御大将が行く異世界旅   作:テムテムLvMAX

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いるだけ御大


九話

 枢木スザクが捕らえられてから今日という日に向けて準備を整えてきた、アッシュフォード学園に入り込んでいたテロリストの紅月カレンに正体がバレかけたが、それはもうクリアした。いま大事なのはあれらを纏め本気にさせることと、群衆、情報だ。この必要因子さえあれば、後はギアスでどうとでもなる。

 

 

「ふっ、マントと仮面ではまるでダークヒーローだな……震えているのか、我ながら脆い心だ」

 

 

 特注の黒仮面と黒のマント、黒のスーツ。名乗る名前はゼロ。正体を隠すことはもちろん、黒は全てを否定しゼロとは無を意味していた。ブリタニアを否定し、自らは無となり反ブリタニアのシンボルという器たらんと位置付ける為の工夫。

 ルルーシュはゼロを纏い、護送中の枢木スザク奪還作戦の為に動き出した。これがデビュー、不安も緊張もあるが成功させられる材料は十二分にある。

 

 

 

 

 ★★★★

 

 

 

 

 枢木スザクはクロヴィス・ラ・ブリタニア殺害容疑で逮捕されている、これは組織はブリタニア人のみで構成すべきと唱える純血派の工作だというのは内から見れば丸分かりだ、だからといってそれをオカシイと異議を唱えるブリタニア人が数えるほどしかいないのも事実。言おうものなら夜道に気を付けなければならない。

 クロヴィスの死後エリア11の統括は純血派のジェレミア・ゴッドバルトが引き継ぎ、純血思想を胸にブリタニア帝国から名誉ブリタニア人を取り除かんと息巻いている。

 今もでっち上げた証拠を突き付け自ら認めさせようと拷問のような取り調べをしている

 

 

「自分はやっていません!」

「そうか、だがこの拳銃からお前の指紋が検出されている!」

「何かの間違いです! ……ぐあっ!?」

 

 

 苛ついているのか拘束されているスザクを座っていた椅子もろともに倒してみぞおち辺りに蹴りを入れた、周りを取り囲む警備兵はそれを止めようとはしない。

 

 

「このジェレミア・ゴッドバルトの眼は欺けんぞ! イレブン! 大人しく認めろ! 今なら名誉ブリタニア人として処刑してやるが、どうだ?」

「じ、自分は……っ!」

「はぁ……独房へ連れて行け」

「「はっ!」」

 

 

 ジェレミアはさっさと尋問を切り上げスザクの証言無しに軍法会議するように手筈を整えろと部下に命令を下し、民営テレビ局に働きかけて“大罪人”枢木スザクの護送シーンを愛国心溢れる群衆で飾り付け大々的に世間へ発信する、つまり民意を純血派に有利に塗り替える為の宣伝として使うようだ。

 

 

 

 

 

 ★★★★

 

 

 

 作戦決行の数日前、ギンガナムに通信を送り打ち合わせを行う。ギンガナム無しでも滞りなく進む作戦であるがギンガナムが居れば出来ることも増える、最後のダメ押しとして相談を持ちかけた。

 

 

「ふぅん……つまらんなぁパフォーマンスが足りんようだが」

『こちらの戦力は少ない、大きな戦闘は控えるべきだ』

「ヘタに舐められても後から困るがな」

『この話は後にして、作戦のおさらいをしておこうか、スザク奪還作戦の第一段階は総督専用公用車で護送部隊に接近する、ジェレミアとか言う奴が先頭で指揮を取るはずだ。そいつの注意を誘う。

 そこで第二段階、俺が直接出ていき演説を、それもブリタニア軍に不和を起こさせるような嘘を織り混ぜて、締めにギアスを使う』

「毒ガスか、考えたな」

『まぁ正体を知らない奴らばかりだ、交渉のカードにしては上等過ぎる』

 

 

 この作戦ならばごく少数でもスザクを奪還出来るとルルーシュことゼロは豪語する、確かにゼロの言う通り奪還出来るだろうとギンガナムも予想出来た。

 言うなら自分のモノを奪い返して悪口を言う、そんな子供じみた嫌がらせにも思える。しかし、極端な話がそれで戦争の火種が生まれるというのか歴史の中ではよくある。

 

 

「友の奪還と敵の撹乱、それを同時にやろうと言うのか」

『これでもまだ足りないがな。さてお前には万が一を考慮してだが逃走時の護衛を頼みたい、指定ポイントで待機して合図を送ったらで援護をしてくれ』

「ナイトメアフレームは?」

『旧型のグラスゴーだ、壊すつもりで使っていいぞ。元々は協力者であるテロリスト達の所有物だったがあの時の戦いで与えたサザーランドが有り余っているので譲ってもらった。活躍の機会は無いだろうがな』

