匂いも味も感じなかったの。
■
それから、デビュー戦に向けて色々トレーニングしてたんだけど。
改めて芝のコース走らせたときに、思ったのよ。あいつ、素質自体はあるって。ハズレてもメジロ家のウマ娘っつーか、そういうところはしっかりしてる。中距離のタイムも世代の中で見れば、悪くないし。ワンチャンマイルの距離とかも行ける……つーか、実際タイムはそこそこいい方だから、きちんと指導してやれば走れるんだよ。でもまあ、アレだ。分かりやすく言うと、その……積んでるエンジンが中距離向け、って感じ。
だから、俺のすることはあいつの体調管理と、あと……
「スタート直後から中盤にかけて、微妙にフォーム崩れてるから、そこ意識な。そこ直せばもっとスムーズに加速できるし。それと、コーナーに入ると重心が少しだけブレるクセあるから、そこも注意。実際のレースだとコース取りに影響してくるし、今のうちに直しておきたいかな。……ま、難しい話だけど、やってみてよ」
……え?
いや、ちゃんと指導するでしょ、そりゃ。それが俺の仕事だもん。つーかそうしないと怒られるから。
それで……そうそう。あいつ、今まで自分でメニュー組んでた、って言ったじゃん? だからまあ、仕方のないことではあるんだけど……まあ、走りに変なクセとか、我流の部分があったのよ。だから、それ直すのが先だったわ。
「今日の体調は?」
「悪くありません。脚も軽いくらいです」
「あ、そう。それじゃ、朝練はこれくらいで上がっとくか」
「午後のトレーニングはどうなさいますか?」
「それなぁー……本当はいつも通りやりたいんだけど、最近トレーニングルーム混雑してるじゃん? だから、プールの利用申請とか通ったら、そっちでやってもいいんだけど……」
ちょうど、そんな感じで迷ってる時だったかなあ。
「おはようございます、アルダンさん!」
やってきたのよ。我らがチヨちゃんが。
「あら、チヨノオーさん。おはようございます」
「昨日は大丈夫でしたか? お屋敷の方に泊まられていたみたいですけど……」
「定期的な健診ですから大丈夫ですよ。今日は調子もいい方ですし」
「なるほど! それならよかったです!」
そんな感じでいつもみたいに……え? あ、そっか。外部の人って寮の部屋割りとか知らないのか。そうそう、あの二人、同室なんだよ。だから元々、仲も良かったみたいで。まあ、あいつがよく屋敷の方に泊まるから、実質チヨちゃん一人部屋みたいな感じになってるみたいだけど……。
いや、それはいっか。んで、そしたらチヨちゃん、あいつと話してる最中に俺のことに気づいたみたいでさ。
「チヨちゃんおはよ。今日も元気?」
「はい、元気です! トレーナーさんはどうですか?」
「俺はちょっと寝不足気味かな。最近ちょっと忙しくてさー」
「そうなんですか お仕事、大変ですもんね……でも、無理はいけませんよ! しっかり寝てください!」
「そーだよね。今日は頑張って早く寝てみるよ」
「あと、タバコもダメですからね! 身体に悪いんですから!」
「あはは……」
「笑って誤魔化さないでください!」
ね? あの娘、めっちゃ可愛いっしょ。なんか、実家で飼ってる犬のこと思い出すんだよね。
なんてお話ししてたら、急にチヨちゃんが、あれ? みたいな感じになって。
「いま気づいたんですけど、お二人ってお知り合いだったんですか?」
「……私も、同じような質問をしようと思っていたんですが」
「え? あー……あれ? つーかお前とチヨちゃん、知り合いだったの?」
ほら、当時の俺もチヨちゃんとあいつが同室なの知らなかったのよ。だから、俺も二人の言ってる意味とか全然分かんなくて。結果として全員がぽけー、ってした顔で、あれ? みたいな感じで首傾げてさあ。
そしたら、最初に気づいたのがチヨちゃんだったのね。
「もしかして、アルダンさんが言ってた新しいトレーナーさんって、まさか……!」
「はい。こちらの方です」
「そんなぁ!?」
そこで俺も、ようやく思い出したのよ。
「私の担当してくれるって話はどこ行っちゃったんですか!?」
あー、そんな約束どっかでしたな、って。
……いや! 違うんだって! そんなテキトーな約束っていうか、裏切るようなマネ、可愛いチヨちゃんにするワケねーじゃん! だから、そのー……いや、これ言うとめちゃくちゃ言い訳してる感じになるんだけど、まさか、本気にしてるとか思わなくて……。
『俺もまだサブトレだけどさ、もし研修終わったらチヨちゃん担当したいなー』
『本当ですか!? じゃあ、トレーナーさんの研修が終わるまで、待ってます!』
『あ、マジで? それなら研修終わったら真っ先にスカウトしちゃおっかな』
