ヤーナムの詩人狩人 作:はらはら
実況や考察のみのにわかなので可笑しなところがあったら鼻で笑って下さい
「オイオイどうしたよvチャーン!?元々無口だったけど更に喋らなくなってんじゃネーか!!」
「…この状況を見てわからないのかお前は」
グリフォンの軽口に対してvは壁の手すりに捕まり体を起こしながら口を開く
「ンン〜??まぁ確か思いっ切りぶっ飛ばされてたけどヨォ〜、その割にはケガもなさそうじゃネェか?」
「…あぁ…」
あの獣に吹き飛ばされ先程までは体を動かすのがやっとの状態だったが、どう言う訳か体の調子が良くなっている、これなら歩くぐらい問題ないだろう…
「ってそんな事よりも契約だ!契約っ!!早くしねぇとオレら消えちまう!!」
グリフォンは翼を喧しくはためかせ、vを急かす。
確かに彼らの体が徐々に消え始めている、このままでは消滅は免れないだろう。
「わかってる、早く来い」
vは片腕を彼らの方に掲げて此方に来る様に促す、三体の魔獣達は開いたvの掌に向かって飛び込んでいく、銀髪のvの髪はコールタールでも被ったのかとでも言う様に黒く染まり、体には二種類の模様が浮かび上がる
「ヨッシャ!!準備完了!!イこうぜ相棒!!」
「少しは静かに出来ないのか…お前は?」
「アァァン!?無理に決まってンダろォォ!ダンテの野郎にぶっ殺されたと思ったらいきなり妙な街に居んだ!ワケわかんな過ぎてテンション上げネェーとやってられネェンダヨォー!!」
グリフォンの言葉を聞いてvは目を見開く
「戦ったのかあいつと?」
「アン?まァな、バージルの所にオレらは必要ネェし、最後に絡んでやってな」
「そうか…」
「最期の時まで悪態ついて来やがってヨ!ホントムカつくぜ!」
こう言ってはいるがグリフォンに嫌悪の感情はない、恐らくダンテとの戦いで何か得るものがあったのだろう…vはそう結論し話題をかえる
「そういえばさっき言っていたが、此処は街なのか?」
「ン?あぁなんか随分古臭い感じの街だったゼ、住民同士で殺し合いしてた奴らもいたし外に出るのはヤバそうだナ」
その言葉にvは眉をひそめる、此処が危険であるのは先程の獣の件で充分実感している、だが…
「人間同士で争ってたのか?あの獣とではなく?」
「イヤ、変なバケモン共とかいる事はいるんだけどヨォ、少なくともこの辺りにいる奴らは人間同士で殺りあってたゼ!アリャ完全に目がイッチマッてたナ!!」
「…悪魔とは違うのか?」
「よく分かんネェんだヨ!!オレ達とも違ェし、かと言って半魔でもねぇ!目玉が幾つもあってキモい奴だったゼ!!」
後はさっき殺した獣の同類が何体か居たぐらいだとグリフィンは説明する
悪魔以外の人外の存在…すぐに思いつくとしたら神やら天使といった存在だが、この世界には悪魔こそ存在すれど、そう言った存在はいない…いたとしてもあのムンドゥスが魔帝として君臨していたのだからとっくに殺されているだろう。となると…
(俺もこいつらも知らない全くの未知なる異形な存在…)
あり得なくは無いだろう、人を救う異形は滅多に現れないが、人に害を成す異形は山程見てきた、今更別種の化け物が出てきたとしても驚きはしない…
「…取り敢えず今の俺たちには情報が足りな過ぎる、外に出て街にいる人間から話を聞き出すぞ」
「ハァ!?イヤイヤvチャン人のオハナシ聴いてたァ!?外にいる奴らミンナイカれてるって言っただろが!!」
「ああ…」
「ああ、じゃネェヨ!!視界に入ったら即襲って来る様なヤツらからどう話を聞くんだよ!?アレか?オネガイシマースって頼むのか!?」
「簡単だ」
グリフィンの皮肉にvは診療所の出口に向かって歩きながら何でもない様に
「話したくなるまで痛めつける」
簡単だろう?とvは答える、それを聴いたグリフォンは笑い出す
「…ヒヒヒヒ!イイネ!!ソウだな!喋りたくなるまで俺とネコチャンが遊んでヤれはイヤでも話したくなるナァ!!」
「…喧しい」
楽しくて仕方がないとばかりに飛び回るグリフォンを鬱陶しそうに手で払う
そうこうしていると診療所の床から何かが出てきた、先程の亡者たちのようだ
「ンン〜vチャンどうした?ナンダァ?ソイツラ?」
「知らん、さっきからずっと付きまとわれてる」
「フーン、随分とモテるじゃネーか!男冥利に尽きるネーってイッタァァ!!?」
下らない事を言った、馬鹿な鶏肉の頭を引っ叩き亡者たちに声をかける
「何のようだ」
相変わらず敵対する気はない様だが言葉を話せないのか身振り手振りでしか意思疎通してこない…
このまま此処に居ても時間の無駄だとvは判断すると、亡者たちは自分達の中心からあるものを取り出す
其れは杖だった、金属製の先端の尖った杖、vが武器として使用していたものだ
「何故…?」
これを持っているのか?そう訊いてみたが亡者たちは杖をvに差し出したまま動かない…
vは杖を亡者たちから受け取り再び歩き出す、しかし亡者たちはいつまでもvの方を見続けて消えようとしない
「ナァナァvチャン!アイツらずっとコッチ見てんだけど平気か?ぶっ倒しといた方がよくない?」
「いや必要ない…」
vは診療所の出口に手を掛け扉を開ける、そして彼らに聴こる様に
