ギンガナムは闘争本能が次第に落ち着いてきたことに驚きつつも受け入れていた。ターンタイプの呪い、もしくはサイコミュ的マシンの影響で自らはおかしくなっていた可能性があると今になって気がついた。
確かにターンXは強力でありターン∀を凌駕する力を発揮したが不思議なことが一つ、ギンガナムはニュータイプに目覚めている訳では無い、しかし武装にはサイコミュを利用した兵器が存在する。そして使えていた。そこで導き出した答えがターンタイプはパイロットすら部品としているという仮説。
「極論、手と足と脳さえあれば事足りるか、我ながら恐ろしいマシンを使っていたな」
ターンXをひたすら乗り回していてはいずれ飲み込まれていた事実にゾッとすると同時に、ターンタイプが重なり合った今ならばそのようなことにはならないと確信している。不思議なものだが今のギンガナムはターンタイプの意志を感じ取っていた、与えられた呪いのような闘争本能は鳴りを潜めている、だから感じ取れていた。それはそれとして戦争は大好き、武人の血が騒ぐ。
「ギンガナムさん、お茶漬けしかないのですが足りますでしょうか?」
「毎度世話をかける、ズズッ……この味は何だ? 元気になるなぁ!」
「シャケですよ、旬の魚です」
「ふん……んんん? んー? 月には無かったな」
「え?」
「気にするな、独り言だ。所で舞よ、レジスタンスの情報はどうか?」
「無いですね、花屋に来る人間が早々物騒な訳無いですよ」
「それもそうか」
ギンガナムはシンジュクゲットーで活動するレジスタンスの、情報を求めていた。最初はどこでも良いとここを選んだが、今は拠点のここから近いレジスタンス組織が良いと思っている。
舞、華田舞はここの店主だ。彼女には恩義がある、救われたのだ。だからディアナのようには裏切るつもりはない。今考えたらディアナの判断も正しいものだったと思える、やはりあの異常なまでの闘争本能はターンタイプの呪いだったのだろうか
「何故そこまでレジスタンスにこだわるのです?」
「闘争、それこそが人々の求める最も本質的な欲求。だと答えたらどうだ?」
「辞めてくださいよ、戦って得たものは戦って失います、ずっとは残りませんよ」
「人は戦いと言う一時の環境に生を見出し、実感する愚かな生き物だ。それは小生とて変わらん」
「だから戦う?」
「今は……どうだろうな」
「折角ですから変わりましょうよ」
「お前の言葉は甘い、そう多くは飲み込めん」
見つからないレジスタンス、落ち着いてきた闘争本能、ターンXXがギンガナムをここへ導いたが理由はあったのか。謎が尽きないが、その謎も不意に感じた巨大な衝撃音が掻き消した。
「何だ! 表の道か!」
「あっ! ギンガナムさんこれ!」
「刀か! 助かる!」
咄嗟に駆け出し衝撃音のあった場所を見に行くとトラックがビルに突っ込んでいた。僥倖、そして感じる特異な精神波、ニュータイプのような力ではないより直接的に支配をする言うなれば王の力。ギンガナムの鋭い争いへの嗅覚は確実に戦争の中心へ導いている。
「こいつは上々! この世界の秘密の一端に違いない!」
「だ、誰だ!? は!? 武士だと!」
「何だぁ青年、小生は騒ぎに駆けつけた民間人だぞ?」
「コスプレかっ! それよりも運転手だ! 手伝ってくれ」
「命令するか! いいだろう!」
青年と協力しトラックの運転手を助け出そうとしていると背後から彼らを制止する声、格好からブリタニア軍人と思われる。
「止まれ! 手を上げてこちらを向け! お前たちはテロリストの仲間だな?」
「ち、違う! 助けようとしただけだ! 本当だ!」
「ほう? こやつテロリストか、知らなかったなぁ」
「ん? もしかして君はっ!?」
ブリタニア軍人は被っていたメットを外し素顔を晒すとギンガナムの横にいた青年は素っ頓狂な声を上げた
「僕だよ、ルル。枢木スザクだ」
「スザク? お前スザクなのか!」
「小生にはまるで理解出来ん、戦場で馴れ合うとは愚の骨頂よ」
置いてけぼりのギンガナムは軍人枢木スザクと青年ルルーシュ・ランペルージの会話を遠巻きに聞いているしかなかった、その後枢木スザクから掛けられたテロリスト容疑はルルーシュのお陰で晴れた。
そして枢木スザクによれば助けようとしたテロリストは基地から毒ガスを盗み出し逃走、枢木スザクはこの毒ガスの回収の任務についていた
「そうだ、運転手!」
「駄目だルル! いつ毒ガスが漏れ出すか分からないんだ! 危険だから離れてくれ! そこのオジサンも!」
「オジサン、オジサン? 小生のことが?」
「……ブリタ……ニアの犬……が、食らえ……!」
「不味いルルーシュ! 装置が動いた!」
「逃げるぞスザク! おっさんも早く!!」
「逃げる? 中身の見当はついている、逃げるものか」
「ええい勝手にしろ!」
トラックのコンテナに積まれた毒ガス装置が起動しいかにもな煙が立ち込める、ギンガナムはこれが毒ガスではない確信がある。何故ならばこの毒ガス装置、このカプセルの中から特異な精神波を感じ取っているから。
「んぅ……外気は良いな」
「女の子!?」
「女の子だな……だよな?」
「やはりな、ニュータイプ的精神波とはまるで違う」
幼い子供、それも女の子、同じ年頃の妹がいるルルーシュは彼女を縛る拘束具をすぐに外してやり、何者かと質問をする。
「私はC.C.だ。お前は?」
「ルルーシュ、ルルーシュ・ランペルージだ」
「そうか、そこの大男は?」
「ギム・ギンガナムである! お前の発する不可思議な精神波の正体を突き止めれば、世界の秘密に近付くかぁ?」
「何者だ? 嚮団の関係者か?」
「その嚮団とやらは知らないがお前がある種特別だと理解しているつもりだが?」
「なるほどそこの坊主達より話が通じる、信用は出来んがな」
ギンガナムが異質さを感じ取ったように彼女もギンガナムの異質さを感じ取っている、お互い信用しない、しかし信頼は出来ると踏んだ。
何はともあれ助かったとホッとしているスザクとルルーシュだったがトラックの進行方向とは反対から人型ロボット、ナイトメアフレームが接近していた
『枢木一等兵、テロリストはどうした』
「はっ! それが、ご覧の通り事故を起こし死亡していました」
『そうか、カプセルは無事か?』
「いえそれが中から少女が」
『なるほど、それは軍事機密だ。目撃者を撃て、生かしておくことはできん。上官の命令に逆らうのか?』
「なっ! ですが彼らは巻き込まれただけの一般人です!」
『所詮名誉ブリタニア人といえどイレブンか、もういいお前も命令違反で処刑する』
ナイトメアフレームはその場にいた人間を撃ち殺そうと手にしたアサルトライフルを構え引き金を引く……前に御大将は叫んだ。
「お前たちはしゃがめぇ! 出番だぞターンXXぅ!」
『何っ?! 高熱源反』
遥か上空から一筋の光がナイトメアフレーム、サザーランドを捉えた、コックピットごと撃ち抜かれたそれは装甲は溶け原型を残していない。誘爆し機体が爆散して辺りに部品を撒き散らしたが幸いにも怪我人は出なかった。
この一件で世界は一気に動きだす……