「このギンガナムを念押しに使うか、良かろう、完璧に遂行する勝算はどれぐらいだ」

『もちろん100%だ』

 

 

 

 ★★★★

 

 

 

 枢木スザク護送当日、トウキョウ租界の上を真っ直ぐに貫くハイウェイに大勢のブリタニア国民が押し寄せた。愛する殿下を殺害した人間を一目見ようとしていた、そしてこの状況はテレビでも大々的に取り上げられている。

 夜、封鎖されたハイウェイに護送車と護衛のナイトメアフレーム、サザーランドが3機付いて刑務所へ向かっていた。

 

 護送車の上には民衆から見えるように枢木スザクが座っていた、それを見た民衆は容赦無く罵り誰もが死を望んでいた。

 

 ジェレミアは護衛の先頭にいた、ゼロの予想通りにそこにいたのだ。ここまで全て手筈通りに進んでいる、と思って居たところに部下から通信が入る

 

 

『報告です、封鎖を破り侵入者がそちらに向かっています。それにしてもふざけているのか、クロヴィス殿下の公用車を持ち出して来たようです』

「こちらでも映像を確認した」

『止めますか?』

「いや、いい見世物だ、そのまま通せ。全隊止まれ!」

 

 

 ジェレミアの指示で護送車はハイウェイの真ん中で停止した、予定にない動きにテレビ局は慌て、民衆も何だ何だとどよめきが広がっていった。

 

 

「な、あれは殿下の!? 三番班! それをキープしろ! 絶対に逃すなよ!」

 

 

 中継していてカメラマンの一人が皇族専用公用車を捉えた、公用車はどんどんと進んでいきやがて護送車の手前まで来た。

 これから起こるイベントが何であれブリタニアを相手にして何をしでかそうというのか、この時中継車で全体を見ていた者はゾクゾクと興奮に襲われていた。

 

 

「来たか……止まれ! 殿下の公用車を持ち出して何をする気だ!」

 

 

 ジェレミアの機体が前に出て侵入者を制止すると、公用車の幕が燃え中から出てきたのは黒ずくめの仮面人間、女とも男とも分からぬそれは高らかに名乗った。

 

 

「我が名はゼロ、枢木スザクを奪還するために来た」

「はぁん? 何を言うかと期待していたがその程度か、ごっこ遊びは終わりだテロリスト。その仮面を外してもらおうか?」

「私が見せるのは素顔ではない、これだっ!」

 

 

 公用車の後部がむき出しになり中にあったものを見せ付けた、それは毒ガスのカプセルだったもの、本当は違うものだったが真実を知るも知らぬも関係なくここにあってはマズイものだった。

 

 

「それはっ! くそっ! (あれは毒ガス兵器ではないか! テロリストの手に渡っていたとはっ! 民衆達に知られずに人質に取ったということか!)」

「交換だ、これと枢木一等兵をな」

「はんっ! 認められるものか! (それが本物と言う証拠はない、有耶無耶にしてそのまま墓場まで持っていけ!)全隊! あの不届き者を捕らえろ!」

「良いのか? バラすぞオレンジを。私が死ねば公表される手筈になっている」

「なにをっ!?」

「『私達を全力で見逃せ! そこの男もだ!』」

「っ! ……分かった。そいつを解放しろ! 早く!」

 

 

 オレンジ、その単語にはなんの意味も含まれないがゼロに掛かればそれが人生を狂わせる呪文となった。

 交渉をしていたジェレミアにギアスを仕掛け枢木スザクを解放させたのだ、それもジェレミアになにか後ろめたい事がある素振りをさせて確実に組織内で問題が起きる種を播いた。

 

 

「ええっ!? ですがジェレミア卿!」

「私は見逃せといったのだ! 命令に逆らうのかっ!?」

「ジェレミア卿! 何を考えているんだ! ここで見逃くらいならば私が撃つ!」

 

 

 ジェレミアと同じく純血派の仲間が枢木スザクを撃とうとライフルを構えると、それのサザーランドに対してマシンガンを突き付けた。向けられた方は驚きで手が止まりその隙を突いたゼロたちは隠れて待ち構えていた回収班と合流して見事に逃げ去った。

 

 

「私は見逃せと命令したぞ! 全部隊に告げる! 全力をもってゼロを見逃すのだ! 追跡も許さん!」

「貴様ぁ……っ! 狂ったかジェレミアッ!」

 

 

 こうしてゼロは華々しく鮮烈なデビューを飾ったのだ、ゼロに仮協力していたテロリストグループ、扇グループは事前に交わした約束を元にこの活躍で完全にゼロの支配下となる事を決意した。

 

 この一部始終はテレビで全て放送され他のテロリストたちは触発されゼロに続こうと各地でテロが活発になっていった

 

 

 

 

 

 

 




実のない嘘を振る舞いで本物にする、賢いね
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