最強のアサシンが聖杯戦争に参加するようです 作:泳げないアサシン
第一話 召喚
思えばなぜこんなことになったのだろうか。
アハト翁は確かにとてつもない触媒を手に入れてくれた。魔術師であれば一目みればわかる、
とてつもない神秘がつまった鞘。それがあのかの有名なアーサー王のものなら納得だ。アインツベ
ルンが失われた第三魔法を取り戻すために聖杯戦争に勝ち残りたいかわかる。たしかにアーサー
王を引き当てることができるのなら、クラスは最優のサーヴァント、セイバーを得ることができ、第四
次聖杯戦争で最も力がある英霊といっても過言ではないといえるだろう。しかし自分とは真逆の考
えをもつ英霊とうまくコミュニケーションをとることができるのだろうか。答えはNOだ。自分と騎士王は決して相まみえることはない。むしろこちらの考えに怒りをおぼえ、裏切る可能性もあるのだ。アハト翁は強いサーヴァントを召喚すれば必ず勝てるとかたくなに信じている。違う、自分の戦術の使い道に合うサーヴァントを選んだ方が合理的に聖杯戦争を勝ち進むことができるといっても聞いてくれない。これではアサシン教団から借りた、籠手を触媒に召喚ができない。あのアサシンさえ呼べれば僕は聖杯戦争を勝ち進むことができるというのに・・・
そんな風に途方にくれていたころ、妻のアイリが突然驚くことを話した。
「切嗣、私も聖杯戦争に参加させてほしい。」
このとき僕は何をいったのかあまり覚えていない。ただひどく慌ててアイリをとめようとしていた。
しかしアイリはかたくなに譲らなかった。聖杯戦争に勝って切嗣の夢を叶えてあげたい。結局僕は折れてしまった。このことをアハト翁に伝えると大層怒りをあらわにしたが、僕たちは懸命にアインツベルンに二人のサーヴァントを召喚するメリットを説明すると、納得はしてくれた。ただしアハト翁は僕にセイバーのサーヴァントを、アイリにアサシンのサーヴァントを召喚することを条件にした。僕としては多少不満だったが、これ以上ごねても仕方がないとあきらめた。
そしてアイリがアサシンを召喚する日がきた。
「いよいよね、切嗣。」
「ああ、準備はできたかい、アイリ?」
「ええ。といってみたのはいいけど、とても神秘がつまった籠手なのにこんな単純な儀式で構わないの?」
水銀で描いた魔方陣を疑問の目でみるアイリに対し、切嗣は魔方陣に向かってひざまづいて言った。
「サーヴァントの召喚にはそれほど大がかりな降霊は必要ないんだ。実際にサーヴァント招きよせるのは聖杯だからね。アイリはマスターとして、現れた英霊をこちらの世界に繋ぎ止め、実体化できる魔力を供給すればいいよ。」
本来、英霊をよぶ高等な儀式は膨大な魔力が必要になるため、広大な土地に魔方陣を描くことになる。だが、今回においてはこのような大がかりな儀式は必要ない。
「さて、そろそろ始めようか、アイリ。」
「わかったわ切嗣。」
アイリは祭壇の上に触媒の籠手をおき、右手で英霊をつかむように詠唱を言う
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ満たされる時を破却する」
「————告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば答えよ」
「————誓いをここに。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者!」
詠唱を言い終えた瞬間白い光が二人を包み込んだ。やがて白く眩い光が晴れてゆき、二人の目がみえはじめたころ、白いローブを着た何かがいた。右手と左手にあの籠手があった。よくローブの下の顔をみるとラテン系の美男子だとわかった。だが闇の中から数多もの敵を葬りさったアサシン特有の目をしている。
「セニョーラ、あなたが私のマスターか?」
目の前にいるアサシンは、アサシンとは思えないほどステータスに恵まれていた。アイリは自分がやっとどれほどのサーヴァントを召喚したのか理解した。同時に切嗣は仏頂面のままだが、アサシンを目の前にして内心喜んでいた。それもそのはず、ルネサンスの時代にイタリアで数々の要人を暗殺し、ヨーロッパにアサシン支部を立て直した、カリスマ溢れるアサシン。
最強のアサシンと呼ばれた男、エッツィオ・アウディトーレが聖杯戦争に参加するそうです。