それほど狭くないルルーシュの私室に3人が思い思いの場所に座っていた、C.C.はベッドに腰掛け、ギンガナムは床にあぐらをかいて、ルルーシュは学習机の椅子だ。
「で、話があるとは?」
「お前にもあるだろう坊や、今日はお互いに利がある話し合いをしようじゃないか」
「ありますがその前に僕はルルーシュです……ギンガナムさんとおっしゃいましたか、何故ここに? そこの少女ならまだしも貴方とは関わりがないように思えますが?」
「本当に覚えがないのか腹芸が得意なのか、どちらでも良いがあの戦場にいたな? 小僧」
ルルーシュは表情に出さなかったが内心でドキリとしていた、テロリスト達に指示を出していたときにも顔と名前は伏せていた。自分のヘマでバレかけたこともあったがそれは切り抜けた、だったら何処から仕入れた情報なのか、ギンガナムの警戒度を一つ引き上げ己の持つギアスを使うタイミングを図り始めた。
「おいおいギンガナム、余計な事でビビらせては話が拗れるだろうに」
「こんなものに時間をかけるほど我慢強い訳では無いのだよ、いいか小僧、お前はテロリスト達に指示を出していた。どうにか確保したサザーランドでな、そしてあの白いの、新型に追い回されていた、違うか?」
「……」
「そしてクロヴィスとやらをその力で殺した、そうだな?」
ルルーシュはこれ見よがしにため息を吐きギンガナムを片手でひらひらとあしらった、舐められたギンガナムはスイッチが入った。それを察知したC.C.はもうどーにでもなれとベッドに身を任せた。
「ふぅ……何かと思えばそんな誇大妄想を話に来られたのですか?」
「なぜ隠す」
「隠すも何も僕はその時避難しましたし、学生がナイトメアフレームなんて運転出来ませんよ?」
「なんだ決定的に突きつけないと理解しないのか、ならば言ってやろう! 小僧や、お前はブリタニアを殺す男だ! 復讐を果たすためにな!」
「どうしてそれが分かる! 貴様にっ!」
「図星を付かれて感情的になる、子供だな」
「帰れ! 頭のおかしいやつ! 『帰るんだ!』」
「くっ!? ……ぬぅぅぅ! それがお前のギアスか!」
「効かない!?」
「生憎とその程度の精神制御ではなぁ!」
「おーいもう良いだろ、何しに来たと思ってるんだ。わざわざ喧嘩するために来たんじゃないぞ」
「「うるさいっ!」」
「ならばこうだ!」
「「ぐぁあぁっ! /オ・ノーレェェェ!?」」
C.C.渾身のショックイメージが炸裂してデカい子供たちを大人しくさせた、やはり亀の甲より年の功というわけでC.C.が間に立ち話をまとめるとトントン拍子に事が進んだ。
★★★★
「えーつまり、俺の復讐を手伝うと?」
「そう言っているだろう」
「ギム・ギンガナム、いや“破壊神”様と言われたいか?」
「はっ! ブリタニアのアホどもが勝手に言っているだけだ」
口論を諌められた後に仲直りといえばかわいいが初対面の印象をC.C.の仲介で改善出来た、ルルーシュにギンガナムの目的、大いなる闘争を求めていると話せばやはり怪しまれたが同じ“共犯者”であることを伝えれば幾ばくかの信頼は得られた。
互いに利用し合う仲であるなら憚らず会話も出来るというもの、遠慮や謙遜は投げ捨てていた。
「共犯者になったからには何をする、何をしない、何を目指す、それを共有しても問題あるまい。小生は伝えたとおりだ」
「ふっ···目的は一つ! ブリタニアをぶっ壊す、が、その前に大事なものがある、ナナリーだ。何に変えてもナナリーだけは守る」
「シスコン、それも重度の奴だな? そんなんだから童貞ボーヤと言われるんだぞ」
「うるさいぞC.C.譲れないものは誰にでもある」
「レディの扱いがなってない、まぁこの話は丸く収まったか。全く柄じゃない事は疲れるなぁ」
話がまとまったタイミングで部屋のドアをコンコンとノックする音が響いた、咲世子が夕飯の準備ができたと伝えに来たのだ。
「はぁーい! すぐに行きます! ···どうだお前たちも食っていくか?」
「いやいい、世話になっているところがある」
「私もな、ピザが私を待っているんだ。誘うならピザを用意して置けよ」
「注文が多い、図々しいぞ···ま、共犯者を名乗るならそれくらいで丁度いい」
「事を起こす前に連絡をよこせよ、ではな坊や」
あの二人を見送ったルルーシュはひと息をつくとナナリーの世話をして着替えは咲世子任せだがそれ以外は兄のとして責任と愛情を持ってこなし、自分の時間が出来るのは夜も遅い時間。
その時間にルルーシュは今日得たものを組み合わせ、復讐を誓ったあの日から考えている計画を書き直す、暗い部屋で机に向かいジッと思考に更ける。
「(この力と、あの二人、そしてあのテロリスト達。必要なピースは揃った、まずはスザクを奪い返す。そしてその先もだ)」
「……ーシュ様、ルルーシュ様、失礼します」
「あ、咲世子さん。気付かなくてすみません」
「いえ、良いのです。ですけど一つ注意をば、あのギンガナムという男性にはくれぐれもお気をつけください、交友関係に口出しするものではないのでしょうが……」
「大丈夫ですよ、危険かどうかは分かりますよ、僕にだって」
「出過ぎたことを申しました、ですがどうかご留意下さい。あの者の纏う気配は……なんと申しますか、“戦争の狂気”そのものと言いますか」
「ははっ、咲世子さん疲れてるんですよ。今日はもうおやすみになってください」
「そうですね、それでは失礼します」
咲世子はルルーシュの言葉に従って早めに仕事を切り上げたが残したいった言葉は彼の心に小さな影を落としていた、戦争の狂気そのものとなぜ咲世子がそういったのか、なぜ分かるのかはルルーシュには不思議でならないがメイドなのだから人を見る目はあると考えればおかしくはない、それよりも……
「戦争の狂気か……確かにアイツは戦いを楽しんでいた。そう言っていた。だか何事も使い様だ、猿から人になったのは火を恐れなかったからだ、ならば人は自ら生み出した災いさえ御することができる筈だ。今更狂気がなんだと言うんだ、そんなもの子供の頃から知っているっ」
持っていたペンを手折り、こぼれ出るインクはそのままでただ見つめるだけ。やがて固まったインクはドス黒い塊でしかないが、その舞台は何処か、誰が流したのか。
「こうなるのは、
十何年も前に決めた覚悟を新たに、まずは冤罪を掛けられた友を救うためにその明晰な頭脳を働かせた。
その目には微かに光る紋様が浮かび上がっていた。
ギンガナムの活躍はしばらく先かな