異世界は竜の血脈とともに   作:じーくじおん

2 / 5
書きたい物を書けば良いじゃないと友人に言われたので、スカイリムのAE版も最近プレイしたのも後押しし、処女作をセルフリメイクしようということになりました。
医療従事者のため多忙につき不定期更新となりますが、皆様どうかこれからよろしくお願いいたします。皆様のあたたかい感想・意見・質問等、いつでも歓迎です。


EP0 伝説の始まり

 

 タムリエル運命の日。ブラックマーシュ辺境のヒストから、アルゴニアンの男児がこの世に産まれた。アカトシュの加護である竜の血と共に。異端と言う他なかった。アルゴニアンがヒスト以外の加護を受けるなど、故だろうか、男児は忌み子として、村の全員から疎まれた。ヒスト以外の祝福を受けたが故の報いとでも言うのだろうか。

 

 ひとえにその血の運命として……。

 

 ヒストの加護虚しく、地域は男児の物心付く前にノルドの賊に荒らされた。ヒストを焼き払われ、家族を皆殺しにされ、捕らわれた同族は奴隷同然の扱いを受ける中、件の男児の血の加護を賊の長は見抜いた。

 

 ひとえにその血の運命として……。

 

 男児は賊と共にスカイリムへ赴き、奴隷ではなく戦士として育てられた。ノルドの価値観で言えば、くだらぬトカゲ風情の伝統の一切を投げ捨てた、血なまぐさいノルドの子として……。アカトシュの加護は伊達ではなく、男児はすべからくを吸収した。刃の扱い、狩り、殺し、盗みの技術、そしてかぐわしき血の匂い、全ては生きる為だった。

 

 ひとえにその血の運命として……。

 

 賊の一員となってしばらく、アルゴニアンは偶然ながら全てを知る機会を得た。そして、与えられた血の祝福とノルドの知恵を活かし、男は全てを壊した。育てのノルドも賊の長も、怒りと衝動に身を任せ、全てを無に帰した。

 

 ひとえにその血の運命として……。

 

 彼に唯一残されたのは、その呪われた血と名前だけだった。『ローグ』そう彼こそが、スカイリムを救う運命に縛られた救世主。人は彼を、ドラゴンボーンと呼んだ。

 

 ここまでは誰も知る由もない彼個人のお話。だがここからは、諸君らも知っての通りの冒険記だ。

 

 帝国の処刑から逃れた矢先に終焉の化身、破滅をもたらす黒竜アルドゥインとの邂逅。

初めてドラゴンの魂を食らって思い知らされた自身の出生、呪われた人狼の血脈に苦しむ同胞団との冒険、闇の一党に組みした義賊的暗殺の日々、ウィンターホールド魔法大学での実りある学びの日々、スカイリム全土を巻き込んだ帝国とストームクロークの紛争、ドーンガードと吸血鬼との全面戦争、別大陸でのドラゴンボーンとの決闘、そんな紆余曲折を経た最後に、邪竜アルドゥインとの決着が果たされた。

 

 互いのシャウトが交差する壮大で血みどろな戦乱の果てに、ドラゴンボーンであるローグが勝利を収めた。アルドゥインの身体が崩れ、今まさにかの邪悪なドラゴンソウルが彼の中に取り込まれたその瞬間、激しい轟音と爆発がその場を支配した。タムリエル正史で史上最大規模の落雷がなんの前触れもなく、英雄の体をのみ込んだのであった……。

 

 

 

 

 

「というわけで、お前さんは死んでしまった。いやぁ申し訳ない、まさか雷を落とした先に人がおったとは。儂も耄碌したのぉ………」

 

「…………あぁ?」

 

 スカイリムの極寒の地からうってかわり、ソリチュードの自宅に近い一間と、辺り一面が雲海に囲まれた不思議な空間にてローグは目を覚ました。世界を滅ぼす邪竜との決着という緊迫した雰囲気は瞬く間に消え、今はこの白いローブを纏った奇妙で朗らかな老人と向かい合わせに座っていた。

 

