今回、結構独自解釈があります。
「俺を七武海にしろ」
俺のお願いを聞いたドフラミンゴは呆気にとられたような顔になった後、自分を落ち着かせるためか豪奢なソファーに座り直し、テーブルの上に置いてあったワインを一気に飲み干した。
さっきまで死ぬほど機嫌が悪かったが、あまりにも俺の言葉が予想外だったのか、どうして怒っていたのかも忘れてしまったようだ。
「……急に何を言い出すかと思えば、七武海にしろとはな……何を考えてやがる」
「アンタが七武海やっていて楽しそうだったんでね。急になりたくなったんだ」
「ふん。海軍大将が怖いだけだろう」
「その通りだ」
「そこは否定しておけよ」
もう開き直っているので別に恥ずかしくもなんともない。
怖いものは怖いんだ。
あの人たち、マジで強いもん。
「で、どうなんだ? アンタなら出来るんだろ? さっきも言っていたじゃないか。政府の上に伝手があるってな」
「そうだなァ……」
額に手をやって暫く考え込んだ後、ドフラミンゴは答えた。
「……席を用意してやることは
「おぉ!」
「だが!」
喜ぶ俺に釘を刺すように彼は言った。
「断言する。その席は長くは持たねぇ」
ドフラミンゴは俺のグラスにワインを注ぎながら言った。
「俺の言っている意味、分かるよな? 俺のお膳立てで無理やり七武海になったとしても、お前を快く思わない連中が多すぎるって話だ。遠くない将来、お前はその席から強制的に引きずり降ろされることになる」
あー、なんだ。そんなことか。
「構わないよ。
「なに?」
訳が分からないといった顔をするドフラミンゴ。
まぁ、目の前の男は七武海制度をフルに活用して今の地位を確立した経緯を持っている。
当然、俺も同じようなことをするつもりだと思ったのだろう。
だが、俺が欲しいのは今から麦わらの一味に加入する間までの安全保障だけだ。
逆に言えば、それ以上の関係性には興味がない。
特に抜けるのが大変そうな海賊団はお断りだ。
その点、七武海ってのは申し分ない。
その気になればすぐに辞められるし、そう遠くない未来に七武海制度自体が(主に目の前の先輩とワニ先輩のせいで)崩壊することを知っている俺からすれば、長期プランを見据えて加入するようなものでもないからな。
俺が目指しているのはもっと先。
未来の四皇。やがて海賊王にいたる男、麦わらのルフィ。
彼の仲間になり、麦わらの一味補正でハッピーエンドを迎えること。
それが俺の夢の果てだ……!
「……どうした。気持ち悪い顔をして」
「ん? いや、何でもない。ちょっとOPでの決めポーズを考えていただけだ」
「……まぁ、何でもいいが、忠告はしたぞ?」
「あいよ。しっかり聞きましたよっと。――さて、今度は俺があんたに提供できるもんだな」
「フッフッフッフ、楽しみだな。何を提供してくれるんだ?」
「そうだな……俺のサインかな」
「ぶち殺すぞテメェ」
「ふへへ、先輩怖いっすよ~。冗談だって――冗談だからその手を下ろしましょうか」
危ない、危ない。ちょっとからかいすぎた。
すーぐ本気にするんだから。
「そうだな……逆に言えばアンタ、何が欲しいんだ?」
「……何も考えてないのに俺に取引を吹っ掛けるとは舐めた野郎だ」
「いいや、考えてはいるし、知ってもいる。だが、先にアンタが俺を七武海にできるのかを知りたかっただけだ」
「……頭のイカレた野郎に見えて意外と考えてやがる。おい、やっぱりお前本気で俺の仲間にならねぇか?」
「だからならねぇって。いいからさっさと欲しいものを言ってくれよ」
「欲しいモノ……欲しいものねぇ……」
額を手に当てながら思考するドフラミンゴ。
先程まで余裕なさそうだったが、今はニヤニヤと笑っている。
あっ、あの顔はあれだな。
絶対に俺が用意できないものを言おうとしているな。
性格悪っ!
「なぁ、思いつかないなら俺の方から試しに提案してみてもいいか?」
「フッフッフッフ、好きにしな。だが、甘く見るなよ
「古代兵器とかどう?」
「――――」
絶句。
そんな感じだった。
唇の端を吊り上げた状態で暫く固まっていたドフラミンゴだったが、数十秒経過してからようやく再起動を果たし、のろのろとソファーに座りなおした。
「……おい」
「ん?」
「テメェ……何者だ? まさか、世界政府に追われているのは……」
「いや、それは馬鹿な天竜人のせいだ。俺が知ってるのはあれだ、偶然だ」
「偶然で知れる代物じゃねぇだろッ‼」
全身全霊でツッコミを入れるドフラミンゴという珍しい景色が見れた。
麦わらの一味としてローに会った時に自慢できるかもしれない。
「ハァ、ハァ、いかん……完全にコイツのペースに吞まれている……」
「まぁ、落ち着けよ。時間はたっぷりあるんだからさ」
「……そのクソ度胸。知識。強さ。お前、四皇でも目指した方がいいんじゃねぇか?」
「だから、入りたい海賊団があるんだって。四皇なんて興味ないよ」
「……変な奴だな」
呆れたように溜息をつくドフラミンゴ。
だが、俺は内心結構冷や汗を搔いていた。
頭の片隅に「この人何でも知ってるし、古代兵器の場所も全部知ってるんじゃ……?」という疑念があったからだ。
でも、この様子だと存在自体は知っていても具体的な隠し場所は知らないようだ。
「……で、
「プルトン」
実際にはもう一つの場所も知っているが、しらほし姫のことを言わない程度の理性は持っている。
彼女は俺が恋人にする予定だからね。
ドフラミンゴパイセンにはやらん。
「ちっ、マジで知ってやがるのか……」
「アンタもな。――だが、最初にも言ったがこれは取引だ。アンタが俺を七武海にしてからしか場所は言わない」
「おいおい、じゃあ、お前が七武海になってから口を閉ざしたらどうする? 今教えろ」
「嫌だよ。今教えたら絶対殺しに来るじゃん。俺を七武海にしてからだ」
「交渉の仕方ってのを知らねぇのか? こういうのはお互いに譲歩が大事なんだ。そうだなァ……じゃあ、こうしよう。俺がお前を七武海にできる力の一端を見せてやる。お前はそれに準じて古代兵器に関する情報を開示していく。そして――」
「俺が七武海になった時、古代兵器の在処をアンタに話す」
「その通り。どうだ?」
「契約成立だ」
俺とドフラミンゴは同時に立ち上がり、がっちりと握手を交わした。
「これからよろしく頼むよ、先輩」
「おいおい、まだなれてねぇのに気が早い奴だな。後輩」
「「フッフッフッフ‼」」
こうして、ここに史上最悪のパートナーシップが結ばれたのだった。
ドフラミンゴが古代兵器について明確に言及している場面はありませんが、まぁどうせある程度は知ってるでしょこの人(適当
なお、主人公の考えとしては
「ワノ国にあるし、どうせカイドウ怖くて取りにいけないだろ」って感じ。
甘い見通しで世界を危機に晒していくスタイル。
海軍と世界政府は早いところコイツを殺した方がいい。