だってさあ、そんな感じの約束だったのよ? しかもその時の俺、全然サブトレの研修中だし。そんないつ終わるか分かんねーモン待ってたら、レース出られずに卒業しちゃうって。だから、マジで俺のこと待つとか思わねーじゃん。いやまあ、そこでホントに待っちゃうのがチヨちゃんの素直でいいところなんだけどさ。
それで……ああ、そうそう。
「……マジごめん」
「もっ……もうちょっと言い訳してくださいよ!」
「いや、こればっかりはどうしようもなくてさ……ほんと、ね」
「こればっかりは、って……どういうことなんですか、アルダンさん!」
「……ごめんなさいね、チヨノオーさん」
「うわーん! アルダンさんにとられたぁ!」
なんて泣かれちゃって。いやどーしよこれ、って思ってたら、あいつが。
「……チヨノオーさんと、そんな約束をされていたんですね」
「あー……いや、そんなマジな約束だと思わなくてさ」
「私はマジだったのにっ!」
「あらあら……かわいそうなチヨノオーさん。トレーナーさんもひどい人ですね」
なんでお前がそっち側なんだよ、とか言いたいこといっぱいあったけど、今はそんなこと言ってる余裕なくてさ。
いや……実は俺、チヨちゃんとの約束すっぽかしたの、今でもマジで後悔しててさあ。てか何って、チヨちゃんとの話出しときゃ、こいつと契約することもなかったんじゃねーの、って思って。つかそれよりもやっぱり、マジでチヨちゃんには悪いことしたからさ……なんか、申し訳なくなっちゃって。
「私のことも担当してくださいよぉ! そしたら、トレーナーさんともアルダンさんとも一緒にいられるのに!」
「いや、無理言わないでよ。俺、まだ二人も担当持てるような実力ねーって。仮にそれができたとしても、ちゃんとトレーニングとかの面倒見てやれなかったらダメでしょ? だから……そのさ。今回ばっかりは許してくれない?」
「ダメです! 許しません!」
「そこを何とかさ……あ、そうだ。何なら今からでも、チヨちゃんとこいつ交換して……」
ぺちっ。
「……え、何? 痛いんだけど」
「………………」
「ちょ、あの、なに? 尻尾……痛っ、痛ぇって、おい!」
アレさ、何なんだろうね。尻尾でハタいてくるやつ。今でもたまーにやられるんだけどさ、あれ地味に痛いから本気でイヤなんだよね。なんか説によると縄張りとか云々みたいな話があるらしくて……でも俺、生態方面とかは全然分かんねえの。だから、単に嫌がらせだと思ってる。……実際、どうなのかは知らねーけど。
「チヨちゃん、聞いて?」
「……なんですか?」
「その、約束をすっぽかしちゃったのは、本当に申し訳ないと思ってるんだよ、俺。だから……担当する以外なら、出来る限りチヨちゃんの言うこと聞いてあげるから。一回だけじゃなくて、今後ずっと。それで、なんとか許してくれない?」
「………………」
まあ、それが俺の出来る精一杯のことだったわけ。
……俺、ホントにチヨちゃんのことは好きなのよ。素直でいい娘だし、話してて面白いし。何より可愛いからさ。あの約束もノリで言ったのは認めるけど、割とマジでするならこの娘かな、とか思ってたから言ったわけで。
だから、せめてもの罪滅ぼしっつーか、それくらいしてやらないと、って思ってたわけよ。
そしたらチヨちゃん、少し考えてから言ってきたの。
「……タバコ」
「え?」
「タバコやめてくれるなら、許してあげます」
「……あー……それは、その……」
「……………………」
「……………………」
……………………。
「うわああああん!」
「ちょ、違うんだって! チヨちゃん待って! ちょっと!」
……まあ、そんな感じで逃げられちゃってさ。
ああ、今は別にそんなことないよ。普通に仲いいし、色々レースとかそれ以外でも相談乗ってあげてるし。つーか今思えば、寧ろ担当になるより、こうやってライバルみたいな感じでやってた方がよかったのかな、くらいに思ってるよ。でも……後悔してない、って言ったらウソになるかな、やっぱり。
「……嫌われてしまいましたね?」
「ほぼお前のせいでな! ほんっと俺に損な事しか持ってこねーよお前は!」
「申し訳ありません。なにせ私は、
「……ッああ、もう!」
なんてこともあってなあ。
とにかく、チヨちゃんには申し訳ないことしたって、今でも思ってるんだよ。
チヨちゃん本人は気にしてないっつーか、むしろ自分のワガママだった、みたいなこと今では言ってくれてるけどさ……やっぱり俺からしたら、女の子との約束破っちゃうのは、流石にどーなのよ、って感じで。
ほんっと、俺……いつもこうなんだよなあ。
…………はぁ。
■
Q.続きますか?
A.圧をかけられているので、続きます