 意味が分からない。分かるはずもなかった。ドラゴンボーンとしての宿命をようやく受け入れ、世界を守るために邪竜アルドゥインと決着をつけたはずなのに…。ノルドの楽園、死後の世界であるソブンガルデから帰って来られたと思えばこのザマだ。

 

 テーブルには幾らか和ませようとしてか茶の入った湯呑みが2つ。既に老人は茶を啜りながら、何度も事故の謝罪をしていた。対してローグは未だ事態を呑み込めず、かつ納得のいくはずもない状況にイライラが重なり、ベシベシと何度も尻尾を床に叩きつけていた。

 

「何者だジジィ。どうせデイドラか何かだろ」

 

「酷いのぉ、儂をあんな奴らと一緒にせんどくれ。わしはほれ、見たまんま神様じゃよ」

 

「ああ、そうかよ」

 

 辺りを見渡してもこれと言ってめぼしい物は何も無く、果てが無いほどの雲海が広がっていた。タムリエルでは信仰に従う形で死後の世界が決まると伝われてはいたが…。少なくともこう殺風景が続いているあたり、退屈が死ぬほど嫌いなデイドラ共の住むオブリビオンでないことは確かだろう。

 

「ああ、そういえば言ってなかったのう。ここは儂のような神様の世界・・・そうじゃな、君の居る世界で言うところのエセリウス、のもっとも深い場所じゃ。本来はこうして定命の者が来ることは出来んのじゃが、君は特別にワシが呼んだんじゃよ」

 

「ああ、そう。ご丁寧にどうも」

 

「……随分、落ち着いとるのぉ。と言うより場馴れしとるな。定命の者達と言えば普通はなんかこう、もっとこう慌てたりするもんだと思っていたんじゃが」

 

「生憎とな、お前だけじゃないんだよ。こっちの都合も考えずにテメェらのホームに引きずり込まれるのは。慣れもするし別段、驚きもしねぇ」

 

 慣れたくもなかったが、と一言付け加える。仮にも神との対談だと言うのにこの態度、慣れとは実に恐ろしい。何故なら彼にとって重要なのは、そんなことではないからだ。

 

「よーし、そろそろ本題に入ろうぜ。俺は一体何をすればいい? やらかした信者の粛清か? 要塞か遺跡からくすねて欲しいアーティファクトの回収か? まさか使い魔と喧嘩したから仲裁の口実が欲しいってんじゃないだろうな? ソリチュードに息子が待ってるんだ。早いとこ帰らねぇと」

 

 彼は場馴れしすぎていた。

 

 現に彼は死の宣告をものともせず、あろう事か生き返る前提で話している。今までもそうしてきたのだから無理もない。死の世界から不死竜の魂を引っ提げて帰還すれば怖いものなどなくなっても当然だろう。

 

 だからこそ、神の表情は終始優れなかった。

 

「儂の過失じゃからな。勿論、生き返らせるとも。ただのぅ……」

 

 生き返れる、その言葉にローグは心の中でぐっとガッツポーズをとる。アルドゥインは俺1人で充分、ソブンガルデで英雄達に啖呵を切ってしまった手前もあり、またすぐ戻ることになるのは相当気まずい。それに、スカイリムでやり残したことだってまだまだ沢山あるのだ。ソブンガルデに呼ばれるのは当分ご免である。

 

「ほ〜らな。さあ、もったいぶってないでさっさと要件を言えよ。こういう時のお前らは決まって―――」

 

「元の世界への蘇生はできんのじゃ」

 

 ガンッ!!と、まるで戦鎚で思い切り打ち付けられるような感覚が走った。重苦しい顔つきの神から告げられる残酷な真実。それはローグが生きて掛けられたどの言葉よりも残酷に聞こえた。

 

「……詳しく聞かせろ」

 

「深い意味などありはせん、そのままじゃ。世界のルールというものでな、こればっかりは儂にもどうすることもできん。こことは違う世界、いわゆる『異世界』で蘇ってもらいたい。心配せんでも、文化はタムリエルに近いほうだから、きっと生活しやすいじゃろうて」

