Sideシーガ
「タツヤさん!アルメールさんは大丈夫なんですか?!」
地区予選決勝戦が終了した直後にアルメールさんの様子が可笑しくなり彼女は医務室へと運ばれた。
俺は慌てて病室へと駆けつける。
「彼女はまだ治療を受けている…まあ今回はウマ娘という事もあって其処迄大事には至らない筈だろう…だが大変になるのはこれから先だ…」
「どういう事です?」
タツヤさんは重い口を開き語る。
「彼女は恐らく…いや間違い無く【アシムレイト】にへと目覚めている!…」
「アシムレイト…ですか?」
タツヤさんが告げた聞き慣れない言葉に俺は首を傾げる。
「アシムレイトとはガンプラと操縦者を一心同体と化させるいわば超能力の様なものだと私は見ている…至る条件がかなり曖昧でな…ガンプラバトル歴が長い我々でもアシムレイトにへと至ったファイターが非常に数少ないのだ…」
「一心同体化…とすると真逆彼女は!…」
俺はタツヤさんの言葉を聞いて驚愕の真実へと至った。
「そうだ…ガンプラが強化される分、受けるダメージまでもが操縦者にもダイレクトに伝わってしまうのだ。
恐らく彼女の負けられないという想いがアシムレイト覚醒のトリガーになったのだろう…サトノ選手のギラーガのパワーとぶつかり合った衝撃の結果バトルにこそ勝ったが彼女自身へのダメージはいくらウマ娘とはいえど相当なものの筈だ…」
「そんな!?…それじゃあアルメールさんは…」
「アシムレイトをコントロール出来なければこれからも強敵のファイターと戦う度に彼女自身も傷付いていってしまう事になる…これからもバトルを続けるかは彼女自身の意思によるが…アシムレイトをコントロールする方法は少なからずも存在する」
「!それじゃあ!…」
「彼女の怪我が治り次第続ける意思があるというのなら又連絡をくれるといい。
指導を施そう」
「是非お願いします!」
真実を知るも希望の陽が見えてきた俺はタツヤさんに礼を言ってアルメールさんの所へ向かった。
Sideアルメール
「よもやそんな力が私に…」
「ああ、骨折の方は一週間と三日で治るそうだがアシムレイトをどうにかしないと世界大会には出場出来なくなってしまうかもしれない…」
シーガさんから驚愕の事実を聞かされた私は骨折してしまった右腕を見つめた。
「無理をさせてごめんなさいアスクレプオス…」
未だ修繕出来ていないアスクレプオスを見つめながら謝罪する。
ミシヒトさんのギラーガにPXシステムを使っただけのアスクレプオスで挑んでいたのなら負けていたのは此方だった…無意識にも私自身の力が重なった事で漸く勝てたのだと実感した。
だったら!…
「私はガンプラバトルを続けていきます!」
「本当に良いのかい?」
「ええ!その力に相応しく鍛錬を重ねれば良いのであれば!」
「ああ、怪我が治ったらすぐに行こうか!」
シーガさんは私の返答に少し驚きはしたもののすぐにタツヤさんと連絡を取りにいった。
「その為にも…」
私はアスクレプオスを左手で掴み上げて見つめながら強化プランを練りながら怪我の治癒に専念するのだった。
数日後、Side?
「…」
私、メジロアルダンと申します。
私はかつて生まれ抱え持ってしまった足の持病によってほとんどのレースに参加に踏み切れずにいました。
ですが高等部へと進級してしばらくが経った頃、私の体質に理解を示し覚悟を決めてくれた専属トレーナーさんと出会いウマ娘としての矜持を取り戻す事が出来ました。
ですが…
>どうしたんだいアルダン?
「トレーナーさん…少し昔の事を思い出していまして」
>思い出…
「トレーナーさんにはまだ話した事がありませんでしたよね…中等部の頃迄の話なんですが私には一番の親友とも呼べる子が居ました」
>親友?サクラチヨノオー?
