ギンガナムが戦場で暴れる一方でルルーシュとC.C.は今は使われてない地下鉄の中へ逃げていた。
「はぁ……はぁ……っ! こっちだ!」
「っ!」
「おい! 大丈夫か!」
「頓いただけだ……ハハハッ!」
「? 痛さでおかしくなったのか? やっぱり怪我を」
「いや違うさ、『何故だが運命から外れている』そんな気がして面白くなってしまった」
「胡散臭い占い師か」
「どうだろうな、魔女かもな」
C.C.の言葉にルルーシュは困惑していたが今はどうにか逃げる事を優先する、地下鉄を抜けるとどこかの屋内に通じていた。そこから這い出て外を伺いまだ戦闘の被害が及んでいないと安堵する。
「よし、ここならまだマシだ。あとはなんとか学園に逃げられれば」
「そこの学生! 止まれ!」
「おやおやまさかこんなところに隠れていたのか、お前達、あの女を捉えろ、学生は殺せ」
「「「はっ!」」」
「しまったっ! 逃げるぞC.C.!」
屋内には彼女を捕まえる為に展開していた歩兵部隊が待ち構えていた、逃げこんだ地下鉄の出入り口に張り込んでいたのだ。ルルーシュは手を引き逃げるがそもそも体力が低い彼ではすぐい追いつかれ、壁際に追い詰められた。万事休す、しかし窮鼠は猫を噛む。
「くっ!」
「さて、女は確保した。あいつは殺せ」
「はっ!」
銃を向けられ足の竦むルルーシュ、もはや逃げようにも場所はない体力もない状況に思わず目を瞑る。まぶたに映る妹の顔がにこやかに笑っていた。
「(ナナリー!)」
「させるかっ! あっ……っ!」
「なにっ!?」
「庇っただと?!」
身を挺してルルーシュを庇い、代わりに銃弾を受けたのはC.C.だった。当たりどころは良くない、絶命していた。
あまりの出来事にブリタニア軍もルルーシュも戸惑いを隠せない、ルルーシュは庇ってくれた彼女に駆け寄りその体を起こした。なんの意味もないが死ぬ前に感謝を伝えるために。
しかしながら運命は彼に味方していた。
「うっ! これはっ……」
「女は確保出来なかったが体は回収するのだ、この秘密を知ったあいつは確実に殺せ! クロヴィス閣下のご命令だぞ」
「っ! くっ……フハハハハ」
「なにを笑っている?」
「いや、さっさと撃たないのかと思ってな。随分とペラペラと喋るじゃないか? ……その隙が命取りだ『お前たちは、死ね!』」
「「「「イエスユアハイネス!」」」」
ルルーシュが突然放った眼の光は兵士たちの精神を支配し自殺させた。鳥のようなマークがルルーシュの目に浮かび上がっている、それはギアスの証、人と言う存在から遠退いた者が持つ力。
「これがあれば、これさえあれば! 俺は俺の復讐をっ! ……何故託したかは聞かないが、使わせてもらうぞ」
ルルーシュが決意を新たに、手にした力で目的を果たすために、まずはこの状況から脱出することにした。
丁度のタイミングで一機のサザーランドがルルーシュを見つけて全滅した歩兵部隊の詳しい情報を得ようと接触してきた、逆にそれを利用して堂々たるデマカセとギアスの力でサザーランドを奪取、奪われたパイロットはギアスに掛けられことも知らずにただ混乱するばかり。
そして鎧を手にしたルルーシュは荒ぶる破壊神が居る戦場へと歩みを進めたのだった。
『ば、化け物めぇぇ!』
『甘いんだよぉ!』
「この声はさっきの男か……なっ! レーダーから次々と反応が……余程の手練だな、それとテロリストのグラスゴーも中々粘っているか、手駒としては申し分ない。
奮戦しているようだが圧倒的に数が足りない、今は逆転していても押し込められる。だからこそ、優秀な指揮者が必要だろう」
サザーランドを手に入れたルルーシュは友軍、つまりブリタニア軍の戦力の全容を把握できた。恐ろしい程の数がレーダーに示されていた、一部物凄い速さで反応が消えていく箇所がそれはもう気にしたら負け。
問題はテロリストのグラスゴーだ、満足に戦えない損傷をし逃げ回り出過ぎた敵はハーケンで仕留めているところだろうと予測するルルーシュ、その後に複数の反応があるのでジリ貧になりつつある可能性ありと判断した。
「このグラスゴーを、そしてテロリスト共を助けつつあの男を活かせば活路はある、それにクロヴィスめが戦場に出張ってくるとは……都合のいいことこの上ない!」
道中拾ったテロリスト達の通信機を使い、自身はビルの上へ陣取り敵の陣、敵の作戦、敵の思惑、その全てに配慮してその上で叩き潰す為の作戦を立案していた。
★★★★
『聞け、そこから西口に迎え』
「誰だ! どうしてこの回線を!」
『そんなことはどうでもいい、私に従うなら勝たせてやる』
「勝つ? ……仕方ない!」
逃げ回るグラスゴーのパイロット、紅月カレンは焦りを感じていた、逆転が絶望的な今は勝つためにこの怪しい人物を信じてみることにした。
後ろから迫りくるサザーランドを振り切るために指示を出してくる、従いつつも怪しい人物を信用し切れないカレンだったがそれは誤りだったとすぐに考え直すことになる
『そこを左へ、突き当りを登りレールに沿って移動しろ』
「前から列車が!」
『飛び越えろ、それはプレゼントだ』
カレンを追っていたサザーランドは前方の列車を軽々と受け止め、あとから来ているもう1機にグラスゴーを追わせたが何処からともなく現れた友軍機の攻撃で2機ともが撃墜された。もちろん同士討ちではなく謎の人物の手助けだ。
「プレゼントってこりゃ、ブリタニアの奴らの機体じゃねぇか!」
『そうだ、喜んでもらえたか?』
「凄いねアンタ! 勝たせるって言葉は嘘じゃないんだね?」
『当然だ。お前たちが私に従う限り負けはない、早速だがそのサザーランドに乗り込め、作戦と割り振りを伝える』
そこからの快進撃は凄まじかった、ギンガナムの大暴れでこちらに裂かれる戦力は少なくなっていたものの、元々シンジュクゲットーそのものを壊滅させんと大部隊で来ていたのだから数は計り知れないものがある。
それでも地の利を活かし裏の裏をかく戦術は確実に敵を減らし、しびれを切らしたクロヴィスの命令で大攻勢、全軍突撃の指示は足元から全て崩れ去った。文字通りの意味で足場崩しをして落としたのだ。作戦は全てハマり、テロリスト側は被害がない。完璧と言っていい成果だ。しかしそれを全部ひっくり返す規格外がどの世界にでもいる。
★★★★
『し、白いやつが!』
『うわぁぁぁ!』
『何なんだあの動きは!』
「くそっ! 、使えんテロリストめ! しかし何だこの異常な強さは……あの暴れている男と言い常識外れもいい加減にしろっ!」
ルルーシュの立てた作戦は確かに良い作戦だ、しかしそれはあくまでも条件が同じ駒がある場合はだ。将棋で言えば2回動ける飛車がいる、そんな規格外が二人この戦場に存在している。
ルルーシュは己の知略の及ばぬことに反省と苛立ちを感じながら次なる一手を考え始めた。