「礼を言う」
そう告げ診療所を後にした。
外は日が暮れ始めていた、まるで19世紀のイギリスを思わせる街の住人たちは異端者を炙り出す為に手に凶器を持って徘徊する
襲われる側も抵抗したのか住人の死体も何人か倒れている、だが視認できる範囲内だけでも十人以上の武器を持った男達が徒党を組んでいた
「…」
vは住人の姿を確認すると其方に向かい出す
「チョット!?マテマテ!止まれって!オイv!!」
グリフォンの制止を歯牙にかける事なくvは住人に声を掛ける
「お前達」
住人達は一斉に声のする方に振り向く
「余所者が!!」 「くたばれ!!」 「とっとと消えろ!!」
斧や鉈などの刃物をvに振り下ろし罵声を吐きながら襲いかかってくる
振り下ろされた刃物はvの肉体に食い込み肉を裂いていく、それと同時にvの体は黒い影となって溶け出し剣山へと形を変える
「ギャ!!」 「ゴッフ!!」 「がっ!!」
一斉に串刺しにされた住人達は悲鳴を上げ宙吊りにされる…
「質問したい事がある、答える気があるのなら下ろしてやるが、どうする?」
そう訊くと住人達はゆっくりと頷く
「シャドウ」
それを確認したvは住人を下ろす様に指示する
シャドウは住人達を突き刺していた影の強度を変え体に巻き付けて地面にたたき落とす
「グルルル!!」
「ヒィ!!」 「うぅ痛い…」 「神様ぁぁぁ」
妙な事しない様に威嚇してくるシャドウに住人達は泣き叫ぶ、
「さて、答えてもらうぞ」
「ヤーナム、獣の病、狩人か」
あの後喧しく騒ぎ立てる住人達から何とか聴き出せた情報を呟く
このヤーナムの街には獣の病と言う風土病が流行している事、発症すれば獣となり人を襲いだす為狩人と呼ばれる者達が獣狩りの夜に獣狩りを行う事
そして今日がその獣狩りの夜だと言う事
「ハッハァー!vチャンようやく見えて来たぜー!」
住人から聖堂街と呼ばれる場所へと繋がる橋の場所を教えられvはそこを目指していた。
打ち捨てられた馬車や何かが潰された後を見て杖を構える
「来るぞ」
橋の先にある街の入り口から巨体が飛び出しvの前に降り立つ
痩せこけた羊と狼を足した様な巨大な獣は拳を握り締めv目掛けて叩きつける
vは後方に向かって跳躍し獣の一撃を躱す
「オイv!!平気か!?」
「問題ない」
獣から距離を取り、体勢を立て直すと同時に杖を構える
「チクショウ!!アイツら何が橋に向かえばいいだ!!とんでもねぇ奴がいんじゃねぇかっ!!」
「どうやら担がれた様だな…」
余所者である自分に対する嫌がらせか、はたまた傷つけられたことに対する報復か
まぁどちらでも構わない
「立ち塞がるのなら…」
やる事は変わらないのだから
「始末するまでだ!!」
指を鳴らして呼び覚ます、最強の悪夢を、破壊の権化を
空間に亀裂が入り中から何かが這い出しくる
其れは泥の塊のようだった、泥が手と足を形作り中心には光輝く瞳がある
獣は先程まで暴れ回っていたのが嘘の様に動きを止める
理解してしまった、例え狂気に呑まれようと本能で
コレには勝てない、抵抗しても無駄だと
「押し潰せ」
泥の塊に男が指示を出す、それと同時に怪物は両手を高く掲げ獣に叩きつける
「グォォォォォ!!!!」
拳を叩き込まれ背骨を砕かれたのか身動きが取れなくなる、vは杖を振りながら獣に近づく
「愚か者もその愚かさにしがみついていれば賢くなれる」
獣の前に立ち杖の切っ先を向け呟く
「最期に学べた様だな、ゆっくりと眠ると良い」
獣の頭に杖を突き立てそう告げる、獣は絶叫を上げ息を引き取った
獣を始末すると橋の先の門前まで辿り着く、だが門は閉じられ開く様子はない、無理矢理壊して進んでも良いがそうなれば街にいた獣が入り込むだろう
vは踵を返し街へと戻る
「どうしたv?アイツらにやり返しに行くのか?」
「疲れた、休める場所を探す」
グリフォンが尋ねるとvは短く答えて近くにある建物のドアを蹴破る
「イヤ休める場所ってこんなボロ屋で休んでたらまた襲われるだろーが!!」
「そうしたら起こせ、俺は眠る」
淡々と告げたvに唖然とし開いた口が塞がらない、グリフォンは寝息を立て始めた自分の相棒に
「お前だいぶ性格がいい加減になったんじゃね?」
皮肉を口にした
「何処だここは?」
おかしい、自分は空き家のベッドで眠っていた筈だ
それがどうだ、目が覚めたら見覚えのない場所にいる
一面の花畑に丘の上にある一軒家、幼少の頃自分が暮らしていた家とはまた違った屋敷があり、そこへ続く石造りの階段には先程みた亡者達がいる
ふと目を階段の横に向けると誰かが佇んでいた
警戒しながらも近くに寄ると相手の全容が窺えた、一見すると人間の女だった、一昔前の喪服を身につけ赤い帽子に花飾りをつけていた
しかしこの女が人間でないことを決定付けるものを見た
女が体の前に組んでいる手、それは人の物ではなかった、人形等に用いる球体関節の指、ネロの様に義手と言う訳でもないだろう…
そもそも目の前の存在からは人の気配も匂いも感じない
自分を見るvの視線に気付いたのかそれはこちらを向く、明らかに人間ではないそれは人間と変わらぬ動作でスカートを両手で軽く持ち上げ挨拶をする
「ようこそいらっしゃいました…狩人様」