「チヨノオーさんは高等部に進級してから友人になったものでして…」
>それじゃあ真逆?…
「あの子は私と一緒にレースを走る事を夢見ていましたから…私の体のせいでそれが叶わず走る意味を見出せなくなってしまったあの子はある日学園を中退してしまいました…」
>そんな事が…
「ですがトレーナーさんと出会い今では普通にレースが出来るようになりました。
出来ればもう一度あの子に会って約束を果たしたいのですが…」
>連絡するのを躊躇っていると…それじゃあ…
「ええ…もう少し…後ほんの少しだけでもトレーナーさんと早くに出会えていたならあの子が学園を去るなんて選択肢を取る事はなかったのでしょう…」
>そうだったんだな…ン?なんだか向こうの方が何時もよりも騒がしいような…
「そのようですね…催し事は特に無い筈ですが…」
食堂の方からなんだか賑やかさを感じ取り気になった私とトレーナーさんは行ってみる事にしました。
「何かあったのですか?」
「実はねウチの義弟が先日ある世界進出を賭けた大会予選で準優勝したからそのインタビューの生放送が今からされるんだけどウチの義弟を決勝戦で打ち破って優勝した子がなんとウマ娘だったんだよ!
だからか興味をもった子が少なからず結構思っていたよりも居てさ。
折角だから食堂のモニターで皆で観ようって話になったんだよ。
あ、勿論理事長には許可を取ってあるよ」
中心に居たサトノクラウンさんがそう言ってきた。
「大会ですか…一体どのような?」
「ああ言ってなかったね、ほとんどの女の子にはそこまで馴染みは薄いだろうけどガンプラバトルだよ」
「がんぷら…ですか?」
「それって何だっけ?」
サトノクラウンさんが言った言葉に私を含む他の生徒達も首を傾げる。
>えっと、機動戦士ガンダムのプラモデルで戦う奴だね
「トレーナーさんは御存知なのですか?」
>ガンプラは作った事無いけどTVアニメの方は観ていたからね、プラスチックに反応を示す特殊な粒子が発見された事で一気にブームが再燃したんだっけかな
「最近はガンプラモチーフのアイドルとかも増えてきて女の子人口も増えてきているんだけどやっぱり男の人に比べたらそこまでね…」
「その様な物が…」
トレーナーさんの説明にクラウンさんが補足を付け加える。
「あっといけないもうすぐ始まっちゃう!トレーナーさんモニター点けて」
>あ、はい
クラウンさんの指示で私のトレーナーさんが食堂のモニターを点け、放送が始まった。
「!?」
私はその放送で驚くべき光景を目にした。
それは件の優勝者だというウマ娘のインタビューになった時だった。
そのウマ娘が私がよく知るウマ娘だったのだから…。
>アルダン?どうしたんだい!?
予想だにしていなかった姿を目にしておもわず涙を流していた私を見て慌ててトレーナーさんが心配し声をかけてくる。
「いえ、その…あの子が先程お話したウマ娘なんです…」
>え?本当に!?
私の言葉にトレーナーさんは驚いて聞き返してきたので頷きました。
真逆、級友が学園を辞めた後にその様な道を歩んでいるとは夢にも思わなかった。
>アルダン…
「ええ、分かっています…私、彼女に連絡を取ってみます!」
トレーナーさんは私のしようとしている事に気が付き背中を押してくださいました。
私は急いで寮に戻り彼女に宛てて手紙を書き綴った。
>所で勝者インタビューって普通即日行われるものじゃ?
「ああ、それなんですがね…決勝戦バトルの直後に優勝者であるヴァイスアルメールさんにちょっと…という所か結構大変なトラブルが起こってしまいましてね…急遽全国予選大会が終わる今日まで引き延ばしになっていたんですよ」
>トラブル?…
「えっと…これはあまり公にはするべきではないのかもしれないのですが彼女はガンプラファイターの中でもあまり類を見ない能力に目覚めたとかで…」
>それって真逆…
「決勝戦のバトル映像凄かったですよね…」
>…分かった、これ以上の詮索はやめておくよ
「そうしてもらえると助かります」
>…俺もガンプラ始めてみようかな?