 

「スカイリムには戻れないってか? そりゃあんたが―――」

 

「……ああ、お前さんが今思っとることを当ててやろうか?儂の神としての位が低いから、という訳では無いぞ? これでも偉い方でな、他の神でも同じ返答が帰ってくるだろう」

 

「……っ! なぁ、他にやり方はねぇのかよ。生まれ変わりとかなんとか」

 

「輪廻転生か……できんこともないがそうなればお前さんはお前さんではなくなる。記憶も何もかもが全くの別人じゃ。お前さんが好き放題やってこれた、そのドラゴンボーンの力も―――」

 

「こんな呪われた血脈なんざどうだっていい!!」

 

 衝動に準ずるままテーブルをひっくり返してぶちまけるが、向かいにいる神には障壁のような物が働き、無傷に終わる。それが火に油を注いだのか、収まらぬ怒りを抱いたまま、ローグは鋭い爪を突き立てて神に掴みかかった。

 

「揃いも揃って、てめぇらはこいつを祝福だと抜かしやがる。だがな! このふざけた血の力を疎ましく思う連中に何度えらい目に合わされたか分かるか! 俺の家族も、新しく出来た家庭だって……全部コイツのせいで……オマケになんだ! 今度は事故死だと?! 世界のルールだ!? 俺たち定命の者からは知ったこっちゃないんだよ!! 」

 

 彼の叫び声は皮肉にもスゥームへと変化し、そのシャウトは天界を大きく震わせた。だが、神は黙って彼にされるがままだった。数多のドラゴンソウルを吸収した彼のシャウトを真正面から堂々と受け止められるのは、神と呼ばれるものでも限られるだろう

 

「アカトシュの野郎も! デイドラや貴様ら神を名乗る連中も! 散々コキ使い倒しておいて結局このザマだ! 何がドラゴンボーンだ! 何が救世主だ!何が……」

 

 把持していた両腕の力が解かれる。一転してローグは力なくその場に崩れ落ち、鱗に覆われた頬を雫が伝っていた。

 

「……何が祝福だ」

 

 彼からすれば、ソレは呪いにも等しかった。どうにもならぬ想いが様々な感情と混ざり合い、力の限りに歯を食いしばる。仮に今ここで神を名乗る老人に手を掛けてもどうにもならないだろう事は、今までのデイドラとの経験上から分かっていた。

 

 「……ようやく、あの世界が好きだって、気がつけたんだぞ」

 

 それからしばらく、ローグはただ黙って泣いていた。怒り、不安、悔恨、悲しみ、様々な負の感情がローグの中で渦を巻く。それと同時に、今までのスカイリムでの思い出が走馬燈のように駆け巡る。数々の冒険の日々、様々な町の人々や従者との出会いや別れ、義理の関係ではあったが初めて持った養子の息子…それら全ての思い出がローグに重くのしかかった。

 

「お前さんの言うとおり、儂らは勝手で傲慢だ。何も否定することはできない、それでも儂はお前さんの望みを叶えることができず、こうして頭を下げるしかないのだ。本当にすまなかった」

 

 圧倒的な絶望と無力感に苛まれるローグを見かね、神はまた謝罪を口にした。崩れ落ちるローグよりも低く深く頭を下げて。そこには最早、神としての威厳など微塵も無い。本来あってはならないことなのだろうが、今彼等は対等であるかのようだった。

 

 

 

 

 

「……はぁ、もういい。デケェ声だしたら幾らかすっきりした」

 

「おお、では?」

 

「行ってやるよ、お前の言う異世界とやらに。アルゴニアンの俺がノルドの連中と同じようにソブンガルデにいけるとは限らねえからな。こうなりゃヤケだ。今度こそ俺の生きたいように生きてやるよ」

 

 気持ちの整理を無理矢理つかせ、彼は牙を見せながら語る。やせ我慢とは言え、折れずに前へ進むことを選んだローグを見かね、神も拳を握ってある決心をする。

 

