袁家から始まる中華統一   作:鈴木颯手

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第二話「台頭」

 後漢末期より遥か未来。日本と呼ばれるその場所に男は生まれた。

 

 男は幼少期の頃から天才と呼ばれ、また気味悪がれていた。

 

 小学生に入学する頃には中学生の教科書で勉強を学び、中学生に入学する頃には東大すら狙える学力を手にしていた。高校、大学では勉学を退学にならない程度に抑え、バイトなどを通じて社会勉強に励んだ。

 

 そして、大学卒業前には起業し、卒業後には僅か半年で大企業に成長させる手腕を発揮した。

 

 彼が30歳を超えるころには彼の造った企業は世界でも有数な大企業に成長し、小国家並みの売上をたたき出す事も起こる程になった。

 

 そんな彼を周りはもてはやすがそんな彼には一つだけ、おかしな趣味があった。

 

 それは収集癖である。

 

 未成年の時には様々な参考書を集め、大企業の社長になると様々な食料、酒、嗜好品を集め始めた。

 

 そしてついには銃や大砲などの武器にすら及び、彼がこれまでに集めた物だけで一つの国を養えるほどにまでなっていた。

 

 彼の収集癖は死ぬまで続いたが、不思議な事に彼が集めた膨大な物品は一つとして見つかる事はなかった。

 

 まるで、彼が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 板垣が袁術に仕えるようになってから半年が経過した。たった半年間とは言え、その間に彼は袁術陣営の中で重要な立ち位置にまで上り詰めていた。

 彼は仕官してから僅か数日後に開始された賊の討伐において賊の頭を討ち取るなどの功績を上げた。最後の賊の討伐ではそれが認められて100人の部下を持つまでになったがそれらを見事に扱い、1000人の賊を奇襲。大きく混乱させて後からやって来た紀霊将軍と共に賊を殲滅させている。

 また、政治においては農業改革を実施。試験的に新たな方法を討伐した賊を用いて見事成功させて南陽の収穫高を倍にしている。軍事でも政治でも優秀さを示した板垣を袁術は気に入り、軍政統括官と言う役職を作り与えている。これは軍事と政治において一定の権力を有しており、事実上張勲、紀霊に次ぐナンバー3に上りつめた事を意味していた。

 当然ながら彼の露骨な出世に対して不満を持つ者は多い。が、それらを板垣は賄賂や女などを駆使して懐柔していき、最大で7割は敵と言えた状況から2割にまで減少させる事に成功していた。

 しかし、残りの2割、その中で最大と言えるのが張勲であり、彼女は仕官当時から板垣を警戒していた。板垣も彼女に良い印象を持ってもらおうと動いたが尽くが失敗に終わっていた。

 

「……厄介だな」

「だったらさっさと殺せばいいじゃないですか」

 

 賊の討伐の為に2000の兵を率いて出陣した板垣は馬上にてそう呟いた。そんな彼に対してその言葉の意味を理解し、アドバイスを送ったのは副官の周沙である。彼女は板垣が仕官の為に持ってきた地図に記されていた賊の一人であり、板垣に敗北してからは彼の副官として活躍している。

 

「ただ殺すのは不味い。何しろ袁術のお気に入りだからな。殺した瞬間に俺も殺されかねない」

「んー、確かにそれもそうですね。なら張勲を殺しつつ袁術の怒りを買わない方法を考えるしかないですね」

 

 副官として板垣から教育を受けた彼女は元々の素質も相まって板垣と同じように軍政両方で優秀な人物となっていた。そんな彼女は板垣が信頼する数少ない人物であり、こうして他者に聞かれれば不味い話を平然と出来る仲であった。

 

「それに張勲以外にも閻象がいる。あいつは取り込む価値もない雑魚だが、そろそろ放置するのも面倒になってきた」

「何か企んでいるんですか?」

「ああ、俺の暗殺だ。高い金を払って暗殺者を雇った。()()()()()()()()()()()

「えぇ……」

 

 あまりにも残念過ぎる閻象のエピソードに周沙はなんて言っていいのか分からずに言葉を詰まらせるが、板垣は何かを思い至ったかのように目を見開いた。

 

「……そうだな。あの無能を使おう。周沙、準備をしてくれ」

「手紙や噂の流布ですね?」

 

 板垣が何をしようとしているのかを瞬時にくみ取った周沙は準備するべきものを伝える。そんな彼女に板垣は「何時の日か俺を超えそうだな」と苦笑いを浮かべるのだった。

 

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