ヤーナムの詩人狩人   作:はらはら

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片割れ②

 

「仲良くなれる?」

 

何を言ってるんだ?誰の話をしている?

 

「わ、私が怪物を出す時はそんな風に喋ってくれないの!私のことを守ってくれるけど、話しかけても答えてくれないしすぐに消えちゃう!」

 

アドリエンヌは続ける、この町の人は自分を嫌っている、仲良くすることなど出来ない、それはわかった

 

だがそれでも一人でいる事に耐えられる訳ではない、ならばどうするか?

 

自分の事を守ってくれているカードの怪物達彼らしかもういない

 

声に出した通り彼らはただ命令に従うだけで召喚者と絆を深めると言ったことはしない…

 

しかし目の前にいる鳥の怪物はすごい喋る、自分から、命令されてもないのに

 

きっと何か仲良くする方法があるんだ!そう考えてアドリエンヌは目の前の二人に話しかけた

 

「お願いします!教えてください!」

 

「待て、いや待て…?」

 

何やら真剣に話しているアドリエンヌを前にvは困惑していた…

 

どうやらこの少女からはvとグリフォンがとても親しい友人に見えたらしい

 

vにとってグリフォンを含む三体の魔獣は確かに仲間と言えるだろう…それこそ互いの命を預けられるくらいの

 

だが彼女の言い方からするともっと仲の良い遊び友達のような関係性の事を言ったのだろう…

 

ならば誤解は解かねばならない

 

「…勘違いしているようだが「なんだ〜!?嬢ちゃんオレらみたいなトモダチが欲しいのか!?」…おい?」

 

訂正しようとしたvの言葉を遮るグリフォン、睨みを効かせるがどこ吹く風だ

 

「はい!欲しいです!」

 

「仕方ネェナ〜オイvチャン!!色々教えてやれぐほぉ!?」

 

勝手に話を進めていく鳥の首根っこを掴み少女から距離を取る…

 

「イテテテ!イッテェよオイvヂャン!!」

 

掴み取ったグリフォンを壁に押し付け念話する

 

(どう言うつもりだ…?厄介ごとは御免だと言っただろう)

 

(イヤイヤわかってるって!)

 

(なら何故面倒事を引き込もうとする、あのアドリエンヌとか言う小娘の言葉に嘘がなければアレはジェルベール、王族だ)

 

神の力を宿した複製では無い本物の鍵を持つ者たち、人外の存在と深い関わりが有るであろう一族

 

なるべく目立たぬようにしていたのにこんな所で関わりを持ちたくない

 

(ちょっと待てって!よく見ろあのガキを!!)

 

ジタバタと暴れるグリフォンに押し付けながら少女の方へと目を向ける

 

急に喧嘩し始めた二人を見て少女は怯えていた…そこでvの目に少女の持っている鍵が目に入る

 

「あれは…」

 

その鍵は自分の持っている鍵とは違った…自分が持っている鍵はガラス細工のような透明感のあるものだが少女の鍵は違う

 

赤い光を放つ丸い石に土星の輪の様なものが装飾されている…

 

しかし最たる違いはその込められた力だ

 

疲れ果てていたせいか全く気づかなかったが、その鍵からは尋常では無い程の力を感じる…

 

成る程あれが女王の鍵なのだろう、しかし…

 

(コイツは何故一人でここにいる?)

 

王族、特に女王の鍵を持つ者など最重要人物の筈、護衛も着けずに一人にさせるなどあり得ない、ましてや子供なら尚更

 

vはグリフォンを離し家の扉を開け少女に声をかける

 

「…お前に聞きたいことがある、取り敢えず中に入れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後vは少女から話を聴いた、ブリューワに旅行に来たが町に置いていかれた事

 

旅行に行く前に母親から泣きながら鍵を託された事

 

決して無くさぬようにと何度も念を押されて…

 

「お母様がくれた石のおかげで暮らしていけるけど、石の所為で皆仲良くしてくれない、こんな石捨てちゃえば良いのかな?」

 

泣きながら今までの事を話すアドリエンヌに頭を抱えるv

 

と言うのも女王の血筋であるにも関わらず彼女はどうも鍵に対する知識が無い

 

一応女王の鍵の伝説は知っているようだが、自分が持っているのがそうだとは考えてもいないようだ…

 

そして彼女が家族について話した時に出てきたリシュアンヌと言う双子の妹

 

彼女は今回の旅行には来なかったと言う、アドリエンヌだけ町に捨てられ彼女は捨てられていない、つまりは

 

(跡目争い…)

 

女王になれるのは当然一人だけ、しかし双子の姉妹が産まれてしまった…

 

そうなれば当然それぞれの子供を担ぎ上げる派閥が出来るだろう

 

ただでさえコルテンの勢力が人工の鍵を量産して脅威になっているのに内部で争えば一気に大陸統一前に逆戻り、再び戦乱の時代がやってくるだろう

 

だからこそアドリエンヌは捨てられた、戦乱の時代を避ける為に…だが

 

(馬鹿なのか?)