「うむ、吹っ切れたようで何よりじゃ。それならば早速本題に入ろう。君が今から生き返る世界についてなんじゃが・・・」

 

 神様は嬉々として説明を始めた。彼がこれから赴く世界の生活水準は元いた世界であるタムリエルよりも少し進んでいる。これは、魔法の普及性によるものだと神様は言った。

 

 タムリエルでの魔法は誰にでも受け入れられるものではなかった。『オブリビオンの動乱』のこともあり、基本的に魔法も魔法を使う奴らも忌避の対象としてみられることが殆どだった。それに比べその異世界では、誰でも何かしらの魔法が使え、生活の手段として活用しているのだという。

 

「よし! 仮にも儂は神様じゃ。お前さんが少しでも生きやすいように儂からも祝福を――――」

 

 瞬間、彼の前に倒されたテーブルが真っ二つに叩き割られた。竜の頭蓋をも砕く、強靱な両腕によって振り下ろされた黒檀の両手斧が神の口が開くのを良しとしなかった為である。

 

「冗談じゃない、てめぇらのは祝福じゃなくて呪いだ。よかれと思ってんならこれ以上、俺に関わるな」

 

 

 

 一転殺伐とした雰囲気を纏い威圧するローグだが、スカイリムの地ではこちらの方が彼にとって慣れ親しむ姿だった。いつもの調子を取り戻したであろう彼に安心を覚える反面、神としてはいたたまれない気持ちも併せ持っていた。

 

「じゃが、ソレでは儂の気持ちが収まらんのじゃよ。何か無いもんかの? ほんの些細なことでも良いんじゃ」

 

「しつこい……いや、まて……もし頼めるなら、ソリチュードにいる息子……養子のことなんだが、俺が今まで手に入れた財産全部を、あいつのとこまで届けてくれないか?」

 

「お前さん……お安いご用じゃ。必ず届けるとも、何不自由なくしてやろう」

 

「悪いな、私兵出の執事も雇ってるが心許なくてよ……結局、最期まで良い父親にはなれなかったなぁ……」

 

 威圧感が瞬時に消え去り、しみじみと自身の最期を実感する。優しげな空色の瞳から察するに、もしかせずともこちらの穏やかさが彼本来の性格なのかもしれない。尚の事、アカトシュのもたらした祝福が彼をねじ曲げてしまったのだとすれば、神としてはもう少し助けになりたかった。

 

「よし、ついでに儂からのサービスじゃ。ほれ」

 

 神が手をかざすと、彼の身体に微量の魔力が流れ込んだ。マジカとはまた違った奇妙な感覚にローグは気持ち悪ささえ感じていた。

 

「うぉっ!? テメェコラじじい! 何勝手にやらかしやがった!」

 

「たいしたもんじゃない、今から行く世界で使える無属性魔法【ストレージ】をお前さんに与えたんじゃ。唱えればお前さんが今まで手にした武器や防具、その他諸々が入った亜空間へと繋がるぞ。まあ、なんじゃ。持ち運べる倉庫を手にしたと思ってくれれば良い」

 

 神様は手を空中に置き【ストレージ】と詠唱すると、手を置いた所から魔方陣が展開し、粉砕された物々が吸い込まれていった。そして次の瞬間、別のテーブルが魔方陣から出現して配置される。

 

「と、このように思い浮かべたものを収納したり、取り出せたりする事が出来る魔法じゃ。本来ならば収納スペースは術者の魔力に依存するんじゃが、特別に制限を無くしておいた。どうじゃ?このくらいなら良いじゃろ?」

 

「また勝手な……いや、まあ、便利っちゃ便利か。貰えるもんなら貰っといてやる」

 

 このくらい、と神様は言ったが、あまりの便利さにローグは言葉を失った。つまりいちいち荷物がかさばることも、商人を見つけては無理に売りつけることもないわけだ。途中で家に戻って荷物を整理する必要もなくなる。なんて画期的な魔法なのだろう。元の世界でこれを使えたらと、嘆かざるにはいられない。

 

