勝手にするよ、シンドバッド   作:syunin

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 パクリじゃぁー!
 名作洋画のパクリじゃぁー!!

 太字は歌詞を引用してる部分です。


海でHoly shit!

 

 俺がこの事実に気づいたのは、中学生になってからだった。

 

 陳腐なネット小説の如く、トラックに轢かれ死亡した俺は世間が想像する様な「神」と云われる存在に出会う事はなかったが、輪廻の中に紛れた俺はあろう事が前世と殆ど同じ境遇で生まれ育ったらしい。

 

 やけに他人事なのは、俺の自我が芽生えたのが中学2年生になったばかりであるからだ。

 因みに過去の俺は前世と同じ道筋を辿ったらしい。

 それは過去のアルバム、そして教師に蛇蝎の如く嫌われている今の俺の姿から容易に察せる。

 

 因みに言い訳をさせてもらうが、この頃の俺は若かったのだ。

 よくある反抗期と言われるものである。

 

 そして俺は自らが転生……転生?前世と同じ定めを辿るつもりは無いとは言え、全く同じ境遇に生まれるのを転生と呼ぶのかは疑問に残るが、まあそういうふう(・・・・・・)なった事を自覚したことが俺が気づいた事ではない。

 

 それは自我を得た時からまだ半年と経ってない、八月の出来事だった。

 珍しく親父が海に遊びに行こうと言い、湘南の海水浴場に向かう事になった時だ。

 流れる曲は「The beach Boys」の「Surfin'U.S.A.」。

 

 おいおい、そりゃあ違うだろうと俺は思った訳だ。

 皆だってそう思うだろう?湘南だぞって。

 だから、少し悩んだ後に言ってやったんだ、「希望の轍じゃ無いのか」って。

 ところがだ。

 親父は驚いた様に、「お前も自分で曲を探す様になったのか」と返してきた。

 

 俺の方が驚いたよ。

 そしてさらに言ったんだ、「俺にサザンを教えたのは親父じゃ無いか」って。

 そしたら親父はさらに驚いた顔で「そんなに俺が気に入りそうな歌なのか、なら帰ったら教えてくれ」って言ったんだ。

 俺は目の前が真っ暗になるって言うのは比喩表現じゃなかった事をそこで知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勿論そこで諦める俺じゃなかった。

 湘南の海で聞き回ったし、帰ってインターネットで調べまくった。

 学生らしく部活に入ってた俺は、同級生に先輩や後輩、果ては顧問や他の教師達にも聞いて回った。

 勿論、俺の望んだ反応は一つもなかった。

 俺は絶望し、取り敢えず部活を辞めた。

 

 こう見えてまあまあな大学を卒業していた俺は、無事夏の宿題を終わらせ一気に時間が余った。

 去年の誕生日に買ってもらったの鮮やかな紅色のギターが霞んで見える。

 しかし、まだ俺は諦め出なかった。

 今年の俺の誕生日がもうすぐだ。

 もう頼む内容は決まっていた。

 

 

 

 

 

 家に機材が届いた。

 「ゲームは一日一時間」と見当違いなことをいう親も説き伏せ、曲の書き込みを終えた。

 後は歌うだけだ。

 何度も悩んだが、やはりこの曲だろうと決めた。

 発声練習をすまし、声変わりも等の昔に完了している喉も準備万端だ。

 今回だけだから、近所の人も目をつぶってほしい。

 そう思いながら、魂をのせて俺は歌い始めた。

 

 「風に戸惑う、弱気な僕」

 

 こう見えて歌はまあまあ得意だった。

 しかし、これなら届くという思いは多分敵わないだろうと、初めから気付いていた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 動画のタイトルは、「TSUNAMI」だった。

 投稿してすぐこそ動画は伸び悩んだが、ひと月もすれば莫大な視聴者数になった。

 朝のニュースには「期待の若手シンガーソングライター出現!」と大きなテロップが流れている。

 しかし、この動画が著作権を理由に削除されることはない。

 終ぞサザンオールスターズも、あの桑田佳祐さんも現れることはなかったのだ。

 そしてここに証明された。

 桑田佳祐さんは、サザンオールスターズはこの世界には存在しないのだと。

 

 所で皆は、「イエスタデイ」という映画を知っているだろうか。

 売れないシンガーが事故をきっかけに「The Beatles」と言う20世紀を代表するロックバンドが存在しないに世界にて彼らの曲を歌うという内容だ。

 まあ、そういうことなんだろうなあと俺は思った。

 事実は小説より奇なりという言葉があるが、まさか映画とほぼ同じ境遇に立たされるとは思わなかった。

 因みにこの世界では「The Beatles」の活躍は21世紀の今でも色褪せることはなく存在し、ついでにコカ・コーラの味も変わらず愛され続けている。

 

 最後の「確認」を終え、ひっきりなしに届くコメントへ一つも返すことはなく俺は動画投稿サイトからログアウトした。

 津波の様な侘しさに押しつぶされそうだった。

 サザンは俺にとっての青春だった。

 女の子とも仲良くなれない土留め色の青春を送った俺が、ただサザンの曲を流すだけで青春が彩られるように感じた。

 勿論、ほかにも好きなアーティストはいる。

 平井堅さんのバラードは胸を湿らせ、Queenのロックは体中を熱くさせてくれる。

 だからこそ、誰一人として欠けていい人はいなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこから俺はただ無気力に過ごした。

 無気力に中学校を卒業し、前世と同じ高校に入学した。

 しかし、俺はそこで初めて熱というものを知る。

 

 「君、サザンオールスターズって知らない?」

 

 俺はそこで同じ境遇にいながら、少しも諦めていない少女と出会った。

 





 連載ってなってるけど連載するかは正直微妙。
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