 

内部の争いを避ける為片方を追放する…それはわかった

 

しかし信頼できる者に預けて暮らさせるなど他に方法があるだろう…

 

しかも女王はこの娘に鍵を渡してしまっている、もしも今コルテンがオルディンに攻め込んで来たら何もできないだろう…そうなれば本末転倒だ

 

だからこそいずれ女王は少女を探しに来るだろう、女王の鍵を取り戻す為に

 

「いいか?よく聞け…」

 

vは少女に対して口を開く

 

「まずお前が捨てられた理由だがそれに関しては置いておこう、だが鍵は絶対に捨てるな、常にお前が持っていろ…」

 

「え?何で…」

 

「お前が持っているのは女王の鍵だ」

 

その言葉にアドリエンヌは目を見開き抱えている鍵に目を向ける

 

「カ、カティア様の?最初の鍵?コ、コレ?」

 

動揺するアドリエンヌにため息をつく、むしろ今まで何だと思っていたのか?

 

「それとお前が王族というのも誰にも言うな、名前を言う時もジェルベールを名乗るな」

 

「どうしてですか?」

 

「…鍵を持っているお前が女王の娘を語ったらどうなると思う?」

 

「えっと……わからないです」

 

必死に考えるが思い浮かばない、そんな彼女にvは言う

 

「お前とお前の持つ鍵を狙ってコルテンを始めとするあらゆる勢力が襲いかかるだろう、この町の住人が鍵を狙って来るように」

 

当然規模は比べ物にならんが…と告げるとアドリエンヌは顔を真っ青にして震えだす

 

「わ、わかりました…誰にも言いません…」

 

不幸中の幸いか、自分は町の住人に嫌厭されていた、ジェルベールを名乗ることなど目の前にいるv以外なかった

 

「そうしろ、さて…」

 

vは立ち上がり部屋にあるベッドに横たわる…

 

「あ、あの…お兄さん?」

 

「………スゥ〜」

 

寝ている、どうしよう?

 

話は終わったならばもうここにいる事はない出て行かなければ…

 

アドリエンヌは立ち上がり出口に向かいドアノブに手を掛ける

 

「……」

 

しかしその手は動くことはなかった

 

彼女はこの町に来て初めて助けられた、初めてまともに会話してくれた

 

唯一自分を心配してくれた人(彼女にとってそう見えた)から離れたくないと心のどこかで思ってしまっていた…

 

「どうしよう…」

 

きっともう自分は孤独には耐えられない、此処で関わりを持ってしまったからこそ一人の時が更に辛くなる

 

「どうした嬢チャン!」

 

「ヒャ!?」

 

項垂れているアドリエンヌにグリフォンが急に話しかけて来る

 

「どうした?驚き過ぎて漏らしちまったか!?」

 

「ちっ違うもん!」

 

失礼な事を言うグリフォンを怒鳴りつけるアドリエンヌ

 

「じゃあどうした!?帰らネェのか!?」

 

「……」

 

その言葉に彼女は黙り込む、そして意を決したように言う

 

「あの!私ここにいさせてくれませんか!?」

 

「インジャネ?」

 

「お願ええ!!?」

 

軽く言われて思わず叫ぶアドリエンヌ

 

「ガキ一人増えたとこで広さ的には問題ネェし別に良いだろ、シラネーケド!」

 

「知らないの!?」

 

「イインダヨ!取り敢えず荷物持ってきてここに置いて寝ちまえ!明日の朝オレが言っといてヤルから!」

 

その言葉にアドリエンヌ笑顔を浮かべる

 

「ありがとう!!」

 

彼女は扉を開け走って行く、そうして荷物を取りに行き戻って来た

 

部屋の隅に布を敷いて休む、その夜は久しぶりにぐっすり眠れた…

 

 

 

 

 

 

 

後日寝ている部屋の隅で寝ているアドリエンヌを見たvはグリフォンに話を聞いたのち、シャドウと共に鶏肉を締め上げた

 

 

 

 

 

 

 

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