 早速試しに詠唱してみると、真横にかざした手から魔方陣が展開し、黒檀のグレートソードが丁度良く片手に収まった。調子を確かめるため軽く素振り、異常が無いことを確認する。そして再度詠唱すると、黒剣は地面に展開された魔方陣に収納されていった。

 

 

「まあ、悪くないな」

 

「満足してもらえたようで何よりじゃよ」

 

「……チッ、言っておくがお前を許したわけじゃないからな! これっきりだ。金輪際顔も見たくないってのを忘れんなよ!」

 

「勿論、儂は許されぬ事をした。じゃから、異世界での武運を祈るだけにしておこう。では、そろそろ生き返って貰うとするか」

 

神が軽く手をかざすと、暖かな光がローグを包みこんだ。

 

「ではまたの、ローグ」

 

「また!? ハンッ! お前なんかとの別れの言葉なんざ決まってる。サヨナラだっ!!」

 

 べーっと舌をながめながら光に包まれるローグに、神は何所までも朗らかに笑って見送った。当然、お気に召さなかったローグは盛大な舌打ちをかました後、天界を後にするのであった。

 

 

 

 

 

「さて、これで良かったかの。アカトシュ君」

 

 ローグの存在が無事に下界へと降り立ったのを確認した後、神は振り返って頭を垂れるエイドラに向き合った。

 

「申し訳ありません、世界神様の手をこうも煩わせてしまうとは。それにしても彼奴め、なんとも無礼な態度を」

 

「ほっほっほ、若い頃のお前さんそっくりだったではないか。それに、ローグ君を余り叱らんでくれ。儂らの都合で振り回しとるのは違いないのだから」

 

「しかし……やはり私が介入するべきであったかと。そうすれば世界神様が必要に恨みを買われることも」

 

「お主はもう充分あの世界に介入したじゃろう。実際殺したのはワシなんじゃし、ローグ君の怒りはもっともじゃよ。ただ、欲を言うならもっと仲良くなりたかったが・・・まあこれからじゃな」

 

「……本当に、神雷を落とす以外の方法はなかったのでしょうか」

 

 アカトシュからの問いに、世界神から笑みが消える。

 

「スカイリムの民達は、今誰もがドラゴンボーンの伝説を信じ、欲しております。だからこそ彼が与した帝国を民達は信じる事ができ、迫り来る脅威へ、種族の垣根を越えて立ち向かおうとしています。生きていれば、帝国はより良い方向へと発展していったでしょう。彼はもはやスカイリムに無くてはならない存在となったというのに…」

 

「では聞くがの、アカトシュよ。お主は止められるのか?アルドゥインのドラゴンソウルをも取り込み、己が内に秘められた破壊衝動を抑えられずに暴走した彼を」

 

 無理じゃろう?と続ける世界神にグッと言葉を詰まらせる。たしかに、アルドゥイン単体でさえ手を焼いたのに、その魂を吸収したなどというデタラメな者が現れては、いかにアカトシュといえども無傷ではすまないだろう。それこそ、タムリエルの大陸全てを巻き込むような大災害を起こさない限りは…。

 

「数多のドラゴンソウルに加え、あのアルドゥインのソウルまでも取り込んでしまったローグ君は、いつか必ず近いうちに己の内に溜め込んだ破壊的衝動に飲み込まれてしまう。やがて彼が好きだと言い放ったスカイリム全土を、彼自身の手で焦土と化す。いや、スカイリムだけではない。タムリエル全体がオブリビオンよりも酷く惨たらしい暴力が支配する世界へと変貌してしまう。自身が愛する世界を自身が壊す、それはローグ君が一番望んでいない結末ではないかね?」

 

「だからこそ、最高神様の神雷でアルドゥインのソウルを沈静した……と?」

 

「悔やむべきは犠牲を払うこの方法しかなかったことじゃな。神と同等の存在にまでなってしまったアルドゥインを仕留めるタイミングはあそこしかなかった」

 

「お恥ずかしい。全ては我が責。だというのに……」

 

「ああ、別にアカトシュ君を責めている訳ではない。それにの、ローグ君の活躍が見てみたかったのもある。儂とアカトシュ君が作り直したあの世界でな?」

 

