1:届いた腕と託せる仲間と新たな旅
「良かった…… やっと届いたんだ…………… 俺の手が………………………」
ボロボロの少女に震える手を伸ばす。その少女にかつて救えなかったルウと重ねてしまう。目の前の少女とあの子が全くの別人なのは分かっている。けどあの日、あの時、届かなかった手は確かに目の前の子に届いて助けることが出来た。
あぁ、伊達さん怒るだろうな…… 自分の命を捨ててあの子を助ける判断をした事。でも許してほしい、俺には医者は向かない。あの瞬間、あの子を救うにはコレしかなかったんだ。
後藤さんはなんて言うかな。呆れながら叱ってくるだろうか? ダメだな…… 思うように考えが纏まらない。ホントは復興の手伝いもしたいけど、その欲望を満たす事は無理そうだ。生き残った人たちに手を伸ばすのは、皆に託そう。代わりに手を伸ばして届けてもらおう。ズルいな俺。
あ、アンクが泣いてる… 信吾さんの涙? それとも二人の涙? ごめんね比奈ちゃん。その涙を拭う力は残されてないや… 里中さんに礼を言わないと、あの子を連れてきてくれたお礼。知世子さんに謝んないと、力になれなくてごめんと。
皆に伝える事多いな…………… でも、もう無理だ。アンクを生き返らすことが出来た。それだけは満足したから。じいちゃんの言う通りだったな。俺は今日のパンツで死ねそうだよ。欲望を満たす事は出来なかったけど、願いはかなって、大切な仲間達に見守られて死ねるんだ。
後の事を託せる仲間達に明日を託せて、ここには居ない仮面ライダーがこれからを守って、ミハル君のいる明日へと繋げてくれる。こんなに頼りになる人達が身近に要るんだ、だから安心して逝ける。……………………お休み。
これは一人の戦士の独白。戦いの果てに満たされる事ない欲望を持つ青年が、願いをかなえて異形の右手を持つ男性と女性の腕の中で安心しきって永久の眠りにつく。その顔はとても安らかであった。その男の名は
時は2010年、錬金術師によって作られた欲望のメダル。その争奪戦の中、仮面ライダーオーズとなり熾烈な戦いを潜り抜けた。その戦いの中、800年前には表舞台に出る事の無かった無のメダルを取り込み、世界の終末をたくらんだ一人の科学者がいた。
その科学者の登場によりメダルの争奪戦は激化。しかしその戦いの中でかつて諦めていた欲望を再確認、その欲望で暴走しかけるが周囲の力もあり無事に戦いに終止符を打った。
それから10年後、800年前とある小国の王だった先代オーズが時空の彼方へ消えた紫のメダルを手にして復活。世界を己の物しようと争奪戦の中で砕けたメダルを復元し、更には子孫が管理していたコアメダルを奪取。倒したはずのメダルの怪人、グリードを蘇らせ己の手ゴマとし世界を混沌の時代へと染め上げる。
昭和の時代に誕生した仮面ライダーの助力もあり、日本へと帰国した映司は800年前のオーズと戦闘を繰り広げるも敗北。自身の最後の灯火を使いかつて共に戦った相棒とも呼べる鳥系グリード、アンクのコアを修復させる。その後、映司の肉体は新たに誕生した現代のグリード、ゴーダの憑依により一命を取りとどめるも800年前のオーズ撃破後、無数のメダルを取り込み反乱。
ゴーダが映司の肉体を捨てた事で状況は悪化。しかしアンクの起点により、新たなオーズでゴーダを撃破する。映司自らの意志でアンクの憑依を引きはがし最後の会話、再開の余韻に浸ることなくその生涯を終え、たくさんの人に惜しまれながら天へと旅立った……………………………
映司を始めとした仮面ライダーが存在しない世界。
そこではノイズと呼ばれる人類の天敵ともいえる存在が人々に脅威を振るう。人類にはこれと言った対抗策は無く、遭遇した際には逃げ続けるしか
「っう……………… ここは?」
激戦による傷も痛みも無い体を起こしながらあたりを見渡す映司。どうやら映司が目覚めたのは人通りの少ない路地裏のようだ。
「おいおい、嘘だろぉ……!」
人通りの多い通りで映司は驚くべきものを目撃する。それはあるイベントを告知するポスター。記載された西暦にはしっかりと2042年の文字が………
かつてコアメダルの力により次元の穴が開き、未来から戦闘欲のグリードであり仮面ライダーである者がやって来た。そのグリードが取り込んでいた水の力を使う仮面ライダーと共に戦ったあの日の出来事は今でも思い出されるぐらいに鮮明に覚えている。
前例があるとは言え、いざ自分が彼の様に時間を飛び越えていた事に驚きを隠せない映司。元々世界各地を旅していた彼にとって不思議な出来事はいくらも体験してきた事だ。
自身を死神と称してなにも力を無い人々を自身と同じ不死身の怪物へとしようと計画した白い仮面ライダーとその一味、宇宙からやって来たスライムの様な宇宙生命体の後輩ライダー、錬金術と同じく昔の学術の一つであった魔法を使うライダー、植物の増殖と言う悪意のない自然現象と戦い黄金の果実で神になったライダー、人の悪意によって作られ新たな地球の生命体になろうと人類と戦った108体のロボット、若さゆえの無茶をして幽霊になっても他人に手をの延ばす事の出来るライダー、人間に感染するよう進化したコンピューターウィルス、別次元から
そしてグリードと彼らが人の欲望から生み出すヤミー。あの日、美術館でアンクのコアメダルを拾わなければ体験できなかった様々な出来事が、摩訶不思議な出会いの数々。そんな経験をした映司ですら現状に戸惑いを隠せない。
まぁ、タイムトラベルだけで言うのならば別の映司が経験しているのだが、それはこの映司にとっては経験したかもしれないIF。
(取り合えず………明日のパンツをどうにかしないと)
いろいろと考えいる事が有るのも事実だが、直近の問題を解決する方へ思考を変える。自身の懐を探り、明日履くパンツがない事に気が付いた映司はそれを一番の問題とし行動を開始した。2042年での彼の旅の始まりを祝福するかのように、空は青く輝く。
〈補足〉
・本作の映司は「MEGA MAX」や「平ジェネFINAL」を経験した映司です。その為、復活のコアでは他の仮面ライダーの手によって被害は減っております。(要は僕らの知る映司とはまた違う映司)
・Q.なんで映司がシンフォギア世界に転生した? A.
その他、気になることが有ればコメントください。