 神は下界を見下ろし、黒き鎧を纏うアルゴニアンを慈しみながら呟いた。

 

「どう思われようと、我々は汝の祝福を祈ろう。新たな伝説を作るのじゃ、ドラゴンボーンよ」

 

 

 




黒檀装備
ローグの現装備。よく間違えられるが植物ではなく、スカイリムに登場するいわば黒檀のような色から名づけられた黒檀石とでも言うべきものを素材に用いた武器と防具。マインクラフトの黒曜石をイメージしてもらえると分かりやすいかと。デイドラ、ドラゴン装備に次ぐ堅さを誇る、地味過ぎず派手過ぎずな意匠がクールな一品。
 
 
アカトシュ
エイドラ九大神の筆頭である時を司る神。タムリエル全土で崇拝されており、アルドゥインも含めた全てのドラゴンの父。世界の創世にもっとも貢献した神であり、定命の者の住む世界をデイドラ達から守護している。ドラゴンがアカトシュの創造物であるように、その魂を滅ぼせるドラゴンボーンもまた彼の加護を受けた存在である。
 
アルドゥイン
アカトシュが作り出したという最初にして最強のドラゴン。ほぼ全てのドラゴンが忠誠を誓うドラゴンの王。「世界を喰らいし者」の異名を持ち、彼の復活は世界の滅びを導くと予言されている。その能力は他のドラゴンとは一線を画し、空から炎を降らせたり、濃霧を発生させたり、死んだドラゴンを復活させたりといったアルドゥイン専用の特別なシャウトを使いこなす。また、ソブンガルデへと逝った戦士の魂を喰らうことで己の力とすることができるという能力も備えている
 
ドラゴンボーン=Dovahkiinドヴァーキン(ドラゴン語)
竜の血脈を持ち、アカトシュの祝福を受けし者であり、シャウトを自在に操れる人間である。更に、ドラゴンの魂を吸収し、彼らを完全に滅ぼすことができる唯一の存在でもある。全て身体に流れる竜の血脈による賜物。
 
シャウト
ドラゴンの持つ能力。言葉を力に変える魔法。「スゥーム」「ドラゴンシャウト」「声の力」「声秘術」とも呼ばれている。ドラゴンの口から吐き出されるブレスもシャウトによって作り出されたものである。元々はドラゴンのみが持つ能力だったが、九大神の一柱キナレスの力により人間も厳しい修行を積めば習得できるようになった。ドラゴンボーンは修行の必要すらなく、ドラゴンの魂を吸収することで容易にシャウトを習得できる。
 
タムリエル
主人公がいた前の世界、定命の者の領域であるムンダスの惑星ニルンにある大陸。TESシリーズを通して舞台となっている。
 
スカイリム
タムリエル大陸の最北に位置する地方。雪国であり、人口の半分はノルドという北欧系、つまりはバイキングの種族が占めている
 
アルゴニアン
主人公の種族。異世スマで一番近いのはリザードマン。タムリエルでは奴隷種族であり、皮を剥ぎ取られたり生け贄などに利用されることの多い何かと不遇な種族。エラも生えており水中の中での呼吸も可能。
 
エイドラ
TES世界における神のような存在たち。目の前でお供え物を根こそぎ奪う不届き者にも確実に恩恵を与えてくれるお優しい方々。基本的にはエイドラ=九大神と考えて問題ないが、それ以外にもデイドラに敗れてエイドラではなくなったもの、エイドラなのかデイドラなのかいまいち不明なものなどが存在する。
 
デイドラ
簡単に言えば邪神。邪悪な存在としてタムリエルでは扱われている。特に強大な力を持つ神のようなデイドラのことをデイドラロードと呼ぶ。デイドラには善悪の概念がなく、定命の者にとってあまり善いことはせず秩序も好まない。勇者・忠義者・反骨者を問わずに気に入った者には褒美や恩恵を与える反面、気まぐれで人々の運命を弄び残酷な目に合わせることもある。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。